我が家にシンガポール税務当局(IRA)から封書が届きました。
開けてみると、2008年度支払った個人所得税の一部還付のお知らせ。 S$2,000(= 約12万円)を上限とし、毎月一定額が還付されるそう。
1月22日発表になった2009年度予算は史上最高額となる総額205億シンガポールドル( = 約1.2兆円)となり、初めて政府準備金からも拠出するとのこと。
シンガポール政府の予算専門ウェブサイトに詳しく載っていますが、REUTERSから予算の内訳を引用しておきます。
REUTERS : シンガポールが予算案発表、137億ドル規模の景気対策盛り込む
— 職業訓練など雇用対策(S$51億)
— 銀行融資促進対策(S$58億)
— 企業向けの補助金・優遇税制(S$26億)
— 世帯向け支援策(S$26億)
— インフラ・教育・医療対策(S$44億)–法人税率を18%から17%に引き下げ。 2010賦課年度から実施。
–2009賦課年度の個人所得税を20%還付。
今年のスローガンは”Keeping Jobs, Building for the Future”ということで、シンガポール国民を雇っている企業には1年間、給料の一部を政府が負担(S$2,500を上限とし12%負担)する”Job Credit”の実施など雇用維持が優先。
相変わらず、やることが大胆です。 シンガポール国民だけでなく、永住権保持者にもBenefitを拡充してほしいもんだが、やっぱり有事には自国民優先になってしまうのはしょうがないのか。
シンガポールは貿易立国なので輸出の低迷と金融サービスの不振のダブルパンチで今年のGDP成長率はマイナス2 – マイナス5%の予想。 シンガポール建国以来の長期不況になるそう。
この政府の予算ウェブサイトは非常によくできていて、”if i were the finance minister”というゲームでは、国家予算のどの項目をどれだけいじればどのくらいのインパクトがあるか、実際操作して体感できます(右のバナーをクリックしてみてください)。
以前、シンガポールのGST(消費税)が5%から7%に上がったとき国民から大ブーイングが出たのですが、私は仕事を一緒にしていたシンガポール人とこのゲームをやったところ、GST 1%の増減が与えるインパクトの大きさは一目瞭然。 政策に納得したのでした。
日本もこのゲームどうでしょう?
定額給付金の是非論もいいんですが、政府の台所事情をもっと普通の人に分かりやすくして、どういう税制が必要なのか議論をみんなが共有できるようにすることも大事かと。
また、予算案発表直後にリー首相から国民向けにメッセージが発表されました。
Prime Minister Lee’s Chinese New Year Message 2009
みんながわかるような英語で危機を乗り切る覚悟を求める呼びかけがなかなかいいのですが、私が面白かったのは、下記のくだり。
A recent survey by OCBC found that this year the top three Singaporean dreams were starting a family, settling down, and buying home. In contrast, last year’s top three dreams were seeing the world, self-improvement and making money.
OCBC(シンガポールの銀行)の最近の調査によると、今年のシンガポール人の夢Top 3は、家族をスタートする(子どもを持つ)、落ち着く(結婚する、もしくは人生のパートナーを見つける)、家を買う。 対して、去年のTop 3は世界を見る、自己啓発、お金もうけ、であった。
私は去年前半くらいまで、シンガポールに来たばかりの日本人に「シンガポール人って初対面なのに家賃や給料などお金のことばかり聞いてくる」「すごくmateriaristic(物質主義者)!」という感想(不満)を聞くことが多く、「まあ、中国人だからねー」と答えていたのですが、空前の好景気のなせる業だったのか?
以前、シンガポールの少子化対策のエントリーを書きましたが、究極の少子化対策は将来への不安による原点の価値観(家族など)への回帰なのかもしれません(こちらも参考→『不安定な時代のZEN』)。
February 11th, 2009 at 1:28 pm
一年で夢がそんなに変わるの?!方向性がまったく違うじゃないか。ちょっと驚き。笑っちゃいかんが笑える。それって景気の問題だけなのか?
February 11th, 2009 at 1:36 pm
素晴らしいコメント、駄ブログにありがとうございます。
If I Were The Finance Minister、これ最高に面白いですね。どれくらいのシンガポール国民がこのゲームやるのか、そのあたりがとっても気になりますけど。うふふ
February 12th, 2009 at 10:41 am
>ジジ
>笑っちゃいかんが笑える。
たしかに笑える。 日和見というか朝令暮改というか、That’s Singaporean.って気もして、妙に納得もする。
>加藤順彦さん
>どれくらいのシンガポール国民がこのゲームやるのか、そのあたりがとっても気になりますけど。
あまりやらないでしょうねー。 2年前に初めて知ったときより、ずいぶんインタラクティブになってパワーアップしてます。 妙なアニメも不思議です。