少し前の話ですが、チェチェンの人権活動家Natalia Estemirovaさんが拉致された上、殺害されました。
毎日.jp:ロシア:チェチェン人の女性人権活動家殺害される
The Economist : War and peace through the bravest eyes
彼女は2006年にモスクワで殺されたジャーナリストAnna Politkovskayaさんや5ヵ月前にモスクワで殺された人権弁護士Stanislav Markelovさんとも一緒に活動していたそうです。
すさまじいなー、気に入らない人は全員殺しちゃうのか・・・
警察は今回の犯人捜索を大規模に進めているそうですが、まともに犯人が捕まって法の裁きを受けることはないでしょう、残念ながら。 2006年のAnna Politkovskayaさん殺害事件の裁判でも何も真相究明されてないままですし。
Guardian : Anna Politkovskaya suspects found not guilty
Guardian:Russian supreme court orders retrial in Anna Politkovskaya murder case
私は2004年12月から2005年9月まで仕事でモスクワに住んでいました。 これまで自分の希望ではなく(会社の長期出張で)いろいろな場所に住みましたが、いつも初めはなるべくその国のいいところを見つけようとします。 なぜなら、
1. 嫌いな場所に住むというのは本当に辛いことなので嫌いだと思ってしまうと自分が辛くなる
2. 嫌いだというのは表情や態度に出てしまうので、現地に溶け込めない
からですが、まあしかし、住んでて身の危険を感じたのはモスクワだけだったかも。
理由は警察の腐敗です。
ある日、同い年の日本人Wさん(違う会社だけど、私と同じく長期出張者だった)と赤の広場前の地下鉄駅から地上に出る通路を歩いていたところ、屈強な警官2人に止められました。 「パスポート」と言うのでパスポートを見せたところ、何やらロシア語でいちゃもんをつけてきます。 そのうちの1人が無理矢理Wさんから財布を奪い取り財布に入っていた紙幣(不幸なことに銀行でお金をおろしたばかりだったのでUSD200-300)を全部奪い去っていきました。
市民生活を守るのが仕事の警察にカツアゲされるとは思いもよらず唖然・・・
赤の広場前地下鉄駅といえばモスクワで最も人通りが多い場所で、新宿並みに混んでますが、そばを通り過ぎる人はもちろん見て見ぬフリ。 抵抗したら連行されかねない怖さでした。
また別の時には、社有車(ドライバー付き)に乗っていたら交差点で警察に止められ、ドライバーはパトカーの中に押し込まれ賄賂を要求されたことも。
警察の給料が低すぎて賄賂要求(やカツアゲ?)をしないと生活できないのだと聞きました。
Natalia Estemirovaさんのニュースを読みながらそんなことを思い出していたら、よいドキュメンタリーを発見。
2004年ドイツで制作されたドキュメンタリーが「BS世界のドキュメンタリー」で放送されたようです、『ロシア 新”罪と罰”~追跡 警察と司法の腐敗~』。
- 警官には2人1組で行動し、1日10件を検挙するノルマが課せられている。 そのため些細な犯罪で逮捕し、賄賂を払えば見逃し、なければ裁判にかけられる。
- 裁判所は警察の証拠資料を鵜呑みにするため無罪はほとんどない。 現在、裁判で無罪判決が出る割合は世界で20%、ロシアで0.6%。 検察側が弁護士側を買収することもある。 裁判長には裁判所の上の方から判決内容を指示され、従わなければ些細な理由を見つけて解雇される。
- 政治家と警察で結託して無実の人を犯罪者に仕立て利益を得る商売を行うこともある。 ある企業の依頼を受け、警察はその企業の競争相手の会社社長を麻薬密売の容疑で逮捕(警察があらかじめ麻薬を隠しておく)。 企業から受け取った礼金は上層部に流れ、外国に豪邸を買うなど私腹を肥やすことに使われる。
- ロシア中の刑務所は無実の罪や軽犯罪で投獄された一般市民で溢れているが、マフィアや富裕層が裁かれることはほとんどない。
うーむ・・・ USD200-300カツアゲされただけで済んだことがラッキーなことだったように思えてきました。
ちょっと考えられない世界ですが、興味を持った方はぜひドキュメンタリーをどうぞ。
July 31st, 2009 at 1:36 pm
以前住んでたベトナムも大概やなぁと思ってましたけど、
こんなロシアと比べるとまだまだ可愛いもんですなぁ。
最近立て続けに佐藤優さんの著書を読んだので、
ロシアに非常に興味が沸いていたのですが
これはこれでまた別の意味で関心がそそられました。
一度は行ってみたい国の一つです。はい。
July 31st, 2009 at 2:54 pm
ロシア、恐ろし!ですね・・・。
私の駐在地はジャカルタなのですが、ロシアじゃなくて良かった!、とつい思ってしまいました。
インドネシアも警察の賄賂欲しさのキャッチ&リリース(捕まえて・お金取って・バイバイ)が日常茶飯事です。
理由もロシア同様警察の給料が低すぎるというのが根底にあります。
特にレバラン(約1ヶ月の断食が明けた後の祝日。インドネシアは1週間ほど休みになります)前はカツアゲが増えます。
インドネシアの人にとってレバランはお盆と正月が一緒になったようなおめでたい時なので、その時期は帰郷交通費・お土産代など何かと物入りになるからです。
ただ表面上やってることは同じでも、インドネシアのほうがおおらかですねー。
そろそろそのレバランが近づいてきてますので、気をつけねば。
July 31st, 2009 at 3:06 pm
ロシアってやっぱ恐ろしい国だね・・・(食わず嫌いなだけだと思っていたけど)
この前、病院のトイレにお財布置き忘れたのに、わざわざ「預かってます」と電話がかかってきたよ。
日本はなんていい国なんだと再認識・・・笑
あと、サイマルでFace bookの株式の数%がロシアの投資会社に売却された、とのニュースを知りました。
あんな個人情報満載のFace bookのデータがロシアの手にわたったら、どうなるんだろ
・・・ってのは偏見かな??と思いつつ、なんとなく怖くなってSNSの個人情報は削除したよ^^;
August 1st, 2009 at 4:27 pm
>まつーらさん
>一度は行ってみたい国の一つです。はい。
興味深い国ではあります。 一般旅行者は事前に全旅程を提出しなければいけない、などいろいろ旅行に制約もあるんですけどね(今もそうなのかな?)
>brainchildさん
>私の駐在地はジャカルタなのですが、ロシアじゃなくて良かった!、とつい思ってしまいました。
ジャカルタはわからないんですが、モスクワは日中は外歩いても平気ですよ。 気をつけるべきは警察です、ってそこら中にいるので気をつけようもないですが。
>インドネシアの人にとってレバランはお盆と正月が一緒になったようなおめでたい時なので、その時期は帰郷交通費・お土産代など何かと物入りになるからです。
すごい現実的な話ですね、そりゃそうか・・・ もうすぐ断食なんですね、シンガポールもマレー系が断食をするので、それなりに気を使います。
>junko
>ロシアってやっぱ恐ろしい国だね・・・(食わず嫌いなだけだと思っていたけど)
ロシア人はいい人が多いよ(と、フォローに入る私、笑)。 一般市民の責任じゃないのに、政治や警察が悪いとかわいそうだよね。
>あんな個人情報満載のFace bookのデータがロシアの手にわたったら、どうなるんだろ
ロシア国家の手に渡るとは思えないけど、Facebookは怪しいアプリケーションが多すぎて、アプリは個人情報にアクセスできるので、オンラインでの個人情報公開は気をつけるに越したことはないと思うわ。
August 2nd, 2009 at 9:57 am
こんにちは
私もモスクワで警察につかまりました。2年前に趣味のロシア語の学校に通うため
ホームステイしていたのですが。地下鉄のカローメンスカヤ駅を出たところで
職務質問され、そのときに語学学校の発行する身元引き受け証の期限が
きれていることに気付きました。飛行機の中でボーっとして入国カードに記載した
ため 1.Jun-30.Julと記入するべきところ1.Jun-30.Junとしてしまったのです。
それを見て語学学校が引き受け証をつくるので期限がきれてしまっていたのです。
そのまま3人の警官が乗ったパトカーにのせられ、人気のない団地の中庭のようなところに
つれていかれ2000ルーブル要求されました。私の場合は明らかに書類に不備があり
警察署につれていかれてもそれに対応するだけのロシア語力もなく、「生きたワイロ」だった
と自分を納得させました。
August 3rd, 2009 at 8:54 am
>Suzuさん
>そのまま3人の警官が乗ったパトカーにのせられ、人気のない団地の中庭のようなところに
>つれていかれ2000ルーブル要求されました。
それは恐ろしすぎ。 そこまでされると、身が安全だったことに感謝するしかないですよね。 (体に)何事もなくてよかったです・・・