アメリカ人ビジネスマンとメキシコ人漁師の話

地震前に読んだTim Ferrisの『The 4-Hour Workweek』、あまりに面白くて、あまりに良かったので、すぐもう1度読み返しました。 『なぜ、週4時間働くだけでお金持ちになれるのか?』という邦訳が出ているようですが、彼の文章力が最高(!)なので、ぜひ原書で読んで欲しい。
いまいちな邦題がついているので怪しい金儲け本のように聞こえますが、著者のTim自身はアメリカの名門プリンストン大学を卒業していて、同級生たちは米ビジネス界で花形職業につきキャリアのファーストトラックを邁進中。 身を削って長時間労働にいそしみ、高給を貯めてアーリー・リタイアすることが目的。
私自身たーくさん知ってます、こういう人たち(→『MBAの同窓会』『Factory for unhappy people – 不幸な人の製造工場』『自分に一番近い8人が「自分」』)。
で、Timの彼らに関する描写が本当に爆笑なのです(拙訳付き)。

Donald_Trump.jpgIf i offered you $10,000,000 to work 24 hours a day for 15 years and then retire, would you do it? Of course not – you couldn’t. It is unsustainable, just as what most define as a career: doing the same thing for 8+ hours per day until you break down or have enough cash to permanently stop.
How else can my 30-year-old friends all look like a cross between Donald Trump and Joan Rivers? It’s horrendous – premature aging fueled by triple bypass frappuccinos and impossible workloads.
もしボクが年収1,000万円で15年間、1日24時間働いたらリタイアできるよ、って言ったらやる? もちろんやらないよね – できないもん。 そんなの続かない、ほとんどの人が定義しているキャリア(精神的・身体的に参るか二度と働かなくていいほどキャッシュが貯まるまで1日8時間以上働くこと)だって同じだ。
そうでなきゃ、何でボクの同級生(30歳)がDonald TrumpとJoan Riversを掛け合わせたような顔してるんだ? 身の毛がよだつねー フラペチーノと到底不可能な仕事量で3倍速で老化してる(右がDonald Trump、Joan Riversの顔は続きを読むをクリック)。

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震災後の人生棚卸し

日本から帰ってきたのに日本のことを書いていないのですが、関西は街を歩くと
1. 外国人観光客がほとんどいない!
2. 震災支援の募金活動が目につく
くらいで、ニュースさえ見なければ、ほとんどいつもと変わらず実に平和でした。
そして、今回の大震災で自分の人生の何を見直すべきなのか?ということをつらつらと考えていました。
1. 人
大地震の一報を聞いた直後、ほとんどの人は(当時やっていたことを放り出し)まず自分の家族、次いで大事な友人の安否確認に追われたのではないでしょうか?
連絡がつかなかった時間(ほんの数十分かもしれないし数日かかったかもしれないが)、何も手につかず、ただただ無事でいてくれることを祈っていた相手、その人たちこそがキャリア・財産・社会的地位よりも何よりも大切な人たちなのです。
私は自分の大事な人を毎日幸せにできない人は尊敬していないのですが(『文化の壁を超えるCM』で紹介したANA-読売新聞のCMのおじさんみたいな、笑)、今回の帰省ではいつものようにオフ会などで新しい人と出会うことを目的とせず、(息子にとって初日本だったので)家族や昔からの友人と過ごすことにしました。
実際は、長距離フライトが思った以上に大変で時差ボケに始まり時差ボケに終わった旅だったので、このくらいゆったりでよかったようです。

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Frenchman in London

昨日書いた、ロンドン & ニューヨーク→香港 & シンガポール、という人の流れの話の続き。 ロンドンから人が流れている、と言えど、彼らはイギリス人ではない、という話。
シンガポールでも金融とコンサルは外国人ばかりでしたが(→『絶滅寸前? 駐在員手当』)、ロンドンも似たようなもの。 夫(戦略コンサル)が、最近ミーティングした投資銀行とPE(プライベート・エクイティ)では20人のうちイギリス人は25%だけだった、と言ってました。
後の75%は、フランス人、ドイツ人、デンマーク人、アイルランド人、アメリカ人、オーストラリア人、南アフリカ人・・・etc.
EU内は移動が自由なので、EU出身者が多いのはもちろんのこと、コモンウェルス諸国出身者も多い(→『ロンドンにとっての地方』)。 特に、フランス人バンカーは本当に多く、シティで石を投げるとフランス人バンカーに当たります(たぶん)。
その国・都市にいる外国人を見ると、彼らが魅せられるその場所の魅力がわかる、という話は『Englishman in New York』に書きましたが、今日はその第2弾、”Frenchman in London”、The Economistの記事より。
The Economist : Paris-on-Thames

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稼ぎたいやつはアジアへ行け。

去年初めに、「は? 子どもできるのにシンガポールからロンドンに引っ越すって順番逆じゃないの?」と言われつつ、シンガポールからロンドンに移って重税と高い家賃・チャイルドケアに苦しんでいる私たちですが(涙)、時代のトレンドはまだまだ人をアジアへと向かわせている、という記事がThe Economistに載っていました。
(私たちの話は→『ロンドンに引っ越します。』
The Economist : Go east, young moneyman
成熟国出身者が成長著しいアジア市場の勢いに乗ってキャリアアップさせようとしている現象は以前『成熟国出身者のキャリア戦略』に書きましたが、この記事は金融業界に限った話。 もっともモビリティーの高い業界ですね、それにしても彼らはよく頻繁に国境を越えて転職します。
financial-service_destinations.gif金融業界のプロフェッショナルが仕事を求めて他国へ行くときの行き先トップ3が右のリスト。 アメリカ(ウォール街)・イギリス(シティ)・香港・シンガポールの4都市で人材を取り合っているだけに見えますが・・・ 世界の金融の中心地はこの4都市(+プライベートバンキングのスイスと、やや見劣りするが急成長中の上海)になっているようです。

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フォーク並びを活かした社会

イースターとロイヤルウェディング休暇を利用して日本に帰省し、ロンドンに帰ってきたのですがいまだ時差ボケが直りません・・・
歩き出した幼児を連れた長距離フライトがこんなに大変だとは思いませんでした。 昼間のフライトで、かつ(ロンドン – 関空の直行便がないため)パリ経由、機内ではロイヤル・ファミリーばりに手を振り”Hello! Hello!”と愛想を振りまきながら延々と通路を歩く息子にずっと付き合っていました。 エコノミークラスとビジネスクラスの間のカーテンに向かって奇声をあげながら闘牛ごっこするし・・・(ひらひら揺れる大きな布に頭から突進するのがお好き)
さてさて、「子連れに冷たい」と評判な(?)日本、夫と2人でベビーカーを持ち上げるとどこにでも行けるのであまりヘルプを頼むような状況がなかったのですが、たしかにロンドンの方が人は親切ですねー ベビーカーで階段前でおたおたしてると”Do you need help?”と100%声かけられます。
でもフライト中は、息子に向かって手を振る人(老若男女問わず)、「かわいいねー」と勝手に触る関西のおばちゃん、何度も「いないいない ばあ〜」をしてくれた後ろの席の人、親切な人ばかりで助かりました。
一方、日本ではかなり大きな幼児もベビーキャリアに入ってたり、ベビーカーを押してるのに混雑に備えてベビーキャリアも常備してる人が多く、ロンドンでそんな人を見たことがない私は「みんな、すごく周りに気を使ってるんだなー」と。 そんな大きな幼児を抱えて歩くと腰を痛めると思うのですが、周りに気を使う大変さが重さに耐える辛さを上回っているのだそう・・・
母親が「日本は人が多いから」と言ってましたが、ロンドンは少なくとも大阪並みには混んでるんだけどなー

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マイホームへの道 – 2

昨日の続き、イギリス(正確にはイングランド)で家を買う手続きです。
1. 物件探し
方法としては、rightmoveFind a Propertyなどのサイトを見たり、エリアを歩いて”For Sale(売り出し中)”と看板が出ている物件があったらその不動産屋に電話をかけるなど。
昨日も書いたように、ライフステージに合わせて家を買い替える人が多いので、自分の今住んでいるエリアで違うサイズの家に買い替える人がたくさんいる。 彼らは住みたい通りの家の大きさや構造まで知り尽くしていて、狙った物件が出てくるのを待っているので、人気のある物件は市場と出てくると同時に買い手がついたりする。
物件探しと並行して金融機関に住宅ローンのあたりをつけておく。
2. オファー提出
欲しい物件が見つかったら「£xxxで買いたい」という口頭オファーを売り主に対して不動産屋を通して入れる。 売り主側の”Asking Price(言い値)”に対して(通常は)低く入れて価格交渉に持ち込むのだが、他に買いたい人がいれば応札合戦になったり、売り主の事情、買い主の他条件などにより、どの価格で決まるかは実にケース・バイ・ケース。
3. 売り主がオファー受け入れ
両者が価格に(不動産屋を通じて)価格に合意した時点でその物件は”Sold(売約済)”となり、市場からは外される。 が、この口頭合意には法的拘束力が一切ないため、心変わり可能。

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マイホームへの道 – 1

なんだかすごく忙しい・・・気がするのは、「マイホーム購入」という慣れないことをしているからでした。 まだ道途上ですが・・・(イギリスで家を買うのは超ストレスフルと悪名高い)
『古いほど人気なマイホーム』に書いたように、マイホーム探しをしていました。 去年中に物件を見学しながら住みたいエリアを絞り、今年に入ってから本格的に物件探しを開始。 気に入った家が見つかってオファーが売り主に受領されたところ(売買プロセスが長いので、別途書きます)。
イギリス人は本当に家を買うのが好きです。 パブで(つまみもなしに)パイントグラス片手に天気の話から始まり、家(& リノベーション)の話か(男性なら)スポーツの話・・・
どのくらい一般的かと言うと、

  • 持ち家率はイングランドで70%、ロンドンで57%(Housing and Planning Statistics 2009)。 日本は全国で61%、東京都で45%(参照:『Property Ladderを昇る人々』
  • )。

  • 出産前クラスで一緒だった7家族のうち、家を買ったことがないのは私たちだけ。 すでに4ベッドルームの家を持つ弁護士Lを除く5人全員がこの1年の間に家を買い替え(ライフステージが変わる毎に、家を買い替えていくのが一般的)。
  • 私たちの銀行の担当者は、私たちが「家を買ったことがない」と言うと絶句していた。

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小学生だって社会起業!

『Blastbeat – 高校生の音楽ビジネスプロジェクト』で紹介した音楽を通した社会起業プロジェクトBlastbeatのファウンダーであるRobertに会ってきました。 ブラストビートはNPOとして日本でも活動しています。
・・・とはいってもNPOの話ではなく、私たちが今度引っ越す地域にRobertが住んでいるので、そこの学校事情を聞かせて欲しいと会いに行ったのでした。 以前こちらに書いたように、ロンドンのファミリー世帯は「学校」が住む場所を決める最重要ポイントです。 小学校(Primary School)は4歳から始まるので、息子が1歳になったばかりの私たちも「良い」小学校のキャッチメントエリアに入れるように調査していました。
年齢から推測して当然中高生の子どもがいるだろうと思っていたRobert、未婚で子どもはいなかったのですが(すごい思い込みですね、私)、ある地域の学校事情なんかよりも、はるかにいい話が聞けました。
イギリスにも全国高校ランキングのようなものがあり、「良い」高校(Secondary School)は私立高校(Independent School)と選抜試験で成績の良い生徒だけが入学できる公立高校(Grammer School)が独占しています。
FT.com : Secondary Schools 2011
小学校(Primary School)は評判の良い学校に入るにはかなり近くに住む必要があり、治安や学校の良し悪しと住宅価格は密接に連動しています。 当然、貧困家庭の子どもは良い学校に行けずドラッグ・暴力・アルコールなどの問題に巻き込まれやすく、社会的流動性(Social mobility)が少なくなるとイギリスの社会問題になっています。

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きっかけはいつも個人的な経験

HelpJapan_TaraJacoby.jpg何か行動を起こすとき、特に大きな行動を起こすとき、きっかけはいつもすごく個人的な経験だと思います。 逆に言うと、自分がすごく揺さぶられるような経験には、大きな行動を起こす種が眠っています。
そこで今回、『プロジェクトPhoenix』を立ち上げた個人的な経験を書いておきます。
私は今回の地震はTwitterで知りました(→『痛みが距離を超えた日』)。 「M8.4」という数字を見た瞬間に(*1)、ただごとではない事態に気づき、次に頭に浮かんだのが”It took a devastating earthquake for Japan to change.”という言葉でした。 なぜか頭に浮かんだのが英語で、このフレーズが10年後くらいのThe Economistか何かの記事になっている様子が瞬間的に頭に浮かびました。
*1・・・ご存知の通り、後にM9.0に訂正されました。

It took a devastating earthquake for Japan to change.

このフレーズには

1. 失われた20年を経験しても自発的に変われなかった日本は、結局、こんなひどい惨事を経験してようやく変われたね〜
2. 日本って、あの地震以来、ホンットーに見違えるように変わったよね〜

いろいろな受け取り方ができますが、後世でどう言われるかは、今、まさに私たちがどう動くかにかかっていると思いました。

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プロジェクトPhoenix(仮)始動

こちらでお知らせしたプロジェクトPhoenix(*注)、昨日のキックオフミーティングに休日なのに時間を割いて9名の方に参加していただきました。 ありがとうございます!
注:まだ仮名です。 ネーミング募集しているので最後まで読んでください♪
ミーティングに先立ち、アイデアを募集したので本当にたくさんのアイデアが集まりました、どれも捨てがたいアイデアばかりです。 ブログを読んですぐ「プロジェクトに寄付したい」という匿名希望の寄付者が現れ、相当の活動資金ができました(本当にありがとうございます)。
震災の記憶も生々しい今、多くの人が「何かしたい」という気持ちを持っていると思いますが、ほとんどの人は毎日の仕事や学校・育児など”day job”があるため、モーメンタムが続かないのが現実です。
一時的に寝食の間を惜しんでチャリティー・イベント開催に没頭したとしても、1カ月もすれば息切れしてしまいます。 一般の仕事を持っている人はその1カ月すら続かないのではないかと思います。
一方、この震災からの復興は実に苦しい長期戦になります。
特に被災者が心に受けた傷は一生完全に癒えることがないかもしれませんし、原発の影響が長引くと出ていった外国人が戻ってこないばかりか、将来の観光客・ビジネス客・留学生・住みたい人が激減するかもしれません。
前のブログにも書きましたが、「愛(Love)」の反対は「憎しみ(Hate)」ではなく、「無関心(Indifference)」です。
この相反する事情をどうやって仕組み的に解決しようか考えていました。

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