働くママ応援CMに全く共感できなかった件

Yahooニュースで見たこのニュース”くわばたりえ号泣…山崎まさよしの応援ソングに「わたし全然アカン…」”が気になってボンカレーのCM探して見てしまいました。

えっ??? これ???
この主人公、何で落ち込んでるの? どこが「私、ちゃんとできてるかな?」なの?
家の中超キレイだし片付いてるし、お嬢さん泣きわめいたり癇癪起こしたりしてないし、メイクちゃんとしてるし、きちんとした服着てるし(白のジャケット??? ありえん!)、旦那さん優しそうだし・・・
どこが「できてない」のか全くわからなかった私。 ひょっとして専業主婦だった自分の母親と比べてる? 比べる対象が根本的に間違ってない?

ひょっとして、疲れて仕事から帰ってきて洗濯物がたまってて(たまってるうちに入らない、あの量・・・)、おもちゃが散らかってて(散らかってるうちに・・・以下略)、夕飯の支度ができてないことに落ち込んでるのでしょうか?
いや、「お母さん、自分が母親になって、また、お母さんのすごさがわかった気がします・・・」のところはいいCMだと思うのですが・・・

一方、イギリス。 去年、YouTubeにアップされるなり2週間で200万回の再生回数を記録(現在435万回)したFiat UKの母親応援CMがこちら。 私も大共感・爆笑してブログにもリンク貼ってますが(→『働く女が産んでいる』)もう1度紹介します。

ラップなので聞き取りにくいと思うので歌詞もどうぞ(拙訳)。

This is my crib, and these are my babes, これが私の寝床でこれが私の子どもたち、
My life and body have somewhat changed 私の人生と体は多少変わったわ。
I’m living it large, and by large I mean bigger, ラージに生きてるわ、文字通り「大きく」って意味だけど。
At least now I know the difference tween a tractor and a digger トラクターとディガー(掘削機)の違いがわかるようになった。
I express like the best from these holes in my chest, 胸にあるこの穴から母乳がどんどん搾り出るから
wear my nursing bra, like a bulletproof vest 防弾チョッキみたいなマタニティブラつけてる。
Got my bitches by my side and my hose in the back, うちの雌犬たちは車の助手席にいて、後部座席にはホースを備えてるの。
Swap my sexy handbag for a snot stained sack セクシーなハンドバックを持つのはやめて鼻水が染み付いた大型バッグに換えた。
My decor was smart, my taste was extra picky インテリアはスタイリッシュなこだわり派だったけど
Now my surfaces are cluttered, and nearly always sticky 今はどこもかしこも散らかってて、ほとんどいつもベタベタしてる。
Work versus home is a mental combination 仕事と家庭は狂った組み合わせ、
with my elbows deep, in infant defecation 肘まで子どものウ○コがつくの。
Wipe the sick off my coat, but the smell still lingers コートについた子どもの嘔吐物は拭いても拭いても臭いがまだ染み付いてる。
Gave up on real food, eat leftover fishfingers まともな食べ物を食べるのあきらめて残り物のフィッシュフィンガー(冷凍の油もの)食べるわ。
Once we’d talk about our lives, now the conversation switches 会話の中身もすっかり変わったわ、
We compare cesarian scars episiotomy stitches 帝王切開の傷跡と会陰切開の縫合跡を比べ合うのよ。

It’s the motherhood, it’s another hood これが母になることよ、別世界ね
I’d like to welcome you, but now you’re here for good この世界にいらっしゃい、来たら永遠に抜けられないわ。
We go from nappy rash to ending family feuds オムツかぶれから家族喧嘩の仲裁、
And I’m flooding up your timeline with my baby news. あなたのSNSタイムラインを赤ちゃんのニュースで埋め尽くしてあげる。

Still got my wardrobe but my thong now itches 昔の服はまだ持ってるけど、Tバックはかゆいし、
Designer sofa but now there’s puke in the stitches ブランド物のソファの縫い目には嘔吐物が染み付いてる。
And I’m expressive, I express all the time いつもおっぱいあげてるわよ、
Cos the doc said, to not breastfeed is a crime だって医者が「母乳をあげないのは犯罪だ」って言うんだもの。
Tried to get my body back with some yogalates ヨガやピラテスで体型取り戻そうと思って
Hit up the Zumba class swing by these new pilates Zumbaクラスで習ったリズム踊るの。
I’m on an Atkins hype, on a Keto diet アトキンスダイエットとケトン食事療法やってて
I try avoid the bread so I nearly never buy it パンは避けてるからほとんど買わない。
Pop a nappy on his butt without a changing matt オムツ替えマットなしでオムツつけるのは大得意。
CBeebies now my crew and I’m tight with Postman Pat CBeebies(英BBCの子ども向けチャネル)が私の仲間、Postman Pat(英BBCの子ども向け番組)とは親密よ。
Sleep deprived and under house arrest いつも寝不足で自宅軟禁されてる気分、
Think I’d sell both kidneys just to get some rest 少しでも休めるくらいなら両方の腎臓売ってもいいわ。
Spent three months in PJs it was clearly a sign 3ヵ月間パジャマで過ごして、そろそろまずいわよねと思って
Joined a book club just so I could drink some wine 読書サークルに入ったわ、ワイン飲めるのが楽しみで。
My sterilisers so dope all my bottles be gleaming 哺乳瓶煮沸器は使い過ぎで、哺乳瓶はテカテカ光ってる。
I got a blender out the back so I can start up the weaning 離乳食つくるためにブレンダー出してきたわ。

It’s the motherhood, it’s another hood これが母になることよ、別世界ね
And once you’re in the club, you’re in for good. 一度クラブに入ったら永遠に抜けられないの。
Go from fighting nappy rash to endless doctor queues オムツかぶれとの戦いから永遠の医者待ち、
And I’m flooding up your timeline with my baby news. あなたのSNSタイムラインを赤ちゃんのニュースで埋め尽くしてあげる。

Softplay, Gangster. More G. Than your average mother ソフトプレイ(子どもの遊び場)、ギャング、G(一般向け)映画、他のお母さんより
I’m a school-run-taker, fairy-cake-baker, deal-maker, orgasm-faker, nit-raker, rattle-shaker, 私は・・・学校の送迎係、カップケーキ屋、ディールメーカー、オルガズム演技派、シラミ掃除人、ガラガラ振り係、
Cheese-grater, night-time-waker, I’m-a-placater, peacemaker… チーズおろし係、夜起きる人、なだめる係、そして平和交渉人・・・

床に落ちたシリアル・散らかった壊れたおもちゃにくっつく食べかけのバナナの映像から始まり、服に染み付いて取れない嘔吐物の臭い、オムツかぶれとの戦い、延々と続く授乳ライフ、帝王切開の傷跡、子どもの残り物を食べる生活、産後の体型戻し・・・
そうそう、これがリアルです。 こちらは乳児初め3人子どもがいる育休中の母親という設定なので、保育園児が1人いるだけのボンカレーの母親よりすさまじい内容になっているのは当然ですが(この設定も日英の子どもの数の違いを現してますね)。

「夫や子どものために手作りの食事がつくれなくて、私何てダメな母親なのかしら?」的なシーンはひとつもありません。 食事はおそらく父親が早く帰ってきて作るか、スーパーの出来合いの食品買って電子レンジでチンか、スーパーのパンにハムとチーズ挟んでサンドイッチにするか、ってところでしょう。
「掃除も洗濯もできなくて申し訳ないわ」的なシーンもありません。 できなくて当然なので、お金出してクリーナー頼むか、親や親戚に頼んできてもらうか、汚いまま放置するか、です。 別に家が汚くたって死にやしません。

こういうありがちな記事(→「外国人夫から学ぶ、いつまでも女性として輝いているための秘訣」)に惑わされるのもやめましょう。
はっきり言って日本人の母親の方が10倍は綺麗にしてるし(そんなメイクが必要なのか?という議論はさておき)、もし外国人夫(って誰のこと?)が妻に対して仮に「母である前に妻なんだから」と思ってたとしたら、それは「料理や掃除なんか他人に任せていいから、機嫌よくいてくれ。 たまにはベビーシッター雇って2人で食事行こう」という意味であり、決して「家事はすべて完璧にしてボクの食事も毎日作って帰りを待っていてくれ」という意味ではありません。

続編として父親編もできました。

こちらは80年代調のビートに乗せて。 ちっとも寝付かない双子を車の後部座席に乗せて夜中に寝かしつけを試みる寝不足の新米パパが「ボクの人生はどうなってしまったんだー?」と嘆く歌です。

自分へのハードルを今の4分の1くらいに下げましょう、そうじゃないとつぶれちゃいます。
専業主婦だった自分の母親と比べるのは止めましょう、昭和の中でも戦後というたかだか40年くらいの間に存在した絶滅危惧種です。 おそらく初恋の人の50倍くらい美化されてます。

よく「イギリスではどうやって両立してるのか?」と聞かれるのですが、こうやってるのです。 家事は「やらない」か「人に任せる」の二択しかありません、どこをどうヒネっても1日24時間しか人には与えられていないのだから。
出生率:東京 1.09 ロンドン 1.95


6 responses to “働くママ応援CMに全く共感できなかった件

  • Hiroshi Suda

    もう、狂ったCM、作るのやめたらいい。え?、家の中が台風の惨状のやつ?、それはテレビの中も外も一緒だから関係ない。

  • ahomanuke

    そもそもなんで落ち込んでると思ったんだろ。CM見たけどそんな風に捉えられなかった。
    お母さんありがとうって気持ちを伝えてるだけだと思いました。

  • Eri

    Fiatのターゲットは中流層の若夫婦であるのに対して、ボンカレーのターゲットは独身男性を想定してたんじゃないかな。

  • 頑張りすぎる、はたらくママに伝えたい | 横浜・川崎エリアの女性社労士のブログ ~人を雇入れると必要になるイ・ロ・ハ~

    […] FBにて、尊敬する働く母様の投稿で発見した記事。なんか重なる部分があるな~。今の自分と。(笑)気になった方は、見てみてくださいね。https://blog.ladolcevita.jp/2014/07/14/working_mum_cm/少子化により、日本では女性起業家支援が盛り上がってきている空気感があります。そんな中で、少し心配なのが、勢いで社会復帰してみたけれど「続かなかった」。そんなケースが増えること。そのことは、ご家庭や自分自身に与える影響も大きいかもしれません。私も、女性起業家支援や働くママの社会復帰を応援しています。自身が、長男が1歳のときに開業し、次男を生み育てながら仕事を続けてきましたから。輝きながら働くママを応援。輝く女性起業家になるために。そんな活動をされている方も増えています。私もそうなのですが、ママが働く心構えや、こうすべきという理想、責任の重さ、両立を楽しむ方法やルール的なこと・・・いろいろあります。素晴らしさややりがいがあることを伝えることも良いと思います。でも、前向きな行動の背中を押す活動や応援をするならば、その裏側の大変さや現実の部分のフォローもセットで必要なのかな?との考えが最近強くなっているのは、経験しているからなのだと思います。仕事は好きで、やりがいもあり、ずっと続けていきます。有難いことに、現在は、新規のご依頼をお受けするのが難しい状態が続いています。やりたいことへのチャレンジもできています。仕事は、形に残りますから、どんどん充実していきます。(緊張感も続きますが。)その分・・・・・両立において最低限ここまではやりたい育児も家事もここまではしてあげたい。ママとして、家庭での自分の理想の役割を果たしたい。こんな気持ちに行動がついていけていない・・・・・私の場合は、1人目のときはわりといい感じにこなしていました。2人目になると、無理があちらこちらに。(笑)そう考えると、動画の子どもの人数が2人なことも関係しているのかしら?(笑)思い描いている理想の両立と現実が離れてきたときの軌道修正や心のケアの上手方法知っていたら?自分は1人しかいません。1人に与えられた時間は平等に1日24時間という限りがあります。できないときの気持ちの整理の仕方や、考え方、バランスのとり方。それは、先輩方に教わるしかない。それも、「私はこんなに上手に両立しているわよ~」というお話よりは、「こんな大変なときは、こうやってのりきったわ」という内容の方がためになるかもしれません。より楽しく仕事を続けていくためには、こういうことこそ、とっても重要なことだと思います。特に、前向きで頑張りすぎな人ほど、自分が頑張りすぎていることに気づいていないケースがあります。ときには、今の自分を分析して、認めてあげること、無理しすぎない選択が、結果的に継続に繋がることもあります。子どもは成長しますから、そんな時期はあっというまにきっと過ぎて、懐かしく感じられるかもしれません。そのあっという間の時期を、少しでも楽しみながら過ごしてほしいと思います。(私自身も。)・・・・・・と、横浜ウーマンビジネスフェスタでブース出展する内容をなんとなく考え中のところ、女性起業家向けに「ママ社労士チーム」だからできることとは何だろう?という視点から、こんなことが頭をめぐらせました。考えがまとまっていないので、文章もまとまりがないですね・・・ […]

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