ロンドンの地下鉄に乗って気づくこと。
「ネットでリアルの恋人・友だちに出会いましょう」ってサイトの電車内・駅内広告が異常に多い。 昨日乗った車両では目に入る範囲で“eHarmony”、“Lovestruck London”、“CitySocialising London”と3つも目に飛び込んできました。
『インターネット婚活時代』で「アメリカではもはやインターネットが出会いの主流になっているらしい」と書いたように、趣味・嗜好・職業・既婚歴など細かく指定して、誰でも世界中、星の数ほどいる異性(同性)の中から「理想の」相手に出会える時代になった・・・らしい。
話は変わって、私の友人のひとり、今年40歳のパキスタン系イギリス人(♀)。 もうずいぶん前から人生の伴侶となる人(”the one”と言う言い方をよくする、「たったひとりの人」)を探しています。 こんなに人口が多く、出会いを求めるシングルが多い大都市ロンドンで、こんなに出会いが簡単になった世の中で、”the one”に出会うのは本当に難しい、と嘆きます。
以前、バーで出会った女性と話がはずんだ。 よくあるバーでの出会いとしては珍しく(注:彼はナンパをするタイプではないので)、連絡先を交換し、2回・3回と会って、その時も楽しく会話がはずんだ、僕としては付き合う可能性も十分あるかな、と思っていた。 だけど、お互い仕事でもプライベートでも多忙な身。 何度か次に会う機会のリスケを繰り返しているうちに連絡が途切れてしまった。 数ヶ月後、お互いの共通の友人から、彼女が「あの人、ゲイなの?」と尋ねていたと聞いた。
出会って数回目以内に何らかの行動(肉体で意思表示)をしなければゲイと判断されてしまうのか? 最近マッチング・サイトで探すことにした。 少なくとも加入していることそのものが「探している」意思表示になるから。
以前、TED.comで観た、あるスピーチを思い出しました。 「現代の選択肢の多さは本当に人を幸せにしているの?」というもの(日本語字幕あり)。
インド系アメリカ人の彼女が日本に住んでいた頃、京都で緑茶と砂糖を注文した時のお店の反応のエピソードから話が始まります。
「緑茶に砂糖は入れないもの」という日本の文化的常識を、「当店に砂糖はございません」と応じることによって著者の面子をつぶすことなく守ったのを日本的な気配りであるとする一方、客の好みの通りにカスタマイズできることをアメリカ的なサービスとします(だからスタバにはあんなにいろいろシロップやらパウダーやらあるのですねー)。 そして、「人間は選択肢が多ければ多いほど、より正しい選択をする」というアメリカ的常識を疑う内容(緑茶と砂糖エピソードのオチが面白い、ぜひビデオでどうぞ!)。
(私、これと逆の経験があります。 先月行ったパリで泊まったB&Bがアメリカ人家庭だったのですが、朝食のテーブルにて、コーヒーに牛乳と間違えてオレンジジュースを入れようとする私をアメリカ人オーナーは「コーヒーにオレンジジュースを入れるのが好きな人かもしれないし」と黙って見ていたのです。 ううう・・・そんな人いないから止めてよね・・・)
「現代社会は選択肢がたくさんありすぎて、かえって不幸になっている」という内容のその名も『The Paradox of Choice: Why More Is Less』(邦訳:『なぜ選ぶたびに後悔するのか – 「選択の自由」の落とし穴』
)という本もあります(著者もTEDで話しています→こちら。 すごく話がうまい!)。
年末のThe Economistでは、人間は(自己申告によると)中年期が一番unhappyで、老いるにつれhappyになっていく、という記事がありましたが(右のグラフが自己申告による幸せ度、グローバル平均は46歳で最もunhappyらしい)、これも選択肢が少なくなっていくことをおだやかに受け止められるようになることと関連しているのでしょう。
The Economist : The U-bend of life
結婚相手選びの話に戻ると、星の数ほどの中から「理想の相手を選ぶ」という発想ではなく、譲れないクライテリアを押さえた後は、「一緒に理想の家族になる」という発想が肝心なんでしょうねー
January 27th, 2011 at 9:59 am
何度も頷きながら読ませてもらいました。
選択肢の多さといえばThe Economistのクリスマス号の記事も面白かったです。
http://www.economist.com/node/17723028
多すぎる選択肢は、人を「何も選ばない(選べない)」という決断に導くようです。
January 27th, 2011 at 11:18 am
僕的にはやっぱり選択肢が全くないよりは、めちゃめちゃある方を好みますねぇ。
しかし、相変わらずお相手は見つからないですが。。。うぅ。。
> 朝食のテーブルにて、コーヒーに牛乳と間違えてオレンジジュースを入れようとする私を
ちなみに、これにひっかかってしまいました。(笑)
ってか、なぜゆえ間違ったんですかね?紙パックで牛乳っぽいパッケージだったとか??
流石に透明のグラスとかだったら分かりますもんね。
January 28th, 2011 at 5:07 am
日本の場合は、「とても不幸」を0点、「とても幸せ」を10点として自己採点してもらったところ、幸福度が高いとされる7点以上とした人の割合は29歳以下が55%、30代は61%、40代と50代は55%、60代は51%。70歳以上は44%と最も低かった。男性は48%、女性は59%。 http://bit.ly/etFAOR
年をとると幸福度が落ちるのは、仕事や子育てにしか生きがいを見つけられないからですかね?年配層は個人資産の大半を持って金銭的にはそこそこ豊かなんですけどね、、、
January 29th, 2011 at 3:28 am
またまたタイムリーな。この女性について先日夫と話をしていたところです。
実は私、夫がレイオフされてしまい、仕事を辞めるという選択肢がなくなってしまいました!
しかし辞めたら辞めたで後悔することもありえると考えていたところです。
選択肢がなくなってすっきり?
January 30th, 2011 at 5:40 pm
>いかなごさん
>選択肢の多さといえばThe Economistのクリスマス号の記事も面白かったです。
この記事、なぜか見逃してました。 ありがとうございます。
>まつーらさん
>ってか、なぜゆえ間違ったんですかね?紙パックで牛乳っぽいパッケージだったとか??
はは、やっぱり? 白っぽい紙パックだったんですよ。 オレンジジュースのパッケージはオレンジにしろ、って思いません???
>gshibayamaさん
>年をとると幸福度が落ちる
日本はアウトライヤーですねー なんででしょうねー? さっぱり理由がわかりません(男性は仕事が生き甲斐の人が多いからでしょうか?)。
>ろちょーるさん
>実は私、夫がレイオフされてしまい、仕事を辞めるという選択肢がなくなってしまいました!
それはそれは。 たしかに選択肢のない状況に後押しされることはあると思います。