昨日に引き続き、Dr.Liuとのディスカッションで面白かった話。
ゲノム、遺伝学が専門なのでその分野に関するディスカッションが中心だったのですが、One-drop ruleって聞いたことありますか? 私は知りませんでした、軽くショックでもありました。
私は以前からオバマがなぜ「米国初の黒人大統領」と呼ばれるのか理解できませんでした。 彼はケニアのエリート留学生の父(黒人)とカンザス出身の白人の母に生まれたHalf black, Half whiteです。 アメリカの奴隷制を生き抜き公民権運動の結果平等を勝ち取ったいわゆるアメリカの黒人とは全くバックグラウンドが違うので、「Half black, Half whiteと正しく言うか、もしくは全く言及しないか、どっちかにしようよ」と思っていました。
同じことを思っていた人がDr.Liuに質問したのですが、「アメリカにおいて”Black(黒人)”とは、遺伝子レベルの議論とは全く異なる社会経済的なステイタスであり、”一滴でも黒人の血が混じっていると黒人とみなす”」のだそう。
Wikipedia : One-drop rule
なお、このアメリカにおける考え方は、黒人に限ったことではなく、第二次世界大戦中、西海岸地域一帯に住む日本人移民と日本人の血が1/16以上入っている日系アメリカ人(従軍中の者は除く)は全員日系人強制収容所へ送られたそうな。
ひぇぇぇー、1/16って・・・ ほとんど見分けがつかないんじゃあ?
なお、同じ敵国でもアメリカ在住のドイツ人やイタリア人は強制収容所送りになっていないので、人種差別です。
Category Archives: 7. 心・精神
One-drop rule
頭脳流出→還流
週末はイベント盛りだくさんでした。
シンガポールのINSEAD卒業生を対象にしたイベントで、シンガポールで影響力のあるスピーカーを招いて30人程の少人数でスピーカーとインフォーマルにディスカッションしようというものがあり、今回のスピーカーは著名なゲノム学者であり科学技術庁 (A*STAR)シンガポールゲノム研究所(GIS)所長であるDr.Edison Liuでした。
詳細な経歴はコチラにありますが、簡単に経歴を紹介(こちらのサイトには日本語も)。
香港生まれ。 子ども時代に家族とカリフォルニアに移住。 スタンフォード大学で化学・心理学の学士号、医学博士号を取得。 University of North Carolinaで教授、米国立癌研究所(NCI)でDivision Directorなどを勤めた後、2001年にシンガポールゲノム研究所所長に就任。
非常に興味深かったので、その中で特に面白かった話をいくつか。
まず、Dr.Liuの経歴(香港→アメリカ→シンガポール)そのものが1980年代以降の高度人材の流れを体現しています。
イギリスから中国への香港返還が決まったのが1984年(実際の返還は1997年)。 この際イギリスは香港市民に対し積極的にイギリス市民権を与えなかったため、大量の移民がカナダ、アメリカ、オーストラリアなどに移住しました。
教育熱心な中国系移民の家庭の例にもれず、Dr.Liuもスタンフォードで博士号まで終了。 その後、”Land of opportunity”の米国で存分に研究し成果を発表、成果に対する表彰・受賞は数知れず。
不安定な時代のZEN
週末は香港在住、米系投資銀行勤務の夫の友人(INSEAD同級生)が遊びに来ていました。
シンガポールに住む欧州系ユニバーサルバンクのM&A部門に勤める友人も集まるとなれば、もちろん昨今の金融危機で受けたダメージに悪態をつきながらひとしきり傷のなめ合いです。
以前こちらのエントリーにも書きましたが、ボーナスゼロといえど、「去年の年収( = 7,000万円)が、ベース分だけ( = 2,500万円)になった」とかいうレベルの話なので、あまり同情はしていませんが、アーリーリタイアを夢見て昼夜激務に耐えてきた本人にとってみるとやはりショックなんでしょう。
香港在住の彼はmaterialisticというか非常に生活も遊び方も派手だったのですが、今回の一件が相当こたえたようで「ZEN(禅)の心境に達した」んだそうです。
今までの生活をすべて見直し、意味のない遊びを止め、何人かの有害な人間関係は清算し、2年前にNYで出会った女性が自分にとって大事な人であることに気づきNYまで飛んでお互いの気持ちを確かめ合い遠距離恋愛を始めたんだそう。 2ヵ月と同じ人と続いたところを見たことがなかったので、これだけで奇跡である。
そして、高給に釣られて今の勤務先のオファーを受けシンガポールから香港に引っ越したものの、やっぱりシンガポールがいい、子どもを育てるならシンガポールだ、とまで言い切っていたので私たちは絶句(ちなみにポルトガル人です)。 「子どもを育てる」なんて来世まで言わなさそうな人だったんだが・・・
自由を求めた移住
アメリカ大統領選、フタを開けてみるとオバマの圧勝でしたね。
よかった、よかった。 ペイリンが出てきて、共和党の支持率が上がったときは世界はどうなることか?と思いましたが。
今日はアメリカ大統領選の話ではなく、同日カリフォルニア州で行われた住民投票のProposition 8のお話(正確にはProposition 8議論で思い出した話)。
Proposition 8とは同性婚を禁止し「結婚は男女間に限る」と法律で定義するための提案です。 詳しい説明は、他のソース(下記参照)に譲りますが、全く門外漢&無知な私からするとカリフォルニアなんて同性愛のお膝元、メッカみたいなイメージです。 サンフランシスコの一部やlaのウエスト・ハリウッドあたりでは、ゲイ・レズビアンカップルが仲睦まじく過ごす姿をたくさん見かけました。
そんなカリフォルニアで激しく同性婚を嫌う人がこんなにいるとはねー、悲しいねー
Wikipedia : California Proposition 8 (2008)
The Economist : Showdown
「自分のライフスタイルに合わせて世界中からベストな場所を選ぶ」というこのブログの観点から、身軽に居住国を変える友人の姿は『国に帰るのは誰? 海外に出るのは誰?』や『果たしてヤジ馬なのか歴史の証人なのか?』で書きましたが、「自由を求めた移住」というのもあります。
異宗教間の結婚式
土曜日は前の仕事で知り合ったシンガポール人の友人の結婚式でした。
私は外国人友達の結婚式に行くのが大好きです(そのわりには有休不足で招待されてもあまり行けてませんが)。 なぜなら祝福するという本来の目的もさることながら、結婚式ほど文化・宗教の粋を集めたイベントはない、普段グローバルに飛び回る友達の文化的背景を垣間見るのも楽しいし、それが異文化間結婚ならなおさら楽しい(慣れない習慣に戸惑うご両親・親戚の姿とかね)。
今回は中華系シンガポール人同士の結婚だったのですが、新婦が敬虔なクリスチャンなのでキリスト教式の教会ウェディングでした。
最近まで知らなかったのですが、シンガポールにキリスト教徒は意外と多い。 シンガポールの宗教構成(15歳以上)は以下の通り(2000年国勢調査より)。
仏教 42.5%、イスラム教 14.9%、無宗教 14.8%、キリスト教 14.6%、タオイズム 8.5%、ヒンズー教 4.0%、その他 0.6%
民族構成は以下の通りなので、14.6%のキリスト教徒は欧米人ではありません。 そのほとんどは中華系シンガポーリアン。
中国系 75%、マレー系 14%、インド系 9%、その他 3%
彼らは福音系(evangelical)と呼ばれるプロテスタントの一宗派。 聖書の教えに忠実に従い信心深く、アメリカのキリスト教徒はほとんどがこれだそう。
Wikipedia : 福音派
なお、知らない方のために、一般的にアメリカのキリスト教徒はヨーロッパのそれ(プロテスタント、カトリック、アングリカン)と比べても非常に信心深く、日常的に教会に行く人の割合が国民の40%にのぼります。 この流れを受けるシンガポールのキリスト教徒も日曜は教会に行く、という人が多いです。
女性における学歴と結婚の相関関係
非常に妙齢の女性の反応が良さそうなタイトルをつけてしまいましたが、疑問に思っていたことがあったので調べてみました。
こういうトピックは主観で語ると紛糾しやすいので、統計攻めでいきます。
日本では「高学歴の女性は売れ残る説」が既成事実のように言われて久しいですが、まだ旬なトピックなんでしょうか?
私の周りは去年から猛ラッシュなので「遅い」だけで「結婚しない」わけではないと思うが、個人的体験は置いておいて、統計で確認(2000年国勢調査より)。
女性未婚率(全国)
25-29歳 30-34歳
大卒 69.3% 33.2%
短大卒 56.5% 27.1%
高卒 45.1% 22.6%
たしかに大卒未婚率の方が高い。 「学歴」というからには大卒内で細分化してほしいけど、さすがにそのレベルは見つかりませんでした。 続いて東京都のデータ。 個人的には東京と全国平均の差の大きさの方が興味あります。 さすが独身天国、東京・・・
女性未婚率(東京都)
25-29歳 30-34歳
大卒 73.7% 40.9%
短大卒 64.0% 35.9%
高卒 55.9% 32.1%
(もっと知りたい方はコチラ→東京都の統計:若者の結婚の状況の変化)
で、疑問に思っていたことというのは、一般的には高学歴と思われるINSEAD同級生を見渡すと、女性は30過ぎたら一斉に結婚し子供もバンバン産んでいるのに対し、男性は独身で「いい人がいない」と言っている人が多いような気がします(もちろん結婚する人の方が多いですが)。
「気がする」だけではなく、統計においても裏づけられています。
国籍と人種と民族と・・・
すでにネタとしてブログなどで出尽くされている感がありますが、ノーベル賞の物理学受賞者について日本のメディアでは日本人3人と報道されているのに、外国メディアでは(ノーベル財団の発表でも)米国人1人、日本人2人とされていることが話題になっているそうです。
私にとって、米国籍を取得された南部さんは、
国籍(nationality)= アメリカ
人種(race)= 東アジア人(モンゴロイド系というのだろうか?)
民族(ethnicity)= 日本民族
使用言語(language)= 英語 + 日本語
と非常にクリアなんですが・・・
当のご本人も国籍法改正論まで飛び出す過剰反応にさぞかしビックリなことでしょう(頭脳流出問題が絡んでいるためですが)。
日本は大多数の国民の国籍、人種、民族、使用言語が単一である、という希有な国なので、ときどき(というか頻繁に)国籍と民族(or 人種)を混同した表現を見かけます。
私自身がもっとも言われて違和感がある(そのため自分ではほとんど使わない)表現が「国際結婚」。
国籍の違う人同士の結婚を指す言葉なので、本来の意味で使われる場合はいいのですが(例:国際結婚では、役所に届け出る書類の数が多い)、ほとんどの場合、文化の違いを指していたり(例:国際結婚は文化が違うから大変でしょう?)、言いたいことそのものが意味不明だったり(例:憧れの国際結婚)します(最後の例では、国籍の違いがなぜ憧れにつながるのか意味不明、笑)。
2008年リーダーシップ・フォーラム
昨日は朝からBloombergが主催する”The 2008 Leadership Forum Singapore”というフォーラムに招待されて参加してきました。
パネリストが多国籍企業のアジア太平洋地域CEOが多く豪華メンバー(下記)であったことと、The Ritz Carltonの朝食に釣られて(笑)初参加。
パネリストは製造業、金融、教育機関からバランスよくこんな布陣。
Dell, アジア太平洋地域社長
Citibank, シンガポール カントリーヘッド
Standard Chartered Private Bank, プライベートバンキング部門グローバルヘッド
Olam International(農産物SCM世界大手), CEO
Hyflux(水の再生事業大手), CEO & CFO
INSEAD, 国際経営学教授
McKinsey & Co., ディレクター
Bloomberg, コラムニスト
参加者は何と総勢400名。 招待制ですが、多国籍企業のミドルからシニアポジションの人が招待されたような様子でした(私はINSEAD関係で、会場で遭遇した友人は職場( = Standard Chartered Bank)関係で招待された)。 ざっと見たところ、男性:女性 = 8:2、男性は白人と中華系シンガポール人が半々くらいでインド人が少々、女性はほとんど中華系シンガポール人。
参加した感想です。
'different'と'wrong'
このブログも今日が100エントリー目になりました。
開始当初から訪問頂いている方も、途中からの方も、いつも訪問頂きありがとうございます。
100エントリーを記念して(?)、今日はこのブログの底に流れている精神みたいなものの話を。
それに気づいたのは、INSEADに留学していたときにイスラエル人のクラスメイトに言われたひと言。
I read ‘different’ and ‘wrong’ are the same words in Japanese. It tells so much about its culture, doesn’t it?
日本語では’different’と’wrong’が同じ言葉だって(何かで)読んだよ。 すごく日本の文化を現しているよね?
はじめ彼が言ったことが何を指しているのかわかりませんでした。 その単語が「違う」だと気づいたとき、初めて私が長い間感じてきた「しっくりこない感」の正体が説明され、私の過去の体験とつながりを持ったのです。
英語では、
He has a different opinion.(彼は違う意見を持っている)
と
What he says is wrong.(彼が言っていることは違う)
とは
‘different’と’wrong’という異なる単語を使って明確に区別されます。 ところが、日本語では「違う」と同じ単語で表現できてしまいます(2番目の文は「彼が言っていることは間違っている」と明確にすることもできますが)。
言葉は文化なので、’different’ = ‘wrong’と無意識にせよ意識的にせよ2つの概念を混同していることからくる違和感を、彼に指摘される瞬間まで数多く体験していたので、霧が晴れたような気分でした。
‘different’ = ‘wrong’と混同することから来る社会とはひと言で言うと「マイノリティーに冷たい社会」です。
対中関係を良くする小さな提案
シンガポールのような中華系の国に住んでいると、たまにすごーく困ることがあります。
それは、会話の中で中国の地名、人名などの固有名詞が出てきたときに、英語で言われてもわからない・・・
歴史の授業でも日本語のニュースでも地図でも全部日本語読みで覚えているので、英語(原音に近い)で言われても全くわからんわけです。
最近もこんなことがありました。 夫の職場の後輩(中国人)に紹介されたときのこと。
私:どこの出身?
後輩クン:×△○□
私:(しまった・・・わからないのに聞いてしまった・・・)
後輩クン:×△○□、日本に近いし日本軍が侵略した地方だから知ってるでしょ?
私:(いや、発音がわかんないだけでたぶん知ってる地名なんだよ、遼東半島か? それにしても、そういう言い方するかぁー?)
夫(中国語と日本語が少しずつわかる、漢字も):あー、「トウホク」だよ。
・・・となぜか、中国人と日本人の会話をオーストラリア人に訳してもらう、という意味不明な状況に陥ったのでした(ちなみに東北 = Dong bei)。
基本的な地名や人名がわからないと中国人には「この無知な日本人が」という顔をされます。 シンガポーリアンの若者はさすがにそういう顔はしないのですが、「どういう漢字?」と聞くと(筆談に持ち込もうとする私)、「漢字はわからない」と言われます(中国語を話せても書けないシンガポーリアンは多い)。