ボルネオ・ジャングル紀行最終回。
やはり触れざるをえない環境問題について触れておきます。
WWFによると、ボルネオ島は1980年代の半ばには75%近くが熱帯雨林に覆われていたが、伐採やパームオイル・プランテーションへの転換などによる森林の減少が進み、今や50%以下になっているそうです。
生息地を奪われた野生動物の数は激減しており、オランウータンの個体数は過去100年の間に90%以上減少しており、絶滅の危機に瀕しています。
WWF活動内容:オランウータンについて
プランテーション事業はマレーシアのSime Darbyなど巨大企業グループ群が仕切るマレーシアの一大輸出産業。 プランテーション開発により毎年約7万ヘクタールの熱帯雨林が消えています。 環境保護のためには政府という公権力による規制しかないと思いますが、これら巨大企業グループ群は(当然のごとく?)政府と癒着しています。
マレーシアと同じく森林減少が著しいインドネシアも同じ状況です。
そして発展途上国の開発はもちろん先進国という輸出先があるからです。 特にパームオイルは石油の代替品、「バイオディーゼル」として先進国で輸入が急増しているようですが、大量に熱帯雨林を破壊する燃料のどこが”バイオ”なんだ、と思います。
熱帯雨林破壊を食い止めるには途上国政府、先進国政府を巻き込んだ抜本的な解決策が必要ですが、気の遠くなるような地道な努力を続けているNGOがたくさんあるので、私たちにできることはNGOを選び活動をサポートすることかな、と思います。
私たちが滞在した場所はKinabatangan Jungle Campというジャングルの中にあるロッジで、「ジャングルの中に私たち人間もいさせてもらっている」という感じです。 敷地内でこちらのカニクイザル(Long-tailed Macaque)が群れを成し、食事時には匂いにつられるのか全長1mほどの大トカゲ(Monitor Lizard)が顔を見せ、夜には夜行性のジャコウネコ(Civet)が暗闇の中で怪しく眼を光らせます。 象の通り道にもなっているため象除けの冊が張られています。
周りのジャングルを歩くと、森には完全な食物連鎖のエコシステムができあがっていることを感じます。 とにかくrenewable(再生可能)ではないものがここにはひとつもない。 木になる実も落ちた葉も鳥も虫もヘビも生きとし生けるもの全てが食べ食べられながら複雑な環を描いているのです。
巨大ダンゴムシとか奇妙な虫をたくさん撮りましたが、ここでは2つだけ。
左下写真は木の上で寝ていたヘビ。 私はハ虫類が苦手なので即退散。 右下写真はうようよいるヒル。 1匹やられましたが、すごい吸引力でした。
森にはさまざまな動植物が数億年と共生しているのに、なぜ人間だけが地球上で他の生物と共生できないんだろうねー(もちろん進化の過程で何億という動植物が絶滅し新たに生まれたのでしょうが)、と思っていたら、夫も同じことを思ったらしく最後の夜は2人で地球の未来予想をしました。
夫の予想は、人類は他の星で生存する方法を見つけ出し、住める環境ではなくなった地球を捨てて他星に移住する。 そのまた何百年・何千年後かに子孫が「あ、これが我々の先祖が来た星だ」と地球を発見する、というSFチックなもの(男の人はロマンチックだ・・・)。
私の予想は、今から1,000年後くらいに気候大変動が起こり大氷河期または大熱波期が訪れ人類は滅亡する。 ところがその気候大変動を生き延びた生物がいて、再び温暖な気候に戻った地球で進化を遂げ、過去数億年に起った進化がまた再び始まり地球は同じことを繰り返す、という他人任せ・神頼み的なもの(輪廻天生、アジア的ともいう)。
なお、『文明崩壊 滅亡と存続の命運を分けるもの 』を書いたジャレド・ダイヤモンドはこちら(↓)のビデオで「人口が増え過ぎ食料・エネルギー不足で虐殺が起った(それにより人口調整をした)ルワンダと同じようなことが世界各地で起るのが、私が想像する人類の末期のマイルド・バージョン」って言ってましたが・・・(これがマイルドだと過激バージョンはどんなんだ?)。
Jared Diamond – How Societies Fail-And Sometimes Succeed – Long Now Foundation
とにかく素晴らしい体験でした。
みなさんもボルネオで地球の未来を考えませんか♪
日本からでも4泊5日くらいで行けます。
September 3rd, 2009 at 5:12 pm
素敵なボルネオリポートありがとうございます。
私もセピロクに一度いってみたいな~。
きれいな写真と文章のおかげで、以前ラフレシアを見にガイドを頼んでジャングルの奥までトレッキングに行ったときのことを思い出しました。
そのときレンジャーから聞いた話ではいまでも十数万人のアボリジーニが下界との接触を拒んでジャングルの中に住んでいるとか。
彼らは、自分たちは高貴な生き方をしているのであり、下界の人のような憐れな生き方はしたくないと考えているので、政府が定住化すれば住宅も生活費もあげるといってもまったく相手にしないということでしたw。
あと~、1000年で人類絶滅はそんなに暗いほうでもないようですからご安心くださいませw
下記の資料はご参考用にご紹介しておきますね。
私は鈍感なのかこういうの見ても暗くはならないんですがw
Dr.Albert Allen Bartlett (a professor emeritus of Physics at Univ of Colorado-Boulder)
http://www.youtube.com/watch?v=F-QA2rkpBSY
Peak Oil
http://www.peakoil.net/
HAVE WE “PEAKED?” by Matthew Simmons
http://www.simmonsco-intl.com/files/OTC%20Topical%20Luncheon.pdf
世界の水資源と食料生産への影響
http://www.maff.go.jp/www/counsil/counsil_cont/kanbou/syokuryo_mondai/07/data01.pdf
農産物貿易の不安定性と世界の食料需給の中長期的な見通し
http://www.maff.go.jp/j/zyukyu/anpo/5.html
金属資源枯渇:2050年までに世界的な資源制約の壁
http://www.nims.go.jp/ecomaterial/hal/MR/doc/070213press.pdf
Crash Course
http://www.youtube.com/watch?v=I0WuQ5-t3xM
今世紀で人類は終わる?マーティン リース
http://www.amazon.co.jp/gp/reader/4794215908/ref=sib_dp_pt#reader-page
人類は絶滅する―化石が明かす「残された時間」マイケル ボウルター
http://www.amazon.co.jp/%E4%BA%BA%E9%A1%9E%E3%81%AF%E7%B5%B6%E6%BB%85%E3%81%99%E3%82%8B%E2%80%95%E5%8C%96%E7%9F%B3%E3%81%8C%E6%98%8E%E3%81%8B%E3%81%99%E3%80%8C%E6%AE%8B%E3%81%95%E3%82%8C%E3%81%9F%E6%99%82%E9%96%93%E3%80%8D-%E3%83%9E%E3%82%A4%E3%82%B1%E3%83%AB-%E3%83%9C%E3%82%A6%E3%83%AB%E3%82%BF%E3%83%BC/dp/4022500697/ref=sr_1_1?ie=UTF8&s=books&qid=1251968443&sr=1-1
September 4th, 2009 at 11:02 am
>Blondyさん
>そのときレンジャーから聞いた話ではいまでも十数万人のアボリジーニが下界との接触を拒んでジャングルの中に住んでいるとか。
十数万人ってすごいですね・・・ 数千人ならわかりますが・・・
以前、「ブラジルのアマゾンのジャングルで今まで下界と接触したことがない原住民の部族が発見された」というニュース(↓)に「地球って広いんだなー」と思ったものです。
http://www.ladolcevita.jp/blog/global/2008/06/post-2.php
本のご紹介ありがとうございました。