Category Archives: 家庭・育児

公園は誰のもの?

最近、保育所増設に近隣住民から「うるさい」と苦情が出る、という日本のニュースを読んで、長男と次男が通っていたナーサリー(保育園)には園庭がなかったことを思い出しました。 人口が増え、さらにベビーブームのロンドンでは新しい保育園が次々とできていますが、新規建築許可が下りないので、普通の一軒家やフラット(アパート)の中を改装して保育園としているところがほとんどです。 園庭にする敷地がないところもあります。
子どもたちを入れる保育園を探していたときに「園庭がないなんてありえない」と思っていた私ですが、そういう保育園はどうするかというと、毎日近所の公園・緑地・川岸などに散歩に出かけるのです(赤ちゃんもbaby busと呼ばれる座席のある台車みたいなものやダブルバギーに乗って出かけます)。 
『「イギリスは天気が悪い」をデータで見る』で書いたように、ロンドンは年間を通して外に出られないほど暑い(または寒い)日が皆無です。 雨が多いイメージですが降水量は東京の40%、1日中降る日はあまりありません。 そんな外で走り回るには適した気候で、園児たちは毎日2回、夏の間は3時間は戸外に散歩に出ています。 おやつやランチもピクニック形式で外で食べます。

そういう保育園に子どもを通わせていたので、「園の隣なんてそりゃあうるさかろう。 園庭を義務付けるのではなく公園に行けばいいのに」と思った後に「ああ、そういう自由に利用できる公園が身近にないのか」と気づきました。
物価の高いロンドンで無料の「公園など緑のオープンスペース」と「博物館・美術館」は育児の力強い味方です(両方とも有料の場所もありますが、無料で素晴らしい環境が整っている)。 そのうち今日は前者について。
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ママ友ステレオタイプ

長男が小学校に入ってから5週間が経ちました。 イギリスの小学校は1年生の前に1年間準備クラス(Reception class)があり4歳の9月から始まります(→『郵便番号で差別される社会』)。

授業時間は朝9時から午後3時、送迎には大人の付き添いが必要です。 日本でも「小1の壁」と言いますが、イギリスでも働く親にとって小学校に入ってからの方が大変、とよく聞いていました(保育園に比べて時間が短いし、休暇が多い)。 ところが長男の小学校が始まる直前に長女が産まれる予定だったので、どちらにしろ私は育休中。 家から学校までは50mくらいなので、送迎は楽勝だと思っていました。

ところが、学校が始まってから知ったのですが、ナーサリー(保育園)の送迎と小学校の送迎はぜんっぜん違います。
ナーサリーは両親ともに働いている子供が行くところ、私はお迎え担当だったのですが、仕事を切り上げて閉園時間内に滑り込み子どもたち2人の部屋を順番に回ってその日の様子を聞きながら配布物・工作・汚れ物などを回収しベビーカーに押し込んでダッシュで家路を急ぐ・・・どの親も忙しいので”Hi”を言うのが精一杯。 他のママ・パパとゆっくり話ができるのは子供がお友達の誕生パーティーに呼ばれるときくらいです(長男の友達の両親の例→こちら)。

それに対し、小学校の親は共働き家庭もあれば専業主婦もあり、同じワーキングマザーでも企業フルタイム勤務、パートタイム勤務、自営業、フリーランスなどいろいろ。 そして、朝8時から夕方6時までのナーサリーの送迎が母親6:父親4くらいの比率で父親も送りか迎えのどちらかを担当していたケースが多かったのに対し、朝9時から午後3時の小学校の送迎は圧倒的に母親の世界(共働きで送迎できない場合はナニーを雇うかママ友に頼みます)。 朝、子供が教室に入ったのを見届けた後の校庭はママたちの社交場と化しているのです。
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Three is the new two!

生後2週間の長女(我が家の3人目、末っ子)を妊娠していた時に何人かの友人に言われた言葉があります。

Three is the new two!

「今は子供3人がひと昔前の子供2人に相当するくらいスタンダードなのよ」という意味。
『働く女が産んでいる。』というエントリーに引用したThe Economistの記事に、

最近、カップルが裕福であるほど子どもの数が増えている。 アメリカでは夫の収入がトップ10%の妻が産む子どもの数は100年前のレベルまで回復した。 子沢山であること自体がステイタスなのかもしれない(『ブランジェリーナ効果』と呼ばれる)

とありましたが、確かに私たちの周りでも息子の保育園のお友達の家は全員判で押したように子供2人なのですが、ビジネススクール同級生を見渡すとロンドン組(& アメリカ組)は子供は最低2人で3人いる友人もかなり多いし、4人いる同級生もいます。
この”Three is the new two”というキーワードで検索してみると、やはりアメリカがトレンドをリードしているようで10年も前のUSA Todayの記事に出てきました(フランス人の友人によると、「フランスでは3人が普通」とのことなので英語の記事でヒットしたのがアメリカの記事というだけですが)。
USA Today: For more parents, 3 kids are a charm(子供は3人に惹かれる親が増えている)(2004年)
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7年ごとの成長記録

こんなにも面白いドキュメンタリーがあるのかと思った・・・
・・・けど、NHK制作の日本バージョンが去年放送されていたそうなので日本の方が知ってるかもしれません。

イギリスに住む階級・環境が異なる7歳の子どもたちをインタビューし、7年ごとに同じ出演者にインタビューを繰り返す長期ドキュメンタリー。 1964年に英グラナダテレビが制作したドキュメンタリー『Seven Up』が元祖でその後、旧ソ連・アメリカ・南アフリカ・日本などでも制作・放映されているそう。
Wikipedia: UPシリーズ

元祖のUpシリーズ(出演者が56歳になった”56 Up”まで放送済)は普通の個人の人生を長期に渡って追うと同時にその間に起こったイギリスの社会の変化を映し出すという世界に前例を見ない人間の成長の歴史として伝説的なドキュメンタリーとなりました。
私が見たのは今イギリスBBCで放送中の『7 Up New Generation』、2005年から7歳を追った新シリーズで現在は出演者たちは21歳になっています。
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子供ひとりを育てるのにかかる費用

イギリスでひとりの子供を大学卒業まで育てるのにかかる費用を、3人も産んでおいてから初めて調べてみました、産む前に知ってしまうと産めなくなりますからね・・・

以下のガーディアン紙とテレグラフ紙の記事はいずれも同じソース、民間保険会社LV=が発表したレポート“Cost of a Child: From cradle to college”2013年版です。
The Guardian: How much does it cost to raise a child in 2013 compared to a decade ago?
Telegraph: Cost of raising a child rises to £227,000
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共働き世帯の時間の使い方

今週のThe Economistに育児に関して面白い記事がありました。
The Economist: Choose your parents wisely

Parental time in the USアメリカでは過去50年の間に家電の進化や意識の変化から、母親が外で仕事をする時間は増加、家事にかける時間は減少、育児にかける時間は増加し、父親は仕事時間が減少、その分家事と育児にかける時間が増加している(右グラフ)。 結果、両親が子どもと過ごす時間は50年前よりも長くなっている(=子どもにとってよいこと)。
裕福な家庭は育児(親という仕事)を真剣に捉え育児書を良く読み、子どもとの時間をたっぷり取り、質の高い育児をするようになった一方で、貧困家庭では子どもとの時間が減り、子どもが必要な知的刺激や感情面でのサポートを与えられていない。 生まれついた家庭の差による育ち方のギャップがますます広がっている。

という内容です。
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働くママ応援CMに全く共感できなかった件

Yahooニュースで見たこのニュース”くわばたりえ号泣…山崎まさよしの応援ソングに「わたし全然アカン…」”が気になってボンカレーのCM探して見てしまいました。

えっ??? これ???
この主人公、何で落ち込んでるの? どこが「私、ちゃんとできてるかな?」なの?
家の中超キレイだし片付いてるし、お嬢さん泣きわめいたり癇癪起こしたりしてないし、メイクちゃんとしてるし、きちんとした服着てるし(白のジャケット??? ありえん!)、旦那さん優しそうだし・・・
どこが「できてない」のか全くわからなかった私。 ひょっとして専業主婦だった自分の母親と比べてる? 比べる対象が根本的に間違ってない?

ひょっとして、疲れて仕事から帰ってきて洗濯物がたまってて(たまってるうちに入らない、あの量・・・)、おもちゃが散らかってて(散らかってるうちに・・・以下略)、夕飯の支度ができてないことに落ち込んでるのでしょうか?
いや、「お母さん、自分が母親になって、また、お母さんのすごさがわかった気がします・・・」のところはいいCMだと思うのですが・・・

一方、イギリス。 去年、YouTubeにアップされるなり2週間で200万回の再生回数を記録(現在435万回)したFiat UKの母親応援CMがこちら。 私も大共感・爆笑してブログにもリンク貼ってますが(→『働く女が産んでいる』)もう1度紹介します。
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立ち直る力 – 2

昨日の続き。
私はサラリーマンの父親、教師の母親の元で何ひとつ不自由なく育ちましたが、私の子どもたちはさらに恵まれています。 親ができることは環境を整え人生のオプション(選択肢)を増やしてあげることだという思いと、失敗や挫折に直面したときに現実にどう向き合いどう学ぶかが必要だと思いが交錯します。
まさにこのトピックが昨日のグロービス堀さんの『5男の父の告白:グローバル時代の子育て術』に取り上げられていました。
堀さんの子育て論は頷くところが多く、今までもいくつかブログに書いています(→『家族のQuantity time』『12年後の教育オプションを買う』)が、今回も少し長いけど引用。

なるほど、どこの親も口を揃えてこう言うわけである。 競争の熾烈なグローバル化した現代の世界に対応できる子どもを育てるにはどうすればいいのか、と。
5人の息子を持つ妻と僕は、当然ながらこの問題を真剣に受け止めている。
大量に資料を読み、話し合った末に、僕たちは次の結論に達した。僕たちが息子たちのためにできる最善のことは、高いレベルの生命力、つまり「バイタリティ」や「立ち直る力」を身に付けさせることである、と。
十分な生命力を身に付けさせれば、子供たちは失敗に強く、変化に柔軟に対応でき、何事にも前向きな姿勢で臨む人間に育つはずだと僕たちは考えている。
しかし、「バイタリティ」や「立ち直る力」のような抽象的なものを、どうやって身に付けさせるのか。
僕たちはそれを、次の3つの重要な要素に分解した。
1.スポーツの能力
2.囲碁の試合で勝てる能力
3.英会話力と海外経験

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立ち直る力 – 1

ワールドカップ準決勝でブラジルがドイツに1対7で大敗しました。

さほどサッカーに興味がなく時間もない私はこの試合まで今回のワールドカップを生中継で見たことがなかったのですが、前々日に会ったブラジル人の友人たちがとても興奮&緊張していたので「ブラジル、勝つといいなー」程度でした。 その時「○○が背骨を骨折した」と聞いて「誰か知り合いがそんな大怪我をしたのか」と思って聞き直したらブラジルの選手だった、というくらいの無知でしたが・・・

イギリス時間では夜9時開始というたまたま子どもが寝た後で私が起きている、という稀な時間の試合だったのでBBCサイトで生で観ていましたが、4点目以降は本当に直視するのが辛いくらいの試合でした。
呆然と観ながら思っていたことは、「あー、こりゃあ暴動起きるなー」がひとつめ、「この試合結果で追いつめられて自殺者が出ないといいなー」がふたつめ。 予想通り、大会後のブラジルは荒れていたようですし、メディアでは「ブラジルサッカー史上、最大の恥辱」、「国辱」などと書かれています。
ここまで全世界が注目する中で屈辱を受けたチームの選手・監督の心中は全く推し量れないものですが、試合終了後、ブラジルのスコラーリ監督が「責任は自分にある』とした上で、

Life goes on.(それでも人生は続く)

と繰り返していました(BBC: Brazil boss Luiz Felipe Scolari on ‘worst day’)。
本当にその通りで、どんなに敗北・屈辱感にまみれパブリックに辱めを受けても関係者にとって人生は続くのです。 あまり個人を追いつめるのではなく、立ち直れるような前向きな学習機会になってほしいなあ、と思います。
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すでに少子化問題は手遅れだけど – 2

今回の妊娠は今までで一番順調だったのですが、さすがに妊娠9ヵ月になっていろいろ動くのが辛くなってきました。 そういえばこの頃、長男の時は腰痛で激痛が走り10分以上歩けなかったし、次男の時は(臨月に入ってからでしたが)、変なウィルスで咳が止まらなくなりあばら骨付近の筋肉を痛めて息をするのも痛い、早くから前駆陣痛がありしかも吐き気を伴った、など哀れな状況だったなー、と思い出しています。

話は逸れますが、東京から帰ってきた直後にしたこのツイートがRT540を超えて驚きました。
Pregnancy Tweet
それより驚いたのは、東京の電車での妊婦・子連れへの冷たさでした。 今までシンガポール・ロンドンでは私が妊娠中であることに気づいた人はほぼ100%席を譲ってくれるので、あまりの違いに唖然。 席を譲ってもらえるばかりか、「予定日いつなの?」と話しかけられたり「Congratulations!(おめでとう)」と言われたり、精神的には不安定、肉体的には辛い時期なので他人の温かい言動は心底ありがたいです。
東京都の合計特殊出生率1.09という衝撃的な数字を見ましたが、妊娠・出産が身近にないから社会が冷たいのか、冷たいから産まれないのか、鶏と卵なんでしょうか?

さて前回の続き、子どもを産み育てる当事者としての短期展望の話。 「一番大変な最初の10年くらいやっていけるの?」って話です。
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