イスタンブールを見て死ね。

あけましておめでとうございます。 年末年始はどのように過ごされましたか?

我が家は、5歳9ヵ月(♂)、3歳5ヵ月(♂)、1歳4ヵ月(♀)の怪獣たちを連れてイスタンブールに2週間行ってきました。 次のホリデーの予定がないと落ち着かない私、夫婦2人の頃は身軽に飛び回っていたのですが、子どもが産まれ、2人に増え、3人に増え、とチャレンジが増えるたびに旅行スタイルを試行錯誤してきました。 乳幼児連れでリラックスすることが目的の旅のスタイルについては『子連れバカンスを劇的にラクにするTips』に書いていますが、このスタイルも数年続けているので飽きてきました。 特に冬のヨーロッパから行けて、かつ泳げるほど暖かいところとなると、アフリカかカリブ海まで足を伸ばさないとないのですが、そんなお金がない! もともと歴史のある街を観察しながら街歩きするのが大好きなので、改めて「子連れシティー・ホリデー・デビュー」と題して、人生3回目の大好きなイスタンブールへ!(トルコ沿岸部を入れるとトルコは5度目)

文化や歴史建造物を訪れる子連れシティー・ホリデーとして大きな学びがあったので、改めて後でまとめることにして、まずイスタンブールについて。

イスタンブール2000年前後にバックパッカーとして1人で2週間くらい、2005年にビジネススクールの友人の結婚式で友人たちと1週間くらい滞在したことがあります。 前回から10年経って記憶が朧げになっていたところなのですが、今回改めて、、、

いやーーーー、すごい都市である。

何がすごいかというと、
1. アジアとヨーロッパのミックス
2. 新と旧のミックス
が生み出す折衷スタイルや大都市の混沌が都市としてすごいバイブを醸し出しているのです。

1. アジアとヨーロッパのミックス
2大陸にまたがっている都市は世界中でイスタンブールだけです。 アジア、ヨーロッパともに長い歴史のある旧大陸で、文明の交差路に位置したイスタンブール(旧コンスタンチノープル)はローマ帝国(330 – 1204年)、東ローマ(ビザンチン)帝国(1261 – 1453年)、オスマン帝国(1453 – 1922年)の首都として栄えました。 その長い歴史の息づかいが、いまだにどこを向いても残っています。 以前『そこにしかないもの』というエントリーを書きましたが、イスタンブールはイスタンブールにしかないものだらけ。 強烈なアイデンティティーを維持した他のどこにもない街で、その歴史地区はユネスコ世界遺産の文化遺産に登録されています。 キリスト文化とイスラム文化の折衷では、キリスト教大聖堂として建てられモスクに改修したアヤソフィアが有名ですが(下の写真)、私は今回はオスマン帝国のスルタンが19世紀のヨーロッパ列強の宮殿と競うように建てたドルマバフチェ宮殿に衝撃を受けました。
Ayasofya exteriorAyasofya interior

2. 新と旧のミックス
そして、実は1,400万人(2014年)の人口を擁する大都市です、ヨーロッパでは(西欧では人口が一番多い)ロンドンより大きく、モスクワと張る大都市(*1)。 しかも1970年には210万人の人口が、2000年には880万人、2014年には1,400万人と急速に増加しています(*2)。 そのほとんどが国内の別の地域からの上京者で、今のイスタンブール人口1,400万人のうちイスタンブール生まれは200万人しかいないそう(*3)。
*1・・・Wikipedia: Megacity
*2・・・Wikipedia: Istanbul
*3・・・Wikipedia: Demographics of Turkey
これだけ人口が増えると、その人口を収容する住宅が必要ですし、人が移動するための交通手段も必要です。 イスタンブール新市街はピカピカの高層ビルに中・高所得者層が住み、そのすぐ側の老朽化した木造住宅に低所得者層が住むという混沌とした光景です。 また、公共交通が足りずに交通渋滞が慢性化していますが、レトロなデザインのトラムもあれば、最新の海底トンネル地下鉄がアジア側とヨーロッパ側を結ぶ、という具合。
最近トルコ経済がガタついていますが、欧州経済危機以前は年率7 – 9%の高成長を続けていた中進国、新市街のカフェでは普通にFlat Whiteが頼めて(*4)、店内Wifiを使ってMacで仕事をする若者が普通に見られ、すっかりグローバル都市の顔をしています。 文化遺産となっている歴史地区のある旧市街を出ない旅行者が多いらしいのですが、それではイスタンブールの半分しか見ていないも同然、イスタンブールの「今」がある新市街やアジア側にこそ面白さがあります。
*4・・・Flat Whiteはオーストラリア・ニュージーランドが発祥の地ですが、ロンドンには7年ほど前ブームがやってきました(→『コーヒードリーム花開く』)。

ところで、1,000万人以上住む大都市でユネスコ世界遺産となっているところは、世界ではイスタンブールだけかと思うのですが、この2つを掛けるとどうなるかというとひと言、「カオス」です。 文化遺産が「保護する」対象であるのに対し、流入し続ける人口には住宅や交通手段を「新しくつくり提供する」必要があるので当然です。 こんな難題を解き続けなければならない行政には同情しますが、「有名な歴史的建造物だけでなく、歴史地区の景観を構成する街並を保護しないと文化遺産の地位を剥奪するぞ」とユネスコがイスタンブールに最後通牒を突き付けたというBBCの2010年のニュースを見つけました。 今はどうなっているんでしょうか?
BBC: Istanbul’s Unesco World Heritage status under threat

昔だれかが「ナポリを見て死ね」と言ったそうですが、むしろ「イスタンブールを見て死ね」の方が当たっている気がします。


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