『本1冊で13,000年を俯瞰する』でご紹介した『Guns, Germs, and Steel: The Fates of Human Societies 』(日本語訳:『銃・病原菌・鉄』
)があまりに面白かったので、続けて同じジャレド・ダイアモンドの『Collapse: How Societies Choose to Fail or Succeed』
(日本語訳:『文明崩壊 滅亡と存続の命運を分けるもの 』
)を読みました。
いやー、『銃・病原菌・鉄』に負けずとも劣らず面白かったです。
『銃・病原菌・鉄』が西洋文明が繁栄した理由を解明した本でスリリングだったのに対し、『文明崩壊』は過去の偉大な文明がなぜ滅亡していったかを解明するもので、前半の章(日本語版では上巻)はイースター島、マヤ文明などの文明が崩壊していく経緯が克明に描かれていてどーーん、と暗く読んでいました。 ところがそこから彼の圧倒的な専門知識(植物相、動物相、気象、地理etc.)と広い視野を駆使して現代社会が直面する環境問題につないでいく手法が圧巻。 ジャレド・ダイヤモンド(現在はUCLAの教授)は71歳なのですが、本の最後でなぜ自分の半生を地球環境問題に捧げることにしたかという理由にも触れ、感動ー。
こういう読んでいるだけで自分の血流が速くなるのがわかるような素晴らしい本は、やはり原著が英語のものに多いです。
感銘を受けたときはその本の著者の本を片っ端から読む「大人読み」をすることにしています。 次に私が最近大人読みすることにした著者を紹介、全員、超有名人ですが。 このブログですでに紹介した本はかっこ内にエントリーへのリンクを貼りました。
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本、大人読み
新日本論の必要性
「今まで○○と○○という会社(日本国外でも誰でも知ってる日本企業)でこんなことしていました」と非日本人(教養あるビジネスマンです)に自己紹介をすると、「ステレオタイプな質問でごめん。 日本企業は男性社会なんでしょ? 若い女性が同じような仕事をすることに障害がなかったの?」とよく聞かれます。 特に年輩の人からはこういう質問が多い。
たしかにステレオタイプな質問なんですが、ほとんどの場合、日本企業で海外で一線に立って仕事をしている女性を見たこともないし聞いたこともない、ことから生まれるピュアな疑問だと思うので、私も「また同じ質問か・・・」などと思わずに丁寧に答えることにしています。
「私たち世代は女性も増えてきてると思うし、私は海外事業しか経験がないので、海外の顧客・パートナーにフェアに扱われなかったということはあまりない。 日本企業の問題はそれよりも年功序列だと思う」と。
人によって感じ方は違うと思いますが、新入社員の頃こそ(部で初めての女性総合職だったので)部署内の女性が順番にやっていたお茶当番やFAX当番から外してもらうのに一悶着あったりしましたが、その後はあまり差別を感じずにやってきた、というのが実感。 単に鈍感だったのか、すでに忘れてしまったのかもしれない。
今日の本題はそこではなく、外国人がなぜ上記のようなステレオタイプの疑問を持つようになるのか?という点。
出会ったばかりの頃、夫にも同じような質問をされたことがあるので、聞いてみました。
夫は大学で「現代日本」という授業を趣味で受講していたので、彼の現代日本の知識は大部分そこからきています。 カバーする範囲は広範に渡り、
サラリーマン、財閥/系列、女性の社会進出、学校教育、受験戦争、ヤクザ、暴走族、部落民、在日韓国・朝鮮人、アイヌ・・・
タブーな内容も多いのは、日本特有の事象に焦点を当てたらこうなったんだと思います。
パラダイムシフト真っ最中のメディア
これはすごい・・・
スタンフォード大学がiTunes上で大学の講義やゲスト・スピーカーのスピーチを公開しているStanford on iTunes U。
以前、梅田望夫さんの『ウェブ進化論』でMITのOpenCourseWare(*1)の存在を知り、「こりゃー、すごい時代がきたもんだ」と思って面白そうなものを探してみたことがあるのですが、素人には授業のシラバスや一部講義ノートだけあっても使いにくく結局利用しなかったことがあります。 なお、インドではMIT OpenCourseでシラバス(講義計画・内容)を無償入手し、その内容に沿って先生が授業を行っていたりするらしいので、きちんと使いこなせる人には限りなく有用なツールなのだと思いますが。
*1 : OpenCourseWareとは大学や大学院など高等教育機関で正規に提供された講義とその関連情報を、インターネットを通じて無償で公開する活動(Wikipedia : オープンコースウェア)。
ところが、このiTunes Uでは、超一流教授陣やスピーカーの講義をタダで聴けるのです。 何から聴けばいいか迷いに迷ってしまうほど充実した内容(バークレー、MIT、デュークにもあるそうですが、スタンフォードだけですごすぎて他の大学までチェックできず)。
以下、一例。 Stanford on iTunes Uからのリンクのたどり方を書いておきました。 PC上にiTunesがインストールされている必要あり)
Business –> Social Entrepreneurship –> Muhammad Yunus(『グラミンフォンという奇跡』、ノーベル平和賞のムハマド・ユヌス氏)
Science and Technology –> Environmental Science –> Al Gore(『不都合な真実』、ノーベル平和賞の米元副大統領アル・ゴア氏)
さすがスタンフォード。 すばらしい布陣ではないでしょうか?
英語の勉強にもなりますので、ぜひどうぞ。 ニュースよりゆっくりなので聴きやすいと思います。
本1冊で13,000年を俯瞰する
我が家は夫婦ともに読書好きなのでインドでも本ばかり読んでいたのですが、久しぶりに身震いするような本に出会いました、『Guns, Germs, and Steel: The Fates of Human Societies 』(日本語訳:『銃・病原菌・鉄』
)。 出会ったといっても夫が持っていた本なので、うちの本棚に眠っていたのですが(しかも、以前薦めたのに私が興味を示さなかった、と言っていた。 記憶にない・・・)。
以前、『映像でおさらいする20世紀』というエントリーで、以下のように書きました。
世界史を俯瞰するのは結構難しく、「1192(いい国)創ろう鎌倉幕府」のように「点」で覚えるだけでは十分でなく(というか意味がない)、大河なる流れのように一国の歴史を「線」で捉えるのはもちろんのこと、「1910年頃」と問われれば「日本では日露戦争が終わり韓国併合へと軍備拡張へ進んでいた頃、ヨーロッパは第一次世界大戦前のつかの間の平和、アメリカは大量生産時代の始まりによる経済大国への躍進」と「面」でイメージする必要があります。
その上、世界にはオスマントルコ帝国→ハプスブルク家→オーストリア・ハンガリー帝国→ソ連下共産主義と支配者が変わったハンガリーみたいな国(地域)がほとんどであり、それらすべてを俯瞰するためには、頭の中にGoogle Mapを持って自由に飛び回りつつ、それに時間軸がついている、みたいな四次元な世界を作る必要があるわけです。
「頭の中に、自由にズームイン・アウトしながら縦・横・斜めに自由に展開できる時間軸つきGoogle Mapを持ちたい」というのは、私の密かなる野望ですが、この本は20世紀どころか過去13,000年の人類の進化を地理学、進化生物学、言語学など専門知識を駆使しながら鮮やかに1冊で解くすさまじい本です。
著者自身の本書の要約は以下。
History followed different courses for different peoples because of differences among people’s environments, not because of biological differences among peoples themselves.
歴史は、異なる人びとによって異なる経路をたどったが、それは、人びとのおかれた環境の差異によるものであって、人びとの生物学的な差異によるものではない。
タイトル「銃・病原菌・鉄」はヨーロッパ人が他大陸を征服できた直接要因を凝縮したものですが、なぜ逆(例えば、インカ帝国の原住民がスペインを征服する)ではなかったのか? 究極要因まで突き詰めて解き明かす、目からうろこだらけの本。
書評の読み方
以前書いたように、だいたい月に10冊、年間120冊を目標に本を読んでいるので、このブログも書評が多くなってしまうのですが、書評を利用している方もいるようなので、書評の読み方で私が気をつけていることをご紹介。
1. 誰が書いた書評なのか?
本を選ぶときにタイトルより装丁よりもまず「誰が書いたのか」を見ることは第一なのですが、書評も「誰が書いたのか」は重要です。 ここを見ずに内容を鵜呑みにすると、全く期待ハズレになりかねません。
具体的には、書評を書く人の経歴(バックグラウンド)と読書歴。
■ 経歴(バックグラウンド)
10年前に読んだ本を、もう一度読み直してみると全く違った感想を持った経験はあるかと思いますが、自分のキャパシティの範囲でしか本の内容を咀嚼・吸収できないので、あまり背伸びしても本の内容に自分がついていけないことがあります。
自分が目標としている人、でもあまり遠すぎない人のお薦めを参考にするのがいいかもしれません。
書いている人の経歴がわからないので、私はAmazonの書評は参考にしません。
■ 読書歴
Amazonの書評でよく見るのが「今まで読んだ本の焼き直しで新鮮味がない」というもの。 ただ、その書評を書いた人は今まで類似の本を何冊も読んだことがあっても(Amazonに書き込むくらいだから普段からよく読んでいるのだろう)、類似の本を読んだことのない人にとっては新鮮かもしれません。
具体的には、私にとってこちらやこちらで紹介した『夢に日付を!』や『一冊の手帳で夢は必ずかなう』
は、読んだ当時、手帳術の本を読むのが新鮮だったので感動しましたが、今後類似の本を読んでも得られるものはあまりないと思います。
似たようなジャンルが自己啓発本。 基本的に似たようなことが書いてあるので、手帳術や自己啓発本は多読するよりも、「自分にはこれだ!」と感じた本の内容を実際に行動に移すことが重要かと。
Strengths Finderをやってみた
ずいぶん乗り遅れていますが、ちまたで話題になっていたのでStrengths Finderをやってみました。
勝間和代さんお薦めの『さあ、才能(じぶん)に目覚めよう』についている強み分析テストです。
本の中でなかなかショッキングだったのは以下の箇所でした(英語で読んだので意訳です)。
アメリカ人、イギリス人、フランス人、カナダ人、日本人、中国人の老若男女に聞いたところ、みな自分の”強み”ではなく”弱み”に注目していた。
最も”強み”にフォーカスする文化はアメリカで41%が「”強み”が人を伸ばすのに最も役に立つ」と答えた。 最も”強み”にフォーカスしないのが日本と中国で、24%しか「成功への鍵は”強み”にある」と答えなかった。
確かに・・・
小学校の頃から改善点の指摘ばかり具体的に受けて、いいところの指摘はものすごく曖昧だったような・・・(「全体的によくできます」、みたいな)
初め『さあ、才能(じぶん)に目覚めよう』の原書である『Now, Discover Your Strengths』
を図書館で借りて来て読んでいたのですが、Strengths Finderは1回しか受けられないので新品でないと意味がないので結局、『Strengths Finder 2.0』
というversion 2.0の方を買ってしまいました。
次の破壊的イノベーションは何だ?
あまりにも長い間、私の「読みたい本リスト」にあった『イノベーションのジレンマ』をようやく読みました(原書『Innovator’s Dilemma』
で)。
うーん、我ながら遅いなー・・・ 原書が出たのは2000年ですからね。 技術革新に関する名著中の名著。 その内容はまだ色あせていないとはいえ、例の多くは1999年までの例なのでもっと早く読むべきでした。 まだまだ良書を選ぶ嗅覚が鈍いです。
・・・という訳で、製造業のみならずあらゆる財・サービス業に従事する人は絶対読むべき1冊ですが、エッセンスは下の図に表せます。

技術革新によりある市場が生まれます(図中、上の黒線)。
市場を掴むことに成功した企業は持続的イノベーションによりどんどん技術革新を行います。 既存市場を相手に付加価値マージンを維持しようと思うとハイエンド市場に移行せざるをえなくなります(上の黒線が斜め右上方向に推移)。
ところが、企業の技術革新のスピードは市場が求めるスペックの伸び(図中、2本の破線の間が市場)よりも速いのです。 ハイエンド市場に特化していく有力企業の製品はローエンド市場にとってはオーバースペックになります。
そこに破壊的イノベーションによってローエンド市場の需要を満たす企業が現れます(下の黒線)。 その多くは新興企業。
ハイエンド市場に特化している企業にとってローエンド市場はマージンが低いので当初はその破壊的イノベーションを軽視します。
ところが、その破壊的イノベーションも持続的イノベーションによって急速に市場を獲得していきます(下の黒線が斜め右上方向に推移)。 気がつくとハイエンド市場も満足するスペックになり、破壊的イノベーションが持続的イノベーションを駆逐します。
そして、また歴史は繰り返す、というお話。
ガラパゴス化する日本
日本を代表する産業といえば自動車と電機。
私も電機業界にいたことがある者として、最近の業界再編には注目しています。 ところが、国内企業同士の合併による規模の追求だけではもはや未来はない、という事実を突きつけた本を読みました、その名も『ガラパゴス化する日本の製造業』。
日本がガラパゴス化しているという指摘は、以前ブログでも紹介した『パラダイス鎖国』という言葉とともに、最近よく聞くようになっていましたが、ガラパゴス化している個々の業界について、ここまで深く考察されたものを読んだのは初めて。 勉強になりました。
日本の家電・電機製品市場はシーズンごとに新機能を搭載したハイエンド製品をこれでもか、これでもか、と送り出すオタッキーな市場。 ところが、世界は、機能は「そこそこ」でも安くて使い勝手のよい製品がよく売れる、というマスな市場(もちろんハイエンド・マーケットも存在するが、機能よりデザインやユーザビリティに重点が置かれる)。
言われてみると、我が家もそこそこ製品で溢れ返っています。
テレビ・・・SONYのブラウン管。
DVDプレーヤー・・・LGの50ドルくらいの安物。
冷蔵庫・・・Samsung。 普通の冷蔵と冷凍機能のみ。
キッチン家電・・・TEFAL、Delongui、KAMBROOK。 機能は単純、見た目重視。
洗濯・乾燥機・・・Brandt。 聞いたことない、フランス製らしい。
携帯電話・・・Sony Ericsson。 見た目で選んだ、機能に興味なし。
パソコン・・・MacBook 1台、VAIO 2台
一眼レフデジタルカメラ・・・Canon 2台
プリンター・・・Canon
アパートについているものや、夫が買ったものが多いですが、特に不満はありません。 この中で「絶対、日本製じゃなきゃダメよね」と言って買ったのは一眼レフデジカメのCanonくらいじゃなかろうか?
アメリカが少しだけわかる本
11月4日(日本時間では5日)、アメリカ大統領選直後のブログでは選挙人の数しかわからなかったので、「フタを開けてみるとオバマの圧勝でしたね。」と書いたのですが(民主党オバマ:364、共和党マケイン:174)、実際の得票数で見ると全然圧勝ではありませんでした(オバマ:52%、マケイン:46%)。
The Economist : Signed, sealed, delivered
The Economistがwebsite上で実施した世論調査(世界中から誰でも次期アメリカ大統領はオバマがいいかマケインがいいかオンライン投票できる)の結果では圧倒的にオバマ支持でした。 The Economistの政治的立場はリベラルなので(→参考)、この差は当たり前と言えば当たり前だし、自国の国益を優先したいアメリカ国民とその他の国の利益が相反するのも当たり前なのですが、アメリカっていうのはやっぱりよくわからん(さらに言うと、キリスト教保守派っていうのが全くわからん)国だなー、というのが多くの人の感想かと。
そんな時に今話題(?)の『アメリカ人の半分はニューヨークの場所を知らない』を読みました。 どんなことが書いてあるかは、ぜひこちらの目次をどうぞ。
「一身にして二生を経る」時代に生まれて
長らく私の「読みたい本リスト」に載っていた梅田望夫さんの『ウェブ時代をゆく – いかに働きいかに学ぶか』をようやく読みました。
書評としては遅すぎる気もしますが、better late than neverということで。
本の中で何度も出てくる「一身にして二生を経る」はウェブ時代という時代の大変革の最中にある現代を幕末から明治に生きた福沢諭吉になぞらえた言葉(下記、本より引用)。
福沢諭吉は、『文明論之概略』の緒言の中で、幕末から明治への変化について、「恰(あたか)も一身にして二生を経るが如く、一人にして両身あるが如し」と表現した。福沢は、その六十六年の生涯の「最初の半分」(三十三年)を封建制の江戸時代に、「あとの半分」(三十三年)を明治維新の時代に、まさに「一身にして二生を」生きた。
ウェブ進化という大変化に直面している同時代の私たちの生涯は、「一身にして二生を経るが如し」だと思う。
その大変革であるウェブ時代とはどういう時代かは、今までブログで紹介した『ウェブ進化論 本当の大変化はこれから始まる』、『フラット化する世界』
、『富の未来』
あたりを読んでほしいのですが、その変化が目に見え始める時期とその変化の影響を受ける世代について次のように評しています。