今日は『正しい判断は、最初の3秒で決まる』という本の紹介(献本御礼)。
著者の慎泰俊さんとはTwitterで知り合いました。 「なんだ、そりゃ?」って感じですが、共通の知人がたくさんいて気づいたらつながっていました。 以前も著書のNGOの取り組みに関する本を頂いてブログに書いています(→『すべての子どもは愛情を浴びながら育つ権利があると信じている人へ』)。 「いつかお会いしましょう」などと言っていたのですが、本当にイギリスに来るたびに会いにきてくれました、こんなロンドンの端っこまで。
初めて会ったときは生後4ヵ月の次男を連れてランチ、腕の中で動き回る次男を片手で押さえつけながら話をしたので、とても落ち着ける状況ではなかったのですが、ちょっと私の中で電気が走った瞬間がありました。
静かな、落ち着いた声で
僕、これから起業するんです、マイクロファイナンスの事業で。 これからは世銀みたいな役割を民間が担う時代がくると思うんですよね。
と言われました。
世銀ですよ、世銀。 世界銀行。
激辛四川の麻婆豆腐を食べながら初対面でそんなこと言われて電気が走ったのですが、その時、私は直感的に「あー、きっと彼は誰に何言われてもやり遂げるんだろうなー」と思いました。 私は出産を機に時間の使い方を変えたので、日本のメディアはほとんど見ない、彼の活躍も部分的にしか知らないのですが、こういうのって世間の評価ではなく、本人だけを見て、会って数分でも感じるもんなんですね。
慎さんの新著『正しい判断は、最初の3秒で決まる』は、彼がどうやって直感を研ぎすまし、信念を持ってこの世界で突き進んでいこうとしているか、を書いた本です。 この本を書くために200冊以上読んだそうですが、あとがきの次の一節が最高です。
私のような若造が直感と信念について書くのはおこがましいかもしれません。
確かに、私が何か大きな事業を成し遂げ「この本を書く資格」ができたあとに、直感と信念というテーマで本を書いたら、それはより大きな説得力を有するでしょう。
でも、それは、この本のテーマからすればおかしいと思うのです。 というのも、この本で主張しているのは、「まだ定かになっていないもの、周囲から当初は受け入れられもしないもの、初期においては不完全なものこそが世界を変えるのだ」ということだからです。 私が将来(運良く)事業に成功してからこのテーマを書くのは、どことなくあと出しジャンケンなのではないかと思います。 成功したらその要因について何だって言えます。 しかし、それが再現性のある成功要因である保証はほとんど存在しないのです。
普通、人は転んだときに恥ずかしくないように、あまり大きな夢は大きな声で言わないものです。 多くの人は大きな夢を描くことさえしないでしょう。 彼にはそういうところが微塵もありません。
最近「すごい年下」に会うことが増えてきました。 梅田望夫さんの「自分より年上には会わない」宣言(→こちら)、5年前に読んだときは「すごいな」とは思ったものの腑には落ちなかったのですが、最近それがわかるようにもなってきました(この梅田さんの宣言にはライフネット生命の岩瀬さんや酒井譲さんら、いろいろな人が影響を受けています)。
慎さんは「すごい年下」の筆頭です。
未来の世銀の黎明期を見せてもらえたことに感謝しつつ、私も小さく縮こまってず、もう1度大きな空に向かって飛びたいなーと思っています。
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