専業ママになる前に知っておきたかった9つのこと

去年の記事だけれど、読んでものすごく感じるところがあったのでシェアします。
“9 things I wish I’d known before I became a stay-at-home mom”(専業ママになる前に知っておきたかった9つのこと)
著者は米系銀行ロンドン支店でのバンカーのキャリアをあきらめ家庭に入った3人の男の子のママ。 2人の男の子を産んだ後もフルタイムでキャリアウーマンを続けていたが、3人目が産まれた時にもう続けるのは無理とキャリアをあきらめ専業ママに。 その決断を時が経ってから振り返ったもの。 努力次第で何にでもなれると男女平等に教育を受けて育ち、仕事を始めてからも男性と同様に仕事をこなし、同じ業界の人と結婚。 そんなに時間とお金をかけて受けた教育や築いたキャリアを簡単にあきらめるものではない、と教えられてきたけどあきらめた・・・ ぜひ全文(→こちら)を読んで欲しいですが、以下要約です(と言いつつ、ほとんど訳してしまいました)。

1) 私の自信は粉々になった
自己に対する自信とは子ども時代と青少年期を経て築かれるもので、大学を卒業する頃には自信は確固たるものになるのだと思っていた。 社会的な自信はついても、職業人(professional)としての自信は全く別物。 職業人としての自信は貪欲な獣みたいなもので、定期的な「職業上の成功」を餌として与えなければすぐに縮んでしまうものだと知った。
私の自信はあらゆる方向からダメージを受けた。 外の世界は進んでおり、自分は時代遅れになったと感じた。 誰も職業欄に「母」としか書けない人のことは相手にしないのではないかと思った。 数年経ってから職場復帰した時に私の周りは一気に若返っていて、仕事を辞めずに残っていた人たちは遥か上に昇進していた。

2) 私の世界が狭くなった
専業ママの世界で出会う人は自分と似たような社会経済ステイタスの人ばかり、一方、仕事で出会う人はもっと幅広くいろいろな人がいた。

3) 誰かに「何してるの?」と聞かれるたびに卑屈になった
完璧な世界では仕事とアイデンティティーは別のはず。 でも私たちは完璧な世界に住んでいない。 もちろん昔の仕事やボランティア活動のことを話すこともできるけど、すぐにそんな話題では数分も持たないことに気づく。
「時間を割く相手に値しない」と却下されるのは、女性が相手の時より男性が相手の時の方が速い。 女性は共通の話題を見つけようとするけれど、男性の場合、私が1日中子どもと過ごしていると知るや否や60秒以内に他の人と話そうと去ってしまう。

4) 自分の子ども達に良いロールモデルになっていないと感じてしまう
専業ママの頭につきまとうのは、日頃しっかり勉強しなさいと言っている自分の娘に「男性と女性では世界のルールが違っていて、勉強は実は報われない」と暗にメッセージを送っているのではないか、という思いである。 3人息子がいる私はこの点に関しては関係ないと思っていた。
ところが関係なくなんかなかった。 息子が出会うすべての女性は男性と平等なんだということを示すのは私の役割だった。 それなのに私が息子たちに送っているメッセージは「男性と女性は役割が違っていて、男性は受けた教育を使って経済的な報酬を受けるけど女性はそうではない」だった。

5) 幼児と家にいるのは激務である
ほとんどの仕事人生をオフィスで過ごしトイレ休憩もコーヒー休憩も自由に取ってきた人にとっては、子どもが小さい時の情け容赦のない忙しさは想像を遥かに越えるのではないだろうか。 同僚は電話やメールが終わるまで待ってくれるけど、小さい子どもはそうはいかない。 彼らの息つく暇も与えない要求には完全に消耗される。 どんな上司だってここまで過酷じゃない。

6) ワークライフバランスを見つけた女性に嫉妬する
毎朝、学校まで子どもを送るときに出会う他のワーキングマザーを見るたびに嫉妬する。 自分が、人生の重要な一部を、それまでつかんでいた手から落としてしまったと感じるのは辛い。
彼女は同じような年齢で似たような学歴、そして彼女にはできたことが私にはできなかった。 彼女の子どもたち(たいてい自分の子どもの友達だったりする)は素晴らしいし、彼女には素晴らしいキャリアがあって友人も大勢いる。 しかもお菓子作りまでできたりする・・・

7) 自分が将来稼ぐ可能性を未来永劫に毀損してしまった
専業ママになるのは専業ママをやめるのより遥かに簡単だ。 どんな女性にとっても家庭に入ることは非常に大きな経済的リスクを伴う。
私は読者から専業ママになったことを悔やんでいるというコメントをたくさんもらった。 ひとりひとりにストーリーがあるけれども、共通しているのは「夫と妻が役割分担をすることで合意した。 でも結婚生活が破綻したのでその合意がうまくいかなかった」というものである。 経済的に誰かに依存することを選んでしまったことにより労働市場での自分の価値を毀損したことに対する後悔は堪え難い。

8) 私の息子たちと過ごした時間をかけがえのない時間だった
「子どもと一緒に過ごせる時間なんて短いのよ」なんて誰かに言われなくても、そんなことはどんな親だって知っている。 産まれた瞬間から誰かが人生を早送りモードに切り替えてしまったみたいだ。 私が息子たちと過ごした時間はどんな方法で感謝しようとしてもし切れない素晴らしい贈り物だった。
だから私は子どもたちと過ごした時間を後悔していない、1秒たりとも。 その年月は無駄だった? もちろんそんなことはない。 でもほぼ毎日のように労働市場を下りてしまったことは後悔している。 やってしまったことをものすごく後悔しているのに、同時にやってよかったと思う、そんな矛盾がありえると誰かが教えてくれたらよかったのに。

9) すべてのものには代価がある
専業ママになるという選択をした代価は支払った後にしか評価できない。 私は職業人として成功するという代価を犠牲にして、この世で一番愛している3人の子どもたちともっと時間を過ごすことを選んだ。
自分の手取り収入ほとんどが保育代に消えることを知って仕事を辞める女性は多い。 しかし、この計算の仮定には重大な論理的欠陥がある。 この計算式にはキャリアを築く途上にある現時点での給料ではなく、その将来価値と労働市場を離れる期間に支払う機会損失を考慮に入れる必要がある。
初期のカオスの中で「もうこれ以上(両立)できない」という混沌の中で、実はこの期間は短く直に終わると思えることは難しいのかもしれない。 親業が大変なのは幼児期とティーンエージャーの時期に集中している。 だが長い人生のキャリアの中で、その大変な時期が重なるのは比較的短い。 完全に労働市場を退出してしまうのは、一時的な問題に対して恒久的な結果を伴う解決策で対応していることに等しい。 そこで支払った代価は時間をかけてゆっくりとわかっていくものである。
(以上)
—–
私は専業ママになったこともなりたいと思ったこともないので彼女とはちょっと違うけれども、夫とは同じビジネススクールに行き、似たような業界で同じように海外出張が多い仕事をしていました。 「この生活を子どもができてから続けるのは無理」と以前のキャリアを下りたところは一緒で、この記事の全てが沁みます。

女性もそうですが、奥さんに子育てを任せきりで社会の仕組みをつくっている側の人(95%くらい男性でしょう)に読んで欲しい記事です。 果たしてこんな身が割かれるようなジレンマを「女性のワガママ」と片付けられるのでしょうか?

過去のこのテーマのエントリー:
『キャリアの下り方 – 1』
『キャリアの下り方 – 2』
『なれたかもしれない私にならなかった私』


6 responses to “専業ママになる前に知っておきたかった9つのこと

  • macaroon

    外資系金融のフロントなど、激務な世界で15年以上頑張ってきた、1児の母です。年齢とともに、頻繁な海外出張・深夜のコール対応などが続く毎日と育児との両立に、体力的・精神的にも限界を感じ、同業の夫もいるし食うには困らないし、いっそ辞めて専業主婦になろうか/或いは、給料は三分の一以下になるけれど、”普通”の(いわゆる9時5時の)楽な仕事に移ろうか、、と真剣に考えて、ネットの波をうろうろしていたら、偶然にもこの記事に出会いました。ロンドンでそうなら日本はもっとそうですよね。手放すのは簡単だけど、一度手放したら二度と手に入らない、と言う話、失ったものの対価は後になってしかわからない、という話、しみじみ心に染みました。本当に、ありがとうございました。もういいやと投げやりになりかけていましたが、今のキャリアをどこまで降りるべきなのか、今一度考えてみたいと思います。どうもありがとうございました

    • la dolce vita

      macaroonさん
      コメントありがとうございます。
      毎日お疲れさまです。 私もいつも頭の中を流れているのは『ロッキーのテーマ』です、倒れても倒れても這い上がるイメージ。 現在も昨日から3人目に見事に風邪をもらいました、寝たいのに寝かせてくれない・・・
      完全に下山をせずにペースを落としても山にくらいついていれば、後から後ろを振り返った時に実は思いがけず高いところまでのぼってた、って目の前の見晴らしがぱっと開けるのを期待しつつ、今は前後真っ暗霧の中を上ってる感じですねー 果たしていつ目の前が開けるのか・・・?
      この著者含め悩み抜いて出した答えに他人がどうこう言えるものではないと思います。

      • noName

        定期的に拝読しています。専業主婦となると、ロンドンでも同じなのだなあという驚き。グローバル金融で働かれるという貴重なキャリア、そしてそれを降りたと感じた数年間。でも、子どもとのかけがいのない生活。その中間があればいいのに、と感じます。グローバル金融だから、誰にもキャリアを剋されたことはないでしょう。それが一転。男性は変化がないのに、女房だけがその割をくう。そして、それを誰にも分かってもらえない感。きっと同じ境遇同志が集まっても傷のなめ合い。キャリアに返り咲く、たとえ独身キャリアが上に登っていたとしても、自分もまた登り始める。それでしか、自分を納得させる方法はないのかもしれないですね。誰も自分を責めてはいない、自分に寂しいのは自分自身だけなのだけれど。悔しいけれど、子どもとのかけがえのない時間。身につまされる内容です。グローバルキャリアの人でもそうなのですね、なんかどうにかならないものでしょうか。ね。訳してくれて、ありがとうございます!読む機会を得ました!

  • T

    友人から素敵な母校の先輩がいると聞き、2010年頃から拝読しております。就職、結婚、留学と様々な人生のターニングポイントをむかえる度に、過去の記事を読み返し、決断の材料とさせていただきました。今回もとても参考になる記事をシェアいただき、感謝いたします。夫婦別々の国(アフリカと米国なので、大陸すら違いますが!)での生活が長くなり、同居に向けた選択肢を検討していたところです。”選択をした代価は支払った後にしか評価できない”ーまさにそのとおりですが、先輩方の生の体験談を伺えることをとても幸運に思います。いつも本当に有難うございます。

    • la dolce vita

      こんにちは。 コメントありがとうございます。
      以前『家族は一緒がいい』というブログも書いています。
      https://blog.ladolcevita.jp/2013/12/05/good_to_be_together/

      すっかりどっぷりとロンドンでの生活につかっていますが、「アフリカと米国かー エキサイティングだなー」と遠い目をして思う自分もまだいるんですよ、ものすごく飛び回っていたのが前世のことのようですが(笑)。

  • la dolce vita

    noNameさん

    コメントありがとうございます。
    ヨーロッパは特にフルタイム勤務でもなく専業主婦でもなく、週に数日パートタイムで働く人が多いです。
    https://blog.ladolcevita.jp/2011/07/29/post_396/
    ただ、パートタイムで働くとやっぱりフルタイムの人に比べて昇進機会が減りますよね、だからいつまで経っても男性と女性の賃金格差は縮まらないと・・・
    金融のフロントオフィスとかは別ですね、プライベートの時間を犠牲にして仕事にコミットしてなんぼの世界なので。

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