非常に妙齢の女性の反応が良さそうなタイトルをつけてしまいましたが、疑問に思っていたことがあったので調べてみました。
こういうトピックは主観で語ると紛糾しやすいので、統計攻めでいきます。
日本では「高学歴の女性は売れ残る説」が既成事実のように言われて久しいですが、まだ旬なトピックなんでしょうか?
私の周りは去年から猛ラッシュなので「遅い」だけで「結婚しない」わけではないと思うが、個人的体験は置いておいて、統計で確認(2000年国勢調査より)。
女性未婚率(全国)
25-29歳 30-34歳
大卒 69.3% 33.2%
短大卒 56.5% 27.1%
高卒 45.1% 22.6%
たしかに大卒未婚率の方が高い。 「学歴」というからには大卒内で細分化してほしいけど、さすがにそのレベルは見つかりませんでした。 続いて東京都のデータ。 個人的には東京と全国平均の差の大きさの方が興味あります。 さすが独身天国、東京・・・
女性未婚率(東京都)
25-29歳 30-34歳
大卒 73.7% 40.9%
短大卒 64.0% 35.9%
高卒 55.9% 32.1%
(もっと知りたい方はコチラ→東京都の統計:若者の結婚の状況の変化)
で、疑問に思っていたことというのは、一般的には高学歴と思われるINSEAD同級生を見渡すと、女性は30過ぎたら一斉に結婚し子供もバンバン産んでいるのに対し、男性は独身で「いい人がいない」と言っている人が多いような気がします(もちろん結婚する人の方が多いですが)。
「気がする」だけではなく、統計においても裏づけられています。
まず、アメリカの2000年国勢調査より(参考サイト“Does Education Really Disadvantage Women in Marriage Market?”には、40-44歳しか載っていなかったので、日本との単純比較はできませんが)。
40-44歳 女性未婚率(離婚経験あり含む)
1990年 2000年
修士卒 26.9% 26.4%
大卒 26.0% 25.1%
高卒 22.3% 28.1%
1990年には大卒・修士卒の未婚率の方が高卒より高かったのに、2000年には逆転しています。 アメリカの統計には「高学歴女性ほど子供を産む」という傾向も出ています。
これと全く同じ傾向はオーストラリアでも見られます(AFP : 高学歴の女性ほど結婚する、オーストラリアの女性による調査結果、より)。
30-34歳 女性未婚率(離婚経験あり含む)
1996年 2006年
大卒以上 46% 39%
高卒以下 45% 47%
アメリカとオーストラリアの傾向の説明には、私にはクリアな解があり、それは欧米では「似たような学歴、似たような職業、似たような収入」の人同士が結婚することが多いから。
なぜ、似た者同士が結婚するかというと、カップル(夫婦)が行動の基本単位なので、似た者同士じゃないと夫(または妻)の友達との会話に参加できないから、です(渡辺千賀さんのブログでも『カップル=究極の友達』と表現されていました)。 なお、この傾向は、結婚に求めるものがcomplementary(相手に足りないところを補う)からcompanionship(盟友)に変わってきたという価値観の変化で1990年代以降のものと説明されていました。
その他にも上記の未婚率は離婚経験者を含むので、高学歴の人の方が離婚が少ない、などの説明もあり。
先ほどのINSEAD同級生の話に戻ると、独身の男性陣は自分と「似たような学歴、似たような職業、似たような収入」の「美人」という希少人種を求めているから「いい人がいない」とぼやいている、と勝手に結論づけています。 そりゃー、そんな人いないだろー
一方で、中国という対極に位置する国もあり(下記コラムは面白いがエゲつない)。
NBOnline : 「女博士」の悲哀 ~ 「第三の人類」扱いされる高学歴の女性たち
以上の統計から私が導き出した仮説は、日本もアメリカやオーストラリアの1980 – 90年代みたいな過渡期にあり、あと10 – 20年くらい経てばcompanionship(盟友関係)を中心とした夫婦関係にシフトし「高学歴女性はうんぬん」と言わなくなる、というもの。
10 – 20年も待てるかいっ!という方がいれば、その傾向と対策はまた別の機会に・・・
January 11th, 2009 at 2:52 pm
(過去のコメントは以下)
Kei October 31, 2008 12:20 AM
なるほど!
確かに日本はアメリカの10年遅れで、社会現象や流行が来る傾向ありますからね。
ガキのころアメリカでアメリカンクラッカーとか現地のおもちゃが流行って、その後にタイムラグがあって日本で流行ったときは親と一緒に笑ってましたが。
凶悪犯罪発生率とかネガティブ要素もそうなるんでしょうけど・・・
lat37n October 31, 2008 3:25 AM
妙齢の女性(笑)なのでコメントすると、私の周りもラッシュです。おっしゃるように、大学卒、って言う区切りは微妙ですが、「大学同窓、その後大学院留学and/or海外勤務」というカテゴリの友人のほとんどが今年の夏から来年の春にかけてまとめて結婚します。お相手は、外国人もしくは、海外経験の長い日本人というケースがほとんどで、その辺が「変化中の日本」を現しているんでは。
女性のほうが30を超えると結婚していくのは早い、というのは、子供を産むリミットから逆算して、でしょうね。あと、某有名MBA卒のアメリカ人女性が「卒業したらいい仕事、いい旦那、次は子供、って、同級生たちとどこまでも競争してるようなもんなのよ」とぼやいてましたがそれもあるのかしら???笑
私は日本で働いていたころ、食事はすべて外で済まし、週末も仕事かゴルフで、全然家族と一緒に行動しない上司たちをみてものすごい違和感を感じていたので、アメリカに来て夫婦で一緒に行動するスタイルを見てほっとしましたね。日本でも、私たちの同世代はだいぶ変わってきていると思います(が、「私の周り」の母集団が特殊な可能性もあるか。。。)
アメリカでは表現の仕方が悪いけど「同レベル婚」である事は前提ですね。夫婦で会計士(監査と税務とか)、旦那弁護士奥さん会計士、旦那エンジニア奥さん科学者、みたいな感じが主流。会社のホリデー・パーティーとか、パートナーのおうちにご招待される度に「ああ、うかつな配偶者をもつことはできないのう」と感じましたです。。。笑
la dolce vita October 31, 2008 9:15 AM
>Keiさん
>確かに日本はアメリカの10年遅れで、社会現象や流行が来る傾向ありますからね。
社会現象というより社会の進化の過程でそうなっている、って感じですかねー
夫が「オーストラリアも1980年代くらいまでは専業主婦が多かったけど90年代初頭の大不況でそんな悠長なこと言ってられなくなり共働きにシフトし、今は専業主婦がいい、なんて誰も口にしない」と言っていたので、「やっぱり不況が鍵か!」と思いました。
>lat37nさん
妙齢の女性のコメントお待ちしていました(笑)。
>お相手は、外国人もしくは、海外経験の長い日本人というケースがほとんどで、その辺が「変化中の日本」を現しているんでは。
私の周りは「年下くん」も多いですよ。 いずれも「共感できる相手」というのがポイントでは?
>あと、某有名MBA卒のアメリカ人女性が「卒業したらいい仕事、いい旦那、次は子供、って、同級生たちとどこまでも競争してるようなもんなのよ」とぼやいてましたがそれもあるのかしら???笑
う−ーん、その発言は競争社会のアメリカ人の発言でしょうかねー? 私の場合、自分に課した目標との競争、って感じですが。 でも「卒業したらいい仕事」でみんな密かに競争してるのは当たってます。
>私は日本で働いていたころ、食事はすべて外で済まし、週末も仕事かゴルフで、全然家族と一緒に行動しない上司たちをみてものすごい違和感を感じていたので、
私の前職の同僚・上司もそんな感じでしたね。 昨日、「勝間和代の日本を変えよう」を読んでいて「週2日は家族でご飯を食べよう運動をしたい」とあったのを見て驚愕しました。 「週2日以下なの?! うち、週7日一緒に食べてるんですけど?」と。 世代と業界の違いはあると思います。
>会社のホリデー・パーティーとか、パートナーのおうちにご招待される度に「ああ、うかつな配偶者をもつことはできないのう」と感じましたです。。。笑
全く同じでございます。 逆に今は夫の会社のパーティーとかに招待される時は粗相のないように気をつけています(笑)。
Kei November 1, 2008 11:53 PM
うーん。豪州は不況により女性も積極的に働くようになったというのは好のましいことですが、日本は就職難で逆に「永久就職」と称してさっさと相手を見つけて結婚して専業主婦やパート勤めになりたい、という風潮が若い女性の間に出てましたからね・・・。むしろバブルの頃のほうが、女性が「バリキャリ」と称するように元気に働こうとしていたような気がします。社会制度変革とともに、女性そして男性の意識を変える必要もありますね・・・。自分は奥さんに食わせてもらってもいいくらいですけどね、専業主夫兼自営業みたいなのも良い(笑)
※話はぜんぜん変わりますが、昨日たまたま知り合いになったフランス人女性と話してて、「自分は将来欧州BSに進学したいなー」と話してたところ、彼女はINSEAD卒業とのことでびっくり!ただ、MBAコースではないようですが・・・。
日本人の婚約者と現在日本滞在中とのことでしたが、何と彼とはINSEADで出会ったそうです。こういったケースって多いんですかね!?自分の知り合いは結婚してから家族連れでMBA取得に行く連中ばかりなので、そういったケースは珍しいと思ってましたが目から鱗でした。日本人のキャリアパスや会社派遣制度で、たまたま結婚2~3年目の30代前半という年齢層の人が多いからかもしれませんが・・・。
la dolce vita November 2, 2008 8:36 PM
>Keiさん
>日本は就職難で逆に「永久就職」と称してさっさと相手を見つけて結婚して専業主婦やパート勤めになりたい、という風潮が若い女性の間に出てましたからね・・・。
就職難は男女の別なく(もちろん女性により厳しいのかもしれないが)就職難なんだから、将来のダンナ候補も職の保証はない、ってことくらい少し考えればわかると思うんですけどねー。 オーストラリアも喜んで働き出したわけではなく、ほとんどの人は共働き以外の選択肢がなかったんじゃないでしょうかね。
>自分の知り合いは結婚してから家族連れでMBA取得に行く連中ばかりなので、そういったケースは珍しいと思ってましたが目から鱗でした。日本人のキャリアパスや会社派遣制度で、たまたま結婚2~3年目の30代前半という年齢層の人が多いからかもしれませんが・・・。
日本人のこのキャリアパスは主流ではないですよ。 INSEADの学生平均年齢は28歳(職歴5年)、欧州BSはどこも同じ(IMDは30歳とちょっと高い)、アメリカはこれより1-2歳若い。 この年齢だと独身の方が多くなります。 そもそも欧米企業によるMBAの会社派遣はMcKinsey、BCG、Bain以外はほとんど存在しないので(Executive MBAではなくフルタイムのMBAの方)、みんな私費なんですよね。 すると独身のときに行っておこう、というキャリアパスになる(家族連れて留学する金銭的余裕はない)。 既婚の人も奥さんや旦那さんが母国で仕事をしているので、単身で来てました。
そうそう、ユーロ安になってよかったですね!