前も『The Future of Work』で書いたけど、世界を変えるような大きな時流(メタ・トレンド)ってまずアメリカのカリフォルニアで発生して、それがすごいスピードで打たれて叩かれてテストされて、こなれたり改善したりローカライズされて、世界の中でも時流が回ってくるのが早い場所から順にぐるーっと回ってきて、気がついたらいつの間にやら世界の様相が変わってる、ってそんなイメージ。
そして、その潮流が日本で日常のあちらこちらに影響が見受けられるようになり、その影響についてマスメディアが連日大騒ぎするようになるのはかなり遅い、下手したら10年くらいかかってます。
例えば、自動車と並んで「ものづくり日本」を支えてきた電機業界の昨今の凋落(国際競争力の低下)。 簡単に言えば、国内競争で疲弊して急速なグローバライゼーションに適応できなかったのですが、その兆候ってずーーっと前から出てたよね・・・
メタ・トレンドを鋭く分析した秀作がまず英語で原著が出版されることが多いのですが、グローバライゼーションを分析した代表作は超有名なトーマス・フリードマンの『フラット化する世界』。 2005年に原著が出版され、多くの政治家・企業人のWake-up callになったはず(鳩山さんが首相時代の2010年に購入してて、その遅さにぶっ飛びましたが)。
もうひとつの例は、最近日本で話題らしい「ノマド」。 この言葉はジャック・アタリが『21世紀の歴史 – 未来の人類から見た世界』で出してましたが(→『未来の歴史とノマドの時代』)、日本で使われている用途は、ダニエル・ピンクが『フリーエージェント社会の到来』
で指摘した働き方に近いです(→『MBA同級生に見る「フリーエージェント社会の到来」』)。 こちらは原著が出たのが2002年、原著を書く取材時点ですでにアメリカ労働人口の1/4がフリーエージェント(ノマド)化。 10年経ってようやく日本でも目立ってきたというところ?
『妊婦CEO誕生!』のように、まずカリフォルニアで突き抜けた例が出て、その後、時を経て普遍化していくことが多いと思うのですが、上記2つの例は日常的に英語でインプットを行っている人には、何ら驚くような事象ではなかったと思うのですが、いかがでしょう? なお、なぜ英語になるかは『日本語が亡びるとき – 英語の世紀の中で』の書評3エントリーをどうぞ(→1, 2, 3)。
もちろん英語の原著じゃなくて翻訳本が出るまで待ってもいいのですが、「どの本を読むべきか?」というアンテナが英語で立ってないと、日本語メディアだけでは翻訳本より自社編集本をプロモートしたい出版社の宣伝などに押されて、どの本が本当に読むべき本なのかが見えてきません。
このエントリーを書き始めたときは、私が注目していてカリフォルニアですでに起こっていることを書きたかったのですが、時間がなくなったので明日。
July 25th, 2012 at 3:15 pm
古賀洋吉さんのブログから来ました。
刺激を受ける内容で、もっと早くからこちらのブログの存在を知りたかったです。
カリフォルニアの話の続き、楽しみにしています^^
July 30th, 2012 at 11:23 am
>MMMayukoさん
初コメントありがとうございます。
>カリフォルニアの話の続き、楽しみにしています^^
ええ、ちょっとお待ちください。