公園は誰のもの?

最近、保育所増設に近隣住民から「うるさい」と苦情が出る、という日本のニュースを読んで、長男と次男が通っていたナーサリー(保育園)には園庭がなかったことを思い出しました。 人口が増え、さらにベビーブームのロンドンでは新しい保育園が次々とできていますが、新規建築許可が下りないので、普通の一軒家やフラット(アパート)の中を改装して保育園としているところがほとんどです。 園庭にする敷地がないところもあります。
子どもたちを入れる保育園を探していたときに「園庭がないなんてありえない」と思っていた私ですが、そういう保育園はどうするかというと、毎日近所の公園・緑地・川岸などに散歩に出かけるのです(赤ちゃんもbaby busと呼ばれる座席のある台車みたいなものやダブルバギーに乗って出かけます)。 
『「イギリスは天気が悪い」をデータで見る』で書いたように、ロンドンは年間を通して外に出られないほど暑い(または寒い)日が皆無です。 雨が多いイメージですが降水量は東京の40%、1日中降る日はあまりありません。 そんな外で走り回るには適した気候で、園児たちは毎日2回、夏の間は3時間は戸外に散歩に出ています。 おやつやランチもピクニック形式で外で食べます。

そういう保育園に子どもを通わせていたので、「園の隣なんてそりゃあうるさかろう。 園庭を義務付けるのではなく公園に行けばいいのに」と思った後に「ああ、そういう自由に利用できる公園が身近にないのか」と気づきました。
物価の高いロンドンで無料の「公園など緑のオープンスペース」と「博物館・美術館」は育児の力強い味方です(両方とも有料の場所もありますが、無料で素晴らしい環境が整っている)。 そのうち今日は前者について。

東京都23区の1人あたり公園面積が2.6m2であるのに対し、ロンドンは26.9m2で東京都の10倍だそうです(民間都市開発推進機構:都市計画公園の都道府県別の整備状況等について)。 子どもたちが通っていた保育園では月曜から金曜まで全部違う場所に行っても余りあるほど園児の足で歩ける距離に多くの公園があります。
公園とひと言でいってもハイドパークなど王立公園、貴族の庭園が開放された公園、コモンと呼ばれる緑地など起源はさまざまですが誰でも無料に利用できる緑の土地があらゆるところにあり、老若男女すべての人に愛されています。 以下の写真はすべて我が家から徒歩圏の場所です。
① 緑のオープンスペース
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見てわかるとおり、だだっぴろい緑のオープンスペースで、サッカー・ラグビー・クリケットのイギリス3大スポーツはここで行われます。 長男が通う小学校の体育のクラス、運動会(Sports day)もここです(一応、校庭はありますが狭い)。 パーソナルトレーナーを雇ってここでトレーニングすればジムの会費を節約できるので、フィットネスのグループレッスンも盛ん(一世を風靡したブートキャンプ形式のものから、ベビーカーを使うバギー・フィットネス、ヨガまで)。
天気のいい日は外で食べる人で溢れ、夏の間はテントを張ってエンターテイナーを呼んで誕生日パーティーなど各種パーティーをしたり、水着で日光浴したり、かなり何でもありな感じ(バーベキューなど火を使う行為は禁止)。 

② 川岸
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テムズ河沿いに住んでいますが、南西ロンドンでは河沿いの緑は保護されており、絶好の散歩・ランニングコースです。 犬を散歩させる人はもちろんのこと、デートするカップル、サイクリングする家族、川に住む白鳥やあひるにエサをやりにくる園児、絵を描くアーティスト・・・ 川岸の散歩が一番好きなひと時という人は多く、私もそのひとりです(→『頭にイメージを描く』)。

③ プレイグラウンド
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公園の一部に必ずあるのが子供向けのプレイグラウンド。 滑り台・ぶらんこ・ジャングルジムなど日本で言うところの「子供のための公園」というイメージに一番近いところ。 囲ってあり犬が入れないようになっています(逆に言うと、ここ以外の場所では犬はリーシュなしで走り回っている)。

④ 森林
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“Woodland”と呼ばれる森や林が自然のままに残してある箇所。 ハムステッドヒースやリッチモンドパークなどが有名でリッチモンドパークには鹿も生息していますが、普通にそのへんの緑地にもあります。 広大で迷いそうな森の中でできることは想像力がつくかぎり無限。 お花畑で花冠やネックレスつくり、木登り、落ち葉拾い、きのこ狩り、かくれんぼ、バードウォッチング、昆虫探し、枝や木の葉を集めて隠れ家作り、宝探し・・・

我が家から徒歩3分のところに①と③、徒歩15分で②と④があるので、休日はとにかく外に出ます。 上2人は4歳半と2歳の男の子、そしてテレビ・iPadなどが家に全くないので(→『完全ローテク育児』)、朝起きてご飯を食べたら雨だろうととりあえず外に出るというのが予定がない休日の基本動作です。 この緑のオープンスペースなしでの育児は考えられません。

公共の空間は誰に対しても開かれ愛されていますが、冬の氷点下の朝、外に出ると遊んでいるのは犬と子どもばかり。 子ども(と犬)は特別に戸外のスペースを必要としています。 日本の公園はいろいろな方面からくる苦情を考慮していたら禁止事項だらけになり、何もできないスペースになってしまっているところが多いようですが、一番必要としている子どもに返してあげたらどうかな、と思います。

ロンドンは大都会にしては恵まれた環境で今日はいいところばかり書きましたが、イギリスでもひと昔前に比べると子どもが自然に直に触れる機会が激減し、結果、子供の肥満やメンタル問題などが増えていると言われています。 そのことについては次回。


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