業界の旬とキャリア相談

最近書いた『インドITエンジニアに見るデジャブ』というエントリーへのコメントで、マネックス社長の松本さんによる就活大学生に向けた次のメッセージを紹介してもらいました(CREAさん、ありがとうございます)。

もし今僕が就活生だったら、絶対投資銀行なんか入らないけどな。
実際僕がそこへ入ったのは投資銀行業界が栄えてきて10年くらいしたときで一番勢いがあった。
そこからもう20年経った今、もう外資金融の伸び時期はもう終わっている。
成功して盛り上がった後に相乗りするのは時代遅れ。

極めて納得、そしてどんな業界にも旬があるのは事実。
そして思い出したこと。
最近まで続いた好景気の中で欧米トップビジネススクールの学生に人気だったのは、プライベート・エクイティ(PE)、ベンチャーキャピタル(VC)、ヘッジファンド。 これらの業界は非常に狭き門なので多くの友人たちは、あくまで通過点として投資銀行や戦略コンサルに入っていきました(そして、思惑通り、数年後に転職する人多し)。
以前このエントリーで紹介した『Ahead of the Curve: Two Years at Harvard Business School』ではハーバードビジネススクール(HBS)の学生が本当にやりたいことなのか熟考せずに給料と待遇、知名度で就職先を決めていくさまが克明に描かれていて、私の(一部の)同窓生の姿とかぶりました。
現在は彼らのうち、職を失ったか苦境にある人も多いのですが、PE、VC、ヘッジファンド他の業界のバブル終焉し旬が過ぎたのか、同じ形で復活するのか、どう変容していくのか、私にはわかりません。 それぞれ異なる性質の業界であり、(例えば日本ではVCにとって投資対象案件そのものが少ない、など)国ごとの違いも大きいので一概には言えないし。


最近、別の就活学生からもキャリアに関するメールを受け取ったのですが、正直10年後のことは全くわかりません。
私自身、新卒で就職した会社からメーカーに転職した2001年頃は「やっぱり日本人はモノづくりよねー」などと言っていたし。
人のキャリア相談にのるって危険だなー、と思います。
そして昨今、定着した感のある言葉「ロールモデル」。 ロールモデルにする人の生きる姿勢(価値判断をする基準とか)をお手本にするのはいいのですが、キャリアをそのままなぞるのは危険かも。 その人が10年先輩なら10年前に活きたキャリア戦略が変化の早い現代にそのまま通用するとは限らないし、同じような同世代がたくさんいるはずなので、自分もそのコピーの一人にしかなりえないし。
・・・と先人のキャリアのコピーもそのまま使えず、先行きの不透明な中で結局言えることは、私がほとんど暗唱できるほど何度も聞いたSteve Jobsのスピーチの次のフレーズ 「自分の心と直感に従うという勇気を持て」になってしまうのだろうか(見ていない方は下のYouTubeでぜひ)。

Your time is limited, so don’t waste it living someone else’s life. Don’t be trapped by dogma — which is living with the results of other people’s thinking. Don’t let the noise of others’ opinions drown out your own inner voice. And most important, have the courage to follow your heart and intuition. They somehow already know what you truly want to become. Everything else is secondary.

私が勝手にヒーローリストに入れている同世代、岩瀬大輔さんのブログの『ブランドも知名度も関係ない』というエントリーにあった次の箇所も最高。

私が生保業界を選んだ理由の一つも、「同世代のアグレッシブなアントレプレナーが挑戦しなそうな分野だから」「MBAの進路としてほとんどないから」ということがある。 だってほら、私が「モバイル」とか「SNS」とか「投資ファンド」とかやっていても、おもしろくもなんともないでしょう?

東大、BCG、リップルウッド(投資ファンド)、HBSの成績上位5%という口が開いたままふさがらないようなキャリアの持ち主ながらネット生保を立ち上げた人なんですが、はい、岩瀬さんが「投資ファンド」とかじゃ全然面白くないです。
ちなみに、私も岩瀬さんがあげた3つのうち、2つもかぶり気味なのでつまんないかなー、と思う今日この頃。


4 responses to “業界の旬とキャリア相談

  • わっきー

    この岩瀬さんのエントリーはすごく共感できますね。
    私も、全く前職とも世の中の人気職とも異なることを直感的に選んで転職してしまった口です。
    転職して1年、最近自分の立ち位置を何とか作りつつ思っていたのが、
    社外的にも社内的にも、随分と「ニッチ」を狙ってきたもんだなぁ、というところでした。
    なんでもかんでも変わったことをすればいいというものでもないけれども、
    自分の経験や思考を、今までそこにいた既存の立場や動き方ではできないことで、うまく生かしてみる、
    これって、やはり仕事の醍醐味じゃないかなーと思います。

  • AK

    こんにちは。
    読者としては比較的新参者ですが、楽しく拝見させていただいています。
    以前岩瀬さんの書籍で「HBSの卒業生が特定の業界に行くようになったらその業界のブームは終わり」みたいな趣旨の記述があったかと記憶しているのですが、今年のビジネススクールの卒業生はそもそも乗っかるブームすらないなか、どのような進路を歩むのか興味津々です。
    私の場合はPEで5年も働いた後にMBA留学という、ありそうだけど実はレアな経歴なので、PEに興味がある同級生からはよく話を聞かれます。が、シティの優秀なinvestment bankerが大量に職を失って職を探している中でMBA卒業生がPEに就職できる可能性は限りなくゼロに近く、そのクッションとして投資銀行に就職することすらできず、コンサルも採用数減・競争率急上昇ということで、MBA生の就職活動は壊滅的な状況です。
    金融危機のなかで色々と思うこともあった生徒が多いのか、私の学校がSocial EntrepreneurやCSRのエリアに力を入れていてその手のバックグラウンドの生徒が多いこともあり、Social Entrepreneurとして事業を始めようかという空気も多いように思います。
    (学校の雰囲気はこんな感じです)
    http://soullovers.at.webry.info/200812/article_4.html
    私の場合は日本のPEに帰りますし、日本の場合はPEは多少のブームがあったとはいえ業歴も浅くバブルにもcontroversialな存在にもなりきれなかった存在なので、しばらくは細々と続いていくのだろうと思います。ただ、Oxfordの空気を浴びたせいか、社会をよりよい方向に変えるエージェントとしての機能を担える存在になれないかと考えることもしばしばです。家族のことや、日本で働くという意味合いも含めて、内なる声と相談する日々。

  • CREA

    la dolce vitaさん
    待ってました!上で述べられたこと大変興味深いです。
    >ロールモデルにする人の生きる姿勢(価値判断をする基準とか)をお手本にするのはいいのですが、キャリアをそのままなぞるのは危険かも。
    その通りですね。キャリアのコピーにならないように少なくとも先輩方(ロールモデル)に独自色を加えて自分のキャリアを歩みたいと思います(『Ahead of the Curve』、今アマゾンで注文しました。楽しみです。)。ちなみに僕の場合、ロールモデルそのものを見つけるのではなく(見つかればキャリアの方向性が一気に決まると思いますが)、先輩方がどんなときにどんな意思決定をして現在に至っているのか、その人のキャリア形成のプロセスを注意して見たり聞いたりするようにしています。なにかその中から自分に適用できるものがないかな~と思いながら。このブログにおいても、時折la dolce vitaさんの以前の仕事場でのお話が出てきて、現在までのプロセスがつかめるので、自分だったらどうするだろう・・・などと考えてみたり(これは、ブログを書き続けられていることの他者へのメリットだと思います)。
    先週、『世界級キャリアのつくり方』読みました。今年の50日間で一番刺激をもらった本です。この本のPart3、「当事者力を磨くポイント」の中で石倉氏は次のように述べていました。
    「(中略)好きなこと、自分がコミットしたことをやっていればいくら仕事をしてもまったく疲れないことも知った。」
    ホントでしょうか??もしそうなら、ぜひ、ここまでの領域に達してみたいものです。この辺のマインドはSteve Jobsのスピーチで以下のものに近いですね。
    “I’m convinced that the only thing that kept me going was that I loved what I did.—Your work is going to fill a part of your life, and the only way to be truly satisfied is to do what you believe is great work. And the only way to do great work is to love what you do.”
    このスピーチは昨年の夏休みにシャドーイングの題材として使用していました。久しぶりに聞けてよかったです。最近はもっぱらオバマ大統領だったので。。。
    CREA

  • la dolce vita

    >わっきーさん
    >全く前職とも世の中の人気職とも異なることを直感的に選んで転職してしまった口です。
    >社外的にも社内的にも、随分と「ニッチ」を狙ってきたもんだなぁ、というところでした。
    おー、うらやましいです。 こういう方。
    「直感」をもう少し具体的に説明してくださいませ(笑)。 “have the courage to follow your heart and intuition.”と言われてもねー、「直感」を説明しようとしてる時点でダメなのかしら・・・?
    >AKさん
    こんにちは。
    >PEで5年も働いた後にMBA留学という、ありそうだけど実はレアな経歴なので
    たしかにありそうでないですよね? 私もハウスメイトがINSEAD前にPEだったので、まず「PEって何?」という質問をしたのを覚えてます。
    >金融危機のなかで色々と思うこともあった生徒が多いのか、私の学校がSocial EntrepreneurやCSRのエリアに力を入れていてその手のバックグラウンドの生徒が多いこともあり、Social Entrepreneurとして事業を始めようかという空気も多いように思います。
    昨今いろいろ思うところがある人が多いのは、私も周りでひしひしと感じています。
    Oxford、楽しそうですね! 私もIDEOには感動したんですが、たどってきたキャリアはinnovativeな要素とは無縁なような・・・
    >日本の場合はPEは多少のブームがあったとはいえ業歴も浅くバブルにもcontroversialな存在にもなりきれなかった存在なので、しばらくは細々と続いていくのだろうと思います。
    日本のPEには何人か同級生含め友人がいるので、注目しております。 内なる声との相談結果も楽しみにしています。
    >CREAさん
    ネタを提供して頂きありがとうございました!
    >先輩方がどんなときにどんな意思決定をして現在に至っているのか、その人のキャリア形成のプロセスを注意して見たり聞いたりするようにしています。
    ネットの普及で疑似OB訪問ができる最近の学生はうらやましいなー、とよく思います。 私のキャリア選択なんてめちゃくちゃ浅かったような・・・?
    >好きなこと、自分がコミットしたことをやっていればいくら仕事をしてもまったく疲れないことも知った。
    私の場合、仕事に没頭しすぎて(パソコンの使い過ぎで)手首が腱鞘炎になったりしました。 「精神的に」疲れないってことかな?

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