Tag Archives: INSEAD

優秀な外国人を求める企業募集

シンガポールに引っ越して来て以来、5年も前に卒業したINSEADとの距離が近くなりました。 卒業生を対象にシンガポール・キャンパスで開催される各種イベントに顔を出していたら(→こちらこちら)、そのうち学校から声がかかるようになり、今では受験生のインタビュアーもやってます。
今日は学校のCareer Service(就職課)から頼まれたので、みなさんにもお願いです。
ビジネススクールの就職課は業界ごとに担当者がおり、企業との関係構築、学校の宣伝、オンキャンパスリクルーティング(企業がキャンパスに来て行う説明会・面接)開催、インタビュー(面接)アレンジ、などあらゆる側面から学生(そして卒業生)の就職活動の支援を行います。
企業との関係構築は長期に渡り、まず企業が在校生・卒業生のレジュメ(履歴書)を閲覧しどのようなスキル・経験を持つ学生がいるかを把握、サマー・インターンやフルタイムで企業・学生双方が条件を含め合意したら学生が就業開始、「去年雇ったINSEAD卒業生のパフォーマンスがいい」ということになれば継続的に企業が雇うようになり、複数名募集するようになればキャンパスに来て説明会・面接を行うオンキャンパスリクルーティングに発展します。
伝統的にMBAを雇うコンサルや投資銀行以外にも、若干名でも継続してINSEAD生を雇う企業は着実に増えており、学生と企業双方の希望を聞きながらマッチングさせるのが就職課の仕事。 2007年、INSEAD生の就職先企業はこちらをご覧ください。

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5年目の同窓会

先ほどフランスから帰ってきました。
初夏のフランスはベストシーズンで周りにつられてさんさんと降り注ぐ太陽の光を浴びていて気がついたらすっかり焼けてしまいました。 赤道直下のシンガポールではこんなことしないんですが・・・ 太陽のありがたみが違うんだな、質まで違う気がする。
今回は出発前のこちらこちらに書いたようにINSEAD卒業5周年の同窓会+プロヴァンス地方ドライブ旅行。
まずは同窓会の話を。
HBS(ハーバードビジネススクール)で伝統である学期最後の授業で教授が生徒に送るメッセージを集めた『ハーバードからの贈り物』という本にあった、

自分の実績と収入を、自分自身の目標や成功の基準ではなく、同級生の実績や収入と比較することになるのだ。

から「同窓会には行くな」という教授からのメッセージに考えさせられた話を『MBAの同窓会』というエントリーに書きました。
そのことを再び書いたエントリー『友人の昇進』に、渡辺千賀さんからStanford MBAでは

意外に「そんなにはうまくいってないひと」「ふつうなひと」の方が出席しがちな気がします。 とっても成功している人(個人資産二桁million $以上って感じかな?)はまず来ません。

とコメントをもらったので、同窓会で繰り広げられる人間模様にますます注目していました。
結果は、、、
「他人と比べる」ような雰囲気は皆無でした。
全くなし、誰も仕事の話なんてしていない、ゼロ。

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カルトのような文化

先週のThe Economistにアメリカの靴とアパレルのe-コマース会社Zappos.comの記事が載っていました。
The Economist : Keeper of the flame
CEOいわく「たまたま靴を売っているサービス会社」ということで類いまれなカスタマーサービスが評判なんだそう。 このサービスを支えるスタッフの指針となっているのが、Zapposの企業文化。 ”Culture Book”という本を従業員全員が読みこなしていて、”deliver WOW through service(サービスを通じてWOWを伝えよう)”とか”create fun and a little weirdness(楽しさとちょっと変を作り出そう)”とか書いてあるんだそう。
採用面接も「一番好きなスーパーヒーローは誰? そしてなぜ?」とか「1から10の間で自分のラッキーさは何点?」とか、まあユニーク。
ちょっとMBAの授業で読んだ”cult-like culture(カルトのような文化)”というケースを思い出しました。 ある意味カルトと言えるほど強い企業文化で企業と従業員とを束ねている会社を扱ったもので、ディズニーが例として挙げられていました(日本だとユニクロやリクルートが強い企業文化を持つとして知られていますかね?)。
そして、強い文化を持つのは企業だけではありません、学校もしかり。
世界中いろいろあるのでしょうが、私の行ったINSEAD(MBAプログラム)は在校生・卒業生の愛校精神が(他の人から見るとおそらく)気味悪いくらいに強く、うちは夫婦ともに卒業生なので、相当ウザイと思われていると思います。
(ここから少々、宣伝入ります)

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ドバイ・バッシングと英語での情報発信

久しぶりにJOIこと伊藤譲一さんのブログを見たら、二重の意味でタイムリーなエントリーを発見。
Joi Ito’s Web :ドバイに対するバッシングと「すり替えたがり傾向」について
何といつの間にかドバイに拠点を移していたJOIさんが最近のドバイバッシングとも言える記事(下にリンク)に対し、「今の風潮に合わせてドバイを叩いておこう」というジャーナリズムはいかがなものか?と疑問を呈したエントリー。
New York Times : Laid-Off Foreigners Flee as Dubai Spirals Down
Guardian : We need slaves to build monuments
The Independent : The dark side of Dubai
このNY Timesの記事というのが、ドバイで借金を抱えた外国人が空港に車を乗り捨てて国を逃げ出している(UAEでは借金を踏み倒したら実刑)、というもので、まさに夫や友人たちの間で「いやー、恐ろしいねー」と話題になっていた記事でした。
話は少し逸れますが、こちらのエントリーで紹介した『Ahead of the Curve: Two Years at Harvard Business School』という本にHBS(ハーバードビジネススクール)の卒業生のうち金融業界に進む人の割合とアメリカの株式市場には相関性があるという分析結果が紹介されています。

金融に進む人の割合が10%以下だと長期の買いシグナル、30%以上だと長期の売りシグナル。 HBSの2006年卒業生は42%が金融に進んだ。

かなり正確なシグナルだと思います、バブっているところに人もお金も集まるのである。
この箇所を読んで思い出したのが、INSEAD卒業生で卒業後ドバイに職を得た人が急上昇していたこと。 私は2004年卒でこのときはそうでもなかったのですが、2005年、2006年とまだ日本でドバイの「ド」の字も騒がれていなかった頃、ドバイに移る知人がどんどん増えていました。 「こりゃー、なんかあるなー」と思っていた2006年、出張でドバイに行く機会があったのですが、明らかにバブってました、すでに。
昨日はGoogle検索数が実態経済の予測指標になる話を書きましたが、ビジネススクールの卒業生就職先も先行指標になりそうです。

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英語以外のことばを学ぶ理由

朝日新聞に、英ケンブリッジ大学の学部生の入学基準は今まで「英語+英語以外の1言語」が必要だったのだが、今年から「英語以外の1言語」が除かれ、これからは「英語」だけでよい、とありました。 ケンブリッジ大学が廃止したことにより、これですべての英国の大学からこの基準が消えたとか。
University of Cambridge : Undergraduate Admissions : Entry requirements
理由は、非英語圏の英語人口が増加しているために、英語を母語とするイギリス人の間でわざわざ外国語を勉強しようとする人口が著しく減少しているから、とのこと。
わからんでもないですねー、外国語を勉強するモチベーションが上がらないのも。
でも、英語を母語とすることはもはやアドバンテージではなく、「え? 1ヵ国語しか話せないの?」と言われる世界になりつつあることは『Native English Speakerの危機』に書きました。
この入学基準論争を読んで思い出したのが、INSEADのこと。
私が行ったINSEADのMBAコースには”3 language requirement”なるものがあり、入学前に2ヵ国語、卒業までに3ヵ国語ができること、が条件です。
INSEAD – MBA – Languages

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ロンドンで懐石料理レストラン

いまいちシリーズ化していない起業家応援シリーズですが(ブログの右下のTag Cloudで’起業家’をクリックすると、私の友人起業家たちの話が読めます)、今日はロンドンで日本食レストランをオープンした日本人女性のお話。
私が渡辺彩子さんを知ったのはINSEADの卒業生ニューズレター(↓)。 そう、INSEADの先輩です。
INSEAD : Meet Ayako Watanabe MBA’96D – Founder, Saki Bar & Food Emporium, London
2006年にレストラン激戦地のロンドンで本格日本食(懐石)レストランSaki Bar & Food Emporiumをオープンし、あまたあるレストランの中から数多くの賞を受賞しています。
‘The UK Best Dishes Award’
‘Best Seat in the House’
海外で成功している高級日本食レストランの経営者ってNOBUの松久信幸さんとか、Tetsuya’sの和久田哲也さんとか、シェフ出身で「料理の腕がよく、経営もわかる」人だと思っていたのですが、なんと彩子さんはINSEAD卒業後、ITコンサルのアクセンチュアに勤務すること6年。
思わず「ニューズレター見ました!」とメールしてしまいました。

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'食わず嫌い'と'食った嫌い'

はやいもので、今日は200エントリー目になりました。 いつも読んで頂いてありがとうございます。
100エントリー目にやったので、今日も記念っぽいエントリーを(そのうちネタ切れしそうですが・・・)。
最近、心がけていることに「’食わず嫌い’と’食った嫌い’を直す」というのがあります。
食べ物の話ではなく、もっと広い意味で(食べ物でも最近ようやく牡蠣嫌いを克服しました、やったー!)。
‘食わず嫌い’の定義を「味覚以外の感覚を通して得た情報を元にネガティブな判断を下してしまい、味わうという経験をする前に嫌ってしまうこと」だとすると、ここで比喩的に用いているのは「経験する前に嫌ってしまうこと」の意。
最近、中国という’食わず嫌い’(というほど強いものではなく、心理的に遠い国、’食わず苦手’くらいだったけど)を克服しました(旅日記→1, 2, 3, 4, 5, 6)。 その心理的な遠さは、メディア情報で形成されるイメージや母の中国人嫌い(本人の個人的な経験からきているので、後で言う’食った嫌い’というやつ)に影響されていたもので、個人的な体験からくるものではなかったので行ってよかったです。
そして、’食わず嫌い’よりもっとやっかいなのが’食った嫌い’。 これは、「個人的な体験を元に嫌いになってしまうこと」を指します。 一応「食ってみた」という体験があるため、一度身につけてしまった先入観を自ら破るのは至難の業。
私が20代後半で克服した’食った嫌い’が「アメリカ人」です。

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企業が学生に夢を与えるひとつの方法

私が学生の頃、会社ってどんなことをするところなのか想像もつきませんでした。 毎日、朝早くから晩遅くまで会社員は同じ場所に通い続けていったい何をしているのかと・・・
今は当時に比べるとインターンなどを通して就職する前にある程度仕事を体験できる機会が広がってきたようですが、私たちの頃なんて大学3年も半ばになると自動的にリクルートから電話帳の2, 3倍はありそうな重さの情報誌が届いて、企業から会社案内が送られてきて・・・ 部屋の片隅にできたパンフレットの山を見ながら「これ読んで選べって言われても・・・」
OB訪問をするまで(サークルの先輩やバイト先の社員を除くと)社会人との接触もなかったし、ましてや大企業のトップなんて見たこともありませんでした。
日本の企業と大学はお互い不可侵であるという協定でもあるのかな?
・・・なんて思ったのはINSEADでGlobal Leader Seriesというイベントに参加したとき。 Global Leader Seriesというのは、INSEAD MBA学生が世界の著名なビジネス・リーダーをキャンパスに招いて、カジュアルな雰囲気で学生の前でリーダーシップについて語ってもらおうというイベント。
こちらに過去のスピーカーが載っていますが、2002年には当時Renault CEOのゴーンさん、2003年は当時GEのCEO Jeff Immelt、という錚々たる顔ぶれ。

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INSEAD誘致失敗で失ったもの

まだまだ週末あったイベントのお話。
昨日と一昨日書いたDr.Liuとのディスカッションは30人くらいの少人数イベントだったのですが、それに先立ちINSEAD卒業生200人以上が25ヵ国からシンガポールキャンパスに集結した”Meeting in Asia 2008″というイベントが行われました。 内容はINSEADの誇る2人の統計学の教授が「昨今の金融危機で露呈されたように、人間は自らの力を過信し実際以上に現実をコントロールできると思いがちである。 この”コントロールできるという幻想”がさまざまな局面で「幻想」に過ぎないことを示し(例:5年後のダウ・ジョーンズ予想)、コントロール不能な現実が多くあることを自覚することによって、自分の人生を取り戻そう」というもの。
活発な質疑応答など非常に楽しかったのですが、以前このエントリーのコメントでEDGEさんに推薦頂いた『まぐれ』という本にエッセンスがまとめられているので、興味のある方はぜひ一読を(私も読んでいる真っ最中でした)。
わずか半日のイベントに200人以上の卒業生が集まったイベントを見ながら「INSEADもいよいよ 本格的にアジアのビジネススクールになってきたなー」という思いを強くしました。 この状況で一番得をしたのはシンガポール政府ではなかろうか?
INSEADは政府・大学・企業から独立した教育機関としてフランスのパリ郊外フォンテーヌブローに1969年設立され(グロービスがINSEADをモデルとしていることは代表の堀さんのブログで触れられている)、途中まで英語とフランス語の2ヵ国語で授業を行っていたため「フランスのビジネススクール」の域を出なかったのですが、授業を英語だけで受けられるようになってからは世界ランキングトップに顔を出すようになりました。
その特徴は学生のバックグラウンドの国際性であることは以前書いたのですが、2000年にシンガポールにキャンパスを開設してからはますますその傾向は強まり、現在は75ヵ国から学生が集まり一番多いアメリカ人が10%(私がいた時は一番多いイギリス人とフランス人が12%ずつであった)、実に学生の75%がフランスとシンガポール両方のキャンパスを経験するそう。
INSEAD_singapore.jpg

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ソフト・パリと魅惑のインド

昨日とがらっと異なり、ローテクなベンチャーのお話。
『果たしてヤジ馬なのか歴史の証人なのか』『すべては一杯のコーヒーから』に書いたように、INSEAD同級生の中には起業し始めた友達も多いのですが、ハイテクではなくローテク・ベンチャーの方がむしろ多い。
(ここから先は18歳以下の読者はご遠慮ください、笑。)
soft_paris.jpg最近聞いた中で一番面白かったのが、フランス人女性が立ち上げたsoft paris(←ロゴをクリックするとwebsiteに飛びますが、人のいるところでブログを読んでいる方は注意しましょう)。 いわゆる「オトナのおもちゃ」(女性向けオンリー)をマルチレベル・マーケティングで販売するビジネスです。
マルチレベル・マーケティングとは販売組織がピラミッド構造をしており、上位販売員が下位販売員を勧誘しトレーニングするシステム(日本では一般的に「マルチ商法」と呼ばれ悪徳商法の一部と勘違いされがち)。
Wikipedia : 連鎖販売取引
簡単に説明すると、Soft Parisの商品に興味のある女性グループを誰かの家に集めてホームパーティーを開き、そこで販売員が商品の紹介をする、といういわゆるホームパーティー商法です。
2年前に始めたのが、すでに販売員が200名になり、フランスで(自社を含め)3社いる中で現在業界(?)2位。 トップとの差を縮めつつあるそうです(そもそも、そんな市場調査、どこで得るのかしらん?)
すごいところにマーケット・ニーズ見つけるなー・・・彼女、INSEADの前職は弁護士だったんですけどね・・・
「抑圧された主婦層が多いマーケット」が狙い目で、日本で展開したい人がいればぜひ提携したいので連絡ください、とのことでした。 ご興味ある方はぜひContactページからご連絡ください。

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