インドITエンジニアにみるデジャブ

インドのよかったところはインド国内の英字新聞や英字雑誌が多いので、インド視点のニュースが生で手に入るところでした(空港・ホテル、何かと待たされる国なので、読む時間はたっぷりあり)。
私たちの滞在中、一番大きな経済ニュースはITアウトソーシング大手Satyamの決算粉飾でしたが(下記)、私が一番注目したのは週刊誌Business Today(だったかな?)に載っていたITエンジニアの大量失業の記事。
REUTERS : Accounting scandal at Satyam could be India’s Enron
過去数年間にInfosysやWiproなどインドIT大手の勃興、欧米系IT大手の相次ぐインドへの進出により、200万人以上とも言われるITエンジニアを生み出したインドIT産業が世界不況により業績悪化しており、(今まで需要が供給に追いつかなかった)ITエンジニアを初めてリストラしている、との話。
その記事は初めての危機に直面した若手ITエンジニア(そして広くは高等教育を受けた若い知識産業従事者)に向けて書かれており、「これからは今までのようにジェネリックなスキルだけではいけない。 より高度で成長分野の知識・スキルを身につけて他者と差別化をはかろう」と結ばれていました。


読みながらものすごくデジャブを感じてしまった私。
これ、このままコピって先進国に住むエンジニア向けの記事にできません?
世界に衝撃を与えた『フラット化する世界』って国際分業によりアメリカのIT産業の一部がインドにアウトソースされてしまい、元々その業務に従事していた人が職を失った、アウトソースされないような特化スキルを身につけよう、って話じゃなかったでしたっけ? それが、インド人エンジニアも特化に向かうとは(いずれ起ることだったとしても、わずか数年後には起るとは・・・)
以前、勝間さんが「短期トレンドに乗って就職/転職するのはよくない」として例としてSE(システムエンジニア)をあげていました(ごめんなさい、出典忘れてしまいました)。 「Y2K(2000年問題)特需のときのSE大量採用のことかな?」と思ったのですが、あの頃、就職氷河期だったので需要のあるところに就職していくのは、ある意味自然の流れというか・・・ インド人ITエンジニアも需要があるからエンジニアになろうと思ったわけで。
そう考えると、一昨年まで人が流入していた金融業界も世界経済が回復する頃にはだいぶ違った景色(プレーヤー、金融商品、人員配置)になっていると思うので、最盛期に業界が抱えていた人数をまた(違った形でも)吸収できるのか、というのは疑問であります。
これだけ振れ幅が激しい世の中になると、長期トレンドを見極めながら短期の身の振り方を考えるのが非常に難しいです。


5 responses to “インドITエンジニアにみるデジャブ

  • CREA

    『フラット化する社会』を今、原著『The World Is Flat』で読んでいます。
    文章自体は読みやすいのですが、量が多く、(もしくは自分の読むスピードのためか)
    なかなか進んでいませんが。
    インドへのアウトソーシング、中国におけるオフショアなど自分の知らないところで
    いつの間にか仕事がそれらの国々へ持っていかれていたとは・・・
    こんな現代、彼ら(インド人や中国人)に市場価値で負けないようにとるべき戦略は、
    「付加価値を生み出す仕事をすること」
    というのが、いろんなところから聞こえてきます。
    さらに、代替不可能な人材になる、自分の名前で仕事をする、など会社名や肩書に頼らず
    高い専門性と創造性を兼ね備えた人材へ自分を磨きあげよう、ということらしい。
    僕の生き方のベクトルもこの考えとそろっているので、20代は一心不乱に勉強と仕事に
    打ち込もうと最近決めました。
    ようこさんの最後のご指摘で思い出したのですが、マネックスの松本大氏は、去年の(金融危機の前ですが)
    ある就活雑誌の中でのインタビューの中でこんなことを言っていました。
    「もし今僕が就活生だったら、絶対投資銀行なんか入らないけどな。
    実際僕がそこへ入ったのは投資銀行業界が栄えてきて10年くらいしたときで一番勢いがあった。
    そこからもう20年経った今、もう外資金融の伸び時期はもう終わっている。
    成功して盛り上がった後に相乗りするのは時代遅れ。」
    金融危機で新卒採用はますます減少している中で、ようこさんや松本氏のコメントは就活生にとって
    キャリア選択を考える上で非常にためになる、と感じました。

  • snowbees

    ■「ビッグマック指数」の見方
    QTE
    となると、一番価格に響くのは、従業員の人件費と土地代だろう。上の現在の価格表では、ビッグマック1つを、日本の280円より安く買える国は5つある。香港の156円は土地代の高さを考えると確かに安過ぎる感じはあるが、中国系の安い労働力が使えそうだし、場所がら、日本より違法労働が横行しているかもしれない。
     164円の南アは白人支配の格差社会で、安い黒人労働力の賜物だろう。となると、シンガポールと、OECD加盟のオーストラリア・ニュージーランドあたりが「安すぎる、為替が行き過ぎだ」という結論になる。肉の調達で現地調達してそうだから輸送費が安いのかもしれないが。UNQTE
    http://www.mynewsjapan.com/blog/masa/14/show
    http://www.mynewsjapan.com/blog/masa/14/show

  • la dolce vita

    >CREAさん
    >「もし今僕が就活生だったら、絶対投資銀行なんか入らないけどな。
    >実際僕がそこへ入ったのは投資銀行業界が栄えてきて10年くらいしたときで一番勢いがあった。
    >そこからもう20年経った今、もう外資金融の伸び時期はもう終わっている。
    >成功して盛り上がった後に相乗りするのは時代遅れ。」
    めっちゃくちゃ松本さんの言っていることわかります。 私が最近考えていたこととほとんど同じ。
    紹介ありがとうございます。 すごく重要なポイントだと思っているので、後日、別エントリー立てて取り上げますね。
    あっ、ブログ上では私の本名を知っている方も知らない方も「la dolce vitaさん」でお願いします(笑)。
    >snowbeesさん
    最近のビックマック指数ですね。
    たしかに、ユーロやポンドはこれだけ下がってまだ日本より高いのか、という感じ。
    ただいつもビックマック指数見て思うんですが、日本マクドナルドは世界のマクドナルドから経営の独立性を保っていると思うので、単に日本マクドナルドの営業努力(もちろん業界の競合状況など鑑み値付けがされる)で安い、という要素は勘案しなくていいのか?と。

  • junko

    私も「フラット化する社会」読みました^^(図書館で予約したら、ものすごい待ち人数で届くのに随分時間がかかった・・・)
    >、「これからは今までのようにジェネリックなスキルだけではいけない。 より高度で成長分野の知識・スキルを身につけて他者と差別化をはかろう」
    これ、すごく考えます。幸い不況には強い職業なので本当にありがたいのですが、自分のスペシャリティーを極めていくのがよいのか、それともジェネラリストを目指すべきなのか、とか、そもそも、自分ってどれくらいの市場価値のある人間なのか、とか。うちの業界?の場合「その人の価値=年収」とならないから余計ややこしい。
    最近、「ハゲタカ」というバブル崩壊後の日本経済を描いたNHKのドラマをDVDで観たのだけど、企業がリストラをせずに再建をはかるというのは難しいのかなぁ?人間はモノじゃないんだから・・・。ワークシェアリングとかでワークライフバランス&少子化を見直す絶好の機会なのにね。

  • la dolce vita

    >junko
    >幸い不況には強い職業なので本当にありがたいのですが、自分のスペシャリティーを極めていくのがよいのか、それともジェネラリストを目指すべきなのか、とか
    お医者さんって部外者として思うんだけど、経営者視点を持ってもっともっと工夫できるだろうに、という思いと、全員が美容外科になっちゃったら産婦人科や小児科がいなくなって困るな、という思いと両方あるねー
    ちなみに、歯科医の友達(かなり高度に特化した歯科医らしい、英語で説明されてわからなかったけど)いわく、不況でずいぶん患者が減ったらしいので、内容によるんじゃなかろうか?

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