記憶に残るのはどんな感情を抱いたか

People will forget what you said,
people will forget what you did,
but people will never forget how you made them feel.
– Maya Angelou
みんなはあなたが言ったことを忘れてしまう。
あなたがしたことを忘れてしまう。
だけどあなたに対して抱いた感情を忘れることはないでしょう(マヤ・アンジェロウ)。

この言葉を聞いたとき、だから私は空間をデザインする職を選んだんだ、と深くうなづきました。
日本にいた頃、といってももう8年以上も前ですが、『キャリアの下り方 – 1』に書いたような生活を送っていました。

30歳になる前に年収は大台に乗り、毎月海外出張して泊まるのは5つ星ホテル、出張先の移動はタクシー、食事はレストラン。 お給料が増えても出張中はほとんど経費が出るので使う暇がなく、出ていくのはほとんどいない東京のアパートの家賃くらい。 空港とホテルと客先のトライアングル移動する生活を複数都市で続けると時差ボケと運動不足でいつも疲れているので、移動中のタクシーの中から行きつけのマッサージの予約ばかりしていた気がします。 ちょっと時間ができてもホテルのラウンジでメールチェック。

ひたすら移動ばかりの生活でしたが、ここで多大な時間を過ごした場所が、無難で人間味がなく創造性が全くなかったこと、無機質な空間がいかに私の感情にネガティブに影響するか、ということに気づいたことが、ひとつのきっかけとなっています。
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世界中からセレブが集うボドルム

旅と人生が同義語くらいに好きな私、地中海沿岸が好きでロンドンに住んでいる私、子どもが生まれてからも旅のスタイルを試行錯誤しながらも、1人→2人→3人に増えた子どもたちを引き連れて地中海方面に足をのばしています。

今年の夏はトルコのリゾート地ボドルム半島に2週間行ってきました。
トルコは大好きで今まで4回くらい行っていますが、ビジネススクールの同級生トルコ人が毎年夏を過ごす場所がボドルムで、去年の同窓会で「今度はボドルムで」と約束したのでした。
Bodrum map

5歳以下3人の乳幼児を連れたビーチホリデーはかなりの困難が容易に想像されたので(水場は危ない)、以前まとめた『子連れバカンスを劇的にラクにするTips』をフルに考慮に入れました。 友人家族(男の子2人)が2ヵ月滞在するコンドミニアムの近くにセルフケータリング(自炊可能)の家を借り、日中は友人のコンドのプライベートビーチに遊びに行ったりして一緒に遊び、夜は自分たちでゆっくり過ごすという計画。

ボドルムは10年前からその気配はありましたが、この10年の間に一気にセレブが集うリゾートと化していてビックリしました。
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イギリスの小学生の夏休み

イギリスの新学期は9月。 去年9月から小学校に入った長男の初の夏休みが始まって2週間経ちました。 いやあ、覚悟はしていましたが、疲れております。

イギリスでは子どもに親が付添っていなければいけない年齢が法律で決まっているわけではありませんが、The National Society for the Prevention of Cruelty to Children (NSPCC、英国児童虐待防止協会)のガイドラインによると、

– 乳幼児はいかなる時でもひとりにしてはいけない
– 12歳以下は緊急事態に対処できる年齢ではないので長時間ひとりにしてはいけない
– 16歳以下を一晩ひとりにしてはいけない
(出展 – Gov.uk: The law on leaving your child alone、NSPCC: Home Alone

そうで、日本のように夏休みに小学生にひとりで留守番させる選択肢はありません(注)。 どこへ行くにも大人の付き添いが必要で公立の学童のようなところもありません。
注:アクサダイレクト生命の首都圏に住む小学生の母親624人を対象にした調査によると、夏休み期間中の親の不在時に「子どもだけでお留守番」と答えた母親が、小学校低学年が34.3%、高学年が66.3%(→アクサダイレクト生命「小学生の夏休みの過ごし方」調査

そこで共働きの家はどうするかというと、
1. 家族でホリデーに行く
2. ナニー・ベビーシッターを雇う
3. 祖父母を頼る(来てもらう、もしくは子どもを実家に送り込む)
4. 夫婦交代で有休を取って子どもの面倒をみる
5. 民間のサマーコース(ホリデーキャンプ)に入れる
の5種類を組み合わせて恐怖の6週間を乗り切ります。
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ロンドンにギグ・エコノミー到来

アメリカで「ギグ・エコノミー」という言葉が現れてしばらく経ちます。 以前、『カリフォルニアを見よ。』というエントリーで

世界を変えるような大きな時流(メタ・トレンド)ってまずアメリカのカリフォルニアで発生して、それがすごいスピードで打たれて叩かれてテストされて、こなれたり改善したりローカライズされて、世界の中でも時流が回ってくるのが早い場所から順にぐるーっと回ってきて、気がついたらいつの間にやら世界の様相が変わってる

と書きましたが、英語圏の大都市で人口が若く、アーリーアダプターも多いロンドンにはトレンドはすぐ回ってきます。 シリコンバレーから本家が上陸することもあれば、ロンドンで生まれたコピーキャットが先攻することも。

ギグ・エコノミーというのはミュージシャンが「一夜限りのライブ」をするように労働者が「単発の仕事(タスク)」を請け負うことで成り立つ経済のこと。 新しい現象ではありません。 ダニエル・ピンクが『フリーエージェント社会の到来』を書いたのはもう13年も前ですが(私がブログに書いたのは7年前→『MBA同級生に見る「フリーエージェント社会の到来」』)、労働者のフリーランス化の更なる進行、仕事のタクス化、先進国におけるミドル・スキルジョブの後進国(及び機械・コンピューター)への流出、テクノロジーの進展(特にモバイルのアプリ)により人々が課題の即時解決を求めるようになったこと、など全てつながった結果です。
参照:『未来に備える本』というエントリーで過去の「新しい働き方」関係のエントリーを集めています。
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ハーフの子育てあるある

最近、時間がなくてブログを書く心理的ハードルが上がっていたので、ハードルを下げるためにくだらない話題を。

タイトルは「ハーフの子育てあるある」になってますが、海外在住の場合です。

1. 子どものカタカナ名が思い出せない
現在直面している最大の問題。

これ、私だけでしょうか? 普段は英語で子どもの名前を書くのですが、子どもが生まれたときに日本領事館に出生届を出して戸籍登録しています。 その時はアルファベットは使用不可なのでカタカナで登録したのですが、長男のカタカナ名が思い出せない!!!
子どもの名前がDavidならば(注:仮名です)「デービッド」、「デイビッド」、「デイヴィッド」・・・etc. いろいろカタカナ表記が考えられるのですが、長男の名前のカタカナ表記がどうしても思い出せないのです。

先日、長男のパスポート更新期限がきたのでロンドン日本領事館に行きました。 用紙を記入している最中にカタカナ名がどちらだったか思い出せないことに気づき、窓口で「思い出せないんですけど・・・」と正直に申し出たところ、「最初のパスポート取得時に戸籍謄本コピーを頂いてますので、そちらをチェックしておきますね〜」と実に日本らしく気の利いたサービス。 そのため、結局どちらかわからず。

そして今、夏休みのため長男はロンドンの日本語幼稚園サマーコースに通っているのですが、私が結局名前を思い出せずに申込書に適当に書いた方の名前でひらがなの練習をしています。 後から「実は自分の名前の書き方間違ってた」って知ったらどう思うだろう?(笑)

早く戸籍謄本チェックしろ、ってそれだけの話なんですが。

なお、今日は次男の3歳の誕生日なのですが、Facebookの「3年前はこんなことがありました」という昔の写真が出てくる機能を見て、次男の日本名の漢字を思い出しました。 おお、そっちの漢字だったか!
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週休3.3日のワーキングマザー

前回のブログから2ヵ月も経ってしまいました。 最近、立て続けにブログを通して連絡を頂いたので重い腰をあげて近況を。

長女が生後6ヵ月になった3月から仕事復帰しています。 イギリスのナーサリー(保育園)の0歳児保育は私立しかなく公的補助はないので、何日預けたいかは親が自由に選べます(ナーサリーによって最低2日/週など規則あり)。 公的補助がなく高額なこともあり、子どもが小さい時は週3, 4日にセーブする母親が多く、週5日働く人の方が少ないのですが、私は長男の時は当然のように週5日、次男の時も週5日預けました。

長男の時は妊娠8ヵ月で渡英し無職のまま出産したため、次に何がしたいのかわからない中、出産と育児が足かせになるのを怖れていました。 就職活動のためだけなら週5日も預ける必要はなかったのですが、ベビーブームのロンドンでナーサリーにはウェイティングリストがあり、就職先に週5日勤務可能であることをアピールするためには就職活動中から預けないとすぐ動けないと思っていました。

その後、東日本大震災をきっかけに『クリエイターになりたい。』と大きくキャリアチェンジしてフルタイム(週5日)学校に通い、卒業の翌月に次男を出産。 この時も焦っていました。 クラスメイトは当然、卒業してすぐに就職活動をし働き始めていたのに、私はまたもや出産・育児。 幸い、フリーランスとして声がかかり仕事探し自体は苦労しなかったのですが、夫がいない平日に例え週1, 2日でさえ手間がかかる盛りの男の子2人をひとりでみるなんて考えられず、週5日ナーサリーに預けていました。

そんな私が長女が産まれて3回目の今回は、仕事を週5日ではなく週3.7日に押さえることにしました、土日週2日に加え、1.3日は働かないことにしたのです、週休3.3日(半端な日数については後ほど)。 なぜなら過去1年くらいで本当に、本当に、すとんと腑に落ちた・・・というか悟ってしまったからです。 ああ、この子たちのこの瞬間を見られるのは今しかないんだ、と。 
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3人育児は2人育児よりめちゃくちゃ大変だった話

去年の8月に生まれた長女も来週で生後9ヵ月になります。
私はものすごく精神的に大変な時はブログには書くのは避けて、ブログにはあえて無関係なことを書きます。 嫌なメールがきたときに即返信しないのと同じ論理、ブログはネガティブな感情を書き溜める場所としては使っていないので。

でも幸せなことに人間とは忘れる生き物。 喉元を過ぎれば本当に熱さを忘れてしまうんですよね・・・ よく子育てが終わった世代の女性が育児真っ最中の女性に冷たいことがありますが、あまりに大変すぎて記憶がすっぽり抜け落ちているのも理由のひとつかなー、と思います。

たまに「3人育てるのは2人育てるのと変わらない」、「上2人が赤ちゃんをみてくれたからラクだった」という人がいますが、「おいおいおいおいおい、2人と3人は全然違うわ!」と100回くらい言いたい。 子どもの年が離れていればラクだと思いますが(2人目が3歳以上)、全員2歳差(4歳、2歳、0歳)の3人育児はめちゃくちゃ大変でした。

3月に仕事復帰して長女(3人目)も保育園に入り、最近ようやく生活のペースもつかめてきました。 私も3回の出産時の痛さとかは忘却の彼方ですが、3人育児の大変さは時間があった時にちょこちょことメモしていたので、ようやくトンネルの出口を抜けた感がある今、ここに記録しておこうと思います。

なお自分用に書いたメモをブログに転載する理由ですが、こういう「育児が辛い」系の内容は小町や知恵袋などの掲示板で「がんばってますね!」系の励ましコメントと「望んで産んどいて甘えるな」系の自己責任論コメントの応酬で終わってしまいがちです。 せっかくハフィントンポストに転載の機会を頂いているので、普段掲示板の育児トピックなど読むこともない人の目にも触れるといいな、と思います。
また、私に3人いるため「3人は2人より遥かに大変だった」となっていますが、1人目の時も2人目の時もめちゃくちゃ大変だったと思っていたので、1人育児や2人育児はラクだ、と言っているわけではありません、念のため。
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クリエイターたちのロンドンの家 – 7

『クリエイターたちのロンドンの家』シリーズ最終回は暗くてドラマチックなインテリアを一気にメインストリーム(?)にのし上げた有名デザイナーAbigail Ahernです。 その名も④ダーク&ムーディー系と名付けました。

過去のロンドンの家シリーズ。
①色の祭典系(1, 2
②サルベージ系(3, 4
③マリー・アントワネット系(5, 6

この家を買った頃は他の数多ある家と同じようにオフホワイト中心のスカンジナビア系だったという彼女のインテリア。 壁をダークなインク色に塗り替えるたびにドラマチックな変化を遂げ、すっかりマキシマリスト(ミニマリストの対極)でムーディーな空間になりました。 アンチ・ホワイト宣言を出したこの家は多くの雑誌で取り上げられ、今では数々の著書を出版し取材や講演もこなす人気デザイナー(彼女のスタイルが好きな人にはこちら→『Decorating with Style』『Colour: How to Banish Beige and Bold Up Your Home』)。
彼女の家を彩るキッチュでボヘミアンなアイテムの多くはイーストロンドンにある彼女のショップで買えます。 ブログの人気から火がついたところなどウェブやソーシャルメディアの使い方がうまいビジネスウーマンで若手デザイナーのお手本的存在。

オリジナルのダーク&ムーディーなインテリアをたっぷりどうぞ。
(写真ソース:Apartment Therapy
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クリエイターたちのロンドンの家 – 6

③マリー・アントワネット系2人目はアーティストのRos Fairman。
フリーマーケットやアンティークフェア、オークションハウス、チャリティーショップ回りが大好きという筋金入りのフランス物コレクター。

私もイギリスに来て以来、趣味と実益を兼ねたアンティークフェア巡りが大好きになりましたが、新しく買った家具がほとんどないというこの家、ここまでくると趣味の域を超えて「生き様」とでも呼ぶべき(?)。
イギリスはアンティーク好きのためのテレビ番組や雑誌が非常に多く、生き甲斐となっている人も多く見受けられます。 特に女性に大人気のフランスのアンティーク、ディーラーやバイヤーの行き来も多く、私の家の近くで月2回開催されるアンティークマーケットにも朝2時起き、3時起きで大陸(フランスやベルギー)のディーラーがバンやトレーラーに商品を積んでやってきます。 平日の朝6時頃オープンするのですが7時に行くと駐車場が満車で入れないほど。
彼女もそうやって25年かけてこつこつ集めたのでしょう、大好きな物が詰まったお家をどうぞ。
(写真のソース:Emily Wheelchair
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クリエイターたちのロンドンの家 – 5

『クリエイターたちのロンドンの家』シリーズ、①色の祭典系(1, 2)、②サルベージ系(3, 4)に続くのは、③マリー・アントワネット系。 フレンチ・ロココのフェミニンなデザインをベースにしたアンティークを多用するインテリアは女性に大人気。 特に自分の思いどおりの夢を見たいベッドルームに置く家具(ベッドやドレッシングテーブル)や、ゴージャスなシャンデリアなどは圧倒的に人気で、特にフレンチインテリアではない家にも使われていますし、曲線脚が美しい椅子・ソファなどのアイテムも人気。
ここではフレンチのフェミニンな要素をうまく他と組み合わせてエクレクティックに仕上げたお家を紹介します。
1人目はインテリアスタイリストのMarianne Cotterill。 HarrodsやThe Conran Shopなどのショップで経験を積み、著名クライアントを持つ彼女の家はどの部屋もため息がつくほど美しいのですが、スタイリストらしく小物使いの上手さが光っています。 建物にはヴィクトリア時代の建築の特徴を残しながら照明やソファ・ベッドにマリー・アントワネットの時代を彷彿させるフェミニンなフレンチを使い、他の時代のものと混ぜています。
この素敵なお家、写真のロケに使えるよう貸し出していますし(→mapesbury road london)、インテリア雑誌のハウスツアーにも組み込まれていたりするので、訪れる機会があるかもしれません(?!)。
(写真のソース:Design to InspireHouse to Home
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