こんなにも面白いドキュメンタリーがあるのかと思った・・・
・・・けど、NHK制作の日本バージョンが去年放送されていたそうなので日本の方が知ってるかもしれません。
イギリスに住む階級・環境が異なる7歳の子どもたちをインタビューし、7年ごとに同じ出演者にインタビューを繰り返す長期ドキュメンタリー。 1964年に英グラナダテレビが制作したドキュメンタリー『Seven Up』が元祖でその後、旧ソ連・アメリカ・南アフリカ・日本などでも制作・放映されているそう。
Wikipedia: UPシリーズ
元祖のUpシリーズ(出演者が56歳になった”56 Up”まで放送済)は普通の個人の人生を長期に渡って追うと同時にその間に起こったイギリスの社会の変化を映し出すという世界に前例を見ない人間の成長の歴史として伝説的なドキュメンタリーとなりました。
私が見たのは今イギリスBBCで放送中の『7 Up New Generation』、2005年から7歳を追った新シリーズで現在は出演者たちは21歳になっています。
そのエピソード1だけYouTubeで見つけました(イギリス在住の方はBBC iPlayerで見られます→番組紹介サイト)。
現代に生きる若者の人生を7年ごとの姿を通して自分も生きているかのように観られるこのドキュメンタリー、観る人の数だけ感じ方があると思います。
ネット上の感想を探してみたところ、「7歳の時の姿にすでに将来が透けて見える」「夢を諦めて現実を生きていく姿が切ない」など本当に感じ方はさまざまだったのですが、私が上記BBCの『7 Up New Generation』の『21 Up』を観て強く印象に残ったのが、
家が裕福であることや階級が上であることと、(21歳になった)本人が幸せそうか、マチュアでしっかりしているか(子供じみてないか)は関係ない。 むしろ親との関係や本人が周りから受けてきた愛情・養育姿勢の方が相関がある。
こと。
例えば、エピソード1に出てくるOrala。 ナイジェリア移民の子供で東ロンドンのハックニー(今はだいぶお洒落なところも増えたが危険で有名な地区)に育ち、継父と一緒に住んだ後、実父が帰ってきたりまた出ていったり複雑な家庭環境で育ったのだが、深い信仰(キリスト教)と姉妹愛を持つ彼女の何としっかりしていること。 環境だけから判断すると幼い頃から犯罪や暴力に巻き込まれかねない場所で育っているのに、母親や兄弟・姉妹との結びつきが強く健全な子供時代を送ったんだろうなー、と思わせる。
一方、エピソード2のOliver。 父親が著名ローファーム(弁護士事務所)のパートナーで小さな頃はナニーに育てられ、8歳から有名ボーディングスクール、イートン校に入り、米イエール大学に通う富裕層のひとり息子。 もちろんものすごく賢そうなのだが、人生での”fear of failure”(失敗への恐怖)が強いことを語る姿をみていると、何かの拍子にポキッと折れてしまいそうな危うさがある。 最近ブログに書いた『立ち直る力』、彼にはあるのかなー?と思ったり。
親が子供に与える甚大な影響を考えざるをえず、自分の生い立ちや子どもの育て方などさまざまな方向に思考が飛ぶ良いドキュメンタリーでした。
なお、冒頭に買いたようにNHKが日本バージョンを制作・放映しており去年は『7年ごとの成長記録 28歳になりました』を放送したのでご覧になった方もいるかもしれません。 動画を探したのですが、見つからなかったのでこちらもぜひ観たいものです。
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