人生の駒がどんどん決まる幸せ

いつも鋭いことを書いてらっしゃる酒井穣さんのブログNED-WLTに、年末『縮小していく人生の恐怖から「自由」になるための、唯一の方法に関して。』という恐ろしい(笑)記事がありました(酒井さんには以前東京でお会いしたことがあります→『心地よい刺激のシャワー』)。

多くの人は、程度の差はあれ、入れる中学校に行き、入れる高校・大学に行き、入れる企業に行き、与えられた仕事をこなしていくという人生を送ることになります。 子供のころは可能性の大きさに圧倒された人生も、この流れにいるかぎり、いつしか、前にある仕事のなかに埋没していくのです。
自分が好きなことの世界でも、一度は夢見たプロをあきらめ、世界大会や全国大会をあきらめ、県大会ですらあきらめたりして、趣味としてのそれも、やはりこの流れにいるかぎり、いつしか自分がそれを好きだったことさえ忘れてしまったりもするでしょう。
「今の自分にできること」を、ただ現実的に選び取っていく限り、僕たちの人生は確実に縮小していきます。
(中略)
ただ「今の自分にできること」を積み重ねていても、可能性は時間の経過とともに減っていきます。 それはまるで、うずまきの中に浮かぶ木の葉のような人生です。30代も中ごろを過ぎたあたりから、大切に守ってきたはずの可能性も、明らかに目減りしてくるのが普通ではないでしょうか。


うーーん、恐ろしいこと言いますねー。

これはいわゆる「ミッドライフ・クライシス」という心境でよくある現象なはずですが、私の実感とはかけ離れています。 過去5年の間に、結婚1回・海外引っ越し2回・転職1回・学校1年・出産2回をこなしたのでクライシスを感じる暇がなく、これから襲ってくるのかもしれませんが・・・。

私の実感は全く異なっていて、夫や2人の子ども、これからしばらく腰を落ち着けられる場所などこれからの人生に必要な駒がやっと揃ってきて「あー、幸せ! 人生ようやくこれから!」というもの。
私は昔から1年の初めに「10年計画」を立てていました。 でも誰と結婚するのかわからない、子どもができるのかもわからない、どこに住むのかもわからない20代の頃は、

200x年 結婚、200x年 第1子誕生、201x年 第2子誕生

と適当に年表を埋めてみるものの、翌年の年始になって「ちょっと無理そうだから1年後倒しにしよう」とズラしたりしていたのです。 当然、さまざまなライフイベントに左右される他の要素の計画が立てられるはずがありませんでした。

それが今は、夫のキャリアや意向がわかるので住む場所が定まる、子どもが小学校・中学校に入る年がわかる、子どもと一緒に過ごしたい時間があるから望むキャリアのスタイルが明確になった! 先が読める、計画が立てられる!
20代の頃、海外出張ばかりで来月どこにいるのかわからずに週末の予定や飲み会の予定さえ気軽に入れられなかった頃にずっと感じていた根なし草感はみじんもありません。

以前、『星の数ほどの中から選べる幸せ?』というエントリーで「選択肢の多さは人を幸せにしない」と書きましたが、私にとってはまさにそうで、コミットする対象ができたことで幸せ度はグンとあがりました。 自分の人生を後回しにしないでどんどん決めていく感覚、決めたものにコミットする覚悟、が大事なんだと思います。

The U-bend同じエントリーで紹介したThe Economistの「人は中年になるほど不幸せになり、また幸せ度があがるU字型を描く」という記事“The U-bend of life”によると、私の年齢は幸せ度の下り坂の入口です(最も不幸せな年齢のグローバル平均は46歳)。 

また“Generation Xhausted”という記事によると、キャリアのピークが早くなってきていること、出産年齢の高齢化により、仕事と子育てのピークが重なる私たちの世代は常に疲労困憊(= Generation Xhausted!)していて不幸せなのだそう。 仕事・育児ともに最もdemandingな時期でワークライフバランスが崩れ、せっかく築いた夫婦関係が壊れてしまうカップルが多いとか。

まあ疲労困憊していることは確かですが、それを不幸に結びつけないようにすることはできると思うんだけどね・・・
以前書いた私が思う自分を見失わない方法について → 『今日は私の キス記念日』


One response to “人生の駒がどんどん決まる幸せ

  • nao

    いつも楽しみにしています。こちらの記事、自分が結婚して改めて共感できたのでブログに掲載させていただきます。この記事のトラックバックURLがわからなかったのでコメントでご報告させていただきました。よろしくお願いします。

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