"生"Jamie’s 30-minute meals

去年のクリスマスシーズンに発売され「イギリス史上最も売れたノンフィクション」になったのが、セレブリティー・シェフJamie Oliverの『Jamie’s 30-Minute Meals』です(なお、フィクションではぶっちぎりでハリー・ポッター)。
一番売れたノンフィクションが料理本って・・・よっぽどイギリス人って本を読まないのか、よっぽど料理好きなのか? と一瞬悩みますが、Jamie Oliverがそれほど人気なのです。 近年は社会活動家としての顔も定着し(→『Jamie Oliverの食の革命』)、ただの「シェフ」って肩書きを超えて、それこそアメリカ人のオプラ・ウィンフリー好きに匹敵するくらいイギリス人の間で人気でないかしらん?(アメリカ進出は、あまりうまく言ってないみたいだけど)
私はそのうち「サー」の称号をもらうんじゃないかと勝手に思っています。
この『Jamie’s 30-Minute Meals』、「30分でディナー3品(スターター・メイン・デザート)をつくる」というありふれたコンセプトなのですが、本当に30分で見た目よし・味よしのディナーがつくれるというところがすごいらしい。
「らしい」というのは、もちろん我が家にもあるのですが夫しかつくったことがないため。 子どもが産まれて以来、Julia ChildでもなくRiver Cafeでもなく、料理は早さが命(!)になってしまったので、『Jamie’s 30-Minute Meals』は本当に重宝。

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バイリンガル脳の動き方

昨日のエントリーや渡辺千賀さんの『バイリンガル脳』を読んでいて思った中で役立ちそうなことを。
私も英語の文章がまず頭の中に出てきて、それを日本語に訳そうとしたり、日本語の会話の中で突然センテンス丸ごと英語になったり(日本語に訳すのも面倒なので、そのまま出しちゃえ!)、ということはよくあります。
1. 英語で読んだり聞いたりしたことはそのまま英語で脳の中に格納されている
最近は本もニュースも英語の方が多いし周りも英語環境なので、印象的なことは無意識のうちにそのまま英語で脳内に格納されています。
例えば、「いい言葉だなー」と思って最近自分に向かって唱えている

You can have it all, just not at the same time.

『What I Wish I Knew When I Was 20』(邦訳:『20歳のときに知っておきたかったこと』)の著者Tina Seeligがスタンフォード学生に向けたこの(↓)講義で言っていた言葉。

赤ちゃんが産まれたばかりで「何をどうやったら、仕事も親業も両立できるのか?」と途方に暮れる新米パパ・ママに向けた言葉で、私の新しいマントラのひとつ。
言葉の持つ力は大きいので、(例え訳者がどんなに優秀でも)本は原文の方がいいのは、著者(話者)の実感がこもった力強い言葉が自分の中に蓄積されるからかなー

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バイリンガル育ちは能力的に有利

バイリンガル(候補)の子どもを持つお母さん・お父さんに朗報です。 「バイリンガルに育つと能力的に有利」という心理学と脳科学の学者の研究結果が出ました。
NY Times : The Bilingual Advantage

脳の中にエグゼクティブ・コントロール(実行管理)システムがあり、複数の事柄から重要なこと・意味のあることに集中するよう常に指示を出している。 バイリンガルに育つと2つの言語を常に抱えながら、エグゼクティブ・コントロールシステムが場合に即した言語に切り替えてアウトプットを出している。 バイリンガルはこのシステムをより頻繁に使うため、重要なことを効率的に判断することに長けるようになる。

結果として、

– バイリンガルはモノリンガルよりアルツハイマーの症状が出るのが5, 6年遅い
– バイリンガルはマルチタスキングに長ける

などの研究成果が出ているそうです(渡辺千賀さんの最近のエントリー『バイリンガル脳』も同じ内容ですね)。
興味深かったのは、北米(この学者はトロント大学)でも数十年前までは「バイリンガルは能力的に不利」という通念があったそうですが、

Some of this was xenophobia. Thanks to science, we now know that the opposite is true.
通念の背景には外国人嫌いがある。 科学の進歩のおかげでその逆が真であることがわかった。

としているところ。

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今さら戦略コンサル?

以前、『業界の旬とキャリア相談』というエントリーで、マネックス証券松本さんの次の言葉を紹介しましたが、

もし今僕が就活生だったら、絶対投資銀行なんか入らないけどな。
実際僕がそこへ入ったのは投資銀行業界が栄えてきて10年くらいしたときで一番勢いがあった。
そこからもう20年経った今、もう外資金融の伸び時期はもう終わっている。
成功して盛り上がった後に相乗りするのは時代遅れ。

投資銀行と同じくMBA学生に人気の就職先、戦略コンサルも業界のピークは過ぎた、というお話。
私が行ったINSEADはコンサル輩出校と呼ばれるくらいコンサルに行く人が多かったので、石を投げればBIG 3(McKinsey、BCG、Bain)を始めとする戦略コンサルに当たるのですが(ターンオーバーの激しい業界なので、まだ残っている人はだいぶ減ったが)彼らと話していて薄々感じていたことがThe Economistに記事になっていました。

Harvard Business School卒業生のうち金融業界に進んだ人が10%以下の年は米株式市場は上昇局面を迎える、30%以上だと株式市場は暴落寸前。 2006年には42%の卒業生が金融業界に進んだ。

と書いたのは『Ahead of the Curve: Two Years at Harvard Business School』(邦訳:『ハーバードビジネススクール 不幸な人間の製造工場』)のPhilip Delvis Broughtonでしたが(著書はこちらで紹介、こちらも)、私には

The Economistに取り上げられたら個人のランダムな感覚・意見を超えて一般教養の域に入ってきている

という仮説があります。
最近のThe Economistにコンサル業界の展望について「戦略コンサルはビジネスモデルが限界に近づいている」と、ようやく皆が薄々気づいていたことが分析されていました(長い前置きだ・・・)。
The Economist : Advice for consultants

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家族のQuantity time

だいぶ前に読んだ、グロービス堀さんのブログ「家族と過ごす時間の質と量(Quality time vs. Quantity time)」というエントリーで紹介されていた堀さんのオーストラリア人の友人(会社経営者であり3人の娘の父親)の言葉が最近身にしみます。

親子関係は、質の高い時間(クオリティータイム)が重要だと米国では良く言われているようだが、僕にはそうは思えない。 親が都合が良い時間に子供に向かって、『さあ、質の高い時間を短時間で過ごそう』、なんて言っても、 子供はついてこないものさ。
子供は両親と一緒に長く過ごしたいと思っているんだよ。 その長い時間を過ごすなかで、ふとした瞬間に心が通い合う会話があったり、悩みを打ち明けたりする、質の高い時間が来るのである。

私の息子(現在15カ月)はフルタイムでナーサリーに行っています。
朝6:00からナーサリーに出発する8:00までの2時間は家族3人で朝ご飯を食べ、バタバタと出かける支度をする時間。 夕方5:45のナーサリーのお迎え時間から7:45のベッドタイムまでの2時間は、私と息子2人だけの時間です。
夕方の2時間の間に息子に晩ご飯を食べさせお風呂にも入れるのですが、彼は早食い&からすの行水なので、うち1時間半は絵本を読んだり歌を歌ったり100%息子と向き合います。 家事はすべて後回し、「〜しながら」はNG、「ママはボクだけを見ている」唯一の時間。
息子にとっては長い1日の終わり、疲れている時間帯なので機嫌がいいときばかりではありませんが、ものすごい速さで成長する様子を脳裏に焼き付けようとする私にとって宝石のような瞬間はだいたいこの2人の時間中に訪れます。

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コカ・コーラCMにみる戦後文化

面白そうだったので日本からわざわざ取り寄せてジャーナリスト佐々木俊尚さんの『キュレーションの時代』を読みました。 書籍代より郵送料の方が高かったのに電子書籍版が出ていたことに後で気づいた私。 はー、もうそういう時代になったのね・・・
ソーシャルメディア関連本の中でいち早く出た『Groundswell: Winning in a World Transformed by Social Technologies』(邦題:『グランズウェル ソーシャルテクノロジーによる企業戦略 』)もそうだったけど、こういう本はネット上の事例が多いので、本の中の事例をWebで見ながら読むとより面白いですね。
中でも「コカ・コーラのCMに見る戦後文化」が面白かったので、YouTube画像と佐々木さんの解説を並べてみます。

62年から70年代初頭までは、登場するのはほとんど日本人です。 (中略)
どのCMにも熱烈なアメリカ文化への憧れがあふれていて、その真面目すぎるほどの無条件な純真さは、いま鑑賞してもまぶしくて直視できないほどです。

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モデル国家オーストラリア

そのサイズのわりには政治的にも経済的にも文化的にも地味なゆえ、Wall Street JournalやFinancial Timesのトップページを飾ることのない国、オーストラリア。
そんな夫の母国が先週のThe Economistの特集でした。
簡単にまとめるとこんな内容。
Australia_GDP.jpg

オーストラリア経済の成功を1. 豊富な資源に恵まれている、2. 資源需要旺盛なアジアの隣にいる、という二重の幸運と片付ける人が多いけど、オーストラリアは20年間にわたって不況を経験していない唯一の先進国。
1997年のアジア通貨危機も2001年のITバブル崩壊も最近の世界金融恐慌も乗り切った。 さすがに誰かが何かしたからこその成功でしょう?

とし、経済・移民政策・環境問題・政治・外交までフルにカバーした力作。 とっても面白かった、ほんとThe Economistの分析力・筆力は卓越してます。

IMAGINE a country of about 25m people, democratic, tolerant, welcoming to immigrants, socially harmonious, politically stable and economically successful; good beaches too. It sounds like California 30 years ago, but it is not: it is Australia today. (The Economist : The next Golden State
人口2,500万人、民主的で寛容、移民を歓迎し、協和的な社会、政治は安定し経済も順調、美しいビーチもある。 なんだか30年前のカリフォルニアみたいじゃない? いや、今日のオーストラリアなんだよ。

と誉め殺しから始まります。

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駐妻・現地妻の憂鬱

Twitterでたまたま流れてきた『NY駐在「妻」社会、見聞録』というブログを見てしまいました。 企業による社員の海外派遣がちっとも珍しくもないこの世の中、いまだに「駐妻」ってブランドなのか?と思いつつ、以前、小町かなんかで見た「現地妻」という言葉も同時に思い出しました。
「”現地人”の妻でもない私みたいな人の呼び方はないのか?」、「駐在ではない日本人の妻の呼び方は?」という疑問はさておき・・・
シンガポールでは、このブログで知り合った人以外、とんと日本人と出会うことがなかった私、ロンドンでは子どもの日本人プレイグループを通して日本人ママ友と知り合う機会が多くあります。 その中には、いわゆる「駐妻」も「現地妻」もいます。 加えて「オージーの妻」、「私費留学の夫の妻」、まあいろいろいるわけですが、個人がハッピーか・アンハッピーかは、

  1. 自分自身も主体性を持って(望んで)来たか?
  2. きっかけは自分自身の希望じゃなくても(例:夫に転勤の辞令)、積極的に頭を切り替えられたか?

によるようで、理由や立場の如何ではないようです。
「夫が駐在になったから、自分はキャリアを諦めた」という駐妻と同じく、「イギリス人夫との結婚で、好きだった自分の仕事を辞めてきた」という現地妻もいて、「夫についてきたために自分のキャリアを諦めた」感をずーーっと抱えている人ってたくさんいるんですよねー。
『MBA女性の10年後』というエントリーに、

MBAを取得した女性の半分が10年後は専業主婦になっている現状の大きな理由は、「夫の国境を越えた転勤(転職)」でしょう。

と書いたように、日本人に限った現象でもありません。

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モノが溢れる日本の家(?)

ロンドンのイーストにあるThe Geffrye – Museum of the Homeという美術館でAt Home in Japan – Beyond the Minimal Houseという日本の一般家庭の家の中を再現した特別展が開かれていたので見に行ってきました。
オックスフォード大学の民俗学教授が、1年間に渡り関西(神戸・京都・奈良・大阪)の一般家庭を訪れてリサーチした結果をまとめ展示したもので、五感で体験できるようになっており、一般のイギリス人が熱心に見ていました。
この特別展の紹介文冒頭に、

In the West the Japanese house has reached iconic status in its architecture, decoration and style. However, is this neat, carefully constructed version of Japanese life in fact a myth?
欧米では、日本の家の建築・装飾・スタイルはアイコンにまで達したが、その整然と綿密に構成された日本式の生活というのは、実のところは神話なの?

とありますが(副題も”Beyond the Minimal House”となっています)、彼のイギリス的婉曲話法(→『Very interesting = I don’t agree.』)を解釈すると、

日本の家ってもんのすごーーーーくモノが多い

ということを言いたかったようでした(笑)。
こんな写真と共に、家具・小物などで日本の家が再現されていました(写真はこちらより拝借)。

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Very interesting = I don't agree.

「ブログが更新されていないけど生きてるか?」と親から電話がかかってきました。
えーーー、生きてます。
最近ブログを書くという脳が死んでるので、The Economistからお役立ち記事を。
“How was your day?”と聞くと、いつも”Not too bad…”と返ってくるオーストラリア人の夫(*1)と結婚して3年以上、そんな私でも「イギリス人って本当に何考えてるのか本心がよくわからん言い方するなー」と思うことが頻繁。
*1・・・”Not too bad…”はアメリカ人的には”Great!!!”です。 感覚的には「GoodでもBadでもない中間よりちょっとGood寄り」でしょうか。
そんなイギリス人の婉曲話法が集められていたので、これからはこのリストを常備してお出かけしよう。
The Economist : Euphemistically speaking – This may interest you*
なお下記のうち”What is understood”は、(直接的な表現をするオランダ人やデンマーク人は)こういう意味だと受け取ってしまう、ということ。 Enjoy!

What the British say: “I hear what you say”
What the British mean: “I disagree and do not want to discuss it any further”
What is understood:”He accepts my point of view”

What the British say: “This is in no sense a rebuke”
What the British mean: “I am furious with you and letting you know it”
What is understood: “I am not cross with you”

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