Category Archives: 時事

すでに少子化問題は手遅れだけど – 1

私が『さらに少子化を考える』というエントリーを書いたのはちょうど5年前ですが、ここに来て随分日本のネットメディアで取り上げられることが多くなったなー、と思っていたら、安倍政権が「50年後に人口1億人維持」を掲げ、その目玉が少子化対策なんだそう。

無理めな高い売上目標を掲げるのは企業ではよくあることですが、その中身は他企業の買収が中心だったりして、とりわけ巨大企業が成熟業界において自社内リソースだけで持続的成長を遂げるのってすごい難しいんですよー
しかもこれを実現しようとすると、

2030年を目処に合計特殊出生率を人口置換水準である2.07まで引き上げなければならない(ハフィントンポスト:『少子化対策を真剣に考える――異端的論考3』より)

そうで、今の出生率が1.4前後なのでこれはおそらく今までどの先進国も成し遂げたことのないレベルです。

団塊ジュニア世代に属する私は昔から子どもが2人は欲しかったので、子どもを産み育てる人生を随分前から自分ごととして考えてきました。 少子化対策は15年くらい前から行うべきで、マクロで見ると出産適齢期の女性がどんどん減少するこれからではとっくに手遅れだと思いますが、当事者としてどういうことを考えるのか、ということを書いてみたいと思います。
子どもを産み育てる当事者として男女問わず考えるのは、自分の子育ての①長期展望と②短期展望です。
短期展望の話は次回にして今日は長期展望の話。
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郵便番号で差別される社会

話題になっていたNHKクローズアップ現代の『”独立”する富裕層 – アメリカ 深まる社会の分断』をYouTubeで見ました(→こちら、すぐ消されると思うのでお早めに)。 アメリカで富裕層が自分たちだけの自治体作りに動き出しているというドキュメンタリー。
出版当時大きな話題となったチャールズ・マレーの『Coming Apart: The State of White America, 1960-2010』(邦訳:『階級「断絶」社会アメリカ: 新上流と新下流の出現』)をまさに地でいく内容。 この本の内容をご存知ない方は橘玲さんの『アメリカ社会は人種ではなく“知能”によって分断されている』とGen Shibayamaさんの『頭がよくないと、まともな暮らしができないのか?』をどうぞ。

自分たちのための自治体をつくるという立法・行政・司法まで踏み込んでいるのが、さすが世界でいち早く変化が起こる国アメリカだなー、と思いましたが、知能・経済力による居住地域の分断・コミュニティ化というのはすでに世界各地で起こっています。 ロンドンは独特の都市政策の結果、ストリート(通り)レベルで住民が異なり、コミュニティー化しています(→『都市内部での(自発的)コミュニティ化』『家探しでわかる都市政策』
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1人で育児はできません。

Pirate Birthday Cake週末は長男の4歳の誕生日だったので、初めてナーサリー(保育園)のお友達を呼んでうちでパーティーをしました(右は夫の手作りバースデーケーキ)。
振り返ってみると一番大変だったのは長男が2歳、次男が赤ちゃんのときで(→『一生忘れたくない瞬間リスト』)、あとはそうでもなかった・・・ あー、でもこういう(→『初めの2年の生き抜き戦略』)ブログ書いてたくらいだから単に記憶が飛んでいるだけかもしれません。

子どもの誕生日って一応本人に向かって”Happy birthday to you〜♪”って歌うけど、実態は「自分たち、よく頑張ったねお疲れさん会」であり(そのお疲れさん会をするのにまた疲れるんだけど、笑)、「たくさん助けてくれた周りの人、ありがとう会」なんだと思います。 昔、親に「自分ひとりで育ったような顔するな」と言われて適当に受け流していましたが、今では心底わかります。
こちらの日本人ママ友(3児持ち、夫は不在がち)が常々「日本で3人育てられなかったと思うけど、ここなら3人でも余裕」と言っていますが、双方の実家が遠いため頼れない私でも、確かに育児に「孤独感」がないんですね、ほとんど。
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有事のロンドン買い

有事のロンドン買いが続いています。

2008年にはじけた世界的な住宅バブル、イギリスでもはじけたはず、でした。
ところが下右の表を見るとわかるように、イングランド北部は住宅価格が下げ止まらないのに対し、ロンドンでは上がり続けバブルのピークをすでに大幅に上回っています。 収入に対する住宅ローンや家賃の比率も上がり続けています(The Economist: The rubber bubble)。
UK house price
住宅価格の高騰はロンドン中心部で顕著で2012年7月からの1年間で9.7%も上昇しました。 まだユーロ危機も続き、景気回復の足取りも鈍いイギリスの首都で年間10%の上昇です。 これにはロンドン市民の可処分所得・失業率・住宅ローン税率など通常の住宅購入を決める要素だけではない、別の力学が働いています。 それが「国際的な安全資産」としてのロンドンです。
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働く女が産んでいる。

今週は英ガーディアン紙の記事”Why have young people in Japan stopped having sex?”(なぜ日本の若者はセックスをやめた?)が大きな話題となり、Washington PostやらTIMEやら各メディアが飛び入り参加して盛り上がっていました。
刺激的なタイトルはさておき日本の諸問題の元凶は少子高齢化なので、そこにつながっている非婚・非交際に疑問の焦点が当たるのはまあ自然かなーと思います。 というのも、欧米諸国の中には戦後下げ続けた出生率が1975-80年を境に下げ止まり反転している国があり、その傾向が顕著になっているからです(出生率が上がっている国は米・仏・英・北欧諸国。 詳しくは→『さらに少子化を考える』)。

そしてついにBCA Researchという独立系リサーチ期間から”The Coming Baby Boom in Developed Economies”(先進国にやってくるベビーブーム)というレポートまで出ました。 私はロンドンのベビーブームの煽りをもろにくらっている(*1)ので、「ついにきたーーー!」って感じ。
*1・・・産科のベッド数が足りない、ナーサリー(保育所)が足りない、極めつけは小学校の定員が全然足りない!!! 大変なことになってます、ロンドン。『犬と子どもとイギリス人』
とっても面白い内容なので“The Economist: The coming baby boom?”からポイントをまとめます。
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新セレブな生き方は田舎暮らし

数ヶ月前に病院の待合室で読んだ英女性ファッション誌『Harper’s Bazaar』にとても面白い記事がありました。 女性ファッション誌は病院の待合室か美容院で髪を切ってもらってる最中しか読まないのですが、時代を読む視点で読むとあなどれない。面白かったです。
Nouveau Peasant image board
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「あなたの選択は正しいのか?」と問われ続ける3歳児

少し前に話題になっていた上田大使のシャラップ発言を今さらながらYouTubeで見ました。

内容は知ってたのに、一瞬背筋が凍った。 あちゃーーー、これ公の場で、この立場の人がやっちゃったんだ・・・
とりわけ感情を表に現すことを恥じるイギリスでは、いい年をした大人が他の大人を怒鳴るのは、ほとんど見ることはない光景です。 駅でこういう人を見かけても凍るのに、さぞかし同席していた委員の方々は凍り付いたことでしょう。

もうひとつビデオを見て背筋が凍った理由があります。
まるで長男(現在3歳4ヵ月)を怒鳴ってる私ではないか・・・
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新しい家族のカタチ

nuclear_family少し前にThe Economistで面白い記事があったので紹介。
ひと昔前のアメリカ映画に出てくるような核家族、会社員のパパと専業主婦のママに子どもが2人という家族のモデルが崩壊し、このような家族は全世帯の中で少数派になった、と言われて久しいですが、イギリスでもだいぶ前から崩れています。
離婚率は上昇し、婚外子の割合は5割にまで上昇、そして出生率は低下し続けていました、ごく最近までは。

ところが、数十年続いてきたこの傾向に歯止めがかかり、新しい家族のカタチ、それも以前の均質的な核家族の形とは違った3種類のモデルが見えてきた、という記事です(The Economist: The post-nuclear age)。
以前、『カリフォルニアを見よ』というエントリーで

世界を変えるような大きな時流(メタ・トレンド)ってまずアメリカのカリフォルニアで発生して、それがすごいスピードで打たれて叩かれてテストされて、こなれたり改善したりローカライズされて、世界の中でも時流が回ってくるのが早い場所から順にぐるーっと回ってくる

と書きましたが、技術のトレンドではなくDemographics(人口動態)であれば、世界の先進都市では同時的に同じような傾向が出てきます。 このThe Economistの記事はイギリスの家族の形の変化として書かれていますが、先進国はどこもこういう傾向が出てきているのでは、という点でとても面白かったです。
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直感と信念の人

今日は『正しい判断は、最初の3秒で決まる』という本の紹介(献本御礼)。

著者の慎泰俊さんとはTwitterで知り合いました。 「なんだ、そりゃ?」って感じですが、共通の知人がたくさんいて気づいたらつながっていました。 以前も著書のNGOの取り組みに関する本を頂いてブログに書いています(→『すべての子どもは愛情を浴びながら育つ権利があると信じている人へ』)。 「いつかお会いしましょう」などと言っていたのですが、本当にイギリスに来るたびに会いにきてくれました、こんなロンドンの端っこまで。

初めて会ったときは生後4ヵ月の次男を連れてランチ、腕の中で動き回る次男を片手で押さえつけながら話をしたので、とても落ち着ける状況ではなかったのですが、ちょっと私の中で電気が走った瞬間がありました。

静かな、落ち着いた声で

僕、これから起業するんです、マイクロファイナンスの事業で。 これからは世銀みたいな役割を民間が担う時代がくると思うんですよね。

と言われました。
世銀ですよ、世銀。 世界銀行。
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赤ちゃん連れの飛行機 – イギリス編

2週間くらい前に全国の赤ちゃん連れを震え上がらせたこの記事(→『再生JALの心意気』)、「飛行機に乗ったら赤ちゃんの泣き声がひどくてブチ切れたのでJALにクレームを入れた」という漫画家さかもと未明さんの記事です。
2周くらい周回遅れだけど気になっていたのでイギリスの話。

なぜイギリスの話を出すかというと、別にイギリス賛美をしているわけではなく、社会が非常にロジカルに構成されているから。 社会が阿吽の呼吸で動いているのではなくロジック(論理)で動いているため納得感があるし説明がしやすいのです(ロー・コンテクスト文化については以前もこちらに書いています)。
Public Choice Matrix『当事者性と専門性』に引き続き2 x 2マトリックス登場。
社会はこのような場によって形成されていると思います。 縦軸はその場がパブリックであるかプライベートであるか。 横軸は赤ちゃん(or 幼児)連れにとって、その場に行かない(もしくは人に預けて出かける)という選択肢があるかないか。

①はパブリックな場であるが、赤ちゃん連れにとって他の選択肢がある場合。
②はパブリックな場で、かつ他の選択肢がない場合。
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