「最近の親」が誇るべき1つの事実

最近また「スマホ子守りが発育をゆがめる」という「啓発」的なニュースを読みました(→『子どもが騒ぐと肩身が狭く…゛スマホ子守”3歳児の3割 「発育ゆがめる」懸念も 福岡のNPO調査』)。 子供のスマートフォン使用の是非については、こちらでもよくニュースになりますが、「最近の親はあやし方がわからない」的な論調ってイギリスではあまり見かけないですねー、なぜなんでしょう? 私には「最近の若者は○○」(○○には「草食系」とか「内向き」とか流行りの言葉をどうぞ)と同類の年寄りの僻にしか聞こえませんが・・・

だいたいこういう人たちは「昔は親が畑仕事で忙しかったので兄妹が子守りをし近所の人も気軽に預かってくれた。 スマホなんかなかったし、みんな赤ん坊のあやし方くらい知っていた」とか言うんですが、年端のいかない子どもや好意・善意だけで預かってくれる近所の人に安心して大事な命を預けられますかねー? 預ける子の年齢によると思いますが。

そこで私たち「最近の親」が「昔の親」と比べて誇るべきひとつの事実です。

jikoritsu
1950 – 2010年の不慮の死亡事故の発生率推移です(こちらのサイトからお借りしました)。 人口10万人あたりの発生率なので出生数の減少は無関係です。 0 – 4歳が赤線、5 – 9歳が青線ですが、めちゃくちゃ減ってますよね。 この減少原因は、以前なら致命的だった怪我が医療の発展で治癒可能となったという現代医療の功績や、家から土間がなくなった、家電や車にチャイルドセーフティー機能がつくようになったなど環境・機能の改善も多いと思うのですが、それ以上に多産多死の時代から少産少子の時代になって親の目がひとりひとりの子どもに行き届くようになった、子どもの事故に関して知識が行き渡り日々の生活で注意するようになった、ことが大きいのではないかと思います。 保育所に通う子どもが増え、子どもの安全に関するトレーニングを受けて知識と経験を持った保育士さんがしっかり見守ってくれていることも大きいのかもしれません。

乳幼児を持つ人なら誰でも知っていることですが、0歳児を除く子どもの死亡原因の第一位は「不慮の事故」です。 不慮の事故の内訳(1 – 4歳児)は、1.交通事故、2.窒息、3.転落です(『消費者庁「子どもを事故から守る!プロジェクト」』より)。
たいてい「子どもから目を離さないこと」とか書いてあるのですが、親だって人間なので、トイレだって行くし歯も磨かなきゃいけません。 我が家のように「歩いて走れる未就学年齢児」が3人いると本当に悲惨です。 私ひとりで3人連れて外出する時は(注)大げさでなく命懸けです。 目標は「目標地点まで事故に遭うことなくたどり着くこと」。
注:というシチュエーションはそもそもほとんどありません、保育園と学校の送迎だけです。 そうでないと私の神経がもちません。
『3人育児は2人育児よりめちゃくちゃ大変だった話』では当時2歳半だった次男がベビーカーに乗らず歩きたがって困る、という話を書きましたが、今は1歳半の長女がベビーカーに乗らず歩きたがって困っています。 「ベビーカーに乗らずに歩きたいなんて1年早いわ!」と言いたいところですが、本人はそう思っていないようです。 イナバウワーのようにのけぞってベビーカーの中で嫌がって泣き叫び抵抗する長女、そのベビーカーを押しながら交通量の多い道で鬼ごっこをする長男と次男を追いかけている時は生きた心地がしません。 ベビーカーが壊れるのが早いか、私が根負けして禁断のスマホを長女に渡す日がくるのが早いか、どちらでしょうか・・・

また世の中には「突如思いがなけないことをする子」というのが存在します。 我が家では次男がそうです。 いわゆる「男の子って大変」と言われそうなのは長男の方なのですが、親の想像を超えたことをするのは次男です。
次男が3歳になってすぐの週末、家の近くにある交通量の多い国道の交差点にある中古車ショップに車を見に行ったときのことです。 ショップの年輩の店員の話を聞いていたところ、大好きな車がたくさん並んでいる場所で次男が興奮したのでしょう。 嬉しさのあまりか、私たちの見ている前で交差点のド真ん中に走って飛び出してしまいました、そして転倒。 その後コンマ数秒で夫が後を追いました。 本当に幸運なことに信号が赤で走行車がなかったので2人とも無事でしたが、数秒違えば2人とも大惨事になっていたことでしょう。 私たち親にとってもショックな出来事でしたが、目の当たりにしたショップの店員さんもショックだったようで、しばらく全員口がきけなくなりました。

もうひとつは同い年の近所の男の子の話。 この子も3歳少し前くらいですが、家の中にママといたときのこと。 家の中で姿の見えなくなったママを探して外に行ったと思い、自分で玄関のドアを開けて家から出ていってしまいました。 「外出先でちょっと目を離した」とかではありません。 家の中から子どもが消えた母親はパニックになり警察に通報。 その子は幼児が外をひとりで歩いているのを不審に思った近所の人に保護され、無事警察を通じて再会しました。

何でもそうですが、80%くらい、がんばって90%くらいのレベルまで持っていくのは意外と簡単です。 子どもの事故の予防という観点では80%、90%くらい目の届くところに置いておくことは可能です。 でもそれを100%にするのが難しいのです。 特にひとりで子どもをみていると家事もしなければならないし、敵(=子ども)は複数で別々のところにいるし、でほぼ不可能です。 ただ「安全」は100%でなければなりません。 「99%みていたのに1%みていなかった時に事故が起きてしまった」というのが子どもの事故だと思います。 親が見ている目の前で交差点に飛び出したうちの次男など常人の理解の範囲を超えています。

こういう「一時も神経を休ませることができない育児」の中で、これだけの事故率減少を成し遂げた「最近の親たち」及び保育関係者は本当に立派だと思います。

前も書きましたが育児はひとりでできません、夫(パートナー)と2人だけでもできません(→『1人で育児はできません』)。 ロンドンで子育てをして見てきたところによると、助けてくれる親兄弟や親戚が近くにいたり(=人的リソース)、ナニーを雇ったり(=資金リソース)できるリソースがある人は他人を使って解決し、そんなリソースがない人はスマホやテレビなどテクノロジーを使って解決しているようです。 スマホが親がどうしてもみていられない時間に幼児の相手をしてくれ、片時も休めることのない永遠に続くように思える毎日の中で親に束の間の休息を与えてくれるなら、親が目を離した隙に動き回って事故になったり、育児ノイローゼになるよりもよっぽど素晴らしいではありませんか。

我が家は長男が6歳になり、日本式には4月からピカピカの小学1年生です。 いやー、ここまで長かったのか短かったのか。 さすがに6歳にもなると「大人の理解の域を超えた危険な行動」というのは格段に減り、人間らしくなってきました。

[ 補足 ]
今回は「不慮の事故」に焦点を当てたので書かなかったけど、赤ちゃん殺し、幼児殺人、若者による暴力事件は継続して減少傾向。 それに比して高齢者では恐ろしいペースで犯罪が増加している。
Chikirinの日記- 犯罪統計より


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