12年後の教育オプションを買う

昨日書いたように、ロンドンに来て以来、グンと夫が高校・大学の同級生(夫はメルボルン生まれ・育ち)と集まる機会が増えたのですが、その1人、18ヵ月の女の子を持つRから忠告されました。

メルボルンに帰る可能性が少しでもあるなら、今から子供の私立セカンダリー・スクールに申し込んでおいた方がいいよ。 ボクはもうW(メルボルンの名門私立校)に申し込んだ。

セカンダリー・スクールとは、Year 7 – 9、12 – 14歳です(日本的には中学校?)。 12年後に子供を入学させたい学校への入学申し込みを生まれてすぐやっておけ、というアドバイス。 オーストラリアは「プライマリー・スクール(Year 1 – 6)はともかく、セカンダリー・スクールは良い教育を受けさせたければ私立しかない」という夫談で(本人も大学以外、ずっと私立)、日本のように受験ではなく、申請受付順(+兄弟が通学していたら優遇とか)らしいので、人気のある学校はこういう事態になるのですね・・・(以前は妊娠がわかったら申請する人がいたらしいが、現在は生前の受付は禁止されたらしい)
私たち、12年後、どこに住もうかなんて全然決めてないんですが・・・ 12年後の人生計画なんてたてたことないし・・・
いきなり12年後に息子を行かせたい学校を考えろ(すなわち、住む都市・地域も決めろ)、と言われて困惑する私たち。 しかも、この「プライマリー・スクールはともかくセカンダリーは私立じゃないと・・・」という状況はロンドンでも同様のよう。


そしてメルボルンやロンドンだけでなく、東京でも同様のようで、グロービス代表 堀さんのブログ、『子供の教育を考える~長男の中学受験に思う』は本当に考えさせられるものがありました。
以前、『教育における重要な変化』で、

私自身は小・中→公立、高・大→国立、で育っているので、特に小さな頃は地区の公立学校に通い、世の中にはいろいろな人がいることを学ぶことは大事だと思う気持ちが強いのですが、学校内の風紀・先生の質・進学率もろもろの理由により義務教育過程から私立を選ばざるをえないという親が(少なくともアメリカ・イギリス・オーシトラリアなどでは)ここ20年くらいの変化で本当に多い。 残念ながら私は全部国公立でもよかった最後の世代かな、とすら思う。

と書きましたが、堀さんも全く同じ。

夫婦ともに大学まで国公立で、「雑草」のように自分の力で運命を切り開き(しかも最も安いコース)、それが一番いいと思っている。 (自分が育った)水戸のような田舎ではありえるが、現在の東京では教育熱心な家庭の子供は、中学受験をする傾向が強い、という特殊な環境であり、トップ1/3から半分が中学受験するような環境では中学受験させざるをえない。

という話。
私も自分が育った環境と異なるオーストラリアやイギリスの教育環境の現実を受け止めきれていません(だいたい生まれたばっかりだし)。
「住む場所さえ決まっていないのにどうすんの?」と夫に聞いたところ、「うーん、住みそうな都市の教育環境のリサーチして、それぞれの都市から複数校の(入学するための)オプションを買うんじゃない?」というお返事でした。 ちなみに、このオプション代(ウェイティングリストに載せてもらうための申請費用)、1校あたり200 – 300ドルかかります。 より直近に迫ったナーサリー(保育園)の申請費用も同じくらいかかります。
うーむ・・・
Welcome to the parenting world…


9 responses to “12年後の教育オプションを買う

  • twk

    いつも楽しくブログを読ませていただいています。私もロンドン在住で4歳になる息子がいるのですが、子どもの新しい環境への適応能力にはただ驚かされます。だからこそ、子どもの教育は大事なんですよね。子どもの教育は、さまざまなオプションがあって、どれがいいともいいきれないのを痛感します。まさに、親の信念とそれから、問題解決能力のようなものが求められますね。

  • しん

    小学校までは親が選んで後は子供に選ばせてみては?自分の運命はお子様自身で切り開いていくでしょうし。
    小学校で人間性の本筋が出来てくるかと思います。子は親見て育つとも言いますし。とちょっとプレッシャーを与えながらのコメントでした(笑) 
    個人的にお父さん、お母さんみたいになりたいと思われたらしめたものですね☆
    相談されたら答えてあげるなんて理想かなと。
    #この時代に12年後のことなんて誰も分かりませんし、それまでの準備をやってれば良いかなと。
     あえて言えば良い波が来たらちゃんと乗れる子、ちょっと前に波がきてるのが分かることの方が大事かなと。

  • mignon1117

    主人も、私と正反対で、幼稚園から大学院まで全て国公立であったことから、このご時世の教育事情(公より私志向、金がやたらとかかる)ことに、強い憤りを感じるそうです(笑)。私は、そこまでの憤りを感じず、世の中の流れからして仕方のない部分があるように思えます。
    ただ、様々な情報が錯綜する中で、世の中の流れ、親である自分達が辿ってきた道にとらわれず、基本的なこと(衣食住、特に健康に留意する、日本人であること)を怠らず、忘れないようにしないとなぁと日々、思います。

  • Kaz

    私もグロービス堀さんのブログを読んでいろいろ考えていました。都心の中学受験は同じ学校の受験日が何日もあり、塾に戦略練ってもらって五月雨式に受験を続ける本人にも家族にも過酷なプロセスなんですよね。
    しかし、生まれてすぐに登録というのはびっくりです。
    私もポリシー的には「雑草系」なのですが。
    様々な格差が広がっている世の中なので、悩ましい問題ですね。

  • neige

    最近、読ませていただいております。
    初めてコメントいたします。
    私は、幼→私立(受験のない)、小→公立、中・高→私立(いわゆるエスカレーター)、大→私立
    と親に金銭的に迷惑をかけました。
    小学5年生の頃、母から私立の学校に行くという選択もあるんだよ。と助言され、自分で私立に行くことを決めました。
    子ども扱いしないで一人の人間としてその選択をさせてくれた両親に感謝しています。
    両親は全て公立でしたが、私の時代とはまったく違うと言っておりました。
    他の方もコメントしておりましたが、ようこさんのお子様が自分で決められるように選択肢を用意しておくといいように思えます。
    日本の田舎で育った私には、県内で選択するくらいしか思いつきませんでしたが、諸国から選ぶとは・・・。
    ようこさんのお子様の成長が楽しみですね!

  • la dolce vita

    >twkさん
    はじめまして。 AKさんのお友達ですよね? 私もブログ読ませていただいています。
    ぜひ、ご帰国までにお会いする機会があるといいのですが。
    >しんさん
    >小学校までは親が選んで後は子供に選ばせてみては?
    子供が自分で選びたいとなったときに、私立の中学はウェイティングリストに載ってないと選択肢にさえ入れられないので、今から親がその選択肢を用意してあげないといけない、というお話です。 だから「オプション」という表現になっています。
    その私立中学をshortlistする段階で親の意向が入ってくるので、あらゆる選択肢から子供自身が選べるようになっていないのが現実ですねー
    >mignon1117さん
    >親である自分達が辿ってきた道にとらわれず、基本的なこと(衣食住、特に健康に留意する、日本人であること)を怠らず、忘れないようにしないとなぁと日々、思います。
    子育てには、自分が育ってきた環境が相当影響しますよね。 私もあまりとらわれず、ゼロベース思考(?)で、その時その時にベストな選択をしたいと思ってます。

  • la dolce vita

    >Kazさん
    >都心の中学受験は同じ学校の受験日が何日もあり、塾に戦略練ってもらって五月雨式に受験を続ける本人にも家族にも過酷なプロセスなんですよね。
    過酷な受験も生まれて直後の登録もどっちもどっちですよねー 「公教育が良い」という環境がどれだけありがたいものだったのか、今となってわかります。
    >neigeさん
    初コメントありがとうございます。
    >他の方もコメントしておりましたが、ようこさんのお子様が自分で決められるように選択肢を用意しておくといいように思えます。
    受験ではなくて申請順なので、早々に申し込まないといけないんですよねー。 悩ましいです。

  • ドイツ特派員

    la dolce vitaさん、
    堀さんのブログを拝見しました。私と同世代、向こうは雑草から花、こちらは雑草からペンペン草ですが、ちょっと感想が違うんですね。本当に「かつての公立志向:雑草、今の私立志向:温室(とは書いてませんが比喩として)」なのかなあ?と。私の夫婦も大学まで公共教育でしたが、特に公立高校の選択については、雑草なんじゃなくてそれが地方においての最上の選択だったということなんだと思います。要は今の私立中学入試とあまり意識は変わらない(義務教育か否かは大きいとしても)し、金を積めば入れる、というわけでもないですし。もしかすると、今の都心では、「貧乏だけど私立中学入試をする」という方が雑草なのかも知れません。ただ、通過儀礼として大学入試があるのが良いというのは私もそう思っていて、寧ろ雑草か否かを分けるのは現在ではその部分かも知れません。
    それにしても、私のような貧乏家庭にとって公教育が充実していたことは、とてもありがたいことでした。ちなみに私が通っていた岡山の高校では、浪人しても「補習科」という名前で学校が浪人の勉強を見ていたんですね。今でもあるようで、この制度の廃止の是非が朝日新聞で取り上げられていました。幸い私は世話になりませんでしたが。で、これがあるのも実は公立トップ高だけです。そういう意味では物凄く費用対効果が物凄く良かったと痛感します。
    http://www.asahi.com/edu/tokuho/TKY200912140034.html
    やはり子供は何となくでも親の影響を受けます。受けた上で自分で決めれば良いんですが(大学などはもう親の出番じゃないし、言っても聞かないし)、小学校はそういうわけには行かないし、12年後なんて分かるわけもないから迷いますよね。かくいう我が家にしても、まさか子供がドイツの小学校でドイツ人よりうるさくドイツ語を喋り倒すようになるとは生まれた時には想像すらしていませんでした(当然)。ほんと、「なるようにしかならない」という言葉がぴったりかもしれません。私の母親はガールスカウトの役員を長くやっていて、相当数の色々な子供を見ているらしいんですが、共通しているのは、「親が仲良ければ、ちゃんとしていれば、成績などは別にしてちゃんとした子供になる」ということらしいです。
    ちなみに我が家は大学受験を控えていますが、高校生などはもう親の言う事なんか聞くわけ無いし、聞かれても気持ち悪いし、でも少し聞いて欲しいし、親心が微妙な頃です(笑)。

  • la dolce vita

    >ドイツ特派員さん
    >私のような貧乏家庭にとって公教育が充実していたことは、とてもありがたいことでした。
    公教育の充実は本当に政府が誇っていいことだと思います、なかなかそういう国ばかりじゃないですから。
    >やはり子供は何となくでも親の影響を受けます。
    あまり押しつけがましくならないようにしたいですが、口だけですごい教育ママになったりして(笑)。

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