先週書いたばかりのSusan Boyleですが、日に日に英米マスメディア(新聞、テレビ)でのSusan Boyleセンセーションがすさまじくなっている(らしい)のにすっかり興ざめしつつある私。
Susanに興ざめしているのではありません、マスメディアに、です。
彼女のプライベートを洗い出したり、外見をmakeover(変身)させるか真剣にテレビで討論したり、彼女の生い立ちや外見にフォーカスしたものが多く、「そこがポイントじゃないだろー」みたいな。
リンクを貼るまでもないので、興味のある方はYouTubeで検索するといろいろ出てきます(CBSとか)。
フィーバー(死語?)の初期の頃(といっても先週の話)、マスメディアの雑音なしに純粋にYouTubeのリンクからSusanの歌う姿を見て(もちろんこれも“Britan’s Got Talent”が編集しているわけだけど)、”I dreamed a dream”の歌詞を地でいく姿に涙した情報感度の高い人たちは、もうすでに別の話題に移ってます。
さて、今回の件で圧倒的な存在感を見せつけたのは、YouTube。
ただ、YouTubeだけではここまで広がらなかったわけで、友達のお勧め文と共に貼られたYouTubeのリンクをFacebookのstatus updateやTwitterで見た人たちが次々に「私も感動した~」と各自の言語で書き込んでいったことから、世界中でYouTubeのSusanビデオクリップを観た視聴者が雪だるま式に増えていったのです。
私はすでにテレビは全く見ないのですが(→『私の情報ソース』)、今回の一件でますますテレビ放送業界がガラガラと音を立てて崩れていくのが聞こえた気がしました。
最近のthe economistにアメリカのプライムタイムの地上波tv視聴率の推移が載っていました。 目を覆いたくなるような状況(ただし、ケーブルtvや衛星放送でtvを観る人は増えている)。
The Economist : Changing channels
日本の数字では、各メディアに集まる広告費の数字が面白い。
電通:日本の広告費
今回YouTubeがさすがだなー、と思ったのは、ビデオ画像の埋め込みをさせなかったこと(もちろん版権の問題があるからだが。 日本のテレビ番組だと映像そのものが即日削除されていたことでしょう)。
リンクをたどってYouTubeサイトにとび、Susanに感動した人は、感極まったノリでそのまま右横にある「関連動画」も思わず見てしまいます(私の周りでも「Flawless見た~?」と他のオーディション出場者も人気だった)。
そして、Susanが憧れるElaine Paigeって誰???とか”I dreamed a dream”のオリジナルが聴きたいとか、次々関連映像を見てしまうのです(Elaine Paigeの映像のコメント欄なんて”Copy and paste if Susan Boyle brought you here – Susan Boyleでここにたどりついたならこれをコピペして”というフレーズをみんながコピペしていて笑った・・・)
私はYouTubeに投稿したことはないのですが、投稿した人によると投稿した1分後に「この映像は版権の問題あり」とメールがきたそうで、自動で版権認識するメカニズムを組んでいるのだろう、とのことでした(ご存知の方、教えてください)。
1990年代後半テレコムバブルがはじけて多くの会社が倒産し、2000年代初頭にインターネットバブルがはじけてこれまた多くの会社が倒産したのですが、ここに来てバブル期に撒かれた種が花開き、大きく人間同士のコミュニケーションの方法に変化を与えているのですねー 倒れた会社は無駄ではなかった。
インターネットのリアルタイム性と個人のネット口コミパワーが炸裂し始めたばかりですが、再びthe economistから非常に興味深いグラフを。
The Economist : Googling the future
検索キーワードというのは、その時の人々の関心を即時、如実に表します。 グラフは上がアメリカでの自動車販売台数推移、下が”Ford”というキーワードのGoogle検索数推移。
通常、自動車販売台数推移などの経済指標は公式発表まで時間がかかるものですが、Googleでの検索数はGoogle Trendsで翌日わかります。
ある会社の株の売買判断はGoogle検索推移を見ながら、って時代がそこまできているのかも。
楽しみに読んでいる夏野さんの「IT + PLUS 夏野剛のネオ・ジャパネスク論」の「NHKの討論番組で驚いたネットに対する認識不足」という記事を読んで、私もこの討論に出ている人たちが同じ時代に生きている人だとは到底思えなかったのですが、パラダイムシフトは静かにどころか爆音を立てて起きている気がしました。
April 21st, 2009 at 5:40 pm
ワタシの住む中国(と、いうか大陸中国語圏)でもネットで話題になっています。
ご存知の通り、数週間前からYoutubeは接続不可なので、「Tudou」「Youku」と言った、
中国大陸版Youtubeで、ですが。
中国大陸の場合、みんな(大衆にと言う意味での)にTVが普及し切る前に
インターネットの普及がものすごい勢いで進んでいますので、新旧メディアとは一言では
いえない部分もありますが、広告に関しては、やはり、ネットメディアの登場で業界全体に
様々な変化が起きています。
そして、日本と同じように平面(紙・印刷と言う意味での)媒体離れは進んでいます。
しかし、ご存知のように、未だ当局の管理体制の非常に厳しい国家ですので、
他国から見れば「制限下での」という見方にもなりますが。
日本であればTV離れしている世代やターゲット層にもネットの普及のお陰で
時間を問わずにいろいろな情報発信が出来るわけですもんねー。
クリエーターも凝り固まった概念がない分、柔軟なものを出してきますし、
中国のサイトに投稿された作品なんかを見ていると、とても刺激的です。
末端ながらも、この国でメディアに関わるものとしては、変化が楽しい&
ついていくのが大変、な日々です。
あ、お話それてしまい、すみません。
April 22nd, 2009 at 9:47 am
>北京花子さん
あっ、プロ登場!(笑)
>ご存知の通り、数週間前からYoutubeは接続不可なので、「Tudou」「Youku」と言った、中国大陸版Youtubeで、ですが。
中国版YouTubeはすごいですよね。 日本のドラマもあっという間に字幕付きで投稿されているらしく、中国系シンガポール人の間でも人気です。
>クリエーターも凝り固まった概念がない分、柔軟なものを出してきますし、中国のサイトに投稿された作品なんかを見ていると、とても刺激的です。
それは面白い。 中国では電話も固定電話を飛び越して携帯電話にワープしましたが、TVも同じことが起ってるんですね。 固定概念がないっていうのは強いですねー 本当についていくのが大変そうです。
April 24th, 2009 at 9:08 am
>自動で版権認識するメカニズムを組んでいるのだろう、とのことでした(ご存知の方、教えてください)。
このメカニズムをGoogle Japanがデモしたのをみましたよ。なんでも、ライツホルダーがオリジナルの映像ソースをYouTubeに提供すると、それと類似したコンテンツが投稿された時点で自動的に認識しするそうです。結構性能よくて、テレビ画面をちょっと斜めのアングルから撮影したような荒い画像でも認識するようです。
April 24th, 2009 at 9:24 am
>サミーちゃん
教えてくれてありがと!
>ライツホルダーがオリジナルの映像ソースをYouTubeに提供すると、それと類似したコンテンツが投稿された時点で自動的に認識しするそうです。
へー、さすがだねー、Google。 なんかとてつもない検索技術なんですが。
昔、名前→写真、の検索はできるけど、写真→名前の検索はできなくて不便だってブログを書いたんだけど(↓)、
http://www.ladolcevita.jp/blog/global/2008/11/google-vs.php
これも(たしかGoogleじゃなかったけど)実用化できてるらしい。 すごいなー、とひたすら感心。