そのサイズのわりには政治的にも経済的にも文化的にも地味なゆえ、Wall Street JournalやFinancial Timesのトップページを飾ることのない国、オーストラリア。
そんな夫の母国が先週のThe Economistの特集でした。
簡単にまとめるとこんな内容。
オーストラリア経済の成功を1. 豊富な資源に恵まれている、2. 資源需要旺盛なアジアの隣にいる、という二重の幸運と片付ける人が多いけど、オーストラリアは20年間にわたって不況を経験していない唯一の先進国。
1997年のアジア通貨危機も2001年のITバブル崩壊も最近の世界金融恐慌も乗り切った。 さすがに誰かが何かしたからこその成功でしょう?
とし、経済・移民政策・環境問題・政治・外交までフルにカバーした力作。 とっても面白かった、ほんとThe Economistの分析力・筆力は卓越してます。
IMAGINE a country of about 25m people, democratic, tolerant, welcoming to immigrants, socially harmonious, politically stable and economically successful; good beaches too. It sounds like California 30 years ago, but it is not: it is Australia today. (The Economist : The next Golden State)
人口2,500万人、民主的で寛容、移民を歓迎し、協和的な社会、政治は安定し経済も順調、美しいビーチもある。 なんだか30年前のカリフォルニアみたいじゃない? いや、今日のオーストラリアなんだよ。
と誉め殺しから始まります。
私は夫がオーストラリア人なので、もちろんオーストラリアに住むことも真剣に考えたことがあるのですが、
- 世界のほぼすべての国から遠い(→海外旅行はすべて長期休暇を利用することになり、旅好きな私たちにはつらい)
- 外国人は多いから住みやすいのだろうが(*1)、そのほとんどがアジア移民・もしくは(歴史的結びつきのある)イギリス系であり、グローバルにオポチュニティーを求めて移動していくタイプの人たちはあまりいない(→これはビジネスのほとんど(資源系以外)がドメスティックだから、と思う)
*1・・・オーストラリアの人口2,200m万人のうち26%が外国生まれ、カナダは21%、アメリカは14%、イギリスは10%(The Economist : The evolving platypus)
以上の点がネックでした。
世界中からタレント(頭脳)を惹き付けるカリフォルニアのような社会、若者や起業家が住みたがる社会は1日では成らず、アーティスト・起業家・慈善家・市民団体・政府がそれぞれの役割を絶好のタイミングで演じる魔術がはたらいて形成される。 オーストラリアはまさにそのタイミングにある。(中略)
ほとんどのオーストラリア人は類いまれに成功した社会に住んでいるありがたさを感じておらず、(中略)政治家はこの世界で影響力を発揮するチャンスに内向きになりbig pictureが見えていない。(中略)
オーストラリアに必要なのは自信(自分を信じる気持ち)だ。
住みやすさなどさまざまな指標で上位にランクするオーストラリア、世界の誰からも嫌われていないオーストラリア・・・
今まで注目されたことがなく、何でもソツなくできてしまうクラスの良い子ちゃんは1番になって目立つのが嫌なのかも。
オーストラリアの特性について秀逸なまとめもどうぞ。 住んでる方、くすっと笑えますかー?
the relative absence of conspicuous consumption (and, it has to be said, a certain lack of style in everyday dress); the evident democracy of the beach and the park; the practice of passenger and driver sitting side by side in taxis; the general amiability of discourse; the pervasiveness of a café society based, for the most part, on small enterprises producing their own excellent coffee (Australia, inventor of the “flat white”, has all but seen off Starbucks, which closed 61 out of its 85 Australian cafés three years ago, having found that anything it could do the Aussies were already doing better)
June 7th, 2011 at 3:02 pm
世界中からタレントひきつけてるのはCAの中でもシリコンバレーだけじゃないかな。残りのカリフォルニアは、LAも含めてオーストラリア状態かも。
June 7th, 2011 at 3:14 pm
こんにちは!以前コメントをのこした、オーストラリアにすんでるものです。ようこさんは覚えてらっしゃるかはわかりませんが。1と2はビンゴですね。1は特にわかります。飛行機代がとりあえず高いんですよね。どこへ行くにも。わたしのすんでいる都市Perthは西で、どちらかというと東南アジアよりなので、国内のメルボルンへの旅行よりも、インドネシアやバリにいく方が、飛行機代、ホテル代と食事代を考えるとよっぽど安かったりします。2も、そうですね。場所柄、アジアからはインドネイジアン、チャイニーズ、ベトナムそしてマレイジアからの移民が多いですね。ヨーロッパでは、イギリス系はもちろんのことイタリア系もすごく多いですね。インディアンも多いかな。アメリカに比べるとおそらくアイリッシュは少ないと思われます。ファミリーネイムなどもアイリッシュ系は少ないですね。
経済も順調ですね、ただ今回自然災害が相次いだため、供給がさがり、野菜の価格の値上がりがはんぱないです。バナナなどは1キロあたり$12以上はしてますね〜。
オーストラリアの特性のやつも見事についてますね笑 服装はみんな同じにみえます。個性的な服装はあまりみないですね。わたしのまわりもみんなおそらく”無難”が好きだと。カフェ文化も早くにやってきたイタリア系の移民の影響で強いですね〜。カフェ文化が強すぎてスターバックスが太刀打ちできないんでしょうね。ちなみにわたしのいる都市にはスターバックスがありません(残念!)
*長文しつれいしました
June 8th, 2011 at 1:28 pm
>NSさん
NSさんは南カリフォルニアでしたっけ?
>世界中からタレントひきつけてるのはCAの中でもシリコンバレーだけじゃないかな。
LAに世界中からタレントを惹き付けるハリウッドがあるから、シリコンバレーとLAまとめてカリフォルニアと言うのだと思います。 映画関連産業への従事者がどのくらいいるのかわかりませんが。
>Ayakaさん
>わたしのすんでいる都市Perthは西で
パースは「人口100万以上のNext city」から世界で最も遠い都市(つまり世界で最もisolateされた都市)って聞いたことあります。 遠いですねー
メルボルンからパースに行くのなんてほんと外国行くのと変わりませんもんねー
>カフェ文化も早くにやってきたイタリア系の移民の影響で強いですね〜。
>カフェ文化が強すぎてスターバックスが太刀打ちできないんでしょうね。
オージーコーヒーについては以前熱く語ってます(↓、笑)
http://www.ladolcevita.jp/blog/global/2009/10/post-265.php
ニューヨークはイタリア移民がいるのに、コーヒーまずいでしょ?(笑) あれはニューヨークに移住した当時はまだエスプレッソマシーンが発明されてなかったからだそう。
オーストラリアに移住した時はエスプレッソマシーンを持って渡ったから、オーストラリアでは美味しいんですよ。 早すぎてもダメなんですねー、という豆知識。