『世界級〜のつくり方』で見つけたこと

ブログの終了を発表して以来、昔からの友人から初めての人まで、毎日多くの人から連絡をもらって圧倒されています。 11年間続けたブログだったので、その間起きたライフストーリーを教えてくれるものが多く、改めて続けてきたことの重みを感じています。 ありがとうございます。

そんな折、これもブログを通して知り合った友人から彼女がステージ4のガンにかかっていることを告白されました。 以下の記事はその告白を聞く前に完成させていたのですが、それほどの困難な状況に面したことのない私に言う資格はないのではないか? 不謹慎ではないか? ガンと闘うことを決意している彼女を傷つけやしないか? 書き直すべきではないか?・・・さんざん悩みましたが、おそらくきっと彼女が伝えたいこととも一致するのではないかと思い、書き直すことなく公開します。 そして、私は有言実行、書いたことと一致するような行動を取りたいと思います。

以下、このブログを書き続けた11年間の間にわかったこと、見つけたことです。

1. 「今、私を悩ませている人は葬式に来て欲しい人か?」、「今時間をかけてやっていることは弔辞で読まれたい内容か?」を問う。
以前も『35歳までに産みたい30歳前後のキャリア女性に』で書きましたが、「このままでいいだろうか?」と漠然と不安な時はこう問うてみてください。

あなたは何年後か何十年後かわからないけど、今、死の床についています。 それは病院かもしれないし、家かもしれません。 ベッドの周りにどういう人が集まってその人たちに何と言ってもらいたいですか?
その人たちにそう言ってもらえるように生きなさい。

誰かが言っていましたよね。 人生で一番見過ごされがちだけど一番大事なのは「緊急じゃないけど大切なこと」です。 このカテゴリーに何が入るかは人によって違うと思いますが、多くの人にとって家族・友人・健康・生き甲斐・ミッションなどが当てはまります。

「葬式」と「弔辞」をキーワードにギッシリ詰まった自分のスケジュールから不要なものをバサバサと斬っていくと「さほど仲良くない友人に誘われたから申し込んでしまったセミナー」「この前断ったから今度は断りにくくて行くことになったママ友とのお茶会」「給料も社会的地位も高いから受けることにした、ヘッドハンターに勧められた会社との面接」etc.ほとんどのアポはなくなります。

私は夫以外の他人に人生相談はしません。 他人の忠告より耳を傾けるべきなのは自分の中にある内なる声、直感だと思います。

2. バランスなんて取れなくていい。 自分にも他人にもムチを打たない。
その昔、子どもが生まれる前、『幸せはバランスの上に』という記事を書きました。 GMO熊谷さんの手帳術なのですが、「ビジネス・キャリア」「マネー・ファイナンス」「教養・知識」「趣味・プライベート」「健康・美容」「心・精神」の6項目すべてに年間・月間目標を設定し、目標達成のためのタスクをリスト化するというもの。

いやー、我ながら 子育てしたことがない人の発想だと思います(笑)。 出産すると修羅場と呼ぶにふさわしい体も心もぼろぼろな状況に数限りなく出くわします。
1人目が生まれた直後、母乳育児が軌道に乗らず、何度も何度も乳首が切れて息子の口があたるたびに激痛がし、乳首からは出血、 乳腺炎で高熱を発症しながら泣きながら寝られない体で授乳を続け、軌道に乗るのに7週間かかったこと。
乳児の我が子が嘔吐性風邪にかかり、寝ている間も1時間おきに嘔吐し、小さな小さな体が嘔吐にまみれるのが可哀想で両手で受け止めたこと。

私は長男が生まれてから長女が2歳になり断乳するまで6年半、夜は授乳や何やかんやで何度も起こされていました。 6年半もまともに寝られないのに、バランスも何もありません。 産後の体型、仕事復帰、全く終わらない家事・・・ 24時間におさまらないほどのタスクが目の前にある時は、自分にムチを打たず、とびっきり自分に優しく、人の助けも借りた方がいいと思います。

イギリスでは、妊婦と幼児連れには本当にみんな親切で、電車に乗るとデフォルトで席を譲られます。 今でも覚えているのが、長男がまだ赤ちゃんでベビーカーの中で寝ていた時のこと。 赤ちゃんはベビーカーの中だから立っている私に席を譲る必要はない、と普通は考えると思います。 ところが、私が電車に乗った途端、小学校高学年くらいの子どもを連れたお母さん(子どもは座って彼女は立っていました)が、

赤ちゃん小さいから寝てないでしょう? 疲れてるのはあなたなんだから、(自分の子どもに向かって)あなたは立ちなさい。

と自分の子どもを立たせました。 いたって健康体で重い荷物も持っていない私に「疲れてるんだから座っていいのよ」と言ってくれるその思いやりにビックリ。

譲られる必要がなくなった今は私も全力で、助けが必要そうな人には声をかけます。 他人に優しくなると自分にも優しくなれるようになりました。

子どもが小さい時は3人全員を膝にのせてよく絵本を読んでいました。 私のお尻に肉がついていなければ、さぞかし居心地の悪いクッションだったことでしょう。
1人目のあとは消えたのに、3人産むと全く消えない妊娠線、お風呂に入るたびに「ママのおなかぷにゅぷにゅ〜」と言いながら子どもの格好の遊び道具です。
3回も頑張った自分の体にムチを打つことはやめました。 4年間吸い続けられて完全に吸い取られてなくなった胸だけは返して欲しいですが・・・

今でも最高にアンバランスな毎日ですが、「ママ、かわいいね」「ママ、大好き」「ママ、ママ」と朝から晩まで言ってくれる娘の愛情を浴び続けて、幸せはちっともバランスの上にないことを実感しています。
 
3. 「今、ここ」を大事にする。
小さい子どもには、保育園からの帰り道に「家帰ったらご飯炊かなきゃ」と100以上のTO DOリストが頭の中を巡っていることもないし、お友達と遊びながらFacebookの「いいね」数をチェックしたりもしません。

小さな子どもは「今」、「この瞬間」に100%集中できる力を持っていて、「この塗り絵をはみ出さずにできたら将来文字を書く時にも役立つかも」と「いつか訪れる将来」のことを考えたり、「この子と仲良く遊んでる姿をSNSに載せたらたくさんいいねがもらえるかも」と「目の前にいないネット上の誰か」のことを考えたりもしていません。

私はこの「今、ここ」に集中できる子どもの能力に大いに学ぶべきだと思っていて、黄金期(*1)に入った子どもたちとの「今」に集中したいのですが、「緊急で重要なこと」、「緊急で重要じゃないこと」が山のようにあり、そう簡単ではありません。 
*1・・・子どもの黄金期についてはこちら

このブログでは何度もローテク育児(*2)について書いていますが、本当にソーシャルメディアのアルゴリズムにマインドシェアやアテンションを乗っ取られているのは小さい子どもではなく私たち大人です(*3)。 離脱派なんて私の周囲にはひとりもいないのに、この国には過半数いる(らしい)ことをまざまざと見せつけられた、3年前のブレグジット国民投票以降、さらに危機感を強くしました。
*2・・・『完全ローテク育児 – 1』『完全ローテク育児 – 2』
*3・・・参考:WIRED – 『ぼくらのマインドを、スマートフォンによる「乗っ取り」から解放せよ』

また、私にはすごく自覚症状も危機感もあるのでまだマシ(と自分では思っているの)ですが、もっと恐ろしいのが、特にInstagramなどのビジュアルSNSによって全く非現実的な理想像と現実の自分とのギャップにプレッシャーを感じて、現在のティーンエイジャー(特に女子)のメンタルヘルスが危機的レベルにある、というニュースです。 娘がいるので相当の危機感を持っています。

「今、ここ」に集中できる環境を阻害するもの・・・どれだけやっても終わることない家事、現実逃避のためのネットサーフィン、絶え間なく訪れるWhat’sAppの通知・・・ これらの私からマインドシェアやアテンションを奪うもの、を極力アウトソースしたり止めたりしながら、二度と来ない子どもとの黄金期の「今、ここ」に集中するべきだと判断しました。
ここ数年、ブログの更新頻度が圧倒的に減っていたのは、そういう理由でした。

今後は、しばらく自分のブログでの発信という形はしません。 お声がけ頂いたメディアで上記3つにうまく合うところがあれば寄稿させて頂きます。

前回の記事冒頭でお知らせしたように、読者の方から「マイナンバー1」を教えて頂いたので、次回、皆さんにシェアして終わりとしたいと思います。


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