新日本論の必要性

「今まで○○と○○という会社(日本国外でも誰でも知ってる日本企業)でこんなことしていました」と非日本人(教養あるビジネスマンです)に自己紹介をすると、「ステレオタイプな質問でごめん。 日本企業は男性社会なんでしょ? 若い女性が同じような仕事をすることに障害がなかったの?」とよく聞かれます。 特に年輩の人からはこういう質問が多い。
たしかにステレオタイプな質問なんですが、ほとんどの場合、日本企業で海外で一線に立って仕事をしている女性を見たこともないし聞いたこともない、ことから生まれるピュアな疑問だと思うので、私も「また同じ質問か・・・」などと思わずに丁寧に答えることにしています。
「私たち世代は女性も増えてきてると思うし、私は海外事業しか経験がないので、海外の顧客・パートナーにフェアに扱われなかったということはあまりない。 日本企業の問題はそれよりも年功序列だと思う」と。
人によって感じ方は違うと思いますが、新入社員の頃こそ(部で初めての女性総合職だったので)部署内の女性が順番にやっていたお茶当番やFAX当番から外してもらうのに一悶着あったりしましたが、その後はあまり差別を感じずにやってきた、というのが実感。 単に鈍感だったのか、すでに忘れてしまったのかもしれない。
今日の本題はそこではなく、外国人がなぜ上記のようなステレオタイプの疑問を持つようになるのか?という点。
出会ったばかりの頃、夫にも同じような質問をされたことがあるので、聞いてみました。
夫は大学で「現代日本」という授業を趣味で受講していたので、彼の現代日本の知識は大部分そこからきています。 カバーする範囲は広範に渡り、

サラリーマン、財閥/系列、女性の社会進出、学校教育、受験戦争、ヤクザ、暴走族、部落民、在日韓国・朝鮮人、アイヌ・・・

タブーな内容も多いのは、日本特有の事象に焦点を当てたらこうなったんだと思います。


使用した教材を聞いてみると、エドウィン・ライシャワー(1960年代に駐日アメリカ大使を勤めた親日知識人)の本や1980年代にアメリカで日本研究が進んだときの本が中心。
加えて、雑誌や新聞の切り抜きで補足、とのこと。
Wikipedia : エドウィン・O・ライシャワー
ふ・ふるい・・・ 教材が古いです(夫が大学にいたのは1990年代後半)。
1980年代は日本が成功し世界中がこぞって日本から学ぼうとした時期。 戦時中もそうですが、敵を知ろうという要求が研究に駆り立てるのはいつの時代も不変で、ひょっとして1980年代以降は日本研究の必要がなくなったと思われ、骨太な日本論の本が極端に減ったんではないでしょうか?
よって、冒頭に戻り、非日本人ビジネスマンがステレオタイプな質問をする背景には、日本のアップデートされた情報が届いていないからだというのが私の仮説。
実際、外国にいると日本の情報は経済と政治に偏っています。 これは東京にいる各国メディアの特派員発で、彼らはそれがお仕事。
アニメやJ-POPなどポップカルチャーは日本の情報というより普遍的な若者カルチャーとして、別のルートから広がっています(多くは海賊版や動画サイト)。
滅多に情報が入ってこないのが社会情勢の変化。 これは書く人がいないんでしょう(映画であれば『TOKYO!』でポン・ジュノ監督が引きこもりを描いていました)。
私の外国人の友人たち(みな、種々のメディアで世界情勢をいつもチェックしている)に正社員と派遣労働者の二層構造、若い世代のワーキングプア、世界でも非常に高い自殺率、など話すとみな一応に「知らなかった」とショックを受けます。 最近は、何も私がネガティブなイメージを広めることはないと思い直し、「若い人の間にマグマがたまってるから大きく変わると思うよ」とポジティブな言い方に直すようにしていますが。
外国人が日本のことを書かなくなったら、日本人が今の日本を英語で書いたらいいんじゃないかと思います(本じゃなくてブログでもいい)。 1980年代ほどは読まれないかもしれないけど、あまりない切り口なのでけっこう読者がつくんじゃないかなー? どうでしょう?


2 responses to “新日本論の必要性

  • tomokolea

    もっと、「私は仕事が恋人です」みたいな日本人ジョークも覚えてほしいですよね(笑)
    “キルビル”と”Lost In Translation”が同時期に上映されていたとき、ほとんどのアメリカ人が「”キルビル”の方が日本っぽい!!」と喜んでいたのを思い出します。
    “Lost In Translation”の方がいまの日本をそのまま映していてスキだったんだけどなぁ。。

  • la dolce vita

    >tomokoleaさん
    >”Lost In Translation”の方がいまの日本をそのまま映していてスキだったんだけどなぁ。。
    “Lost In Translation”は私もフランスで観て好きだったんだけど、あれでも「日本像をゆがめている」とかいう日本人がいたみたいよ。
    あと、”Memoirs of a Geisya”は、日本での評判はいまいちだったね。

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