Category Archives: 2. ビジネス・キャリア

二重言語をどう活かすか

『日本語が亡びるとき – 英語の世紀の中で』を読んで感じた3点目。
3. 二重言語をどう活かすか
たまに、「今回の金融恐慌で米国型資本主義は凋落した、アメリカの時代は終わりだ」的な論調が目につくのですが、アメリカという国の運命と英語の世紀が続くことの間にすでにあまり相関関係はないと思います。 英語が「普遍語」になって使われ出した時点で、すでに英語を母語とする国の手を(完全にではなくとも)離れてしまった言語ではないかと。
世界で英語を話す人口が一番多い国がインドであることは以前こちらに書きましたが、10年後には中国になると言われています(→YouTube : Did You Know 2.0)。
もちろんすべてが数の論理ではないのですが、これからは彼らが話す英語を理解することも必要になると思うことは『これからの時代の伝わる英語』に書きました。
そして、こんな時代になってしまって実は気の毒なのは英語を母語として生まれた人たちだと思っている私。
『Native English Speakerの危機』に書いたように、ヨーロッパではすでにだいぶ前から、そしてアジアでも英語 + α(多くの場合、対象となる市場の現地語)のマルチリンガルであることを求人で求められるようになっており(当然、文化的背景がわかるということ込み)、英語しか話せないmonolingual(単一言語)な人は、言語ではない他のスキル・経験で圧倒的な競争優位を持つことを求められます。

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絶滅寸前? 駐在員手当

『グローバル富裕層争奪戦』に「シンガポールの人口4.6mil.人中、外国人は22%を占め、1mil.人。」と書きましたが、当然の結果として労働人口に占める外国人の比率も高いです(下、社会実情データ図録「諸外国の外国人労働者」より)。
foreign_worker.jpg
諸外国と比較してもズバ抜けて高い。
そして日本では、「外国人労働者」というと「日本人がやりたがらない3Kの仕事に従事」というイメージですが、シンガポールでは(データはないものの)外国人のうちかなりの人数が高学歴・高度スキル人材です。
身近な職場でのチーム員の国籍はこんな様子。 一応、マネジメントから順に並べてみました。

  • 夫が勤める英系戦略コンサル:インド人、イギリス人、オーストラリア人(夫)、スウェーデン人、中国人
  • 私が最近一緒に仕事をした米系VC:オーストリア人(米国グリーンカード保持者)、イラン系アメリカ人、ロシア人
  • 友人が勤める米系戦略コンサル:シンガポール人、ドイツ人、フランス人、インド系アメリカ人

上記すべて欧米系のプロフェッショナル・ファームですが、ここに出てきた人全員(20 – 40代)、駐在員ではありません。 現地就職ではなく母国・第三国などから社内異動で移ってきた人も多いのですが、駐在員手当というものはありません(会社によっては引っ越し代が支給されたりする程度)。 グローバル一律の給与体系なので「現地給与」というものもなく、「(シンガポールは母国より個人所得税が低いので)手取りは逆に多くなった」、と喜んでいる人も多い。

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ガラパゴス化する日本

日本を代表する産業といえば自動車と電機。
私も電機業界にいたことがある者として、最近の業界再編には注目しています。 ところが、国内企業同士の合併による規模の追求だけではもはや未来はない、という事実を突きつけた本を読みました、その名も『ガラパゴス化する日本の製造業』
日本がガラパゴス化しているという指摘は、以前ブログでも紹介した『パラダイス鎖国』という言葉とともに、最近よく聞くようになっていましたが、ガラパゴス化している個々の業界について、ここまで深く考察されたものを読んだのは初めて。 勉強になりました。
日本の家電・電機製品市場はシーズンごとに新機能を搭載したハイエンド製品をこれでもか、これでもか、と送り出すオタッキーな市場。 ところが、世界は、機能は「そこそこ」でも安くて使い勝手のよい製品がよく売れる、というマスな市場(もちろんハイエンド・マーケットも存在するが、機能よりデザインやユーザビリティに重点が置かれる)。
言われてみると、我が家もそこそこ製品で溢れ返っています。
テレビ・・・SONYのブラウン管。
DVDプレーヤー・・・LGの50ドルくらいの安物。
冷蔵庫・・・Samsung。 普通の冷蔵と冷凍機能のみ。
キッチン家電・・・TEFAL、Delongui、KAMBROOK。 機能は単純、見た目重視。
洗濯・乾燥機・・・Brandt。 聞いたことない、フランス製らしい。
携帯電話・・・Sony Ericsson。 見た目で選んだ、機能に興味なし。
パソコン・・・MacBook 1台、VAIO 2台
一眼レフデジタルカメラ・・・Canon 2台
プリンター・・・Canon
アパートについているものや、夫が買ったものが多いですが、特に不満はありません。 この中で「絶対、日本製じゃなきゃダメよね」と言って買ったのは一眼レフデジカメのCanonくらいじゃなかろうか?

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グローバル富裕層争奪戦

シンガポールを拠点としグローバルに投資するベンチャーキャピタルのマネージング・パートナー(ベンチャーキャピタルを立ち上げたトップ)の方と話していた時に、シンガポール政府のEDB(= Economic Development Board、経済開発庁)と移民局が共同で推進しているGlobal Investor Programについて詳しく教えてもらいました。
Global Investor Programとは世界中から投資家、起業家、企業家トップの資本・ビジネスをシンガポールに誘致するプログラムで、移民政策と密接に連携しています。
やはり話題になっているのは、一定金額以上投資すれば永住権の取れる点でしょうか。 以下の条件を満たせば本人と家族に永住権申請資格があります(EDB : Permanent Residence for Investorsより)。
Global Investor Programは2009年9月に大幅に下記より条件変更されています。 最新の情報はEDBサイトでお確かめください。

1. Invest at least S$1 million in a new business startup or expansion of an existing business operation or
2. Invest at least S$1.5 million in a new business startup, expansion of an existing operation, approved Singapore-incorporated venture capital fund or Singapore-incorporated foundation or trust that focuses on economic development or
3. Invest at least S$2 million in a new business startup, expansion of an existing operation, approved Singapore-incorporated venture capital fund or Singapore-incorporated foundation or trust that focuses on economic development. Residential property can be purchased with not more than 50% of the investment amount.

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外資系戦略コンサル vs. 投資銀行

週末なので、閑話休題。 くだらないけど、面白い”Damn, It Feels Good to be a Banker”。
かなり偏った人(業界人及びMBAホルダー)にしか面白くないかも。
ウォール街で働く若手コンサルタント(McKinsey, BCG, Bain, Accenture)と若手インベストメントバンカー(Goldman Sachs, Morgan Stanley, Merrill Lynch, Blackstone, Lazard)が路上でラップのリズムにのせて罵倒し合うビデオで、同名の本『Damn, It Feels Good to Be a Banker』の宣伝だとか。

歌がラップでスピードが速いので歌詞ものせておきます(→コチラ)。
業界の人ならわかる専門用語(jargon)満載(Five Forces3Cなど)で、くすりと笑えるのでは?

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Quality of (Traveler's) Life

今日からいつものブログに復帰です。
先週末から連続4日間、ブログ復元に没頭したところタイピングのしすぎでひどい肩こりになってしまい、昨日夫に肩のマッサージの仕方を教えました。
白人って肩が凝らないんでしょうか? 肩のマッサージをしたこともされたこともないので、ツボが分からないらしいのですが、力があるのでやり方さえ覚えたら強力な戦力になるのではないか、と期待しています。
先週のこのエントリーlat37nさんから「シカゴGSBも東京キャンパスを検討したものの、成田と都内が遠すぎて断念」というコメントを頂きました(ごめんなさい! コメント消えてしまいました)。
最寄りの空港の使い勝手が良いか、サービスの質が安定して高いか、は出張の多いビジネスマンのQuality of Life(生活の質)に直結します。
私の夫(頻繁にマレーシア日帰り出張する)いわく「チャンギ空港(=シンガポールが誇る国際空港)が今のチャンギじゃなかったら、ボクのQuality of Lifeはもっと惨めなものになってたと思う」。 過去1年で出張32回という時点で十分惨めだと思うが、それは置いておいて・・・
changi_airport.jpg世界のベスト・エアポート賞を何度も総なめにしたチャンギ空港はシンガポール国内のトラベラーのquality of lifeに大きく貢献しています(シンガポールはどちらの方向へ向かっても車で30-40分で海なので、ある意味国民総トラベラー)。
東洋経済オンラインに熱い記事(↓)が載っていましたが、やはり特筆すべきは「飛行機利用のためにかかる所要時間の短さ」。
<>シンガポール・チャンギ 世界最強の眠らぬ巨獅子、人口の8倍呼び込む実力

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It’s all about OB…

私がINSEADにMBA留学をして得たもののNo.1は一生ものの友人と卒業生ネットワークだということは以前のブログで書きましたが(→コチラコチラ)、「学校で学んだことはどうなんだ?」と聞かれると「OB(= Organisational behaviour、組織行動学)が重要だということ」でしょうか。 学校で「OBを学んだ」のではありません、「OBが重要だという事実に気づいた」のです。
組織行動学と訳されるOBの授業が私はINSEADに入った頃、大がつくほど嫌いでした。 「組織の中の処世術」としか思えず、「あえてMBAで習うことかー?」と思っていました。
INSEADはハーバードと同じくケース・スタディが多いので、30ページもあるケース(とあるイタリアの会社で、Fabrizio、Maurizio、Antonio・・・と同じような名前の重役10人くらいが出てきて、マーケティング部長Marioはセールス部長のStefanoと仲が悪く、でもStefanoは社長のFabrizioの高校時代の後輩で、会社の業績が悪化しているのに組織が紛糾寸前でどうしましょう?みたいなの)を読んだ後、クラスでああだ、こうだ、と議論するのです。
「そんなの時と場合によるんじゃないのー?」としらけきっていた私。
また、ある日のOBの授業では、事前に渡された指示書に従ってチーム内で、企業A 3名と企業B 3名に分かれて代理店販売契約だか何かの契約交渉をするロールプレイングを実施。
企業A担当の指示書には「自信に満ち溢れた態度をとり、すべての質問に対し独断で回答し、言葉は断定口調、質問は詰問口調・・・」みたいなことが書いてあり、企業B担当の指示書には「声は小さく、質問されたら質問にはすぐ答えずまず自分たちでひそひそ集まって相談し、その上で”社に持ち帰って検討する”と回答・・・」などと書いてありました。
そのロールプレイングをチーム内で実施した後、クラス内でAだった人はどう感じたか、Bだった人はどう感じたか、を議論。 授業の最後で教授が「Aはアメリカ人がよく取る行動、Bは日本人がよく取る行動」と種明かし。
この授業は「文化によって行動パターンも組織論理も異なるので、文化背景を理解しよう」というのがポイントだったらしいのですが、授業の最中、種明かしの前にだんだん筋書きが読めた私は激怒。 授業の後で教授に対して「教えようとしている意図はわかるが、文化的ステレオタイプ(しかもかなりネガティブな)をあえて助長するような教材を選ぶのはどうかと思う」と抗議しました。 「まあ、ちょっとステレオタイプだけどねー」とさらっとかわされたけど。
そんなわけで、数十あるMBAのクラスの中でOBの成績は最低でした(抗議は関係ないと思う、クラスの議論に参加しなかったのが理由)。

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ソフト・パリと魅惑のインド

昨日とがらっと異なり、ローテクなベンチャーのお話。
『果たしてヤジ馬なのか歴史の証人なのか』『すべては一杯のコーヒーから』に書いたように、INSEAD同級生の中には起業し始めた友達も多いのですが、ハイテクではなくローテク・ベンチャーの方がむしろ多い。
(ここから先は18歳以下の読者はご遠慮ください、笑。)
soft_paris.jpg最近聞いた中で一番面白かったのが、フランス人女性が立ち上げたsoft paris(←ロゴをクリックするとwebsiteに飛びますが、人のいるところでブログを読んでいる方は注意しましょう)。 いわゆる「オトナのおもちゃ」(女性向けオンリー)をマルチレベル・マーケティングで販売するビジネスです。
マルチレベル・マーケティングとは販売組織がピラミッド構造をしており、上位販売員が下位販売員を勧誘しトレーニングするシステム(日本では一般的に「マルチ商法」と呼ばれ悪徳商法の一部と勘違いされがち)。
Wikipedia : 連鎖販売取引
簡単に説明すると、Soft Parisの商品に興味のある女性グループを誰かの家に集めてホームパーティーを開き、そこで販売員が商品の紹介をする、といういわゆるホームパーティー商法です。
2年前に始めたのが、すでに販売員が200名になり、フランスで(自社を含め)3社いる中で現在業界(?)2位。 トップとの差を縮めつつあるそうです(そもそも、そんな市場調査、どこで得るのかしらん?)
すごいところにマーケット・ニーズ見つけるなー・・・彼女、INSEADの前職は弁護士だったんですけどね・・・
「抑圧された主婦層が多いマーケット」が狙い目で、日本で展開したい人がいればぜひ提携したいので連絡ください、とのことでした。 ご興味ある方はぜひContactページからご連絡ください。

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Red Herring 100 Asia

私は、起業家という人種が好きなので、今日と明日、2日続けて応援ブログです。
red_herring.jpgred herringという雑誌をご存知ですか?
シリコンバレーにある出版社(雑誌とWeb)で、そのRed Herring社が毎年選ぶ”Red Herring 100″は世界を変える可能性を秘めた革新的なベンチャー企業100社に与えられ、ベンチャー企業の登竜門とも言える名誉ある賞です。
“Red Herring 100 Asia”はそのアジア版。
このたび、今年の”Red Herring 100 Asia”のファイナリスト200社が発表されました。
ふーんとリストを見ていると、何と前職の同僚が会社を辞めて社長に就任したベンチャーの名が。
残念ながら仕事上もプライベートもほとんど絡みがなかったのですが、Red Herring Asiaのファイナリストになっているとは!
本番は12月。 受賞できるといいですね!
去年のRed Herring 100 Asiaの受賞企業(→コチラ)の顔ぶれを見てみると、中国とインドが圧倒的に多い(やっぱり・・・ 今さら驚かない)。

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セカンドチャンス、あげますか?

夫の勤めるコンサルファームでは長い間ビジネスアナリストを探していました。 ビジネスアナリストとは新卒か第二新卒くらいの下っ端で調査・分析業務が主。 ひたすら検索、Excel、PowerPointマシーンと化しその長時間労働のためか、ターンオーバーが激しい職種であります。
consultant_career.jpgコンサルタンティングファームの一般的な呼称は左の通り(”liber : 戦略コンサルタント“より)。
応募は多数あるものの、論理的思考力が高く(面接ではケースインタビューと呼ばれる特定のビジネスケースを想定したディスカッション形式のインタビューが実施される)、さらに高度なQuantitative(数量的)能力を兼ね備えた若者はなかなかおらず、数回にわたる面接実施後、内定を出したとしても同スペックの人材を求める投資銀行に高給を提示されて逃げていく、と嘆いていました(投資銀行がなくなる前のお話)。
最近、夫の勤めるファームも昨今の経済環境下、全社的に採用が一時凍結されたのですが、8ヵ月前に内定を出したAくんからメールがきたそうです。
Aくんはこのコンサルファームと同時に欧州系銀行の投資銀行部門からS$8,000という新卒としては破格の給料を提示されており(ボーナス入れると年収800万円超え)、「家庭の事情で出張が多い仕事はできない」と内定を辞退してきたとのこと。
私はそれを聞いた時点で「家庭の事情って・・・25歳・独身やないかい!」と突っ込んだのですが、儒教思想(家族、特に年長者を大事にする)が根強く残る中華系シンガポール人の間では「家庭の事情(親が病気がち、とか)」は伝家の宝刀なのか、よく聞く退職理由だったりします。

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