一昨日のブログに、コメント欄やTwitterなどでお返事くださった方、ありがとうございます。 「今まで一番影響を受けた記事」をシェアしてくれる人がいて心の中で泣いています(号泣)。 刺さる記事って、ひとりひとり違うものなんですねー
個人的に刺さった記事を何らかの方法でフィードバックしてもらえたら、最後の記事にまとめますので、どしどしお寄せください。
さて、外部環境の変化に続いて、私の中での変化についてです。
2) 私自身の内的な変化
ブログなどの形でアウトプットしている人、特に本業と関係ない内容をアウトプットしている人はいろいろな目的があると思います。 私はもともと「自分に習慣を義務付ける」という非常に私的で内向的な目的で始めました(独身の頃、料理レパートリーを増やすためにレシピブログをやっていたこともあります、笑)。
タイトルに「世界級」と入れたのは、それまで書いていたブログは住む場所が変わるたびに(フランス→ロシア→日本)タイトルを変えなければいけず、将来どこに住むか白紙状態だった結婚当時の私たちがどこに住んでもブログを続けられるように、というCatch all的な便宜上の意味があります。 「とりあえず一緒に住まないと始まらない」と思っていたので、当時、夫が住んでいたシンガポールに私が居を移しましたが、その後で自分たちに合う場所を探すつもりだったからです。
私と夫はMBA同窓生なので、友人が多く住んでいるロンドンに「とりあえず5年住んでみよう」と引っ越し。 すぐ長男が生まれて、キャリアチェンジをして、続けて次男と長女が生まれ、自分のビジネスを立ち上げて・・・
必死でもがいている間に「とりあえず5年」のロンドンは今年で10年目。 3人の子どもたちは上から順に今年で9歳、7歳、5歳になります。 気がつくと「好きな場所で好きな人と好きな仕事をして暮らす」という、ブログを立ち上げた当初、私が目標としていたことが全て叶っていたことに気がつきました。
12年前、夫と結婚が決まった時、もちろん子供が生まれる前に私が目標とする「理想の1日」をゼロベースで書き出しました。 6年前の『理想の1日』という記事に書いていますが、再度引用します。
6:00 起床。 朝日を浴びながらジョギングをする。
7:00 シャワーを浴びた後、家族全員で朝食。
8:00 夫と子どもたちをそれぞれ仕事と学校へ送り出す。
8:30 家で仕事開始、生産性が高い朝のまとまった時間にできる仕事を一気にこなす。
12:30 家で昼食、たまに外でクライアントや仕事関係者とランチミーティング。
13:30 午後、外出が必要な用事をまとめて片付ける。 外出がない日は家で引き続き仕事。 子どもたちが学校から帰ってきたらおやつ、再び友人宅やクラブ・習い事などに送り出す。
18:00 子どもたちと今日1日の話をしながら夕食の準備。
19:00 夫が帰宅。 家族全員で夕食。 夕食後は後片付けをしたり、子どもの就寝の準備。
21:30 お風呂に入る。
22:30 就寝。
細かいところは違います。 「朝日を浴びてランニング」してないし、「子どもたちが学校から帰ってきたらおやつ、再び友人宅やクラブ・習い事に送り出す」もできません。 イギリスでは10歳まで大人が子どもに常に付き添っていなければいけないので、日本のように小学生を「友達の家に送り出したり」できないのです(ああ、面倒!!!)。
細かいところは違いますが、全体の感じはかなり近いです。
このブログのトップ写真はブログ初期の頃に「いつかこんな生活できたらいいなー」と自分を鼓舞するために選んだ市販のストックフォトです(私の家族だと思っていた方もいるようですが、私はこんなにグラマラスではありません!)。
そして、今がこれ。 海のそばで暮らすことは叶っていませんが、川のそばで暮らしています。
「好きな場所で好きな人と好きな仕事をして暮らす」ことが叶ってしまった現在の生活が全て薔薇色なわけではありません。 子どもたちは家にいる時間の半分は兄弟喧嘩しているし、学校に呼び出されるほどの問題を起こすこともあります。 仕事面はまだまだ圧倒的に道の途上です。 でも、「ものすごくラクになったなー」と感じるようになったここ数年、大きな変化がありました。 「自分の好きなこと」、「自分の好きな人」、「自分の好きな仕事」・・・私が目標としていたことは起点が全部「自分」だったのです。 ところが、叶った途端に自分が起点になることに全く関心がなくなりました。
9年前、長男が生まれました。 自力では何もできない新生児が、私のあごの下まで背が伸び、ユーモアと責任感に溢れた立派な男の子に成長したのを9年間、1日も欠かさず側で見ていると、40を過ぎた自分の成長なんてちっぽけなものです。 毎日、目の前の子育てに必死だと「自分は成長してるかな?」と考える気すら起きません。 「自分の成長」とか本当にどうでもよくなります。 必死で日々起きることと格闘した結果、すくすくと育っていく子どもたちの成長をみるのが何よりの喜びになるからです。
仕事に対する態度でも変化がありました。 世界的に有名な日本人の建築家は多く名前があがりますが、日本人のインテリアデザイナーはほとんどいません。 商業デザインでは少数の方がいますが、住宅デザインとなると皆無です。 私は当初、これが気になっていました。 住宅デザインというのは、クライアントの日々の生活の細部まで探り、最適なデザインを提案する仕事です。 「朝、シャワーを浴びるのは誰か。 旦那さんと奥さんの起きる時間は一緒か。 片方がシャワーを浴びている間に、音や光でもうひとりを起こしてしまわないか」など、非常にプライベートな領域まで踏み込みます。 日本人のデザイナーにそんなプライベートなことを相談してくれるのだろうか? やっぱりどうしても心理的バリアが働くのではないだろうか? だから世界的なデザイナーがいないんじゃないだろうか?・・・
当初の私の心配は、結局のところ自分のコンプレックスの裏返しだったのです(*1)。 去年くらいからクライアントが100%非日本人になりました。 そしてクライアントがプロジェクトの結果を本当に喜んでくれました。 私にとっては「仕事」でもクライアントにとっては「自分の人生のバックグラウンドとなる我が家」なのです。 そんな大事なものを私を信頼して任せてくれ、本当に喜んでくれるクライアントを見ていると、「日本人として」、「自分のビジネスの成功」・・・など全く意味のない悩みに思えるようになりました。 コンプレックスも気づかないうちにすーっと消えてなくなっていました。
*1・・・コンプレックスの話はこちらやこちらに書いています。
自分に意識がいかなくなると、本当にラクになります。 人間ができていない私は「衣食足りて礼節を知る」状態、自分が満ちて初めて自意識過剰がなくなりましたが、幸せになりたい人は自分から意識を逸らす何かを見つけることをおススメします。
結局のところ、このブログは11年前の「満ち足りていない自分」が機動力でした。 このブログで有名になろう、経済的対価を得よう、という動機はありませんでした。 「まだ国内級で消耗してるの?」と煽ったり憧れさせたり、という目的もありませんでした。 そして、自分が満ち足りると、ブログの目的も終了したのです(ずっと読んで頂いていた方、すみません・・・)。 自分に合ったライフスタイルを個人・個人が見つければいいから、それが国内にある人は国内にいればいいし、国外にある人は好きな場所へ行けばいい。 自分に関心がなくなった私にとっては、自分の大事な家族や大事なクライアントを幸せにすることがミッションになり、このブログで当初熱心に書いていたようなトピックでシェアできることは私の中になくなりました。
この『終わり方』シリーズ、すごく長くなっていますが、次回で最後です(たぶん)!
March 24th, 2019 at 1:35 am
こんばんは。
突然の長いメッセージ、失礼します。
私は、長久華織と申します。
いつも楽しみにしていた、世界級ライフスタイル、
終わってしまうとのことで、お礼を言わせてください。
クローデンさんのブログには、何度も救われ、励まされ、勇気をいただきました。
感謝しています。本当にありがとうございます。
私は、2014年にクローデンさんのブログを見つけました。
今でもはっきり覚えています。
当時私は、東京の専門学校を卒業後スイスの大学に編入していました。
自分への劣等感から、人生に悩む毎日でした。
そんな時、
『統計を参考に個人のキャリアを決めてはいけない』
『キャリアアドバイスになってないアドバイス』
この2つを拝読して、涙が止まりませんでした。
今まで読んだブログの中で、最も理論的かつ包括的で、どんな本よりもこのブログが一番すごい!と思っていました。
そこから隠れたファンになり、
少しずつ、過去のエントリーも拝読するようになりました。
なんて優秀な人なんだろう、と心底尊敬しました。
すっかり鼓舞された私は在学中シドニーでインターンをし、大学卒業後は東京に戻り、仕事を始めました。
自分のために、自分がしたいことを、一生懸命頑張る日々でした。
丸2年間働いた後退職して、今はエディンバラのビジネススクールに通っています。
実は、『終わり方』2に書かれていたコンプレックスについて、同じように感じることがありました。
私自身、相当な劣等感やコンプレックスを抱えて生きてきましたが、
大学院に入ってしばらくして、それが消えて心が軽くなったのです。
と同時に、非常に自分の事で精一杯で、それが為に人のことも突っぱねてしまっていた(!)自己中心的な性格が和らぎました。
ある時、クラスメートが泣いて悲しんでいるのを、横で肩を抱きながら落ち着くまでただ一緒にいました。
その子の悲しみが少しでもおさまるのなら、一緒にいたい、と心から思いました。
些細なことかもしれませんが、今までの自分では考えられない行動だったので、正直驚きました。
私も、結局自分に満ち足りたんだと、解釈しました。初めて、人のために自分ができることをしたいと思った瞬間でした。
クローデンさんのブログを通して、私も精神的に成長することができました。
本当に本当にありがとうございます。
最後に、私は3人兄弟で育ちましたが、3児の母は相当大変だと思います。
どうぞお身体にはお気をつけて。益々のご多幸を祈念しております。
長久華織
March 25th, 2019 at 9:44 am
華織さん
メッセージありがとうございます。 それはブログを通して成長したのではなく、自らの経験で成長したんですよ。 人間は経験でしか成長できないと思います。
私のブログがその後押しをできたならとても嬉しいです。
エディンバラは去年家族で行きました。 「もう少し天気が良ければ住んでみたい」と思えるほど美しい活気ある都市でした。 今後も彩り豊かな経験をたくさんされることをお祈りしています。
March 24th, 2019 at 1:53 pm
初めてコメントさせて頂くのですが、ずっとブログを拝読しておりました。今までありがとうございました!
5年程前、自分が将来的にどういう状態になっていたいか?と考えていた時にたどり着いたのがyokoさんのブログでした。国籍にとらわれず、人生の時々で自分に最適と思える環境に身を置けるようになりたい、それができる能力を身につけたい、というようなことを考えていた(今もです)のですが、抽象的かつ夢見がちと言われがちなビジョンでもあるので、yokoさんのブログにいつも励まされ、また多くのことを学ばさせて頂きました。
どのエントリーからも、考えを触発されたり、あるいは女性ならではのもやもやを抱えた部分に刺さるようなアドバイスを頂いたりで、何回も読み直させて頂いたエントリーも多々あります。
諸々考えた結果、わたしは現在、ご卒業されたINSEADを第一志望で受験しようとしているのですが、Yokoさんのブログからインスパイアされたことも少なからず影響していると思います。そう思うと一方的にブログを拝読させて頂いていただけではありますが、これまでブログ上でyokoさんのお考えや視点をシェアし続けて下さり、ありがとうございました。
今回が最初で最後のコメントになってしまったのですが、ひと言お礼をお伝えしたくて、コメントさせて頂きました。
これからもインテリアデザインの分野でご活躍されることと思います。Instagramもフォローさせて頂きますので、今後も引き続き素敵なインテリアデザインを拝見するのを楽しみにしております。
今まで本当にありがとうございました!
March 25th, 2019 at 11:15 am
ありがとうございます、嬉しいです。
INSEADのことしか知らないので比較はできませんが、INSEAD楽しいですよ。 頑張ってください。
March 25th, 2019 at 3:18 am
はじめてコメントします。
レシピブログの頃からずっとフィード登録してました。
yokoさんは私とは全くキャリアが違って高嶺の花のような存在でしたが、自分とは違う世界で生きている方のブログを読むのは勉強になりとても楽しかったです。
結婚した直後に夫の仕事でアメリカに行ったのですが(駐妻ではありません)『「幸せな結婚」はない、「結婚を幸せに」しよう』『駐妻・現地妻の憂鬱』を読んで感銘を受けたのを覚えています。その後日本に帰国し、また再来月から夫の仕事でオーストラリアに行くことになるのですが、たまにこちらのブログを(おばんざいレシピもたまに見てます^^)読み返したいと思います。
長い間楽しませていただいてありがとうございました!
March 25th, 2019 at 11:18 am
長い間ありがとうございます。
現地生活を楽しくするのもしないのも自分次第ですよね。 オーストラリア、いいですね。楽しんでください!
March 25th, 2019 at 6:36 am
長い間興味深いトピックを次々と楽しませていただき、ありがとうございました。
シアトル在住の読者です。ちょうど亭主にシンガポールから度々Corporate Financeの出張講義のお声がかかり、一緒に何度か旅行する折があったことから読み出しました。それを追うようにして、そもそも一体自分の欲するキャリアとは?結婚生活且つ親子生活との折り合いは?日本語、日本文化の重み等の大きな話題が続々と登場し、「おー、やっとるわい」と陰ながら手に汗握って応援しておりました。まずは当面の一段落、ブログの完了おめでとうございます。これからのご活躍を祈っています。
March 25th, 2019 at 12:56 pm
Tyger tygerさん
お久しぶりです。 長い間、ありがとうございます。
Tyger tygerさんの視野の広いコメントに勉強させて頂きました(Amy Randはまだ読んでませんが・・・) また他の場所に書く予定をしていますので、今後ともよろしくお願いします。
March 25th, 2019 at 12:56 pm
はじめてコメントさせていただきます。
バリキャリ系キャリアの参考として新入社員の頃から読ませていただいておりましたが、その後自身の留学・結婚・出産を経て、育児系の記事にも深く共感したり、いつも楽しく読ませていただきました。
新しく更新された記事を読むだけでなく、人生で大事な判断するときに、過去の記事を読み返してきました。
希望の仕事につけなくて葛藤したときや、転勤族の夫との結婚と自分のキャリアで悩んだとき、大きなプロジェクトの途中で妊娠が分かったときも、気付けばこのブログにアクセスしておりました。
時に自分を鼓舞してくれたり、同じ悩みを共感したり、新たな視点を与えてくれたりと、私にとっては(勝手ながら)メンターの一人のような存在でした。
本当にありがとうございました。
理想の一日についての記事を読んだ日、私も手帳に理想の一日を書き出しておりました。
まだ実現率60%程度と途上ですが、少しずつ近づいている手応えを漸く感じ始めました。
このブログは、残されるのでしょうか。
また悩んだときに読み返せると嬉しいなと思っています。
ますますのご活躍をお祈りしております。
March 26th, 2019 at 9:18 am
長い間ありがとうございます。
ブログはこのまま残しておきます。
「すばらしい人生とは美しい真珠のネックレスのように満足して送れた日々の連続」という言葉が好きなのですが、イベントフルではない平凡な日々をいかに幸せに送れるか、だと思っています。
March 25th, 2019 at 2:05 pm
初めてコメント致します。
私は東京でOLをしております。
どうぞ長文かつ拙文をお許しください。
あぁ、大好きなブログが終わってしまう…
寂しい気持ちで一杯です。
私の世界級…のブログとの出会いは、前社から丁度、
外資への転職を考え始めた頃でした。
出会った日にブログを一気読み。
まるで初めてSATCを見た時と同じくらい!
衝撃的な出会いでした。出会えて本当に良かったです。
私の好きな記事は…
☆伊藤詩織さんと全ての声をあげた人たちへ
☆働く女が産んでいる。
☆35歳までに産みたい30歳前後のキャリア女性に
☆親切で優しい成功哲学
☆働くママ応援CMに全く共感できなかった件
☆Google翻訳イヤホンが投げかける答えのない問い
☆iPhone中毒症
他にも数え切れないほど、勇気をもらう記事が
このブログには詰まっているし、勝手ながら
このブログを読んでた当時の自分を思い出す度に
どの記事も懐かしくて仕方ありません。
あぁいつか会えたら嬉しいなぁ、なんて思ったり
胸を張って会える日が来るまで自分も頑張ろう!
と読むたびに思いを馳せておりました。
ブログ、残しておいて下さいますと幸いです。
人助けだと思って、、、是非!!!
今後のご活躍とご多幸を心からお祈り申し上げます。
お忙しいかと思いますが何卒ご自愛くださいませ。
March 26th, 2019 at 9:31 am
ありがとうございます。
SATCに笑ってしまいました。 私もSATCは全部見ました(笑)。
今回たくさんコメントを頂いて、長くやってると、ブログで私が成長する(というより、年を取る)のと同じスピードで読者も年を重ねたのだなー、としみじみ感じました。
私もブログを書いていた当時の自分を思い出します。 またどこかに書きますので、楽しみにしていてください♪
April 1st, 2019 at 6:39 am
クローデン葉子さんのブログ『世界級ライフスタイルのつくり方』が終わってしまう.外国暮らしに憧れた頃から(東京暮らしを始めてパソコンを見る時間ができた頃から?)よく読ませていただきました.葉子さんの生き方は,憧れでもあり,母親になったら共通点も増えるなぁと思い安心したり.いろいろな面で「読みたい」と思わせてくれるブログでした.
読めなくなって残念だと思うけど,随分長い間更新されてなかったから,終わるような予感もしていた.きちんと最後にブログを終了する理由まで書くのも葉子さんらしい.この『世界級〜のつくり方』の終わり方 – 2が一番心に残りました.
今は悲しいというよりは,飛び立って行った鳥の先行きを幸あれと祈るような気持ちでいっぱいです.
ありがとうございました.
April 4th, 2019 at 8:25 pm
長い間、本当にありがとうございます。
ひとまずブログという形では終わりますが、某メディアに寄稿する予定がありますので、またそちらをよろしくお願いします。