「女はクリスマスケーキ」説をマーケティング的に斬る – 1

『人生の駒がどんどん決まる幸せ』を読んだあるブログ読者の方(24歳女性、Sさんとします)からメールを頂きました。

日本を含めたアジア圏と北米に住んだことがあり、欧米の大学を卒業。 就職活動のため帰国し、某外資系金融機関から内定をもらった。 しかし、内定先の上司は東京オフィスではなく、某アジアの国のオフィスを勧めている(東京から仕事が移っているため)。 上司はさらにアジア内での都市の異動も考えているようだ。
が、すでに今まで複数の都市に住んでおり、これからも移り住むとなると一つの場所で継続的な人間関係を築くことができない、ましてや恋愛できない。 人生の先が見えない。この先どの国にいるのか分らず、根なし草感を感じる。

今回、帰国した際に周囲の人から
「独身女性としての魅力は26歳前後でピークに達しその後ゆるやかに下がっていく。 26歳前後にめぼしい相手をみつけ、数年間付き合い、30歳前に結婚するべし」
「人生経験、仕事、内面の魅力などもあるが、男性は年齢を重要視するのが現実」
「結婚したいなら海外よりも、日本にいるべし」
と言われた。

このようなライフスタイルをしてていいのだろうか? 結婚するため、内定を断って何が何でも東京に残るべきだろうか?

まさに今流行りのグローバル人材! 私がいろいろな国を転々とする生活を始めたのは就職してからですが(→『Home Sweet Home』)、彼女は就職前にすでに根なし草感を抱いてるんですね。

メールの本題は前半なのですが、後半(「女はクリスマスケーキ」説)に私も昔同じようなこと言われたなーと思い出しました(→『ロングテールな人たち』)。

なので今日は後半の26歳ピーク説をマーケティング的に分析。

まず、どんな質問・相談でもそうですが、相手が当事者(経験者)・専門家マトリックス(→『当事者性と専門性 – 1』)のどこに入るのか確認しましょう。
人間は自分の行動を正当化するのが常なので、素人の経験者に聞くと自分(や周囲)の経験からのみ語ります。
そこで専門家(例えば婚活ビジネスの人など)に聞こうとするのですが、彼らは何千人と接しており、データで捉えているので、全体の傾向を語ります。 また、データを得るために「何歳が希望ですか?」と数字に落としこもうとします(例えば、国立社会保障・人口問題研究所の第14回出生動向基本調査によると希望する結婚年齢は男性30.4歳、女性28.4歳だそう)。 実際には多くの人が「○○歳くらいがいいと思うけど、実際すごく魅力的な人がいたら上下5歳くらい幅があってもいい」など曖昧な気持ちであるにも関わらず、データは曖昧さを許しません、

マーケティング的に斬るとはいえ、結婚相手を見つけるのとシャンプーを売るのと最も違う点はP&Gは何百万個もシャンプーを売らなければならないのに対し、結婚相手は1人見つかればいいところ、同時に2人見つかったら困るのです。 また、誰でもいいから売れればいいわけではなく自分に合った相手を見つける必要があります。 だからマスを対象に全体を捉えて語る専門家は半分くらい参考にする程度でいいのかも(『統計を参考に個人のキャリアを決めてはいけない』とも似ている)。

2回シリーズになる予定は全くなかったのですが、長くなってしまったので一旦切ります。


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