Category Archives: 2. ビジネス・キャリア

日本のアンドリュー・ロイド・ウェバー

先週アンドリュー・ロイド・ウェバー(イギリスの著名ミュージカル作曲家)の代表作CATSを見に行ったと書いたら、タイミングよく(自称)日本のアンドリュー・ロイド・ウェバーの友人からメールがきました。
彼の名は大野裕之、ニックネームはチャーリー。
大学のクラスメイトです。
変人の多い我が学部の中でも群を抜く奇才で、高校生のときにロンドンミュージカルに心酔。 出会った大学1年のときにはもう「日本のアンドリュー・ロイド・ウェーバーになる」と豪語しており、在学中に「劇団とっても便利」というとってもふざけた名前の劇団を立ち上げました。
日本のチャップリン研究第一人者(だからニックネームはチャーリー)として「徹子の部屋」にも出ています。
もっと彼の変人ぶりを知りたい方はこちら(↓)。
劇団とっても便利:大野裕之
今回のメールは新しいミュージカルのお知らせだったのですが、主演はかの有名な小柳ルミ子さん。
「若い男に恋をしてしまうすっかり忘れ去られた大女優の役」をルミ子さんが演じるんだそうです・・・
唖然・・・ハハハ、そんなのってありなんだ・・・これは誰の案? →チャーリー?

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グローバル標準Expatモデル

『絶滅寸前? 駐在員手当』というエントリーは密かな反響を呼んだので、もうちょっと補足します。
Expat(Expatriateの略)は日本語で駐在員と訳されますが、いわゆる駐在員手当のない人も含み「外国人の(ちょっと高給)ホワイトカラー」くらいの意味です。 シンガポールに住む私の友人はほぼ全員これ。 ヨーロッパ、アメリカなど他地域のオフィスから転勤してきた人もいますが、駐在員手当がある人はたしかいなかったような・・・
Mercerという世界最大の人事コンサルファームの下記コラムに最近のExpat benefit(Expatの福利厚生)のトレンドが載っています。
MERCER : Expat benefits: Achieving parity in a global arena
関連部分を要約します。

トラディショナルなExpat benefitは数年の海外勤務後、母国に帰ることを前提にしたものであるのに対し、次のような最近の傾向に伴い企業もモデル修正を迫られている。
「グローバル放牧型」の従業員が急激に増加している。 彼らはさまざまなプロジェクトで国から国へと移動する。 プロジェクトの数、頻度、その性質により、彼らはすぐに就職した国とのつながりを失ってしまうので、就職国の福利厚生パッケージ(年金、健康保険、など)をキープしておくことに意味がなくなってしまう。

そして、この「グローバル放牧型」従業員増加への対策として、

従業員のポジションと業務上ニーズによってExpat benefitをフレキシブルにレビュー・対応させている。 特定の業務上ニーズ(例えば新規事業立ち上げなど)によってプロジェクトが生じ、特定のスキルを持った人が必要な場合やグローバル・リーダーを育成するといった企業目的を達成したい場合などは、企業も転勤をサポートする必要を認識し、より充実した手当が与える。 一方、若手がキャリア開発のため多地域で職務経験を積む場合には、企業から出る手当は多くはない。

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海外就職における「個人の力」

昨日が日本人の海外就職における「日本の力」だったので今日は「個人の力」の話。
梅田望夫さんの「自分の力と時代の力」講演録にはこうあります。

非常に能動的で積極的で勉強しようと思っていて、一生懸命生きようと思っている人たちにとっては、その人生を助けてくれる道具がものすごく充実していて「自分の力」の増幅装置になる。 かりに「時代の力」が衰微していても、ミクロに見れば、いろんなオポチュニティが目の前にあるわけだから、そういうところを「自分の力」でこじあけていける。

この「個人の力(梅田さんは「自分の力」と書いていますが)の増幅装置が充実している」という点については、私がINSEADを卒業したわずか5年前に比べてもそうなってきている、と感じます。
その話の前に、増幅装置はあくまで増幅するためのものであり、もともとが小さければ増幅幅も小さいです。
『勝間和代の日本を変えよう』に、

いま日本で年収1,000万円もらっている人がアメリカで就職しても10万ドルもらえない

とあって、その通りだな、と思いました。 これは英語が完璧に使えるとして、スキル・学力・ノウハウがそのままの前提での話です。
日本は就職した企業(日本企業の場合、多くが新卒入社)の業界とその企業の業界内での位置、プラス年齢でほぼ年収が決まるので、大手企業で課長レベルになれば(都市銀行・証券、総合商社は課長にならなくても30代前半で)年収1,000万超えますが、その中で、アメリカじゃなくてもヨーロッパでもシンガポールでも10万ドルの価値がある人は少数だと思います。

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海外就職における「日本の力」

最近めっきり更新が減って寂しい梅田望夫さんのブログですが、『「自分の力と時代の力」講演録』というエントリーにあった「時代の力」と「自分の力」の捉え方が私が今までひしひしと感じてきたことと非常に近いので経験を重ね合わせながらご紹介します。
とてもいい講演録なので、ぜひ全文読んでください、なのですが、以下関係部分だけ要約です。

梅田さんがシリコンバレーに移住した1994年は3つの「時代の力」が渦巻いていて、「時代の力」に押されるようにやってきた。
1つめは世界経済の状況。
2つめは「日本の力」(80年代後半はジャパン・マネーが席巻し、日本という国や日本企業の力をバックに、大きな仕事をして人脈を作ったりすることができた)。
3つめは「技術や産業の力」(ITは昔に比べ成熟し、時代の力は弱まっている)。
昔に比べ、これからシリコンバレーに移住しようとしている日本人を取り巻く「時代の力」は総じて弱まっている。

3つの「時代の力」が弱まっているという話は納得ですが、1.は全世界的に当てはまるし、3.はIT産業に特化した話なので、日本人が海外で就職したいときに、2.「日本の力」がどう変化してきているかについて私が実際感じてきたことを。
日本で生まれ育った日本人の海外就職(アシスタント職ではなく、メインストリームを対象)にはいろいろなパターン・タイミングがあります。
1. 大学から海外でそのまま現地就職(続いてMaster, PhDなど取得した場合もここに含む)
2. 日本で就職し数年経った後に大学院留学し、現地(または他の国で)就職
3. 日本企業から海外駐在し現地で転職
4. 日本で働いた後、自力で海外に渡り就職
その他にもありますが、私が一番詳しいのは2.のケースでMBA取得直後にそのまま海外で職を見つけるケース(私自身は2.ではなく4.)。

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「世界級」的に読むサバイバル・キャリア術

本田直之さんの『本田式サバイバル・キャリア術』を読みました。
え???
本田さん、私の心を読んだ???
っていうくらい最初から最後までうなずき通しでした。 出てくる本もほとんど私が影響を受けた本ばかりだし。
私たち世代は盛田昭夫さん、松下幸之助さんの伝記読んでも感銘は受けるがピンとはこない。 大前研一さん、石倉洋子さんのキャリアもそのままマネしても通じない(通訳とマッキンゼーがお2人の共通点)。 本田さんあたりまで年齢が下がってようやくそのまま参考になるんじゃないでしょうか?
このブログで今までに書いたことと非常に重なる部分が多いので、本の内容をブログ記事と重ね合わせながら紹介します。
まず、「私は不況が好きです」というギョッとする文章から始まるこの本。
私自身は不況は好きではありませんが、今までのキャリアの中で起ったことで一番ラッキーだったと思っていることは新卒で入社した会社が経営不安に陥ったことです(私が辞めた後、その会社は同業他社と合併)。 あの出来事がなく何となく安定した会社に入社していたら今の私はなかったと思います(その経緯は→『米金融、未曾有の危機』に)。

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不況で従業員のロイヤリティを高めた会社

世界中で雇用情勢は厳しさを増すばかりですが(って、こんな部外者みたいな口ぶりの私ももろに影響を受けているんだが)、暗い話は聞き飽きたと思うので、こんな会社もあるよ、ってお話。
ある業界に特化した戦略コンサルファームの話で全世界に200人くらい従業員がいます。
コンサルファームや弁護士事務所、会計事務所はプロフェッショナルファームと呼び、パートナーシップという会社形態を取ることが多く、給料をもらう従業員と利益を分けるパートナー(共同経営者)からなり、この会社も例外ではありません。
このファームがすごいのは、売上など経営に関わる情報が広く社員に共有されていること。
イントラネットで全世界のオフィスのセールス状況、プロジェクトの金額、各レベルのコンサルタントのチャージャビリティ(*1)の目標と実績値がほぼリアルタイムで公開されており、毎週サマリーがE-mailで送られてくるので、全員が会社の売上推移を把握しています。
*1・・・コンサルファームはプロジェクトで働いた時間あたり報酬をクライアントに請求するため、勤務時間のうちどれだけクライアントに請求(チャージ)できたかを示すチャージャビリティが重要な指標。
全社の売上なんて、上場企業の社員であれば業績発表時に初めて知り、未上場企業の社員であれば正確なところは知らなかったりするのが普通だと思うので、この透明度の高さは驚き。

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「中国人・インド人は起業家魂がある」の嘘

シンガポールに来て以来、思っていたこと。 反論歓迎。
よく「中国人とインド人は起業家魂(Entrepreneurship)があるけど、日本人は・・・」のような言われ方をすることがありますが、私は人種・民族と起業家魂には全く相関性がないと思っています。
なぜなら中国人、インド人で溢れているのにも関わらず、Entrepreneurshipがない場所があるから。 それは、ここシンガポール。
シンガポールの産業構造は大きく分けて3層構造。
1. 多国籍企業のアジア・パシフィック本社
2. 政府系企業(Government Linked Company = GLCと呼ばれ、シンガポール航空、Singtelなどシンガポール主要産業の中枢を司る)
3. (主に中華系の)家族経営の中小企業
『300人待ちの幼稚園』に書いたように幼少期からの教育競争は熾烈ですが、言語の習得(英語と中国語)に非常に力点が置かれており、上記1.と2.(両方とも大企業)に職を得て成功することがよし、とされており、親が子どもに期待するのも「いい職につく」こと。
起業の形には、”Opportunity driven”(いわゆるベンチャー・ビジネス)と”Necessity driven”(海外で中華レストランを経営する中国人など、仕事がないから必要に迫られ自営するもの)に分けられますが、シンガポールはそのどちらも少ない、という点で日本と同じ。

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海を渡った日本人画家

kazumasa_rose.jpg私の高校時代からの友人が銀座に画廊をオープンしました(右は応接室に飾ってあった、中川一政の「薔薇」)。
高校は大阪、大学は京都、就職してからは東京、と同じ場所にいて、彼が新卒就職した会社を辞め画廊の見習いになってからの苦労を見ていたので、ひとまずオープンに漕ぎ着けられて私も喜んでいます。
本当におめでとう。
銀座の中の銀座にある画廊を訪ねると、いつものとおり(いつも以上に)絵に対する想いを語ってくれました。
彼が扱うのは1900年代初頭に活躍した画家による日本の近代洋画。
「なぜその時代のその絵なの?」という私の問いに
「純粋にいい絵だと思うから」というまっすぐな答え。
江戸時代後期から明治時代にかけて日本が200年の鎖国から覚め、西洋のものが次々と入ってきた頃、当時、日本画を描いていた画家は全く技法も表現も異なる西欧の洋画にひどく衝撃を受けたんだそうです。
そのうち「どうしても自分の目で確かめ技法を身につけたい」という熱い想いを押さえきれない画家たちが自力でヨーロッパ(多くはフランス)に渡り始めます。

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岩瀬さんと生命保険

東京ではライフネット生命保険の副社長、岩瀬さんのオフィスにお招きされお会いしました。
知っている人も多いと思いますが、こちらにも書いたように東大(在学中司法試験合格)、BCG、リップルウッド(投資ファンド)、HBSの成績上位5%という輝かしいキャリアの持ち主。
Wikipedia : 岩瀬大輔
同年代の岩瀬さんはMBA留学時期はかぶっていないのですが(彼は2004 – 2006年、私は2003 – 2004年)、ハーバード留学記の頃ちらちらブログを読んでおり、卒業後どうするのかな?と思っていたら、ネット生保立ち上げということで度肝を抜かれました。
そして、『ヒーローリスト公開』というエントリーに「死ぬまでにぜひ会ってみたい人」と書いたら、ご本人からメールがきた、という嘘のような本当の話。
lifenet.jpgいろいろ個人的な話もしてお土産に本も頂いて、その日ちょうどオフ会だったのでライフネット宣伝用のパンフレットも頂きました。
そしてオフ会でパンフレットを配ろうとすると、皆さん、あんまり生命保険には関心がない、知らない、のですねー。 新卒の会社に通っていた生保レディに契約させられそのまま○年・・・とか。
・・・ということで、ちょっと生保のお話。

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佐賀の民家、NYのホテルに

以前こちらのエントリーで紹介した“MONOCLE”という世界を飛び回るジェットセッターをターゲットとした雑誌(英)に、佐賀県の古民家をNYのホテルの中で再生したという記事が載っていました。
MONOCLEの記事はオンラインにありませんが、佐賀ニュースのサイトにはこちら(↓)の記事が。
佐賀の古民家、NYで再生 鹿島の建築家ら
時速3kmの世界「vol.6 鹿島市の農村を歩いて」
佐賀県に残る、昔ながらの伝統工法を用いたヨシ葺き屋根の民家がどんどん解体されていくのに見るに耐えなくなった建築家と大工の棟梁が、NYのレストラン経営者と出会い、解体した古民家の材料の移築・再生先を一緒に探した結果、俳優ロバート・デ・ニーロが経営するGreenwich Hotelの内装として復活することになった、というもの。
ny_pool.jpgホテルのプールがこんな風に梁を活かした素敵な空間になっています。
次のプロジェクトもニューヨークとカリブ海で決まっているとか。
MONOCLEには、プロジェクトを手がけたNYのレストラン経営者の言葉として、「悲しいことに、こういう建物の価値を認めるのは、日本人より欧米人なんだよ」という一文がありましたが、これは他の国でも本当にそう。

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