最近なかなか本を読む時間が取れないのでまだ読めていないのですが、NHKで著者ジャック・アタリのインタビューが放送されたようでYouTubeに全編あったので見ました、『21世紀の歴史 – 未来の人類から見た世界』。
『世界級キャリアのつくり方』の黒川教授も最近のブログで書評を書かれています。
2時間のインタビューです、こちら(↓)からどうぞ。
1/6 ジャック・アタリ 緊急インタビュー「第1回 危機の核心とは何か」
長い間、歴代フランス大統領のアドバイザーを務め、現代を代表する知性ともいわれるジャック・アタリが長い歴史から学び考察し21世紀の予測を立てたものです。 黒川さんはジャレド・ダイヤモンドの『文明崩壊 – 滅亡と存続の命運を分けるもの 』を思い浮かべたと書かれていますが(私もこちらとこちらにちょこっと書評書いてます)、私はアルビン・トフラーの『富の未来』
(書評はこちら)を思い出しました。
こういう非常に俯瞰的に広く視野を取った未来予測本はたまに読むと参考になります。 「住みたいところに、トコトコ出向いていって住む」というのが私の基本スタイルですが、子供ができたときに「子供の学齢期にどういう場所(世界の中でどういう立ち位置)にいてあげると子供のポテンシャルを広げられるのか」もよく考えるので。
そういう意味で『21世紀の歴史 – 未来の人類から見た世界』は今世紀後半までカバーしており考えさせられました。
私が同感だと思った概念が2つ、ひとつは「中心都市」、もうひとつは「ノマド」。
1. 中心都市
これまで市場の秩序は、常に1つの「中心都市」と定めて組織され、そこには「クリエター階級」(海運業者、起業家、商人、技術者、金融業者)が集まり、新しさや発見に対する情熱に溢れていた。 この「中心都市」は、経済危機や戦争が勃発することにより他の場所へ移動する。
つまり歴史を動かしてきたのは「中心都市」であり、13世紀のブルージュに始まり、ヴェネチア、アントワープ、ジェノヴァ、アムステルダム、ロンドン、ボストン、ニューヨークを経て20世紀にロサンゼルス(北のシリコンバレー含む)に移ってきたというもの。 私も人は「国」ではなく「都市」を目指して移動しているなあ、と思っていました。
「次は世界のどこが中心都市になるのか?」という命題ですが、世界が多極化するにつれて複数の中心都市が生まれると思います(希望的観測)。 『シリコンバレー向きでない人にとっての天国』というエントリーに書きましたが、「クリエイター階級」といえど、その趣味・志向は同じではないので、それぞれに合った都市がいくつかある方が楽しそう。
そういう意味で、これからの都市は「万能度」を競うのではなく「エッジ(特色)」を競わなければならないのかもしれません。
2. ノマド
世界はノマド(元々「遊牧民」の意)の時代になる、中でも「超ノマド」が鍵を握る(超ノマド = クリエイター階級 = 中心都市の栄枯盛衰に最も敏感なエリートビジネスマン、学者、芸術家、芸能人、スポーツマンなど)。
このブログは元々、「あれ? 自由に住み働く場所を変える人、増えてない?」という気づきが元になっているのでタイトルもそれを表していますが(参照:『国に帰るのは誰? 海外に出るのは誰?』、『個人が国家を選ぶ時代』)、ジャック・アタリによると現在世界に1千万人から5千万人の「超ノマド」がいるそうです。 想像してたより多い? どうでしょう?
インタビューの「ノマド」について語っている箇所だけ貼っておきます。
ノマドの時代になる前から華僑やユダヤ人は1,000年以上に渡りノマド暮らしをしてきたのですが(華僑については→『国家は人を容れる器でしかない?』)、それが他の人たちにも広がってきたということなのかもしれません。
池田信夫さんが『ノマドの反乱』と題して、日本人の定住志向・保守性も遺伝的・宿命的なものではなく作られたもの、という議論を展開していて面白いです。
たまに立ち止まってこういう本読まなきゃなー、と思わされました(ってまだ読んでないけど)。
August 14th, 2009 at 1:50 pm
「仕事するのにオフィスはいらない」佐々木俊尚著を先々週読んでノマド、ノマド~!と呪文のように唱えていたところでした。「将来はノマド生活をしようと思っているんだ。」と言うと日本(私のまわり)では相手が豆鉄砲食らったみたいな反応になってしまって、残念な気分になります。そしてその良さを伝えられない自分に脱力。。インタビュー見てみます。
August 14th, 2009 at 6:14 pm
そーかー、じゃー、僕はスーパーノマドーを目指してみますわー。
> 子供ができたときに「子供の学齢期にどういう場所(世界の中でどういう立ち位置)にいてあげると子供のポテンシャルを広げられるのか」もよく考えるので。
あー、それ、僕も全く一緒っす!(子供の前に結婚、の前に彼女、という問題はさておき・・)
どの年齢で、どの場所で、どういう教育をすれば子供にとって良いのか、
ってのを、特に日本を出てからずーっと考えてますね。
結構重要だと思うんですよね。幼少の頃にどんな環境で育ったかっていうのが。
育ってきた~環境が~違うから~♪
あ、あと『文明崩壊』は買いましたが、まだ読めていません。年内中には・・
(今、僕の手持ち本の待ち行列に入れられてて、6番目ぐらいです。。)
でもって『21世紀の歴史 – 未来の人類から見た世界』も面白そうっすね。
ご紹介あざーっす!(んーー、それにしても、またリストに追加だな。。)
August 15th, 2009 at 12:07 pm
>MyFireさん
>「将来はノマド生活をしようと思っているんだ。」と言うと日本(私のまわり)では相手が豆鉄砲食らったみたいな反応になってしまって、残念な気分になります。
定住志向と移住志向は趣味の問題だからねー 前MyFireさんが言ってた「1年で沖縄とシンガポールと(あと一カ所どこだっけ?)の3ヵ所に住む」ってのも、私もやってみたいけど、それより5-10年ごとに移動する方が興味あります。
>まつーらさん
>結構重要だと思うんですよね。幼少の頃にどんな環境で育ったかっていうのが。
めちゃくちゃ重要だと思います。 前まつーらさんが言ってた「小さい頃は思いっきり外で遊んだ方がいい」ってのは私も暗くなるまで毎日外で遊んで育ったので同感なんだけど、実はできるとこ先進国ではあんまりないんですよね。
アメリカもヨーロッパも危ないから子供たちだけで近所の空き地で遊ぶなんて言語道断だし、シンガポールや香港は場所ないし、いったいどこができるの?って感じです。
あと、こういう人たち(↓)を見ちゃうと(笑)、自分の子供はこんなに遊ばせて大丈夫か?って悩むとも思う。
http://www.ladolcevita.jp/blog/global/2009/08/post-243.php
August 16th, 2009 at 12:52 am
クローデン葉子様。
突然のメールにて失礼いたします。
私は原田武夫といいまして、元外交官、現在はシンクタンクを経営しているものです。(http://www.haradatakeo.com)
最近では、NHKなんぞにも出ています:
http://www.nhk.or.jp/r1/asa/column/index.html
このたび、まったく個人的ブログ(会社のものではなく)を立ち上げ、その中で貴ブログを言及させていただきましたのでご報告いたします:
http://blog.goo.ne.jp/takeoharada/
たまに顔を出させていただきたいなぁと思っていますので、以後どうぞよろしくお願い申し上げます。
では・・・・きわめて簡単ながら、ご挨拶まで。
原田武夫拝
August 17th, 2009 at 8:58 am
>原田武夫さん
御丁寧にご紹介ありがとうございます。
これからどんな内容になるのか楽しみなブログですね。
大事なのは「自分にしか書けないこと」を書くことだと思いますので、私も楽しみに読ませてもらいます。
August 18th, 2009 at 8:30 pm
> あと、こういう人たち(↓)を見ちゃうと(笑)、自分の子供はこんなに遊ばせて大丈夫か?って悩むとも思う。
> http://www.ladolcevita.jp/blog/global/2009/08/post-243.php
そうですよねー。でもこういう人(↓)もいるじゃないですか。(この人のキャリアにはほんと感動しました!)
http://www.ladolcevita.jp/blog/global/2009/02/post-140.php
僕はこういう風に育って欲しいって思ってんですけど、でも現実はそーはいかないでしょーねー。
August 19th, 2009 at 9:31 am
>まつーらさん
>でもこういう人(↓)もいるじゃないですか。(この人のキャリアにはほんと感動しました!)
>僕はこういう風に育って欲しいって思ってんですけど、でも現実はそーはいかないでしょーねー。
私もこの人のキャリアには感動しました&こういう風に育って欲しいと思ってます(子育て方針が随分合いますね、笑)。
でもマオリの高校は躊躇するかもしれない・・・モンゴルも悩むなー・・・
August 26th, 2009 at 7:49 pm
川井さんの行った学校とは違うと思いますが
>「失業率は 100% 近く、親は朝からビールを飲んでいる。『今楽しければいい』という風潮で、天気がいいときは授業も出ない学生が多く、サーフィン、ラグビーばかりしていました。
という所が徒歩10分ぐらいの所にあります。徒歩圏の小学校に娘を入学させる勇気がありませんでした。。。マオリの文化を学ぶには絶好の学校なのですが、親は失業しているだけでなく、様々な依存症だったりするので。世の中にはいろんな人がいる、ということを実感できる公立校であることは、太鼓判を押せます(笑)。
August 27th, 2009 at 8:53 am
>zukunashiさん
>世の中にはいろんな人がいる、ということを実感できる公立校であることは、太鼓判を押せます(笑)。
はは(笑)。 まあ、ケースバイケースですよねー
「いろいろな人がいる」どころか、「そっちが普通で親が働いてるうちは異常???」と悩まれても困るし。
マオリの状況(失業、依存症)ってアボリジニーと似てますね、たしかアボリジニーより遥かに人口に占める割合は高かったと思いますが。