立ち直る力 – 1

ワールドカップ準決勝でブラジルがドイツに1対7で大敗しました。

さほどサッカーに興味がなく時間もない私はこの試合まで今回のワールドカップを生中継で見たことがなかったのですが、前々日に会ったブラジル人の友人たちがとても興奮&緊張していたので「ブラジル、勝つといいなー」程度でした。 その時「○○が背骨を骨折した」と聞いて「誰か知り合いがそんな大怪我をしたのか」と思って聞き直したらブラジルの選手だった、というくらいの無知でしたが・・・

イギリス時間では夜9時開始というたまたま子どもが寝た後で私が起きている、という稀な時間の試合だったのでBBCサイトで生で観ていましたが、4点目以降は本当に直視するのが辛いくらいの試合でした。
呆然と観ながら思っていたことは、「あー、こりゃあ暴動起きるなー」がひとつめ、「この試合結果で追いつめられて自殺者が出ないといいなー」がふたつめ。 予想通り、大会後のブラジルは荒れていたようですし、メディアでは「ブラジルサッカー史上、最大の恥辱」、「国辱」などと書かれています。
ここまで全世界が注目する中で屈辱を受けたチームの選手・監督の心中は全く推し量れないものですが、試合終了後、ブラジルのスコラーリ監督が「責任は自分にある』とした上で、

Life goes on.(それでも人生は続く)

と繰り返していました(BBC: Brazil boss Luiz Felipe Scolari on ‘worst day’)。
本当にその通りで、どんなに敗北・屈辱感にまみれパブリックに辱めを受けても関係者にとって人生は続くのです。 あまり個人を追いつめるのではなく、立ち直れるような前向きな学習機会になってほしいなあ、と思います。

こんなことを思うのも最近、失敗や困難・挫折から「立ち直る力」を子どもにどうやってつけさせるといいのか?ということを考えていたからです。
私は不確実要素が多く、競争が激しいこれからの世の中で、子どもたちに一番必要な力は、どんな状況でも①何とかなると楽観的になれること、②自分を信じられること、③挫折から立ち直れること、だと思っています。 もちろん①〜③はすべてつながっています。

『高級住宅街の鬱病患者』というエントリーで紹介した『How Children Succeed: Grit, Curiosity, and the Hidden Power of Character』(邦訳:『成功する子 失敗する子―何が「その後の人生」を決めるのか』)ではまさに(IQで測れる)認知スキルよりも、自制心・意欲・やり抜く力など非認知スキルの方が子どもの人生の成功にとって重要であること、一般的に遺伝によると思われている子どもの「性格」は育むことができること、などが綿密な取材や関連研究で解き明かされています。
その中で、子どもたちを成功への競争に駆り立てる富裕層の親たちが子どもに自分ができるすべてを与えたいばかりに失敗がない環境をお膳立てし(子どもに悪い成績がつくと学校に怒鳴り込むようなモンスターペアレントがアメリカにも存在するらしい)、かえって子どもの人格形成を損ねている、だが、やり抜く力や自制心・感謝の心などは失敗を通してしか学べない、とあります。
そして、このような富裕層の子弟が通う学校は大量に政治家や官僚など著名人を輩出しているものの、世界を変えるような人は出てこない、なぜなら彼らが行っているのは、子どもが持つ可能性を伸ばすことではなく、失敗しない可能性を高めていることだから、と。
確かに自分がつくった会社を追い出されるという挫折から立ち直り、見事に返り咲いてアップルを世界に冠たるイノベーターにしたスティーブ・ジョブスと、このCMを思い出します。

9月から長男が小学校に入る我が家は、子育てが第2ステージに入ったな、と感じています。 今まではとにかく基本的安心感(「自分はこの世にいていいのだ」、「どんな時でもパパとママがそばにいてくれる」という気持ち)を育てることを重視してきましたが、これからは子どもの前に立ちはだかって失敗や困難から子どもを守ることではなく、適度な失敗をさせてそこから立ち直ることを経験させる必要があるなあ、と。 もちろん次男はまだ2歳ですし、さらにもう1人産まれるので同時並行なのですが。
長いので次回に続きます。


3 responses to “立ち直る力 – 1

  • NAO

    クローデンさん はじめまして!NAOと申します。いつもブログ楽しみに拝見しており、そして大ファンです。つい先日ブログをスタートさせたばかりなのですが、クローデンさんのABOUTを、参考にさせてもらいました。。。というか完全にパクリというか。。。すみません>< もし、変更などした方がよければすぐに変えますので、おっしゃっていただければと思います。。

    そして、今回の記事、すごく共感できて終止うなずきながら読んでいました。
    私も現在仕事の面で過渡期にあり、精神的にタフさが要求される状態になっています。
    ①何とかなると楽観的になれること、②自分を信じられること、③挫折から立ち直れること、この点、ほんとにそうだと思いますし、改めて冷静に考えることができました。
    本当にありがとうございます。

    次回がとっても楽しみです。

  • Mutsumi

    はじめまして、
    Mutsumiと申します。
    イギリスの子育てのCM,日本の子育てのCMのところを観て,悲惨だった子育ての頃と重ねてそう,そう,そう、,って懐かしく思い出しました。立ち直りのところで,書き込みが出来るんだとわかって,早速。失礼致します。

    子育て当時余裕もなく,疲れ果てた夜中に洗濯物を部屋に干しながら,ほろほろと涙が出てきたり,体中が微熱と痛みでも起き上がって食事と弁当を作り,幼稚園へ送って行く、帰って洗濯物を干して,旦那を起こして送り出す。(これは初めの数年だけで、そのうち1人。)散らかったものを片付け,掃除機で床にこぼれた食品がぱりぱりと音を立てて吸い込む。未就園児のお世話。散歩。お昼の準備。お迎え。子供の遊び相手との行き来も全て車で。アポとって,,,。
    帰って水まき,夕食準備、、、時にはお稽古ごと。そのうち毎日時間を区切ってそれぞれの子供のスケジュール管理。遊びはお稽古や塾の送迎。家で宿題なんかゆっくりみてやる余裕なし。、、終いに子供に手を上げてしまったり、終わりのない日々でした。なのに、今となっては味わいのある思い出(後悔も多々ありますが,,)になっているし,あのCMをみて共感とともに大笑い出来るのですから、不思議なものです。
    ユーミンの歌の「時間は優しい友だち」て言葉も思い出しました。
    あまりPC状況に詳しくないのですが,何度か読ませていただいてるように思います。(波打ち際の写真から,,)
    いつもありがとうございます。会った事もない方のブログを拝読し,共感したり,反発したりと、日常を離れた出会いがあり、,子供と家庭という閉鎖された環境にのみ暮らしていた頃,こんな手段があったらもっと楽だったかもしれません。
    専業主婦がまだ普通だった最後の世代かと思います。引きこもりと,社会人と,学生の3人の子がいます。
    FBから繫がってきました。普通はどうやったら読めるか,良くわかっていませんが,,。
    専業主婦の私は娘に自立して、選べる結婚生活を,,,と思っても,娘は楽で良いわね,専業主婦は,,,と,勉強も結構しんどいらしく、自分もやった事ないくせに子供には高望みバカリして,,とまで。身体の疲れから,心の疲れへと変わっています。留学もいろいろ希望しながら、なかなか上がらないトッフルやトーイックの成績。厳しい現実は同じの様です。
    また,色々と読ませていただきます。
    宜しくお願いします。

    • la dolce vita

      はじめまして。 コメントありがとうございます。

      >子供と家庭という閉鎖された環境にのみ暮らしていた頃,こんな手段があったらもっと楽だったかもしれません。
      そうですね、ブログのいいところですね。 出かけなくても家から外の世界とつながれる。
      これからもお時間あるときに読みにきてくださいませ。

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