誰も雇ってくれないから起業する

海部未知さんブログの『金持ちをたくさん働かせる仕組み』に同感な点、2点目、編集して引用。

スタンフォードMBAという、いろんな意味で優位な地位にある人々は、オーバースペックのためにしばしば、普通の会社で普通に勤めあげることができなくなる。 でも、人脈とか箔とかスキルとかがあるので、たとえトラディショナルな形でのベンチャー起業ができなくても、自営をはじめるとか、ベンチャーキャピタルやエンジェル投資家などの形でかかわるとか、自分でなんとかすることがたいていはできる。

これを「誰も雇ってくれないから起業する」と表現されているのだが、私の周りにも山のようにいるので、実際はこんな悲観的な実感の人だけでなく、「他のオプションよりも、自分でやった方がいい」というベターなオプションを取ったという人も多いと思います。
この場合の「起業」とは、いわゆる狭義のベンチャー(VCの資金入れて、成長率10%以上、エグジットはIPOかGoogleに買われること、みたいな)よりも、フリーランス、小規模のプロフェッショナル・ファーム(ファンドやコンサルなど)を仲間と立ち上げる人の数の方が多い。
今でも仕事上のコンタクトを探すのにINSEADの卒業生データベースを検索することがありますが(こんなインターフェース)、卒業年次が古い人(= 年上の人)になればなるほど、自分の名を冠したプロフェッショナル・ファームのManaging Director(つまり自営)が多くなります。


以下、例を挙げてみます。
1. 中国で独立、奮闘する友人たち
今まで中国でフリー・コンサルタントになったアメリカ人A、カナダ人Zの話を何度か書いていますので、詳しくはこちらをどうぞ(→『MBA同級生に見る「フリーエージェント社会の到来」』『私の周りのフリーエージェント達』)。
彼らは「全力疾走で成長を続ける中国を中から見たい」という熱望を持ち、ただ、
– 北京語がネイティブでないので現地企業では働けない(給料も安すぎる)
– 欧米企業のハイレベル・ポジションでは、ABC(= American Born Chinese、アメリカ生まれの中国人)に代表される海外で高等教育を受けた帰国子女の中国人が占めており、入り込む余地がない
という理由から普通の企業には就職できないものの、一方、中国に住み中国市場がわかり、米国企業の需要もわかるプロフェッショナルとして米国企業のニーズはある、との理由からフリーランスでコンサルタントをしています(クライアントは主に米企業)。
2. 私の同僚
私の同僚RとPは2人とも40代後半のイギリス人、90年代から200年代前半にかけて欧米投資銀行の出世街道を突っ走り、ロンドン・香港・東京その他世界の金融都市でシニア・ポジションを歴任していたのを、(燃え尽きたのかどうかは知らぬが)退職。
ここまでハイ・スペックで高給取りだと(1人はイタリアに城を持っていて、もう1人はオーストラリアにワイナリーを持っていた)、就職先もなく本人たちも人に使われる気もない。 ところが、ネットワークやスキルは豊富なので、自分でコンサルティング・ファームを立ち上げ、経営アドバイザリー・ファンドレイジング・サポートなど各種サービスを提供できるわけです。
世の中の小規模プロフェッショナル・ファーム(ファンドやコンサル、ロー・ファームもそうかな?)は、ほとんど似たような経緯で立ち上がっているのではなかろうか?
さて、なぜこんなにも一般にハイスペックの人が独立してやっていけるのか、ですが、彼らの生業はクライアントがあってこそ成り立つ、つまり中小企業はもちろんのこと大企業もこういうフリーランス、または小規模ファームに依頼することに躊躇がないからだと思います。
基本的に、「中小企業 = 2流、下請け」のような発想はないし、会社の名前・規模よりも「信頼できる人の紹介か?」というコネ・ネットワークと仕事のクオリティが重要。
日本とのこの違いは『「内」と「外」』というエントリーに書いたとおりで、この土壌がないとダニエル・ピンクが唱える『フリーエージェント社会の到来』は難しいんでしょうねー
「誰も雇ってくれないなら起業する」道があることを知るのは、「この仕事を失えば家族も路頭に迷って死んでしまう」というプレッシャーを大幅に和らげてくれるものだと思いますが。


4 responses to “誰も雇ってくれないから起業する

  • fuwari

    はじめまして。おばんざいレシピの頃から拝見させていただいている者です。
    いつも興味深く読ませて頂いています。
    現在大学生で将来の働き方を模索している最中なので、フリーエージェントという働き方に関心があります。
    日本の終身雇用制が崩れてきている中で、新卒で入った会社に身を預けきってしまうのは
    危険ではないかと感じています。日本の社会では少数派あっても、フリーエージェントとして働くことによって
    得られる自由も魅力に感じます。もちろんla dolce vitaさんのお知り合いのような
    高いスキルや人脈が必要ではありますが・・・

  • la dolce vita

    >fuwariさん
    おばんざいレシピの頃からご覧頂きありがとうございます!
    >日本の社会では少数派あっても、フリーエージェントとして働くことによって得られる自由も魅力に感じます。
    日本の社会でも増えてきているみたいですよ、もちろん一旦企業勤めの中で独立できる力を身につけた方がほとんどですが(岡島悦子さんの『抜擢される人の人脈力』読んでみてください)。 フリーエージェントはフリーエージェントたちでネットワークを築き助け合っているので、意識していると芋づる式に会えます。 がんばってください!

  • fuwari

    『抜擢される人の人脈力』面白そうですね。ぜひ読んでみます!
    ありがとうございます。

  • 海外脱出ブログ

    中国で就職

     チャイニーズ・ドリーム
    氷河期世代、あるいはロストジェネレーション(ロスジェネ)と呼ばれる人たちがいます。
    彼らは1990年代半ばから200…

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