Home Sweet Home

私の昔のハウスメイト(男)がシンガポール内で引っ越したので、新しいコンドミニアムに遊びに行ってきました。
世界的に不動産価格が下落していますが、シンガポールの家賃相場は去年の夏がピーク(去年の6月には『1年で家賃相場45%上昇』というエントリーを書いています)。 シンガポール人の80%以上がHDBと呼ばれる公団に住んでいるため、民間アパート・コンドミニアムは外国人と(HDBに住みたくない)リッチなシンガポール人が対象。 マーケットが小さいので、非常にvolatileなのです。
リーマンショック後、数ヶ月経ってからシンガポールの賃貸市場も本格的に下落し始めたという噂は聞いていましたが、何と友人が引っ越した新しいコンド(新築、2ベッドルーム + 2バスルーム + 書斎)は大家さんの言い値が月額家賃S$5,000(約33万円)、それを値切り倒してS$3,800(約25万円)で契約したのだそう。 こちらでは家賃の値引き交渉は当たり前とはいえ、24%ディスカウントって初めの言い値がなめてないか?
tintin.jpgそれはさておき、引っ越しの際、週末同棲状態のガールフレンドに、「(小学生の頃から大事にしている)絵本etc.を捨てたら?」と言われ、ひと悶着あったそう。 たしかに本棚まるまる1段“TinTin”シリーズだったので、そう言いたくなる彼女の気持ちもわかる気がする。


彼の言い分は次の通り。

ボクは過去15年間振り返ると、2年ごとに引っ越ししてきた。 ショールームのようなアパートからアパートに移り住み(注)、どんなにキレイでピカピカなところでも愛着なんて感じない。 ”TinTin”はボクが15年間、唯一持ち続けているもの、変わらないものであり、家の中で唯一見ると”Home”を感じるものなんだ。
注:彼はヨーロッパ出身。 ヨーロッパでもシンガポールでも家具付き(furnished)アパートが標準なので、「ショールームみたい」という表現になる。

2年ごとに住む国を変え転々とするのがむなしくなる気持ち。 よーーーーく、よくわかります。 私もつい最近までそうだったから(しかも私の場合、トロントやモスクワなど自分の都合ではなく会社都合も多かった)。
一見、華やかに見えても、いつも何だか落ち着かなくて、常に仮住まい、仮の人間関係、仮の自分みたいで安心できないんだよね。 わかるなー・・・
そのくせいろいろな場所に住んで世界を肌で感じるのはやっぱりエキサイティングで動き回るのが止められなかったりする矛盾した自分。
INSEADの同級生は大半が出身国に住んでおらず、この根なし草感は共通した感覚ですが(→『国に帰るのは誰? 海外に出るのは誰?』)、30を過ぎるとさすがに”settle down”する人も多くなってきました。 ”settle down”の定義もマチマチだし”settle down”しない人も相変わらずたくさんいるけど。
ところで、彼の”TinTin”にあたるものが私にはあるのか家の中を見渡してみたけれど、見つかりませんでした。 引っ越しが多かったので、いつの間にか「捨て魔」になってしまっていたらしい。 基本的に3年くらい使ってないものはすべて捨てるか売ります。
ずっと大事にするものといえば写真アルバムくらいしか思いつかないけど、それすらデジカメ以前のフィルム写真は全部実家に置きっぱなしだし。
私にとって”Home”はモノではないようです。
「彼女は”Home”にはならないの? もう”TinTin”がいらなくなるよー」という言葉が口の先まで出かかったけれど飲み込みました。
前に「プレッシャーかけないで」って言われたんだった(笑)。
人は、どういう状態・場所を”Home”と感じるんでしょうねー?


6 responses to “Home Sweet Home

  • Masa

    あー解る気がします。僕も6歳の頃に買ってもらった桃太郎の人形をベットサイドに飾ってます。日本を出国するときに出国口の荷物検査でこの人形を調べられ恥ずかしい思いをしたり、部屋に来た彼女に不審な目を向けられても、それでも捨てる気にはなりません。
    実家を出て、東京、名古屋、シンガポールと引越しをしても、差し迫って必要としない物で持ち運んでいるのはこの人形だけかも・・・!?
    たまに目を向けると小さい頃の自分と小さい頃からの夢を思い出しがんばろうと独り言をつぶやく自分がいます。(←危ない?!、でも止めれません)

  • la dolce vita

    >Masaさん
    >僕も6歳の頃に買ってもらった桃太郎の人形をベットサイドに飾ってます。
    桃太郎の人形・・・なんか端午の節句の人形みたいなすごいリアルなものを想像してしまうんですが。 しかも出国時の荷物検査って機内持ち込み・・・? 預け入れでなくて?
    >たまに目を向けると小さい頃の自分と小さい頃からの夢を思い出しがんばろうと独り言をつぶやく自分がいます。
    やっぱりそういう効果があるんですねー、全然ないな、そういうの、私。

  • マリカ

    私も引っ越しを繰り返してきたので、あまりとってあるものがないですねー。今部屋の中を見渡してみましたが、これって物が見当たらない…。私にとってもモノではないようです。
    今はまだ実家で暮らしているので、家族と一緒に暮らす今の家が”Home”なのですが、独立してまた引っ越して…と考えると何になるんでしょう。
    あ、後”故郷”と言える場所もないです。生まれ育った家やずっと通った学校、小・中・高と一緒の幼馴染なんて存在しないので…そういうのがあればそこが”Home”なのかとも思いましたが、そうなると私を支えるモノがなくなってしまいますし(笑)
    しかも写真もほとんどないのです(写真嫌いでカメラを睨みつける子供だったせいで、親もカメラをあまり向けなくなった…)。こちらでご紹介頂いた『3週間続ければ一生が変わる』を読んで以来、惜しい事してきてしまったのだな~と思っています。
    ”Home”…今の私にとっては自分を受け入れてくれる”場所”ですが、これってあまり過去を振り返らないからかもしれません。何かを見て、あのころの気持ちを思い出してさあ頑張ろう、とはならないんです。

  • la dolce vita

    >マリカさん
    >家族と一緒に暮らす今の家が”Home”なのですが、独立してまた引っ越して…と考えると何になるんでしょう。
    ご家族が”Home”なんでしょうねー、私もそうですよー
    >小・中・高と一緒の幼馴染なんて存在しないので…
    私も同じ! ずっと一緒だった人は存在せずに「中学の友達」、「高校の友達」、「大学の友達」と全部切れてます。
    >これってあまり過去を振り返らないからかもしれません。何かを見て、あのころの気持ちを思い出してさあ頑張ろう、とはならないんです。
    ほほほ、これも一緒。 「あの頃の気持ち」とか思い出すものがない、「あの頃はダメダメだったねー」ってのはたくさんあるけど(笑)。

  • kaori

    むかしお部屋にあった、あの白い(でもグレーっぽくなってた)犬だかクマはもうとっくにいないの?あれを見て、(意外に)カワイイなと思ってたんだけど。

  • la dolce vita

    >kaoriん
    >むかしお部屋にあった、あの白い(でもグレーっぽくなってた)犬だかクマはもうとっくにいないの?
    Shirleyね! あれは犬です(種類わかんないけど)。
    それが他のぬいぐるみは捨ててもShirleyだけはたしかシンガポールに持ってきた記憶があるんだけど、部屋にいないのよ!!! なんでだろう? 構ってあげなくなったからどっか隠れちゃったのかな?(←バカ)
    >あれを見て、(意外に)カワイイなと思ってたんだけど。
    ほほほ。 Shirleyはそういや昔の私(といっても結構最近)を支えてくれてた。 うーん、どこへ行ったんだ???

Leave a Reply

Fill in your details below or click an icon to log in:

WordPress.com Logo

You are commenting using your WordPress.com account. Log Out /  Change )

Facebook photo

You are commenting using your Facebook account. Log Out /  Change )

Connecting to %s

%d bloggers like this: