Tag Archives: キャリア

成熟国出身者のキャリア戦略

私が働いているのはいわゆる”ブティック系”の経営アドバイザリーファームで、現在のメンバーはイギリス人2人、スウェーデン人、私。 共通点は、先進国出身、投資銀行・コンサル・MBAというバックグラウンドで世界各地で10年以上の職務経験あり(大企業で働いていた時代も長い)。
そしてクライアントは本当にいろいろな業界から成りますが、経営者は欧米人で出身国で何年か働いた後、転勤など何らかのきっかけでシンガポールに来て「これからはアジアだぜ」と独立した、というSME(Small and Medium Enterprise)が非常に多い。 よって、経営者は欧米人ですが本社及びアジア統括会社はシンガポールです(すでにグローバル展開している企業もこれからの企業も)。
こういう環境にいてつくづく思うこと。
これは、先進国で受けた高度な教育や洗練された & グローバルに通用するビジネスのやりかたをフルに活用しつつ、すでに成長が鈍化した成熟社会(自分の出身国)ではなく、成長著しいアジア市場の勢いに乗ろうというキャリア戦略。
中国を目指す欧米人友達の話は『果たしてヤジ馬なのか歴史の証人なのか』に書きましたが、彼らは独身。 家族がいて子供の教育や生活環境を考えると確かにシンガポールはアジア市場をターゲットとする際、ベスト・オプション。
日本の高度成長期がそうであったように、右肩上がりの経済の中、企業の売上を拡大させるのはさほど難しいことではないのです。

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心地よい刺激のシャワー

ブログによるレバレッジで素敵な人に出会えたシリーズ第2弾。
以前からブログを通して仲良くなっていた、SF帰りのlat37nさんが、ブログ友達のライフネット岩瀬さんBlastbeatAKさんとの飲み会を企画してくれ、岩瀬さんがさらに『はじめての課長の教科書』酒井穣さんを誘い、酒井さんが、日本で「大人の学び」の第一人者である東大准教授の中原淳さんを誘い、何だかすごい人たちの集まりになってしまった月曜の夜(岩瀬さんは風邪で欠席)。
酒井さんはNED-WLTという匿名ブログをされていたときからファンで念願の初対面。
以下、刺激的なひとときの中で思ったことです。
1. 日本の同年代がすごいぞ。
私を含めた上記6人はほぼ同年代(酒井さんがちょっと上)。 私たちはいわゆる「ロスト・ジェネレーション」と呼ばれる世代で(私自身は「失われた」とは思っていないので、この言葉が好きではない)、ちっとも日の目を見ていない世代です(なお、景気の浮き沈みは経済活動において不可避であるが、新卒一括採用・年功序列・硬直した労働市場・長期経済低迷など日本特有の事情でこれほどまでに世代格差が広がった例は他先進国には見当たらない)。
私の非日本人友達のほとんどはINSEAD同級生なので、国籍も住む場所もさまざまながら同年代・同学歴・類似バックグラウンドですが、彼らと比較しても、上記諸氏の専門知識・洞察力・世界観・問題意識などは卓越しているように思えました。
それぞれ本を出版し始めるなど世の中にも影響力を及ぼし始め、(自分のことを棚に上げ人ごとのように言うのも何ですが)「全然、世界の同年代に負けてないなー」と感動。 全員、海外経験があるので、世界のレベルを知った上で日本に活躍の場所を求めたことからくる自信もあるのかもしれません。

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ブログ・レバレッジ

昨日、日本からシンガポールに帰ってきました。
初めにお詫び。
先日のブログに「緊急事態発生」と書いたきり、1週間ほど家族で信州の山奥の秘湯旅館(携帯電話は圏外・インターネットなし・「国際電話は麓の村に行ってくれ」と言われた)にいたので、ご心配のメールを頂いた方に返信ができず申し訳ありませんでした。 せっかくオフ会参加を希望してくださった方にも一人ずつお返事できず申し訳ありません。 予定を変更しての帰国は私の健康問題ではなくピンピンしていますのでご安心ください。
信州旅行後、実質2日半ほどの東京滞在は駆け足でしたが、ブログのおかげで以前はお会いすることが想像もできなかった人とお会いすることができました。
第1弾は、ビジネス書のカリスマ本田直之さん。 ブログやってよかった~、まさにブログ・レバレッジ。
本田さんは去年の暮れに突然「面白いブログですね」とメールを頂き、シンガポール在住のビジネス本著者である嶋津さんをご紹介頂いたり(→『達人の人脈術と感情術に学ぶ』)、非常に気さくな方なのですが、今回帰国が重なったので東京で念願の対面ランチ。
サーファーらしくこんがりと焼けた姿が、大雨の東京にあまり似合わず(笑)、カッコよかったです(←すっかりミーハー。 私、カッコいい人と話すと緊張するのである)。
いろいろブログの話やらして、アドバイスも頂いて、最新著の『意思決定力』まで頂戴しました。 本田さん、ありがとうございます!

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ポートフォリオのひとつとしての社会貢献 – 2

阪神・淡路大震災でボランティア・トラウマになってしまった昨日の続き。
大きな自己犠牲を伴わなくても社会貢献できる、ビジネスと社会貢献は両立する、ことが本当に腹に落ちるようになってきたのは、ごく最近のことです。
それはCSR(企業の社会的責任)という言葉が徐々に浸透し、実際に利益をあげることと社会貢献を両立している企業が出てきて、マザーハウスのように「企業が社会に貢献するなんて当たり前でしょ?」という会社が出てきて・・・
そんな背景の中で緩やかに、でしたが、「おっ、これは!」とピンときた出来事がありました。
今年の初め、めちゃ暗かったときのこと(→当時のことはこちら)、私の両親と夫の両親が揃ってシンガポールにやってきました(→写真)。 私の親はこういう時、そっとしておいてくれるのですが、夫の両親はめちゃくちゃ聞いてくるのですねー(苦笑)。
義父はオーストラリアの企業のCEOを歴任(日本企業のトップは生え抜きの傾向が強いが、欧米は経営者人材の雇用市場がある)、一線から退いた後はエグゼクティブ・コーチに転身していたので、義父から「一度、僕のコーチングを受けてみないか?」とのオファーがありました。
暗かった私は乗り気ではなかったのですが、夫の勧めもあり(彼もシンガポールで転職活動中受けたらしい)、近所のカフェで受けることにしました。

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ポートフォリオのひとつとしての社会貢献 – 1

最近、台湾、南太平洋、フィリピン、インドネシア(スマトラ)、インド南部と大災害が続きますね・・・
昨日のToastmastersではマニラ出身のフィリピン人が大洪水の惨状をプレゼンし、ヘイズごときで騒いでいるシンガポール(→『国境を越えた大気汚染』)に住める幸せをみんなで噛みしめました。
阪神・淡路大震災の起った1995年はボランティア元年と呼ばれていますが、私にとってはボランティア・トラウマ元年です。
1月17日未明、ただごとではない揺れに私も飛び起きましたが、あの揺れは奈良では震度4でした(神戸:震度7、大阪:震度6、京都:震度5、なのでどれだけ直下型であったかがわかります)。 家の中のものが落ちたり植木が倒れたりはしたものの、揺れがおさまり再び眠りに落ちた私。
当時、お気楽な大学1年生。 起きると家族はとっくに出かけており、テレビも見ず、友達と待ち合わせていた大学(京都)に向かいました(奈良ー京都間の電車は動いていた。 神戸はもちろんのこと奈良ー大阪間、大阪ー京都間は全日不通、というのは後から知った)。 待ち合わせていた友達(神戸在住)がいつまで経っても来ない、当時は携帯もない、おかしいなーと思いながら入った大学の食堂のテレビで初めてあの朝起ったことを知りました。

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誰も雇ってくれないから起業する

海部未知さんブログの『金持ちをたくさん働かせる仕組み』に同感な点、2点目、編集して引用。

スタンフォードMBAという、いろんな意味で優位な地位にある人々は、オーバースペックのためにしばしば、普通の会社で普通に勤めあげることができなくなる。 でも、人脈とか箔とかスキルとかがあるので、たとえトラディショナルな形でのベンチャー起業ができなくても、自営をはじめるとか、ベンチャーキャピタルやエンジェル投資家などの形でかかわるとか、自分でなんとかすることがたいていはできる。

これを「誰も雇ってくれないから起業する」と表現されているのだが、私の周りにも山のようにいるので、実際はこんな悲観的な実感の人だけでなく、「他のオプションよりも、自分でやった方がいい」というベターなオプションを取ったという人も多いと思います。
この場合の「起業」とは、いわゆる狭義のベンチャー(VCの資金入れて、成長率10%以上、エグジットはIPOかGoogleに買われること、みたいな)よりも、フリーランス、小規模のプロフェッショナル・ファーム(ファンドやコンサルなど)を仲間と立ち上げる人の数の方が多い。
今でも仕事上のコンタクトを探すのにINSEADの卒業生データベースを検索することがありますが(こんなインターフェース)、卒業年次が古い人(= 年上の人)になればなるほど、自分の名を冠したプロフェッショナル・ファームのManaging Director(つまり自営)が多くなります。

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"泣かせる"夢を持つ人、持たない人

しばらく前からINSEAD受験生のインタビュアー(面接官)を引き受けています。
知らない方のためにMBAの受験プロセスを説明すると、テスト(TOEFL, GMAT)結果と書類(学歴・職歴など、受験エッセイ、推薦状)を基に学校が審査するのが第一次審査。 通過者はインタビュアーによる面接の第二次審査を経て、書類審査の結果もふまえ最終合否が決まります。 INSEADでは面接はすべて(受験生の住む国に住んでいる)卒業生が行います(学校によって異なる)。 よって、私が面接するのはシンガポールに住む受験生。
何人か面接していて、あることに気づきました。 この国には、a. “泣かせる”夢を持つ人、b. “泣かせる”夢を持たない人、の2種類の受験生がいるぞ・・・
a. “泣かせる”夢を持つ人
最も良い例が『チャイナ・ドリーム』の彼女。 詳しくはエントリーを読んで欲しいのですが、(高等教育を受ける人が珍しい)中国の農村からシンガポール大学の奨学金を得て出てきて、親への仕送りと自分の生活費のためにアルバイトをしながら大学を卒業。 初めは給料の低い仕事だったが、苦労して夜間の大学院に通い修士を取得。 INSEADでMBAを取ることでさらなる高みを目指して、最終的には中国の発展に貢献したい、という彼女です。
シンガポールにはアジア中から人が集まっています。 建設労働者・メイドなど単純労働者だけではなく、弁護士・会計士・企業のホワイトカラーにも「努力して勉強してやってきました」というマレーシア人・インドネシア人・インド人・中国人・・・etc.がたくさんいます。 そういう人は故郷に親兄弟も親戚もいて「将来は故郷の役に立ちたい」と”泣かせる”夢を持つ人が多い。 シンガポールに来るに至った顛末もとにかく内容だけで”聞かせる”。

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家庭の幸せと職場の幸せは分れない

ボルネオに行く直前、嬉しいサプライズがありました。
前世界銀行副総裁の西水美恵子さんのことを書いた『教育における重要な変化』に、ご本人からお礼のメールが届いたのです。
雲の上のようなキャリアの方でも、名前をアラートにかけて、パーソナライズなメールまで出されるのですねー、としばし感動。
で、本当に考えさせることが多い西水さんの過去の寄稿アーカイブを引き続き読んでいるのですが、その中で涙が出てしまったものを紹介。
『おねしょの教え』というタイトル、一部抜粋。

優秀な部下の成績が下がり、目に見えて元気がなくなっていくのに気付いた。
理由を聞くと、小学生の息子。 「成績が下がり、海外出張で留守する度に寝小便。 心配で仕事が手につかない」と嘆く。 仕事と家庭が両立せず、いっそ世銀を辞めようかと迷っていた。 母性本能か勘か、何がそう言わせたのかは知らないが、ふと思いついて「出張に連れていってみたら」と勧めた。 やる気があるなら旅費も出すと約束した。

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言語・文化アービトラージャー

「アービトラージ」という言葉は「サンクコスト」と同じく日本語で言われても(「アービトラージ」の日本語訳は「裁定取引」)うまく意味が伝わらないなー、と思っていたのですが、最近そのままカタカナで使う例をよく見かける気がするので(例:「国際的制度アービトラージ」)、そのまま使います。
元々は「同じ価値を持つ商品の価格差を利用して、利鞘を稼ぐ取引のこと」ですが、広義には「国内と海外、現在と未来、既知と未知、需要と供給、欲求と充足、価値と無価値、過剰と不足などのギャップを埋める行為」でほとんどの経済活動はアービトラージから生まれたとも言えます。
今日はそのうち言語・文化のギャップを埋める言語・文化アービトラージャー(アービトラージする人)に絞ります。
よく「英語屋なんて英語だけで仕事ができないからダメだ」とか「海外で働く日本人のほとんどは日本企業か日本人相手の仕事をしている」と言語・文化アービトラージャーをバカにする人がいるのですが、「一側面しか見てないし、批判のポイントずれてるなー」というのが率直な印象。
まず、言語・文化アービトラージャーの需要は相互依存を強める世界経済の中で加速度的に増していると思います。 いわゆる「仕事」(技術開発・セールス・マーケティング・経営、etc.何でもいいけど)にプラスαで対象市場の言語・文化を理解しギャップを埋められる人は業界問わず求められています。

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求職者の心構え

先週のエントリーでmegumeguさんからブログネタのリクエストがあったので、今日は「求職者の心構え」と題し、思うところを書きます(・・・と私がちんたら考えている間に、megumeguさんは採用内定されました。 おめでとうございます!)。
[ 初めにお断り ]
私は日本で2回転職していますが、2回とも人材紹介会社に登録したらすぐ紹介され面接を受けたらすぐ決まったという、余り参考にならない体験をしているので、下に書くことはどちらかというと去年から今年にかけてシンガポールで職を求める中で感じてきたこと、及び周りのケースを見てきた上での総括です。
私としては普遍的なことだと思っているので「日本では参考にならない」とか決め付けずにお読みください。
また人材業界のプロでもなんでもないので履歴書の書き方、面接の心構えなどは他のもっとふさわしい人に聞いてください。
1. 巷に出ている求人だけが企業の人材需要ではない
企業のウェブサイト・人材紹介会社・ヘッドハンター・・・etc.に出ているだけが企業の人材需要ではありません。
「こういう人が欲しいんだけど社内で探そうか、どうしようか?」という顕在化する前の需要、人材が必要ということさえ明確に認識されていない潜在需要。 人材紹介会社はフィーが高いしリスクもあるので採用は信頼する人の紹介に頼るという会社、求職者の熱意に押されて予定していなかったポジションをつくる会社・・・ 世の中にはこんなケースが溢れています。

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