アメリカで「ギグ・エコノミー」という言葉が現れてしばらく経ちます。 以前、『カリフォルニアを見よ。』というエントリーで
世界を変えるような大きな時流(メタ・トレンド)ってまずアメリカのカリフォルニアで発生して、それがすごいスピードで打たれて叩かれてテストされて、こなれたり改善したりローカライズされて、世界の中でも時流が回ってくるのが早い場所から順にぐるーっと回ってきて、気がついたらいつの間にやら世界の様相が変わってる
と書きましたが、英語圏の大都市で人口が若く、アーリーアダプターも多いロンドンにはトレンドはすぐ回ってきます。 シリコンバレーから本家が上陸することもあれば、ロンドンで生まれたコピーキャットが先攻することも。
ギグ・エコノミーというのはミュージシャンが「一夜限りのライブ」をするように労働者が「単発の仕事(タスク)」を請け負うことで成り立つ経済のこと。 新しい現象ではありません。 ダニエル・ピンクが『フリーエージェント社会の到来』を書いたのはもう13年も前ですが(私がブログに書いたのは7年前→『MBA同級生に見る「フリーエージェント社会の到来」』)、労働者のフリーランス化の更なる進行、仕事のタクス化、先進国におけるミドル・スキルジョブの後進国(及び機械・コンピューター)への流出、テクノロジーの進展(特にモバイルのアプリ)により人々が課題の即時解決を求めるようになったこと、など全てつながった結果です。
参照:『未来に備える本』というエントリーで過去の「新しい働き方」関係のエントリーを集めています。
ギグ・エコノミーを促進している有名どころでは、Uber、TaskRabbit。 TaskRabbitは想定ターゲット層ド真ん中にも関わらず使ったことがありませんが、Uberは夫を初め私の周りでもたくさん使ってるし、「子どもが熱を出したけど明日は仕事!」なんて日にiPhoneアプリからすぐベビーシッターが手配できるSitters.co.ukを使っている人も多い。 世界中のフリーランスワーカーを探せるマーケットプレイス老舗oDesk(2010年に『時給78セントの衝撃』というエントリーを書いてます)が同業大手のElanceと合併してできたUpworkはテクノロジー系の友人で使っている人が多く、それのUK版People per hourは私も使う予定があります。 人のマッチング・サービスではありませんが、最大の資産である持ち家はAirbnbで休暇中に貸し出し、遊休資産の有効活用をしています。
ほかにも「他人の車は嫌だけどライセンスを持っているタクシーなら信頼できる」という人にはブラック・キャブ専用のGettが、「明日のYシャツがない〜!」という人にはドライクリーニングを自宅でピックアップしてクリーニングし24時間以内に届けてくれるWashboxが、誕生日プレゼントを送るのを忘れてた人には物の写真を送るだけで自宅まで取りに来てラッピングし届けてくれるShypなどなど、まさに雨後のタケノコ状態。 完全にこれらサービスのキャズムは超えた感。
多忙な3児の母としてはこれらのサービスは便利です、上手に選んで利用しようと思います。
一方、「安定した仕事」とは無縁の世界にいる労働者としては、『どうせ痛い思いをするなら早めにしよう』と日本の就職人気ランキング上位企業の会社員を捨てて潔く飛び込んでみたものの、立場の不安定さは十分に日々実感しています(銀行から住宅ローンおりない、など)。
そしてフリーランス化や仕事環境の変化は不可逆なトレンドなので、3児を育てる親としてはどう育てればいいのか悩み続けています。
結局、世界の「見晴らしのいい場所」のひとつであるロンドンで、”Survival of the fittest”(適者生存)を常に意識しながらやっていこう、という現状維持っぽい解しか出ないのですが(「見晴らしのいい場所」についてはこちら→『就活中の学生へ – 1』)。
ギグ・エコノミーについての良記事
The NY Times: In the Sharing Economy, Workers Find Both Freedom and Uncertainty
The NY Times: Growth in the ‘Gig Economy’ Fuels Work Force Anxieties
FT: Workers of the gig economy, unite!
August 2nd, 2015 at 5:04 am
フム、その場合the Fittestの定義はどう決めますか?