フォーク並びを活かした社会

イースターとロイヤルウェディング休暇を利用して日本に帰省し、ロンドンに帰ってきたのですがいまだ時差ボケが直りません・・・
歩き出した幼児を連れた長距離フライトがこんなに大変だとは思いませんでした。 昼間のフライトで、かつ(ロンドン – 関空の直行便がないため)パリ経由、機内ではロイヤル・ファミリーばりに手を振り”Hello! Hello!”と愛想を振りまきながら延々と通路を歩く息子にずっと付き合っていました。 エコノミークラスとビジネスクラスの間のカーテンに向かって奇声をあげながら闘牛ごっこするし・・・(ひらひら揺れる大きな布に頭から突進するのがお好き)
さてさて、「子連れに冷たい」と評判な(?)日本、夫と2人でベビーカーを持ち上げるとどこにでも行けるのであまりヘルプを頼むような状況がなかったのですが、たしかにロンドンの方が人は親切ですねー ベビーカーで階段前でおたおたしてると”Do you need help?”と100%声かけられます。
でもフライト中は、息子に向かって手を振る人(老若男女問わず)、「かわいいねー」と勝手に触る関西のおばちゃん、何度も「いないいない ばあ〜」をしてくれた後ろの席の人、親切な人ばかりで助かりました。
一方、日本ではかなり大きな幼児もベビーキャリアに入ってたり、ベビーカーを押してるのに混雑に備えてベビーキャリアも常備してる人が多く、ロンドンでそんな人を見たことがない私は「みんな、すごく周りに気を使ってるんだなー」と。 そんな大きな幼児を抱えて歩くと腰を痛めると思うのですが、周りに気を使う大変さが重さに耐える辛さを上回っているのだそう・・・
母親が「日本は人が多いから」と言ってましたが、ロンドンは少なくとも大阪並みには混んでるんだけどなー


私は子育てを始めたとき、MBAの「オペレーション・マネジメント」(INSEADでは”Process Operation Management”という名だった)の授業を思い出しました。
特に乳児のお世話はフルタイム・ジョブです。 トイレにさえ行けない、電子レンジでチンした自分のランチを取りに行く時間もなくレンジの中で冷めてしまった、なんてことが毎日続く。
一方、保育園では保育士1人が面倒をみるのは乳児3人までと法律で定められています(日本もイギリスも同じ)。 1対1でもふらふらなのに、なぜ保育士さんは1人で3人もみられるのか?と思ったことはないでしょうか?
理由は彼らは1人で3人みているわけではなく、4人で12人、5人で15人みているのです(実際は4人で10人とかもうちょっと少ない人数をみているが)。 15人もの乳児が同時に片時も目が離せないということはほぼないので、大泣きして泣き止まない子がいれば1対1であやして、他の保育士さんが他の子をカバーします。
トイレでフォーク型に並ぶと列の進みが早くなるのと同じ論理(カスタマーサービスの電話も同じ。 待ち時間の期待値を出す方法は「オペレーション・マネジメント」で習いました、忘れたけど)。
必要なジョブ(トイレで用を足そうと待つ人)をひとつ(一列)にプールしておき、空いたリソース(空いたトイレ)に割り当てていく方が、リソース(トイレ)それぞれにジョブを積み上げるよりはるかに効率的に列が進みます。
社会の成り立ちはフォーク並びをもっと広く捉えたものだと思います。
猫の手も借りたいほど子育てが大変なときって初めの3年くらい、2人産んでも5、6年。 今まさにその5、6年の期間にいる人って全体の何%くらいいるんだろう? せいぜい5 – 10%くらい? そして、社会のほとんど全ての人が人生の中で一度は自身が経験者・当事者になるわけです。
リソースがある人(ちょっと手を貸せる余裕がある人)が、ない人に手を貸してあげる、今はリソースがない人も数年経ったら余裕ができるのでまた同じことをしてあげる、それだけで社会全体がハッピーに効率よく回ると思うのですがねー(私は子連れだけを指しているわけではなく、お年寄り・障害者など他人の助けがあればありがたいすべての人を指してます)。
昨日の出来事。
地下鉄で私の隣に座っていた3歳くらいの子連れ女性。 ドアから乗ってきたおじいさんに席を譲ろうとしたところ、おじいさんは即座に押しとどめて、
“Please. I am a grandpa. I know how tiring little people can be.(そのまま座ってて。 私自身、孫がいるんだよ。 だから小さい子どもってどのくらい大変かよく知ってるよ。)”
息子が3ヵ月くらいのときの出来事。
ベビーカーで電車に乗った私を見た5歳と7歳くらいの2人の子連れのお母さん。 座席に座っていた自分の子どもを立たせながら、私に向かって、
“You are the one who’s tired!(疲れてるのはあなたよね!)”
こんな人たちがいるから、みんながリソースを出し合って社会はうまく回るのです。


3 responses to “フォーク並びを活かした社会

  • tygertyger

    やあ、やってる、やってる。
    子連れの目線から見た社会の様相は、そうではなかった時とは、ずいぶんと違って見えてきますよね。ご両親がさぞや内心「ムフフ、してやったり!」とほくそ笑んでいらっしゃることでしょう。

  • kanako

    はじめまして。最近こちらのブログを知りました:)
    すごく内容があっておもしろいのはもちろん、尊敬を超えて驚いています。
    私はブログを始めたばかりですが、”世界級ライフスタイル”にとても
    憧れています。よろしければリンクさせて頂けないでしょうか?
    話は変わりますが、おじいさんや子連れのお母さんの思いやりと共感は
    ハタから読んでいてもグッとくるものがありますね:)
    これからも記事、楽しみにしてます!

  • la dolce vita

    >tygertygerさん
    >子連れの目線から見た社会の様相は、そうではなかった時とは、ずいぶんと違って見えてきますよね。
    そうですね。 でもヨーロッパ(しか子連れで行ったことありませんが)は、基本的にみんな親切です。
    >kanakoさん
    >はじめまして。最近こちらのブログを知りました:)
    はじめまして。 コメントありがとうございます。
    >よろしければリンクさせて頂けないでしょうか?
    どうぞどうぞ。
    >おじいさんや子連れのお母さんの思いやりと共感はハタから読んでいてもグッとくるものがありますね:)
    ありがとうございます。 あと、こっちの人は声を出して言うので伝わりやすいというのはあります。 黙って席を譲る人も同じような気遣いで譲っているのでしょうが、声をかけられるとさらに嬉しいですよね。

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