「最近の親」が誇るべき1つの事実

最近また「スマホ子守りが発育をゆがめる」という「啓発」的なニュースを読みました(→『子どもが騒ぐと肩身が狭く…゛スマホ子守”3歳児の3割 「発育ゆがめる」懸念も 福岡のNPO調査』)。 子供のスマートフォン使用の是非については、こちらでもよくニュースになりますが、「最近の親はあやし方がわからない」的な論調ってイギリスではあまり見かけないですねー、なぜなんでしょう? 私には「最近の若者は○○」(○○には「草食系」とか「内向き」とか流行りの言葉をどうぞ)と同類の年寄りの僻にしか聞こえませんが・・・

だいたいこういう人たちは「昔は親が畑仕事で忙しかったので兄妹が子守りをし近所の人も気軽に預かってくれた。 スマホなんかなかったし、みんな赤ん坊のあやし方くらい知っていた」とか言うんですが、年端のいかない子どもや好意・善意だけで預かってくれる近所の人に安心して大事な命を預けられますかねー? 預ける子の年齢によると思いますが。

そこで私たち「最近の親」が「昔の親」と比べて誇るべきひとつの事実です。
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専業ママになる前に知っておきたかった9つのこと

去年の記事だけれど、読んでものすごく感じるところがあったのでシェアします。
“9 things I wish I’d known before I became a stay-at-home mom”(専業ママになる前に知っておきたかった9つのこと)
著者は米系銀行ロンドン支店でのバンカーのキャリアをあきらめ家庭に入った3人の男の子のママ。 2人の男の子を産んだ後もフルタイムでキャリアウーマンを続けていたが、3人目が産まれた時にもう続けるのは無理とキャリアをあきらめ専業ママに。 その決断を時が経ってから振り返ったもの。 努力次第で何にでもなれると男女平等に教育を受けて育ち、仕事を始めてからも男性と同様に仕事をこなし、同じ業界の人と結婚。 そんなに時間とお金をかけて受けた教育や築いたキャリアを簡単にあきらめるものではない、と教えられてきたけどあきらめた・・・ ぜひ全文(→こちら)を読んで欲しいですが、以下要約です(と言いつつ、ほとんど訳してしまいました)。

1) 私の自信は粉々になった
自己に対する自信とは子ども時代と青少年期を経て築かれるもので、大学を卒業する頃には自信は確固たるものになるのだと思っていた。 社会的な自信はついても、職業人(professional)としての自信は全く別物。 職業人としての自信は貪欲な獣みたいなもので、定期的な「職業上の成功」を餌として与えなければすぐに縮んでしまうものだと知った。
私の自信はあらゆる方向からダメージを受けた。 外の世界は進んでおり、自分は時代遅れになったと感じた。 誰も職業欄に「母」としか書けない人のことは相手にしないのではないかと思った。 数年経ってから職場復帰した時に私の周りは一気に若返っていて、仕事を辞めずに残っていた人たちは遥か上に昇進していた。
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ゆりかごからクリエイティブ

イギリスが「ゆりかごから墓場まで(cradle to grave)」行うクリエイティブ人材育成を紹介するエントリー、クリエイティビティーシリーズの続編です。
過去のエントリーはこちら。
『クリエイティブ産業が支える英国経済』
『21世紀の英国デザイン』
『クリエイティブ教育のための博物館』
『Tiger Mum on a Budget』

我が家の子どもは3人とも家の近所の民間ナーサリー(保育園)に通っています(長男の場合はもう小学生なので「通っていました」)。 「家から一番近いこと」というのが選択基準なので普通の保育園です(モンテソーリとかシュタイナーとかいろいろ早期教育メソッドがありますが、そういうのではなくロンドンではごく一般的な、という意味です)。
長男は3歳頃から長期休暇など通える時だけですが、ロンドン西部にある日本の幼稚園のホリデーコースにも行っています。 この2ヵ所から持ち帰ってくるアート・工作を見て違いが面白かったので写真を撮りました。
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『子どもはイギリスで育てたい!』

イスタンブール話を休止して、友人が本を書いたのでそれをシェアしようと思います。 浅見実花さん『子どもはイギリスで育てたい! 7つの理由』(献本御礼)

彼女とは渡英時期が一緒で(2010年)まず彼女の旦那さんと知り合いになったのですが、家が近所で子ども同士の年齢が近く、お互い3児の母という共通点もあり仲良くしています。 両親も親戚もいない異国の地で私が3人目を妊娠した時、「ここなら3人育てられるよ!」と太鼓判を押してくれたのが彼女。 双子(現在7歳)の下に男の子(4歳)がいて、旦那さんは出張が多く不在がち、専門のマーケティング・リサーチの仕事もしている彼女の忙しさは同じく3児の母である私にも想像に難くないのですが、おまけに本まで執筆していたとは! 

この本は日本で上の双子の出産・子育てを経験してから渡英し、次男をイギリスで出産・子育てしている過程で次々に浮かんだ自分の疑問に答えるためにいろいろ調べていくという章立てになっているし、実際に彼女が経たプロセスというのはそうだったのでしょう。 自らの好奇心に答える形で組み立てられるこの本から見えてくるものは『子どもはイギリスで育てたい!』というタイトルから想像されるような個人の異文化体験記ではありません(*1)、21世紀を生きるに当たって普遍的な価値観とは何か、その疑問に真摯に答えようとし社会システムとして仕組みで体現しようとするイギリス社会の姿です。 それはエピローグにこのように現されています(エピローグの引用なのでネタバレっぽくて申し訳ない)。
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イスタンブールの古い家

今日は前回『イスタンブールを見て死ね。』の最後に紹介したBBC記事がトピックです。 

イスタンブールではオスマン帝国時代に建てられた木造の古い建物が酷い状態で朽ち果て、または壊されていくのに対し、2010年にユネスコが「街並みを保護しないと危機遺産リストに入れるぞ」と最後通牒を突き付けた

というのが記事の概略ですが、私も職業柄、古い建物に目がいきました。
ここでユネスコが指している「オスマン帝国時代に建てられた木造の古い建物」とは19世紀後半から20世紀にかけて建てられた特徴的な木造建築を指しています。 その中でも一般人の住宅であったテラスハウス(日本式に表現すると長屋)はこんな外観をしています(左が通りから見た外観、右は同じ建物のディテール)。
istanbul old houses1
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イスタンブールを見て死ね。

あけましておめでとうございます。 年末年始はどのように過ごされましたか?

我が家は、5歳9ヵ月(♂)、3歳5ヵ月(♂)、1歳4ヵ月(♀)の怪獣たちを連れてイスタンブールに2週間行ってきました。 次のホリデーの予定がないと落ち着かない私、夫婦2人の頃は身軽に飛び回っていたのですが、子どもが産まれ、2人に増え、3人に増え、とチャレンジが増えるたびに旅行スタイルを試行錯誤してきました。 乳幼児連れでリラックスすることが目的の旅のスタイルについては『子連れバカンスを劇的にラクにするTips』に書いていますが、このスタイルも数年続けているので飽きてきました。 特に冬のヨーロッパから行けて、かつ泳げるほど暖かいところとなると、アフリカかカリブ海まで足を伸ばさないとないのですが、そんなお金がない! もともと歴史のある街を観察しながら街歩きするのが大好きなので、改めて「子連れシティー・ホリデー・デビュー」と題して、人生3回目の大好きなイスタンブールへ!(トルコ沿岸部を入れるとトルコは5度目)

文化や歴史建造物を訪れる子連れシティー・ホリデーとして大きな学びがあったので、改めて後でまとめることにして、まずイスタンブールについて。

イスタンブール2000年前後にバックパッカーとして1人で2週間くらい、2005年にビジネススクールの友人の結婚式で友人たちと1週間くらい滞在したことがあります。 前回から10年経って記憶が朧げになっていたところなのですが、今回改めて、、、

いやーーーー、すごい都市である。
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「コト」に向かってます。

お久しぶりです。

BCの時代(BC = Before Children)は、週6日くらいブログを書いていた私ですが、最近は密かに月1回更新が目標になっていて、おたおたしていたら年を越してしまいそうな勢いなので、年を越す前に近況報告を。
10月以降、引っ越して(そう、せっかく改装した家から引っ越しました・・・)、家族5人全員が順番に嘔吐風邪にかかって、私はついでに乳腺炎になって、長女(1歳3ヵ月)が2度目の嘔吐風邪にかかって、その間に夫が2度海外出張に行って、3人の子どもの育児と家事をしながら私は自分のデザインビジネスを立ち上げていました。
つまり、ひと言で表現すると「忙しかった」のですが、物理的にはずっと忙しいので、忙しいのは今に始まったことではありません。 今が以前と違うのは、私は今人生の中でも大きな「フロー」状態にあり、「コトに向かっている」から、他のことに向けるエネルギーが湧かないのです。

「コトに向かう」というのは、DeNAの南場さんの講演の中で出てきた言葉です。 これは講演当時、ソーシャルメディアでバズっていたので読んだ(観た)方もいらっしゃると思いますが、長くないのでぜひ全文読んでみてください。
NAVERまとめ:DeNA南場智子さんの講演「ことに向かう力」がいい話だった
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まずは器をつくって入ってみる。

前回の続き。 左脳系からの大キャリアチェンジをしたため、よく聞かれた質問に答えるコーナーです。

2. 子供の時からの夢だったの? ついに好きなことを仕事にしたの?
これもよく聞かれました。 だって、私たちは故スティーブ・ジョブスに

Have the courage to follow your heart and intuition
They somehow already know
what you truly want to become
自分の心と直感に従う勇気を持って
どういうわけか、心と直感は
あなたが本当は何になりたいのか知っている

って言われてるし、世の中には「情熱を持てる仕事をしよう!」という自己啓発系の記事で溢れています。

私はもちろん建築やインテリアには興味はありました。 でも子供の頃からの夢だった訳ではないし(注)、どちらかというとかなり頭で考えて選んだ職業でした。
注:小さい頃から世界に興味があったので、小学校の卒業文集にはたしか「世界ふしぎ発見のレポーターになりたい」と書いた気がします。 それが海外勤務の多い以前のキャリアに結びつき、ロンドンで暮らす今の生活に結びついているので、ある程度子供の頃からの夢はもう満たせたのかも。
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デザインの経験なしにデザイナーになれる?

今さらすぎてアレなのですが、最近、自己紹介する時に「インテリアデザイナーです」というのに違和感がなくなりました。 学校を卒業してデザイナーとして働き始めた頃は「あ、でもキャリアチェンジしたばかりなんですけど」とか「この前卒業して、まだまだ駆け出しで」とか、説明に”but”がついていたのですが、それがなくなりました。

もちろん仕事に慣れてきて自信がついてきた、ということもありますが、何よりも新しいラベルに「慣れた」ことが大きいと思います。 新しい靴が、今まで履いてた靴とあまりにも違ったため、最初の頃はずっと履き心地が悪かったけど、ようやく靴の方が自分の足の形に合ってなじんできた、、、そんな感じ。

以前は左脳系の仕事をしていたこともあり、よく聞かれた質問に対して答えてみます。
1. デザインのバックグラウンドがあるの?
これは同じく左脳系の人からよく聞かれました。 私もデザイナーってこういうスケッチが描けなければいけないようなイメージでした(参照:『他人になろうとするには人生短すぎる』)。
FG_Guggenheim_sketch2
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コスパで人生を測るな。

最近、日本のメディアで立て続けに「結婚や育児はコスパが悪いと避ける人が増えている」という趣旨の記事を読みました(AERA: 結婚はコスパが悪い ひとりの寂しささえも代替可能)。
これを読んだ時、ほとんどの子持ちは「そりゃ子どもはコスパ悪いよ(むしろ経済的には大幅マイナス→『子供ひとりを育てるのにかかる費用』)。 だけど、それがどうした?」と感じたんじゃないかと思いますが、これって論理を組み立てる前提が理解できないため、理解できない結論が導かれてるんじゃないでしょうか?
<前提 1>育児はコスパが悪い。
<前提 2>ボクの意思決定にコスパは重要な判断基準である。
<結論> だから結婚・子育てはしない方がよい。

ここで問題となるのが<前提 2>、この前提を持つ人たちは死ぬ時、「ああ、コスパのいい幸せな人生だったなー」と思って死ぬのが理想なんでしょうか? 以前『人生をどうやって測るのか?』というエントリーでは、癌の告知を受けたクリステンセンHBS教授の言葉を紹介しました。

God will assess my life isn’t the dollars but the individual people whose lives I’ve touched.”
神が私の人生を測る計測は稼いだお金ではなく、私が触れた個々の人間である。

前回のエントリー『記憶に残るのはどんな感情を抱いたか』では、壮絶な人生を生きたアメリカの黒人活動家・詩人・女優であるマヤ・アンジェロウの言葉を紹介しました。

People will forget what you said, people will forget what you did, but people will never forget how you made them feel.
みんなはあなたが言ったことを忘れてしまう。 あなたがしたことを忘れてしまう。 だけどあなたに対して抱いた感情を忘れることはないでしょう。

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