去年初めに、「は? 子どもできるのにシンガポールからロンドンに引っ越すって順番逆じゃないの?」と言われつつ、シンガポールからロンドンに移って重税と高い家賃・チャイルドケアに苦しんでいる私たちですが(涙)、時代のトレンドはまだまだ人をアジアへと向かわせている、という記事がThe Economistに載っていました。
(私たちの話は→『ロンドンに引っ越します。』)
The Economist : Go east, young moneyman
成熟国出身者が成長著しいアジア市場の勢いに乗ってキャリアアップさせようとしている現象は以前『成熟国出身者のキャリア戦略』に書きましたが、この記事は金融業界に限った話。 もっともモビリティーの高い業界ですね、それにしても彼らはよく頻繁に国境を越えて転職します。
金融業界のプロフェッショナルが仕事を求めて他国へ行くときの行き先トップ3が右のリスト。 アメリカ(ウォール街)・イギリス(シティ)・香港・シンガポールの4都市で人材を取り合っているだけに見えますが・・・ 世界の金融の中心地はこの4都市(+プライベートバンキングのスイスと、やや見劣りするが急成長中の上海)になっているようです。
アジアの金融都市の魅力は、
1. 市場の高い成長性
2. キャリア上の魅力
停滞している欧米より解雇されるリスクが少なく、移民規制を強める英米よりもビザが取りやすい(最近、シンガポールも以前ほど簡単ではないようだが)
3. 税金の安さ
税前所得は欧米の方が高いものの差は縮まっており、所得税を考慮に入れるとアジア金融都市の方が遥かに多く稼げる
4. 緩い規制
金融危機後、高所得バンカーを狙い撃ちにした税制・規制が導入された英米からアジア金融都市へオペレーションを移そうとする金融機関が多い
5. 生活のしやすさ
ロンドンとニューヨークのライフスタイルは今でも若者を魅きつけるが、家族連れにはアジアのメイド(domestic help)の安さは大きな魅力である
シンガポールで一緒だった南アフリカ人B(英大手銀行のプライベートバンク部門)が、去年半ばにロンドンに引っ越してきました。 彼が引っ越してくる前、たまたま出張中だった彼とロンドンでばったり会ったときは「シンガポールでのメイドがいる快適な生活がロンドンでできないと思うと二の足を踏む・・・」と言っていたのですが(→『シンガポール永住権放棄・・・』)、ちゃっかり住み込みのフィリピン人メイドを連れてやってきてました。
ロンドンだと給料が3倍になるので喜んでついてきた、のだそう(ちなみに住み込みナニーを雇う場合の相場は年間£50,000(650万円)くらい)。
成長市場のアジアで結果を出し昇進してからロンドン(or ニューヨーク)に戻る、っていうのが金融業界の勝ち組パターンなのかもしれません。
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