先日ある日本の雑誌の取材を受けたのですが、その中でこんな質問がありました。
日本とイギリスの「インテリア」についての意識の差はどのように感じますか?
紙面の制限もあり、言いたいことが伝えきれなかったので今回は掘り下げてみたいと思います。
ここで話題となっているのは一般の人の家の中ですが、最近、頻繁に利用しているAirbnb、世界中の普通の人の家からインスピレーションを得るのにも使えるのです。 そこで、東京とロンドンで一般の人(ゲストハウスやシェアハウスではなく)が掲載しているAirbnb物件でおうちの中を見てみましょう。
まず、期待に胸をふくらませて東京。 素敵なインテリアを見るのが目的なので検索条件で価格を1泊3万円以上にして探してみましたが・・・
インテリア的に「はっ!」と心が踊るような家が全く見つかりません・・・(Airbnbに載せてらっしゃる方、すみません) 内装の業者は一社独占?と疑いたくなるほど全部同じに見えます。 「あっ、素敵!」と思ったらWIRED HOTELだったり・・・ まあ一般の人は自分の家に他人(よりによって外人!)を泊めたくない、という事情はあるのかと思いますが。 ひとつ他と違って際立っていたのは表参道のコンクリート打ちっぱなしのこのお宅(Tokyo Artist Loft in Omotesando)。
ホストは映画製作が本業で東京とブルックリンの二拠点生活、建築家のご友人とつくった家だそう。
次にロンドン。 ロンドンは年間90日以下であれば家を短期貸しすることが合法となったこともあり、実に多くの物件が掲載されています。 不動産が高いので1泊3万円以上もざくざく。 インテリア雑誌にそのまま載せても通用するような美しい家がたくさん出てきます。 もはやインテリア雑誌に出てくるような家は写真で見てうっとり憧れるだけではなく気軽に泊まれる時代。 いろいろ探してみました。
一軒目はオシャレなイーストロンドンのShoreditchにあるこの家(The Shoreditch Courtyard)。 イーストロンドンに多い古い倉庫をリノベーションしたおうち。 リビング以外の部屋もすごく個性的でおしゃれ。
こちらもイーストロンドンのHackneyのアパート(NYC-Style Loft with Four Duplex Apartments)。 何なんでしょう、このそのまま雑誌に載せられそうな、こなれ感。
サウスロンドンに移って、私が昔住んでたClaphamにあるお宅(Stylish Clapham Common Home)。 流行りのダーク・インテリアで暖炉の上のマントルも両脇の本棚もきちんと小物でスタイリングされています。
なるべく、セントラルのプレミアム物件ではなく(不動産価格5億円以上が普通なので)、一般の人のおうちを選んでみましたが、素敵な家が多くて選ぶのに困るほど。
Airbnb掲載物件だけで比較するのは強引かもしれませんが、常に家の中を人に見せることを意識しているし慣れている、普通の人が美しい家に住んでいる、確率が圧倒的に高いのはイギリスだと思います。
誤解のないように、ですが、日本のインテリアもホテルやレストラン、商業施設など「ハレ」の空間は本当に美しくレベルが高い空間が沢山あるのです。 話題にしているのは、日常の空間、「ケ」の空間のことです。
・・・とここまで書いて思い出したのは、『「ハレ」と「ケ」の建築』シリーズで書いた
外国人が日本と聞いてイメージする日本の景観の美しさ(京都の伏見稲荷の鳥居、嵯峨野の竹林の道、桂離宮や龍安寺の石庭など)と普通の街並み(建物に統一感がなく隙間なく電線が張り巡らされ、ケバケバしい巨大看板やネオンで溢れる)の間にギャップがありすぎる。
のと、全く同じことが家の中でも起こっているのではないかと。
「ケ」のデザインに気を使わなさすぎではないか、と思います。
長くなったので、次回に続きます。
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