Category Archives: 時事

日本の選挙 – 世界の反応

民主党の圧勝から1週間。 同僚、クライアント、友達、etc. 会う人、会う人から感想と解説を求められます。
なんだ・・・ジャパン・パッシングとか言われてるけど、みんなめちゃくちゃ関心持ってるじゃん・・・日本に・・・
japan_election.jpgthe economistの表紙が富士山が噴火する絵になっていたように、世界中のメディアも大注目していた今回の選挙。 私がやらなくてもどっかにまとめられている気もしますが、普段よく読む活字メディアの反応をまとめておきます。
まずはお馴染みThe Economist(JB Pressに訳が載ってました)。 
The Economist : Japan’s election – The vote that changed Japan
JB Press : 日本の総選挙 – 日本を変えた票決
10年以上前に”Japan’s amazing ability to disappoint.”(私たちをがっかりさせる日本という国の驚くべき能力)と日本を皮肉たっぷりに形容して以来、去年もJAPAiNという特集で日本の停滞の元凶は政治家だと痛烈に批判(この記事はThe Economistのサイトではログインしないと見られなくなってしまったので、日本語サマリーはこちら)。

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ボルネオ・ジャングル紀行 – 3

ボルネオ・ジャングル紀行最終回。
やはり触れざるをえない環境問題について触れておきます。
WWFによると、ボルネオ島は1980年代の半ばには75%近くが熱帯雨林に覆われていたが、伐採やパームオイル・プランテーションへの転換などによる森林の減少が進み、今や50%以下になっているそうです。
生息地を奪われた野生動物の数は激減しており、オランウータンの個体数は過去100年の間に90%以上減少しており、絶滅の危機に瀕しています。
WWF活動内容:オランウータンについて
プランテーション事業はマレーシアのSime Darbyなど巨大企業グループ群が仕切るマレーシアの一大輸出産業。 プランテーション開発により毎年約7万ヘクタールの熱帯雨林が消えています。 環境保護のためには政府という公権力による規制しかないと思いますが、これら巨大企業グループ群は(当然のごとく?)政府と癒着しています。
マレーシアと同じく森林減少が著しいインドネシアも同じ状況です。
そして発展途上国の開発はもちろん先進国という輸出先があるからです。 特にパームオイルは石油の代替品、「バイオディーゼル」として先進国で輸入が急増しているようですが、大量に熱帯雨林を破壊する燃料のどこが”バイオ”なんだ、と思います。

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「正しいこと」がひとつの国、たくさんある国

いつも楽しみな渡辺千賀さんの『はたらけシリコンバレー』というコラム。
カリフォルニアのロースクールで弁護士資格を取った方の『行きたいところに行ける人生』コラムの以下の箇所に目が留まりました。

アメリカのロースクールで得られるのは、「弁護士のように考える」思考方法だ。 日本では「正しいことがまずありきで、それを間違った人が『悪い』」 という考えが強いが、アメリカの法学では 「両方正しい。どこで折り合いを付けるか」 という考え方をする。 「正しいこと」が一つしかない国と、沢山ある国の違いだ。

「みんなそれぞれに正しいんだ」 とわかるようになるのが、弁護士のように考えること。 そして、その思考訓練を受けるのがロースクールなのだ。

深いですねー・・・この箇所。 以前書いた『’different’と’wrong’』にも通じるような。
私は法学の素養は全くありませんが(仕事で必要な契約書は書けます)、常々アメリカの政治家になぜこんなに弁護士出身者が多いのか?というのが疑問でした。
現政権はオバマがハーバードロースクール、国務長官ヒラリーがエール、その他弁護士出身者がぞろぞろ。
politicians_occupation.gif以前、こちらのエントリーで国のトップのバックグラウンドが国によって大きく違うと書きましたが(右表参照)、アメリカは圧倒的に法曹界出身者が多いのです(単に弁護士の数が多いからだという人がいるが、絶対にそれだけではないと思う)。
言葉も肌の色も違う人たちをまとめるには「言葉の力」が必要で、弁護士は鍛えられているからだと思っていましたが、この「両方正しい。どこで折り合いを付けるか」という思考回路そのものが政治家の資質として必要とされているかな、とちょっと納得。

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未来の歴史とノマドの時代

最近なかなか本を読む時間が取れないのでまだ読めていないのですが、NHKで著者ジャック・アタリのインタビューが放送されたようでYouTubeに全編あったので見ました、『21世紀の歴史 – 未来の人類から見た世界』
『世界級キャリアのつくり方』の黒川教授も最近のブログで書評を書かれています。
2時間のインタビューです、こちら(↓)からどうぞ。
1/6 ジャック・アタリ 緊急インタビュー「第1回 危機の核心とは何か」
長い間、歴代フランス大統領のアドバイザーを務め、現代を代表する知性ともいわれるジャック・アタリが長い歴史から学び考察し21世紀の予測を立てたものです。 黒川さんはジャレド・ダイヤモンドの『文明崩壊 – 滅亡と存続の命運を分けるもの 』を思い浮かべたと書かれていますが(私もこちらこちらにちょこっと書評書いてます)、私はアルビン・トフラーの『富の未来』(書評はこちら)を思い出しました。
こういう非常に俯瞰的に広く視野を取った未来予測本はたまに読むと参考になります。 「住みたいところに、トコトコ出向いていって住む」というのが私の基本スタイルですが、子供ができたときに「子供の学齢期にどういう場所(世界の中でどういう立ち位置)にいてあげると子供のポテンシャルを広げられるのか」もよく考えるので。
そういう意味で『21世紀の歴史 – 未来の人類から見た世界』は今世紀後半までカバーしており考えさせられました。

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戦争の月

今年も8月6日が何事もなく過ぎ、8月9日も何事もなく過ぎた。
昨日はNational Dayについて軽いエントリーでも書き、そのまま今年もやり過ごそうと思っていた。
でも坂之上洋子さんの『想像力』というブログエントリーを読み、なんだかとても感じていることが一緒だったので書くことにします。
私は1970年代に生まれた他の子供と同じように小学校・中学校の義務教育を受けて育った。 学校の「道徳」には必ず平和教育の時間があったし、8月6日と9日と15日の甲子園では球児たちが正午に必ず黙祷をしたし、何より『はだしのゲン』を隅々まで読んで育った。 8月は、蝉の声と蚊取り線香とプールと(やんちゃの限りを尽くした弟と私に耐えかねた)母の怒声の月であり、、、戦争の月であった。
そんな普通の子供として育った私にとって「戦争はいけない」「核兵器はいけない」のは疑う余地すらない当たり前以前の常識として小さい頃から植え付けられた。
そんな当たり前のことを当たり前と思っていない人に初めて真正面から出会ったのは私が20歳のときだった。

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アメリカ人記者解放と「悪の枢軸」

クリントン元大統領が北朝鮮を電撃訪問し、拘束されていた女性記者2人を無事に連れ戻しました。
(解放された記者がロサンゼルス空港で家族と再会したときの様子→BBC : Freed reporters reunited with loved ones
解放された記者による喜びの会見→BBC : Freed journalist’s ‘surprise’ at release
何っていうか・・・アメリカって過去の大統領の使い方がめちゃくちゃ上手くないですか?
現在政府の要職にはついていないので米政府の対北朝鮮政策とは建前上は一線を画すことができる(ホワイトハウスは「人道的見地から私人が行うこと」との説明であった)、それなのに元大統領であり現国務長官の夫(当の現国務長官ヒラリーは、アフリカ外遊中で昨日は夫婦揃ってBBCヘッドラインを飾ってました。 すごいスーパーカップル・・・ 2人は家でどんな会話をしているのだろうか・・・?)。
私は政治や外交には詳しくないですが、クリントン政権時代にカーター元大統領が訪朝したことを彷彿とさせます(その成果もあり、後にカーター元大統領はノーベル平和賞を受賞)。
クリントン政権時代のゴア元副大統領もホットな地球環境問題に取り組んでおり、『不都合な真実』以降、副大統領時代よりも有名であり好かれているのでは?(こちらは「使われている」というより、ライフワークとして取り組んでいるのだと思いますが)
なんか次から次へと役者が豊富に揃ってるなー、という印象。
これからもクリントン元大統領は「人道的ミッション」に頻繁に登場するんだろうな、これ以上のhigh profileな役者はいないもの。

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メディア規制の影響

週末は上海からアメリカ人友人Aが我が家に泊まりにきていました。
金曜日に家に到着するなり、うちのテーブルに置いてあったThe Economistに食いつき離れないA。 土日も友人たちと食事し談笑する時間以外は、本屋に入り浸るか、うちで古いThe Economistを延々読み続けるA。 よっぽど欧米活字メディアに飢えていたようです。
3週間くらい前から中国でFacebookがブロックされているなあ、というのは気づいていましたが、Twitter、YouTube、Flickr、etc. 私たちの生活の一部となっているほとんどのウェブサービスは以前からブロックされているとのこと。
Guardian : China blocks Twitter, Flickr and Hotmail ahead of Tiananmen anniversary
TechCrunch : ウルムチの暴動の後、中国政府はTwitter、Facebookをブロック中
イラン選挙後の争乱で次々に現地の様子がTwitterやYouTubeに投稿され一瞬にして世界に伝わったことに比べ、ウルムチ暴動の際は現地の生の声というのはほとんど伝わってこなかったことからもメディア規制の効果がわかります。
中国では、Aいわく、International Herald Tribuneなど欧米メディアのウェブ版は中国に関連しないニュースは自由に読めるものの、中国関連(特にウルムチ暴動など)のニュースはトップページのヘッドラインは読めるのにクリックできないようになっているそうです(クリックできないので記事が読めない)。 キーワードでブロックをかけているのでしょうか?

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ロシア – 警察と司法の闇

少し前の話ですが、チェチェンの人権活動家Natalia Estemirovaさんが拉致された上、殺害されました。
毎日.jp:ロシア:チェチェン人の女性人権活動家殺害される
The Economist : War and peace through the bravest eyes
彼女は2006年にモスクワで殺されたジャーナリストAnna Politkovskayaさんや5ヵ月前にモスクワで殺された人権弁護士Stanislav Markelovさんとも一緒に活動していたそうです。
すさまじいなー、気に入らない人は全員殺しちゃうのか・・・
警察は今回の犯人捜索を大規模に進めているそうですが、まともに犯人が捕まって法の裁きを受けることはないでしょう、残念ながら。 2006年のAnna Politkovskayaさん殺害事件の裁判でも何も真相究明されてないままですし。
Guardian : Anna Politkovskaya suspects found not guilty
Guardian:Russian supreme court orders retrial in Anna Politkovskaya murder case
私は2004年12月から2005年9月まで仕事でモスクワに住んでいました。 これまで自分の希望ではなく(会社の長期出張で)いろいろな場所に住みましたが、いつも初めはなるべくその国のいいところを見つけようとします。 なぜなら、
1. 嫌いな場所に住むというのは本当に辛いことなので嫌いだと思ってしまうと自分が辛くなる
2. 嫌いだというのは表情や態度に出てしまうので、現地に溶け込めない
からですが、まあしかし、住んでて身の危険を感じたのはモスクワだけだったかも。
理由は警察の腐敗です。

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ジャカルタのテロに思う

今朝ジャカルタのリッツ・カールトンとJWマリオットで爆弾テロがありました。 JWマリオットは夫の同僚が先週まで出張で泊まっていたホテルで、夫も時々出張で使います。
インドネシアは最近ユドヨノ大統領が選挙で再選を決め、政治が安定してきたのではないかと楽観的な空気が広がっていた矢先の出来事。 こんな形で無茶苦茶にされて一般のインドネシア人はさぞかし悔しいだろうなー 亡くなった方々のご冥福をお祈りします。
政情不安定な国は、選挙前は何が起こるかわからないほど危険な状態になるのです。
私が1月に南インドでのホリデーで行ったアラビア海の宝石、ラクシャディープ諸島(→『”20年前のモルジブ”』)。 ちょうどインド共和国記念日だったこの日、昼間のことしかブログには書いてませんが、夜7:00から開かれる村人たちのお祭りにも招かれたので、出かけようとしたときのこと。
私たちは歌い踊るお祭りだと誘われたのですが、実はインドは選挙を控えており、国民会議派(だったかインド人民党だったか)の政治集会が開かれる予定だったのです。
泊まっていたリゾートのマネージャーに「夜中、何千人のイスラム教徒の村人の中にキミたち外国人2人だけ。 ただでさえ興奮する政治集会、何が起こっても不思議はない。 キミたちは気が狂っているのか?」とものすごい勢いで怒られました。
政治が人々の日常生活に支障を与えるほど混乱する状況、その舞台となる選挙。
無知な外国人である私たちは何もわかっていませんでした。 他人にあんなに怒られたのは久しぶりですが、マネージャーには感謝してます。

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多民族共生の実験場

私は「民族紛争」に昔から非常に興味がありました。 大学の卒論では当時最も複雑な民族紛争と思われたユーゴスラビア内戦前の状況を分析したくらい。
興味がある理由は長くなるのでやめておきますが、当然のことながら新疆ウイグル自治区で先週起った暴動もずっとニュースを追っているのですが、やはり本当は何が起ったのか、なぜ起ったのか、まさに事件が起っている瞬間ってわからないものですねー ナシームも『ブラック・スワン』でさかんに「頭上で起っている戦争のことは誰もわからない」、そして歴史は「発生した事実を、後から振り返って、ある文脈で解釈すること」であり、常に後講釈による歪みや曲解を生むと言ってましたが、そうなんだと思います。
そして、多民族国家でありながら民族間の緊張はほとんどない国を造り上げたシンガポール政府を改めてすごいなー、と思います(「ほとんどない」であり、個人レベルでは偏見・敵意いろいろあるだろうとは思う)。
中国系住人が多かったシンガポールは1965年、マレー人優遇を進めるマレーシア(*1)から追い出されるように分離独立しました。 多民族融和が国家存亡の肝になることを認識したリー・クアンユーが行った政策のひとつが、民族別の居住エリアを作らせないこと(初代首相であり現Minister Mentorであるリー・クアンユーは非常に尊敬されており、彼の伝記本は今でも数多く書店に山積みにされています)。 具体的には国民に安価な住宅を供給することを目的に建設したHDB(公団、今はシンガポール人の8割以上が住む)に、民族ごと(中国系、インド系、マレー系)に(人口上の民族構成に従い)入居の割合上限が決められています。
*1・・・2週間前の6月30日、マレーシアが上場企業のブミプトラ権益(マレー人優遇政策)規定を撤廃しました。 極めて大きな出来事。
マレーシアナビ!:上場企業のブミプトラ権益規定を撤廃

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