Category Archives: 5. 趣味・プライベート

95%のおもちゃはいらない。

我が家の子どもたちは・・・というより、現代のイギリスっ子は本当にたくさんのおもちゃをもらいます。
私は実は子どものためにおもちゃを買ったことがほとんどないのですが、買わない方針とかは一切なく、余りにももらいすぎるので買う必要性がないためです。

日本もそうだと思いますが、子どもがおもちゃをもらうタイミングは大きく年に2回。
1. クリスマス
2. 誕生日

私が小さい頃、25日の朝起きると枕元にサンタさんからのプレゼントが置いてありました。 自分が欲しかったものかどうかは別として、だいたいは1つ、多くて2つ。
それに比べて、こちらはこれです(M&S広告より)。

ツリーの下に大量にプレゼントを置きます。 ひとりの子どもがいくつもいくつももらうのです。 我が家の場合、毎年、義母が大量に孫用のプレゼントを送付してきます。
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日本語教室に行くのを止めたら1年後こうなりました。

現在8歳、日本の学齢で小学3年生にあたる長男が、週1回、土曜の午前中に通っていた日本語教室に行くのをやめたい、と宣言してから1年が経とうとしています。 理由は同じ時間帯にある地元のサッカークラブの練習に参加したいため。
あの時、私は軽く・・・というよりかなりショックでした。 このまま彼は日本語の読み書きを忘れてしまうのだろうか?と。
(このあたりの経緯をご存知ない方は下の三部作を先に読んで頂くと、スムーズです)
『Google翻訳イヤホンが投げかける答えのない問い』
『Google翻訳イヤホンが示す二極化する未来』
『キミたちはいつ日本人になるチャンスを失うのだろうか?』

ロンドンの日本語教室で国語の教科書を基に勉強を始めてからわずか2年弱、小学2年の3学期(今年の1月)に行くのを止めてしまった長男。 止めたタイミングと時を同じくして去年の年末年始に私たちは日本に一時帰国していました。 その一時帰国中に、彼が見事に、完全に、はまってしまった物があります。

それがこれ。
tetsuo1
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さあ黄金の10年がやってきた、何をしよう?

2組の親子の物語を始めよう。
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アラフォー、働き盛りのビジネスマンAには妻と子どもがいる。 大学ではエンジニアリングの学位を取ったが、25歳の時にMBA留学をし、その後は一環してコンサルティングファームで顧客企業の戦略立案や買収案件のビジネスDD(デューデリ)などを行ってきた。 インドネシア・キルギスタンからコンゴまで出張で訪れた国は数えきれない。 30歳で結婚してから10年間、彼の最大の悩みはキャリアと家庭の両立だった。 彼がキャリアの悩みを相談する相手はMBA同級生だった妻ではない。 妻は「家族を最優先にした上で、あなたがハッピーになれる仕事であれば何でもいい」という非常にざっくりしたガイダンスしか示さないので、あまり細かい相談はしないのだ。 ブラック上司にパワハラを受けた時の上手な会社の辞め方から転職時の給与・待遇の交渉まで、とりわけ人間関係を中心とした現実的な相談はいつも70歳になった父にする。 地球の裏側に住む父とは、唯一話せる時間帯、朝の通勤のわずかな時間を縫って、何もない時は月1回ほど、転職活動中など相談がある時は週3回ほど電話する。 時によっては妻よりたくさん話しているかもしれない。
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2017年も終わるというのに今年何を成し遂げただろう?と悩むママたちへ

2017年が終わる。

今年は9年ぶりに妊娠も授乳もしなかったのでお酒が飲めるようになった。
8年ぶりに家の中からオムツが消えた。
8年ぶりに家の中に赤ちゃんがいなくなった。

いつの間にか私のあごの下まで背が伸びた長男以下の3人(7歳、5歳、3歳)を見ながら、「キミたちは成長したけど、私は今年何をしたのだろうか?」と思う。

そんな時いつも思い出すのは、子ども3人が誰ひとりとして怪我をせずに1日を乗り切るだけで精一杯だった日々のこと。 子どもたちが5歳、3歳、1歳だった頃は3人3方向に走り始める子どもを交通事故に合わせないこと、が1日の最大にして最重要な目標だった(→『「最近の親」が誇るべき1つの事実』)。
幹線道路の真ん中に飛び出したり、バス停に入ってくるバスに触ろうとしたり、出発し始めた電車に触ろうとしたり、2階の窓枠に座ってオモチャの車を窓枠に沿って遊ばせていたり・・・「これは危険かも」という概念が一切なく危ないことを次から次へしでかした次男が5歳になり、ようやく「この子は私が一瞬目を離した隙に死んでしまうのではないか?」という絶え間ない恐怖からは少し開放された。 今のところ体に残るような傷は、今年夏に金属柱に激突した時につくった目の上の傷だけに留まっている。

同じように「私は今年何を成し遂げたのだろうか?」と思ってしまう時につぶやくと良い言葉がこれ。

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キミたちはいつ日本人になるチャンスを失うのだろうか?

辻仁成さんの「息子よ」で始まるツイートにはまっています(@TsujiHitonari)。 いつも美味しそうな手料理と共に息子さんへの愛がドーバー海峡の向こうから伝わってきて、「ああ、親業って大変だけど、どの親も精一杯に親やってるんだなー」とほっこりします。

(「残り物」のクオリティが高すぎ!)
少し前にYahooニュースでこの記事を読んで、思わず「やっぱり!」と叫びそうになりました。
AERA.net:「僕は正直言って帰りたいんです」パリ在住の辻仁成、本音がポロリ?
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「絶え間ない幸せの泉」と「自分の周り」

橘玲さんが『言ってはいけない 残酷すぎる真実』で取り上げていた本『子育ての大誤解〔新版〕上』『子育ての大誤解〔新版〕下』が気になったので原著『The Nurture Assumption: Why Children Turn Out the Way They Do』を読みました。 初めに書いておきますが、邦題の副題「重要なのは親じゃない」はミスリーディングです。 原著の副題「Why Children Turn Out the Way They Do」(どうして子どもはこういう人間になるのか)の方が良いニュアンスです。
1998年という、もう20年も前に書かれた原著の原題は、人間がどういう人間になるのかを決定すると考えられる2つの論派のうちのひとつ、Nature Assumption(遺伝がほぼ全てを決定するという考え方)に対するNurture Assumption(環境がほぼ全てを決定するという考え方)です。 ところが、当時のNurture Assumption派は「環境=親の育て方」の一辺倒だったのですが、これに対し、環境は親だけが与えるものではない、むしろ子どもが育つ同姓・同年代グループの影響が多大、というのがおおざっぱな骨子。 長いですが、興味深い箇所がたくさんありました。

その中で’Relationship’と’Groupness’という言葉が盛んに出てきました。 人間関係を考える上で非常にわかりやすいフレームワークなので今日は’Relationship’と’Groupness’の話です。 邦訳でどう訳されているのかわからないのですが、「関係性」と「集団性」と訳しておきます。
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「どこ」で「誰」と「どのように」生きるのか

最近、30代前半の女性とお話する機会がたて続けにありました。 いずれも日本企業からの駐在員、MBA社費派遣、米企業の日本法人社長などバリバリのキャリア女性たちです。 彼女たちの悩みは、海外キャリア・結婚・出産など・・・ 過去の自分を見ているようです。 この世代の悩みって変わらないものですね・・・

私にとって30代は激動の10年でした。 結婚→シンガポール移住→ロンドン移住→第一子誕生→キャリアチェンジ→第二子誕生→第三子誕生・・・と息つく暇もなかったような。
今年夏に末っ子が3歳になり、ふっと体中にぶら下げてていたダンベルが落ちたようにラクになりました。 なぜラクになったのかは別の記事として書くとして、東京でキャリアウーマンとして30代を迎えた私が、ロンドンで3児のママとデザイナー業をジャグリングしながら40代を迎えることになったのかまとめておきます。 あまり参考にはならないと思いますが(苦笑)。
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伝説のホテルオークラのデザイナーのお宅訪問記 – 2

Stephen Ryanという現代最高峰のインテリアデザイナー、1980年代にはあのホテルオークラの全客室をデザインしたトップデザイナーの西ロンドンにあるお宅の訪問記第2回です。 あまりテレビに出たり、自分の名前を冠したブランド品をつくったりするようなタイプのデザイナーではないので、日本では名前が知られていないと思います。 が、アンティークとアートの鑑識眼、異なる時代・地域のものを自由に組み合わせるセンス、考えに考え、練り抜かれた空間設計、何を取ってもレベルが高すぎて、私にはため息しか出ない、というよりため息すら出ないような空間です。
前回の続きなので、前回をご覧になってからどうぞ。


アンティークの木製彫刻のインパクトもすごいキッチンですが、ディテールに全く気を抜かないStephen。 これは廊下からキッチンへの観音開きのドア。 面材はおそらく合皮のヘビ皮。 ハンドルはアートとハンドルの中間のようなプロダクトで金属製。 住宅設計が基本的に全てオーダーメイドのイギリス(*1)にはドアノブ・ハンドル・ラッチ・ヒンジなどのパーツもひとつひとつ選びます。 例えばアートな部品の代表格Philip Watts、アートなドアノブがいっぱい。
*1・・・参照:『日英リノベーション業界比較』
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伝説のホテルオークラのデザイナーのお宅訪問記 – 1

今年もあっという間に幕を閉じたロンドン・デザイン・フェスティバル、ブログを通してご連絡頂いた方、日本から毎年この季節に渡英するデザイン系の方と懐かしい再会あり、新しい出会いありの楽しい期間でした。

今年のハイライトは、フェスティバルとは直接関係ありませんが、期間中に伝説のデザイナーのお宅を訪問する機会を得たことでしょう。 私も所属する英国インテリアデザイン協会(BIID = British Institute of Interior Design)の日本から来たメンバーのために、澤山乃莉子さんがアレンジしてくださいました。 こんな世界にも稀にみるレベルの私邸を訪れ、デザインしたご本人に案内してもらうなど、一生に何度もない機会です。 乃莉子さん、ありがとうございました!

その伝説のデザイナーとは・・・ Stephen Ryanという人でデザイナー歴30年以上、世界最高のプロ集団BIIDの中でもそのアートとアンティーク・建築・クラフトに関する知識と美的センスが群を抜いており、数々の賞の受賞歴・メディア掲載歴があります。 現在は西ロンドンでStephen Ryan Design & Decorationという自分のスタジオを経営しています(プロフィール写真はウェブサイトから拝借しました)。
Stephenは、イギリスやデザイン界では知らない人はいないDavid Hicksという稀代のインテリアデザイナーがまだ存命だった時代にDavid Hicksのスタジオでチーフデザイナーを務めており、1980年代にホテルオークラ東京、神戸、アムステルダムの一連のオークラ系列ホテルの客室をデザインしています。 オークラ東京の数百室ある客室は全客室、異なったデザインですべて彼がデザインしたそうです。

日本が大好きで「日本でまたたくさんプロジェクトをやりたい。 日本の皆さんになら見せていいよ」と写真撮影とブログ掲載の許可を頂いたので、ご紹介します。 写真は全て私かご一緒したBIID日本人メンバーが撮影したものですが、プロのフォトグラファーが撮影したものはこちらから見られます。
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ユニットバス・クッションフロア・蛍光灯からの脱却

昨日の続きです。

『「ハレ」と「ケ」の建築』と同じく、日本では建物の中でも「ハレ」の空間の美しさに比べ、「ケ」の空間がおざなりにされすぎではないか、というお話。

考えられる理由としては・・・

日本の家はプライベートな場所であり、よっぽど親しい人でないと家に招くことはない。 ホテルやレストランなどの内装が美しいのは空間を含めた体験を売っているので当たり前だが、家の中はプライベートな場所なので見栄えを気にする必要はない。 一方、イギリスでは家は社交の場で、気軽に人を招くので、他人の見た目を気にする必要がある。

もっともらしく聞こえるのですが、判断の軸は「他人」で良いのか?と思います。

Garbage In Garbage Out(ゴミばかり入れているとゴミばかり出てくる)

という言葉がある通り、醜悪なものしか見ないと美しいと感じる感性すら鈍ってしまいますし、そもそも自分の目に入るすべての景色、起きている時間の何割かを過ごす家の中の景色を景色(View)としては見ておらず、空間がそこに住む人に与える感覚を五感を使って感じられなくなっているのではないかと思います。

アレックス・カー氏の『ニッポン景観論』にこういう画像が載ってますが(*1)、まさにこれのインテリア版。


バチカンのサン・ピエトロ広場(現状)©Alex Kerr

バチカンのサン・ピエトロ広場(改善)
大型駐車場ができたことによって、実に便利になりました。アスファルトは危険ですから、ご注意ください。 ©Alex Kerr
*1・・・写真とキャプションは”日経ビジネスオンライン:『この景色は「嫌だ」と思うことが大切です』より引用。

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