Category Archives: IT・テクノロジー

ギークと普通の人の間

前も『海外就職における「日本の力」』に書いたのですが、梅田さんの「自分の力と時代の力」講演録は示唆に富むので、今日もそこから。

僕の場合は、「誰もやっていない新しいこと」というのに惹きつけられたために、当時の最先端であったITをやってきた

という箇所を読み思うところがありました。
私はずっと(最先端ではなくとも)先端テクノロジーをビジネスサイド(事業化・投資・アドバイス)からやっています。 だからといって先端テクノロジーが大好きかというとそうでもなく、『ガラパゴス化する日本』にも書いたとおり消費者としての私はアーリー・マジョリティー。 技術は『キャズム』を超えないと消費者としての私にはたどり着きません。
Wikipedia : キャズム(書籍)
今も周りがスマートフォンだらけになってきて、携帯(ソニエリのウォークマン携帯)は通話とSMS機能しか使っていない私もさすがに肩身が狭くなってきました(i-mode以降の携帯技術革新を経た日本と海外は全く状況が異なり、携帯の使い方だけは10年前に戻った感がある)。
基本的に男性が多い業界で、しかもギークとかガジェットオタクとか「3度の飯より技術(ガジェット)が好き」な人たちと比べると、私は技術もあまりわからないしすごい情熱もないし・・・、と肩身が狭くなることはしばしば。
そんな私がなぜこういうキャリアになってしまったかというと新卒で入社した総合商社での配属先がIT部門だったため(社内システムの部門ではなく事業領域としてのIT)。

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豚インフルと群衆の叡智

豚インフルエンザ(*1)が猛威を奮っています。 私の周囲でも弟がメキシコ旅行をキャンセルしたり、Mさんの来週に迫った結婚式にアメリカから来るはずのゲストが出席をキャンセルしたり、余波が広がっています。
*1・・・インフルエンザA型に名前が改められたらしい。
REUTERS :豚インフルを「インフルエンザA型」に変更、食肉産業に配慮=WHO
そして思い出したのが、以前読んだ『The Wisdom of Crowds』(日本語訳:『「みんなの意見」は案外正しい』)。
この本は、一握りの天才や、専門家たちが下す判断よりも、普通の人の普通の集団の判断の方が正しい、という爽やかな内容なのですが、一番面白かったのが、情報技術の発達により情報が即座にシェアできるようになり、SARS撲滅のために世界中の科学者が協力して以前の伝染病発生時には考えられなかったようなスピードでウイルス発見できた、という話。
SARSウイルスの発見は、WHOの主導でフランス、ドイツ、オランダ、日本、アメリカ、香港、シンガポール、カナダ、イギリス、中国の各国にある研究所に、ウイルスの発見、分析に協力するよう求めたことがきっかけとなり、国際プロジェクトが発足。 文字通りround the clock(24時間体制で)で研究した結果(1日が終わると研究者はその日の結果をシェアし、起きているタイムゾーンにいる研究者がその結果を利用しながら続ける)、その1ヵ月後には、コロナウイルスがSARSの原因であることが解明されたそう。
今も全く同じことが世界の伝染病研究者の間で行われているのだと推測します。 ウイルスの撲滅は彼らの手にかかっている。
もちろん被害にあった人は大変お気の毒なのですが、私は伝染病研究には何の知識もネットワークもないけど、「もうすぐ発見されるからね!」と勝手に思っている。 どうなんだろう?

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Susan Boyle現象に見る新旧メディアの逆転

先週書いたばかりのSusan Boyleですが、日に日に英米マスメディア(新聞、テレビ)でのSusan Boyleセンセーションがすさまじくなっている(らしい)のにすっかり興ざめしつつある私。
Susanに興ざめしているのではありません、マスメディアに、です。
彼女のプライベートを洗い出したり、外見をmakeover(変身)させるか真剣にテレビで討論したり、彼女の生い立ちや外見にフォーカスしたものが多く、「そこがポイントじゃないだろー」みたいな。
リンクを貼るまでもないので、興味のある方はYouTubeで検索するといろいろ出てきます(CBSとか)。
フィーバー(死語?)の初期の頃(といっても先週の話)、マスメディアの雑音なしに純粋にYouTubeのリンクからSusanの歌う姿を見て(もちろんこれも“Britan’s Got Talent”が編集しているわけだけど)、”I dreamed a dream”の歌詞を地でいく姿に涙した情報感度の高い人たちは、もうすでに別の話題に移ってます。
さて、今回の件で圧倒的な存在感を見せつけたのは、YouTube。
ただ、YouTubeだけではここまで広がらなかったわけで、友達のお勧め文と共に貼られたYouTubeのリンクをFacebookのstatus updateやTwitterで見た人たちが次々に「私も感動した~」と各自の言語で書き込んでいったことから、世界中でYouTubeのSusanビデオクリップを観た視聴者が雪だるま式に増えていったのです。
私はすでにテレビは全く見ないのですが(→『私の情報ソース』)、今回の一件でますますテレビ放送業界がガラガラと音を立てて崩れていくのが聞こえた気がしました。
TV_rating.jpg最近のthe economistにアメリカのプライムタイムの地上波tv視聴率の推移が載っていました。 目を覆いたくなるような状況(ただし、ケーブルtvや衛星放送でtvを観る人は増えている)。
The Economist : Changing channels
日本の数字では、各メディアに集まる広告費の数字が面白い。
電通:日本の広告費

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イギリスで新たなスター誕生

友達のmixi日記で知った。
すでにネット上ではすごいことになってますね。
“Britain’s Got Talent”という“American Idol”のイギリス版TV番組オーディションに出たSusan Boyleというおばさんのお話。 47歳、スコットランド出身。 曲は私の一番好きなミュージカル『レ・ミゼラブル』の”I dreamed a dream”。
YouTubeの画像埋め込みができないので、リンクから見てください、損はさせません(笑)。 歌う前の審査員と聴衆の反応に注目。
YouTube : Susan Boyle – Singer – Britains Got Talent 2009 (With Lyrics)
『日豪ユーモア考』というエントリーでイギリス系の国のユーモアセンス(= sarcastic、ブラック)について書いたのですが、もうひとつの特徴としては、underdog(負け犬)が事前予想に反して勝っていく姿を応援するのが大好き、ってことでしょうか。
私の好きなイギリス映画もすべてこのunderdogが勝ち上がっていく物語かも。
– スラム街で育った少年がクイズ番組で勝ち上がる『スラムドッグ$ミリオネア』
– イギリス北部の鉄工所を解雇された中年男6人組がストリップショーを始める『フル・モンティ』
– 女子のものとされていたバレエでプロを目指す少年の物語、『リトル・ダンサー』
– 父の急死で靴工場をつぐことになった主人公が孤軍奮闘する『キンキー・ブーツ』
susan_boyle.jpg彼女のプロフィールは、もーまさにピッタリ。 
– 見ての通りの容姿(眉毛、何とかしようよー)
– 無職、教会のボランティアワーカー
– 独身(猫と住んでいる)、結婚経験なし、キスの経験もなし

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Twitter初心者の長いつぶやき

Facebookのトップページが変わってTwitterからのつぶやきがアップデートされるようになり、本屋では『Twitter Power』という本が平積みされ、Twitterがいよいよすごいことになってきたな、と思ったので始めてみました(「Facebookがすさまじい」と書いたのはついこないだだった気がするのに→『Facebookのすさまじさとmixiのまったり感』)。
まだ1週間くらいしか経ってませんが・・・よくわかりません・・・
twitter.jpgトップページはこんな感じ(→)。
「What are you doing?」(今何してる?)という問いに140字の文字制限で誰にともなくつぶやく、という超シンプルなもの。 ハマっている人が続出しているらしい。
もっと詳しくは東京の外村さんを囲む会でお会いしたDGインキュベーションのRocky枝さん(Twitter投資担当)のインタビューをどうぞ→『ミニブログから見えるのはユーザーの本音!』
私がハマるかどうかはまだ不明・・・として、友達のTwitterで溢れたFacebookトップページを見ながら、ちょっと腑に落ちてきたことがありました。

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羮(あつもの)に懲りて膾(なます)を吹く

東京で前職にいたときから思っていたことですが、会社のパソコンからSkypeMessengerをしている人は、日本で働く友人にはほとんどいませんが、日本国外で働く友人にはかなりいます。
在宅勤務の友人やサービスオフィスで働く小規模な会社で働く友人などは、通常の電話と同じように無料のSkypeを利用しています。
前職の財閥系総合商社では、SkypeMessengerなどは一切禁止。 個人用PCの管理者権限はシステム部門が持っているため、全てのソフトウェアはインストール依頼書と一緒にシステム部門にPCを持ち込む必要があり、IT事業部門にいた私は顧客・取引先の製品を自分のPCで試すのも業務のうちなのに自由にインストールできず大変不自由な思いをしていました。 また、社外に持ち出すためには「PC持ち出し申請書」に部長印が必要(事前許可)で出張の多い私はいつも提出し忘れて怒られていました。
企業の情報セキュリティが強化されたのは企業からの個人情報流出が問題となり、個人情報保護法が施行された頃(2005年)だったと思います。 SkypeMessengerのセキュリティ脆弱性についてはわかりませんが、日本の企業が一斉に個人情報保護法の過剰適用に動いた(ように私には見えた)のは、流出があった一部の企業がマスコミのやり玉にあげられ、他の企業が一斉に「羮(あつもの)に懲りて膾(なます)を吹いた」からでは?

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できる経営者のブログ術

lifenet_small.gif先週『岩瀬さんと生命保険』のエントリーを書くのにライフネット生命保険のページからロゴをお借りしたところ(プリントスクリーンしてコピペした)、これがきっかけか定かではありませんが、今週月曜には志バナー(ライフネット生命を応援します!という表明)として岩瀬さんのブログに小さなバナーとその貼付け方が載っていました(→)。
早速、貼ったけど小さくて存在感がなかったため、「もっと大きいのとか数種類作って選べるようにしたらどうでしょう?」とメールしたところ、
lifenet_large.gif早速翌日には、こんな大きなパターンとさらに数種類のバナーができあがっていました。
さ・さすが・・・できる経営者はアクションが早い・・・
ブログでインタラクティブにすぐ反応が返ってくるのがいいですね。
私は普通のブログサービスでチカチカと広告が出るのが嫌いで、わざわざレンタル・サーバーを借りてMovable Typeでブログをやっているのですが、経営方針に共感できる会社はぜひ応援させてもらおう、ということで右バーの下の方にAdsスペースを作りました。
そしてブログ活用ということでは1日の長があるのは、もちろんアメリカのIT企業の経営者。

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ロングテールな人たち

昨日は私がヒーローリストに「死ぬまでに会ってみたい人」に勝手に入れてる渡辺千賀さんからこちらのエントリーにコメントもらったという記念すべき日なのでした。 わーい!
これで二次の隔たりだったのが、一次の隔たりになったわ♪(参考:六次の隔たり
私が千賀さんに激しく共感したのは、

思い起こせば私が27歳のときは
「この上MBAなんか取ってしまった暁には嫁にいけなくなるのでは」
と真剣に悩んだものであった。今にして思えば信じられないが、そのときは
「いや、しかし、MBAを取らずに一生嫁にいけないのと、MBAを取って一生嫁にいけないのでは、後者の方がまだましだ」
という判断の元に果敢に渡米したのであった。(コチラより)

ってあたりとか、

私にとっての理想の相手とは
1)仕事をしている母親がいる
2)お姉さんがいる
3)できれば母親もお姉さんも気が強い
というもの。こういう人は、女性に三つ指幻想を抱いていないので。(コチラより)

ってあたりとかが、昔の私と全く完全に一緒だったからで、キャリアとかシリコンバレーとかあんまり関係ありません(笑)。

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パラダイムシフト真っ最中のメディア

これはすごい・・・
スタンフォード大学がiTunes上で大学の講義やゲスト・スピーカーのスピーチを公開しているStanford on iTunes U
以前、梅田望夫さんの『ウェブ進化論』MITのOpenCourseWare(*1)の存在を知り、「こりゃー、すごい時代がきたもんだ」と思って面白そうなものを探してみたことがあるのですが、素人には授業のシラバスや一部講義ノートだけあっても使いにくく結局利用しなかったことがあります。 なお、インドではMIT OpenCourseでシラバス(講義計画・内容)を無償入手し、その内容に沿って先生が授業を行っていたりするらしいので、きちんと使いこなせる人には限りなく有用なツールなのだと思いますが。
*1 : OpenCourseWareとは大学や大学院など高等教育機関で正規に提供された講義とその関連情報を、インターネットを通じて無償で公開する活動(Wikipedia : オープンコースウェア)。
ところが、このiTunes Uでは、超一流教授陣やスピーカーの講義をタダで聴けるのです。 何から聴けばいいか迷いに迷ってしまうほど充実した内容(バークレー、MIT、デュークにもあるそうですが、スタンフォードだけですごすぎて他の大学までチェックできず)。
以下、一例。 Stanford on iTunes Uからのリンクのたどり方を書いておきました。 PC上にiTunesがインストールされている必要あり)
Business –> Social Entrepreneurship –> Muhammad Yunus(『グラミンフォンという奇跡』、ノーベル平和賞のムハマド・ユヌス氏)
Science and Technology –> Environmental Science –> Al Gore(『不都合な真実』、ノーベル平和賞の米元副大統領アル・ゴア氏)
さすがスタンフォード。 すばらしい布陣ではないでしょうか?
英語の勉強にもなりますので、ぜひどうぞ。 ニュースよりゆっくりなので聴きやすいと思います。

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インドITエンジニアにみるデジャブ

インドのよかったところはインド国内の英字新聞や英字雑誌が多いので、インド視点のニュースが生で手に入るところでした(空港・ホテル、何かと待たされる国なので、読む時間はたっぷりあり)。
私たちの滞在中、一番大きな経済ニュースはITアウトソーシング大手Satyamの決算粉飾でしたが(下記)、私が一番注目したのは週刊誌Business Today(だったかな?)に載っていたITエンジニアの大量失業の記事。
REUTERS : Accounting scandal at Satyam could be India’s Enron
過去数年間にInfosysやWiproなどインドIT大手の勃興、欧米系IT大手の相次ぐインドへの進出により、200万人以上とも言われるITエンジニアを生み出したインドIT産業が世界不況により業績悪化しており、(今まで需要が供給に追いつかなかった)ITエンジニアを初めてリストラしている、との話。
その記事は初めての危機に直面した若手ITエンジニア(そして広くは高等教育を受けた若い知識産業従事者)に向けて書かれており、「これからは今までのようにジェネリックなスキルだけではいけない。 より高度で成長分野の知識・スキルを身につけて他者と差別化をはかろう」と結ばれていました。

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