"泣かせる"夢を持つ人、持たない人

しばらく前からINSEAD受験生のインタビュアー(面接官)を引き受けています。
知らない方のためにMBAの受験プロセスを説明すると、テスト(TOEFL, GMAT)結果と書類(学歴・職歴など、受験エッセイ、推薦状)を基に学校が審査するのが第一次審査。 通過者はインタビュアーによる面接の第二次審査を経て、書類審査の結果もふまえ最終合否が決まります。 INSEADでは面接はすべて(受験生の住む国に住んでいる)卒業生が行います(学校によって異なる)。 よって、私が面接するのはシンガポールに住む受験生。
何人か面接していて、あることに気づきました。 この国には、a. “泣かせる”夢を持つ人、b. “泣かせる”夢を持たない人、の2種類の受験生がいるぞ・・・
a. “泣かせる”夢を持つ人
最も良い例が『チャイナ・ドリーム』の彼女。 詳しくはエントリーを読んで欲しいのですが、(高等教育を受ける人が珍しい)中国の農村からシンガポール大学の奨学金を得て出てきて、親への仕送りと自分の生活費のためにアルバイトをしながら大学を卒業。 初めは給料の低い仕事だったが、苦労して夜間の大学院に通い修士を取得。 INSEADでMBAを取ることでさらなる高みを目指して、最終的には中国の発展に貢献したい、という彼女です。
シンガポールにはアジア中から人が集まっています。 建設労働者・メイドなど単純労働者だけではなく、弁護士・会計士・企業のホワイトカラーにも「努力して勉強してやってきました」というマレーシア人・インドネシア人・インド人・中国人・・・etc.がたくさんいます。 そういう人は故郷に親兄弟も親戚もいて「将来は故郷の役に立ちたい」と”泣かせる”夢を持つ人が多い。 シンガポールに来るに至った顛末もとにかく内容だけで”聞かせる”。


b. “泣かせる”夢を持たない人
簡単に言うとシンガポール人。 マレーシア人・インドネシア人でも華僑でもともと家が裕福で幼少時からシンガポールに住んでいる、という人も含みます。 シンガポールは日本より経済発展は遅れましたが、90年代にはNIEsの一角として経済成長を遂げていたので、INSEAD受験生(主に20代後半)は普通に良い教育を受け、就職する頃にはすでにシンガポールに群を成して居を構えていた多国籍企業・投資銀行・コンサル・会計事務所などいわゆる”MBA Job”につき数年経っています。 周りを見渡すとMBAも多いし自分も取ろう、という自然な流れ。
就職後もPrivate Equityとか多国籍企業のストラテジー部門とか、まあ100人MBA受験生がいたら98人くらい言いそうなことを言うわけです。 その理由も「がんばって監査部門からファイナンス部門への社内異動を認めてもらったら、ファイナンスが面白くて自分に合っていた」とか自分の心の動きが中心。 はっきり言って”泣かせない”。
こういう2種類の受験生を前にしながら、「他人の夢の優劣を私が決めるのは傲慢だ」と自分のバイアスがなるべく作用しないように自戒しながら判断します。
そもそもINSEADのAdmission Office(合否を決める事務所)は私に受験生の「夢が泣かせるかどうか」の判断なんて求めておらず(エッセイを読めばわかる)、実際に会って話さないとわからない総合的な人格のクオリティー(leadership, integrity, team-oriented, enthusiasm…etc.)を判断することを求めています。 さらに、私自身 b. “泣かせる”夢を持たない人、のカテゴリーだったではないか・・・
きっと、ロンドンのインタビュアーは東ヨーロッパ人とイギリス人を見ながら、NYのインタビュアーは南米人とアメリカ人を見ながら、同じことを思っているのではないかなー?
そして、自分・家族ともに衣食住満たされてしまうと、人間はやはり内向きの夢しか持ちにくくなってしまうのだなー、とも思います。
2007年に放送され大反響を呼んだらしいNHKドキュメンタリー『インドの衝撃』では、「夢は?」と聞くと「自分のためではなく、家族や、地域、そして、インドのために勉強する」「インドの発展のために貢献したい」と答え、尊敬する人を聞くと、インフォシスのナラヤナ・ムルティ、元大統領のアブドゥル・カラムなど具体的なロール・モデル的人物の名前があがる(日本でありがちな「お父さん」「お母さん」はない)、若者の姿が映し出されています。
(こちらで見られます、超お勧め→NHKドキュメンタリー『インドの衝撃 前編』
目指すべきものが、はっきり示されている方が、「自分の夢は自分で探しなさい」と言われるより、ある意味幸せなのかもしれません・・・
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2 responses to “"泣かせる"夢を持つ人、持たない人

  • 岩田 弘志

    あ、あの伊藤洋一さんがホストを勤めたの番組ですね。
    まだ記憶に新しいです。
    INSEADは「いいなぁ」と夢見たことはありますが、「無理だなぁ」と同時に無理だなぁとすぐに思い、
    そんなことが何度かあったことを憶えています。
    本日みなさんとお会いできますね。
    楽しみにしています。

  • la dolce vita

    >岩田弘志さん
    昨日はご参加ありがとうございました。
    また、よろしくお願い致します!

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