頭脳流出→還流

週末はイベント盛りだくさんでした。
シンガポールのINSEAD卒業生を対象にしたイベントで、シンガポールで影響力のあるスピーカーを招いて30人程の少人数でスピーカーとインフォーマルにディスカッションしようというものがあり、今回のスピーカーは著名なゲノム学者であり科学技術庁 (A*STAR)シンガポールゲノム研究所(GIS)所長であるDr.Edison Liuでした。
詳細な経歴はコチラにありますが、簡単に経歴を紹介(こちらのサイトには日本語も)。
香港生まれ。 子ども時代に家族とカリフォルニアに移住。 スタンフォード大学で化学・心理学の学士号、医学博士号を取得。 University of North Carolinaで教授、米国立癌研究所(NCI)でDivision Directorなどを勤めた後、2001年にシンガポールゲノム研究所所長に就任。
非常に興味深かったので、その中で特に面白かった話をいくつか。
まず、Dr.Liuの経歴(香港→アメリカ→シンガポール)そのものが1980年代以降の高度人材の流れを体現しています。
イギリスから中国への香港返還が決まったのが1984年(実際の返還は1997年)。 この際イギリスは香港市民に対し積極的にイギリス市民権を与えなかったため、大量の移民がカナダ、アメリカ、オーストラリアなどに移住しました。
教育熱心な中国系移民の家庭の例にもれず、Dr.Liuもスタンフォードで博士号まで終了。 その後、”Land of opportunity”の米国で存分に研究し成果を発表、成果に対する表彰・受賞は数知れず。


そのまま米国にいれば老後まで安泰であったろうに、シンガポールでゲノム研究所設立の話があると「それは面白い」と引き受けてシンガポールに移住。
ディスカッション中の「なぜシンガポールに移住してきたのか?」との質問に対し、「アメリカやイギリスなどすでにエスタブリッシュされた国では既存省庁・機関がありしがらみも多いが、シンガポールは全くのgreenfield(未開発地域)。 こちらの方がチャレンジング」との回答。
まさに、”Land of opportunity”がアジアに移っているのだなー、と感じました。 アジア(日本を除く)は頭脳流出から頭脳還流の時代に移っているのです。
なお、シンガポールはバイオテクノロジーのハブになろうと世界中から研究・開発機関を誘致しています。
はじめ、Dr.Liuの顔を見たとき中国人なので違和感を感じなかったのですが、よく考えたら彼は香港→アメリカなので、研究所所長として招かれるまでシンガポールとは無縁だったのです。 国の産業の柱にしようとしている研究機関のトップに外国人を招く、そのことを誰も不思議に思わない、それがシンガポール。
ノーベル賞受賞者の一件で「頭脳流出だ、食い止めるべし」と騒いでいる日本とは、発想が根本から違います。
世界規模の争奪戦となっている高度人材を自ら狩りに行く、という攻めの姿勢なのです。
長くなってしまったので、面白かった話の2つめは明日に。


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