日本語教室に行くのを止めたら1年後こうなりました。

現在8歳、日本の学齢で小学3年生にあたる長男が、週1回、土曜の午前中に通っていた日本語教室に行くのをやめたい、と宣言してから1年が経とうとしています。 理由は同じ時間帯にある地元のサッカークラブの練習に参加したいため。
あの時、私は軽く・・・というよりかなりショックでした。 このまま彼は日本語の読み書きを忘れてしまうのだろうか?と。
(このあたりの経緯をご存知ない方は下の三部作を先に読んで頂くと、スムーズです)
『Google翻訳イヤホンが投げかける答えのない問い』
『Google翻訳イヤホンが示す二極化する未来』
『キミたちはいつ日本人になるチャンスを失うのだろうか?』

ロンドンの日本語教室で国語の教科書を基に勉強を始めてからわずか2年弱、小学2年の3学期(今年の1月)に行くのを止めてしまった長男。 止めたタイミングと時を同じくして去年の年末年始に私たちは日本に一時帰国していました。 その一時帰国中に、彼が見事に、完全に、はまってしまった物があります。

それがこれ。
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ふりがな付き鉄道路線図(首都圏)鉄道路線図(関西圏)の全路線の駅名模写。

そして泊めてもらった友人の家での運命の出会い。
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一時帰国中の最大の楽しみがこれ、毎日先頭車両に乗り、運転手さんの一挙一動を一瞬たりとも見逃しません。
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乗り換えのたびに先頭車両まで走らされる私たちは大変です。 弟や妹たちが喜んだのは最初だけで、あとはずっとひとりでこんな調子でした。 日本にいた3週間、彼が電車の座席で座ったことは1度もありませんでした、どんな長距離でも立ちっぱなしで観察。
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東京から奈良の実家に帰った後は、チビ鉄の聖地巡礼。
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実物の電車の運転手席に座れてご満悦。
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でも彼が本当にはまったのはこちら。
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写真がないのですが、本館2階にある各種新幹線など電車の模型を運転できるコーナーで4、5時間ぶっ通しで遊ぶのです。 毎日、行きたがるのでおじいちゃんに連れて行ってもらったりしましたが・・・
JR西日本の関係者の皆さま、お願いですから京都鉄道博物館の年間パスポートを発行してください・・・

そして、生まれて始めてもらったお年玉で、弟と妹の分も奪ってかき集めて購入したのがこちら。
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『プラレール 今日からぼくが駅長さん! ガチャッと!アクションステーション』『プラレール 駅とつながるプラキッズレールセット』

前述の首都圏路線図と関西圏路線図だけでは飽き足りません。 同時に購入した学研の鉄道図鑑で日本全国の鉄道駅名と電車名を模写して覚えながらプラレール遊びに活かします。
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我が子のあまりに見事なはまりっぷりにちょっと引きながら(笑)、日本をあとにしロンドンに帰ってきました。 日本語教室を止めてしまった長男の日本語学習をサポートできるのは私しかいないんだわ! よし、頑張らねば!と気合いを入れつつ。

ロンドンに帰ってきてから、自発的に毎日朝一で始めたのがこれ。 全国の路線の駅名模写。 漢字の練習が嫌いだったんじゃなかったっけ?
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教室に行くのをやめたので、家でプリント教材を始めたら、この調子。
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前述の学研の鉄道図鑑には図鑑に準拠した漢字ドリルがあるので買ったらこの調子。
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サッカーと鉄道が彼の二大好物。
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家にいる間はひたすらプラレール遊び。 日本から帰ってきてから丸10ヵ月、情熱は一向に衰えることなく今年のお正月に買ったプラレールで毎日毎日飽きることなく遊んでいます。 我が子の鉄分があまりに高いので、母は心配になり鉄道の魅力を考えてみました。 このサイトによると鉄道オタクの種類は36種類ほどあるそうですが、彼が好きなのは時刻表と路線図。
日本全国の特急が走る路線の特急停車駅と通過駅を調べ、プラレール上で特急を動かし停車駅では停車アナウンス、通過駅では通過させています。 それを全特急と新幹線でやっている(苦笑)。
彼がやりたいのは今この瞬間に日本で走っている電車とリアルタイムで彼のプラレール電車も走らせることで、日本の鉄道時刻表を調べアラームをかけて「あっ、発車の時間だから行かなきゃ」とご飯の時間にプラレールを走らせに行きます(再び苦笑)。 あんなにも多彩な種類の列車が膨大な数の路線を遅れることなく時刻通りに、停車したり通過したりする複雑な鉄道システムそのものに壮大なロマンを感じるようです(たぶん)。

ともあれ、日本語教室に行かなくなることで同じバックグラウンドのお友達もいなくなり、日本語も怪しくなるのではないか?と危惧していた彼は1年近く経ってこうなりました。
– 話す方は年齢に応じて流暢に。 ちなみに夕飯の後のテレビの時間はキャプテン翼を1983年初回放送版からYouTubeで毎日観ている。
– 語彙はかなり増えた(「在来線」、「車両」などかなり語彙に偏りあり)
– 読める/書ける漢字は圧倒的に増えた、ただし「◯◯ってどう書くの?」「ああ、町田の町ね」、「大宮の宮だ」と駅名で覚えている。 模写する機会が少ないカタカナはいまだに間違える。
– 書き順はかなり怪しい。 図鑑の文字では小さくてハネやはらいが見えないので、正確さも怪しい。

完全に「国語の教科書を使って勉強する小学生児童」ではなく「アニメで日本語を覚えた日本語上手な外国人」のノリですが、もともと本質的にはそっちだったのでしょう。 日本の小学校に行くわけではないので、学年順に教科書に沿ってやる理由もないわけだし。

そんな彼の現在の夢は
「指宿から稚内まで鉄道で旅すること」
・・・・・・(母絶句)

「そういうことは大きくなってから、ひとりで青春18切符でやってほしい」
と言いたいところですが、ほんのちょっぴり彼の夢を叶えてあげようかという思いもあって、悩み中です。


11 responses to “日本語教室に行くのを止めたら1年後こうなりました。

  • かよ

    はじめまして、いつも読ませていただいています。ドイツ在住、6歳の娘がいます。息子さん、これだけはまれる物があるのは、強いですね。漢字だけでなく日本の地理も鉄道つながりで詳しくなれますね。素晴らしい。

  • 林大輔

    鉄道好きの少年でしたが、今は3人の子供がいるおっさんです。

    さて、お伝えしたいことが数点。
    ●鉄道博物館は、JR西日本の株主優待券(市場価格100円程度)で、2人まで半額で入場できます。
    https://www.westjr.co.jp/company/ir/stock/shareholder/

    ●プラレールはものすごく大量にヤフオクで「おふる」が激安でたたき売られています。
    https://auctions.yahoo.co.jp/closedsearch/closedsearch?p=%E3%83%97%E3%83%A9%E3%83%AC%E3%83%BC%E3%83%AB+%E5%A4%A7%E9%87%8F&va=%E3%83%97%E3%83%A9%E3%83%AC%E3%83%BC%E3%83%AB+%E5%A4%A7%E9%87%8F&b=1&n=20

    ●鉄道好きは、必然的に地理が得意になりますが、地理から上手にいけば歴史の知識もぐっと広がります。
    例)肥薩線ってあるけど、肥後と薩摩を結び明治時代は開通していたんでいたかなり歴史の古い鉄道なんだよ。
    肥後っていうのは、今の熊本県。薩摩は島津さんがお殿様だった藩で、今の鹿児島県あたり。
    マンガ日本の歴史でもあれば、あっという間に旧国名はほぼマスターできますわ。ついでに殿さまの名前も。

    ●時刻表をぜひ買ってあげてください。机上計画を時間的な面と料金面から検討する課題をこなすだけで、数学的センスも見につきます。端から端まで乗るというより、JR全線のりつぶし計画を立てて少しずつエリア乗り放題券を買って回るのがいいかなと思います。JR各社がいろんな周遊きっぷを発売しています。それをいかに最大限活用するか計画をたてるだけでも、かなり楽しめると思います。

    • la dolce vita

      林大輔さん
      いろいろありがとうございます。 やはり元鉄道少年には子どもの気持ちがわかるんですね。
      どのくらい続くかわからなかったのですが、この熱量が続くようなら親も覚悟して付き合おうかと思っています。

      私もマンガ日本の歴史で育ったので買っておいてあるのですが、まだ難しいようです。 地名だけは既に詳しいですが。 
      時刻表は思いつきませんでしたが、買ってあげることにします。 たしかに机上計画を立ててもらうのはいいかもしれません、そして小学校の卒業祝いに2人旅と。 

  • kuboaki

    プラレールで遊び、時刻表で漢字と地理を覚えた組です。なんだか、彼の夢中ぶりが、とっても懐かしく、羨ましいです。

    • la dolce vita

      kuboakiさん
      あー、そうなんですね。 大きくなると薄れていくものなのでしょうか? 親としては夢中になれるものがあって、我が子が羨ましいです(笑)。

  • Ryo Tsunoda

    はじめまして、HUFFPOSTから飛んできました。
    自分も幼少期から鉄道に魅せられ、漢字や地理を覚えるのに鉄道のおかげで大いに役立つ影響を受けた1人です。
    お子さんが夢中になっているその姿が、幼き自分を見ているようで思わずコメントしてしまいました。
    その感性を忘れずに育んでいってくださることを鉄分多めの先輩として願って止みません。
    指宿から稚内まで鉄道で旅することは大変なことと思いますが(笑)時刻表を片手にあれこれ調べながら妄想するのは今でもワクワクします。
    鉄道もサッカーも両輪でいいとこ取りできると良いですね!

    • la dolce vita

      Ryo Tsunodaさん
      ありがとうございます。 鉄道ファンは多いんですねー、ということを今回改めて感じました。
      日本の鉄道は本当に多彩で楽しいですよね。

  • sasaben

    うちの子(現高1)と似ています(鉄→サッカー)。
    プラレールは総延長で100m分は買わされました。梅小路蒸気機関車館にも大宮の鉄道博物館にも何度となく行かされました。「キャプ翼」は、コミックで読みました。
    鉄道関連本で、やはり漢字と日本国内の地名を、サッカーの選手名鑑で、ほとんどあらゆる国の国名と国旗と中心部の都市名(選手の出身国の関係とチームの所在地)を覚えてしまいました。その選手がどういう経路で現在のそのチームにたどり着いたかを言えてました。特にアフリカの選手に強かったです。
    うちの子の場合は、鉄分は10歳位で抜けて、それ以降はサッカー成分が100%になりましたが。
    今は、高校のサッカー部や日本代表やFC東京のシステムやフォーメーションを常に考え続けています。

    • la dolce vita

      sasabenさん
      ありがとうございます。 サッカー熱はまだ続いてるんですね。 大人になっても続くんでしょうか・・・?

      うちも今年のロシアワールドカップ中はすごかったです。 イギリスでは夜にあたる試合が多かったので、一応寝るのですが、試合結果が気になって早朝に起き、勝手に私の携帯で前日の試合結果を確認、お手製のリーグテーブル表に書き込んで熱心に分析していました。

      男の子ははまりがちですよね、うちも長女はあまりそんなことはないのですが・・・

  • ほんごうリカ

    8年ぶりくらいに・・・ブログに訪れました!(と言ってもこの記事も一年前のものでした!)
    ヨーロッパの”暮らし”が中心の生活(仕事のための生活ではなく)に身をおきたいと思いながら、
    会社の決まりが第一の日本人と結婚、出産、自分の能力ではもう海外生活は難しい(せめて夫が転職!しそうにもない・・・。いえ、子どもが生まれて、もうどこに暮らしていても子どもが元気ならそれでいいと思っていたからかな。私の努力が足りなかったことも多々)と離れていましたが、
    FBでシェアされていた記事から久しぶりに飛んできました。
    今では共感できるネタが子どもネタで(笑)
    鉄道!いいですよ♪わが子も鉄分が非常に高く、1歳~4歳まで頑固鉄でした。
    時計も、いつのまにか簡単な足し算引き算もできていて、天才か?!と思いましたが、7歳の今・・・凡人でした(笑)
    偏る漢字習得も、分かりすぎて、微笑ましかったです。
    このまま行くなら、松本清張の点と線くらいなら、小学生で読めるんちゃうか?と思っていましたが、ブームはあっという間に、恐竜と虫に取って代わられました。
    近くであれば、昔の遺産、鉄道DVDや地図をお渡ししたいわ~と思いながら読みました。
    子鉄には、DVD,図鑑、絵本、小説、プラレール(Nゲージ)、自転車を鉄道に載せて移動するなどなど日本を楽しむ?要素がいっぱいではと思います。
    日本に帰国されることがありましたら、鉄道もの引き取ります~とFBでもつぶやいてみてくださいね♪
    これだけ、愛されているなら鉄道ものも幸せでしょう♪とお譲りする方が沢山いそう。
    我が家もです♪

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