佐賀の民家、NYのホテルに

以前こちらのエントリーで紹介した“MONOCLE”という世界を飛び回るジェットセッターをターゲットとした雑誌(英)に、佐賀県の古民家をNYのホテルの中で再生したという記事が載っていました。
MONOCLEの記事はオンラインにありませんが、佐賀ニュースのサイトにはこちら(↓)の記事が。
佐賀の古民家、NYで再生 鹿島の建築家ら
時速3kmの世界「vol.6 鹿島市の農村を歩いて」
佐賀県に残る、昔ながらの伝統工法を用いたヨシ葺き屋根の民家がどんどん解体されていくのに見るに耐えなくなった建築家と大工の棟梁が、NYのレストラン経営者と出会い、解体した古民家の材料の移築・再生先を一緒に探した結果、俳優ロバート・デ・ニーロが経営するGreenwich Hotelの内装として復活することになった、というもの。
ny_pool.jpgホテルのプールがこんな風に梁を活かした素敵な空間になっています。
次のプロジェクトもニューヨークとカリブ海で決まっているとか。
MONOCLEには、プロジェクトを手がけたNYのレストラン経営者の言葉として、「悲しいことに、こういう建物の価値を認めるのは、日本人より欧米人なんだよ」という一文がありましたが、これは他の国でも本当にそう。


京都の町家や古い建築物を活かしたプロジェクトのほとんどは東京か外資だとか(→こちら)、ケララ州(南インド)で泊まった民宿では「インドそのままの良さを理解できるのはインド人ではなく外国人だからインド人は泊めない」とか(→こちら)、地元の人には当たり前すぎて周りに昔からあるものの良さが見えなくなってしまうんですねー
その極めつけはシンガポールかも。
たまに「シンガポールは文化がない」という人がいますが、なくはないです。 中華系、マレー系、インド系がごった煮になっているので、それぞれの祝日はそれぞれに分かれて祝います(→『多民族国家の祝日の過ごし方』)。 それよりも私がもっともシンガポールの気にいらないところは、どこを見渡しても似たようなコンドミニアム、ショッピングモールが何十と立ち並び、沖にはカジノリゾート・・・ 全くcharacter(日本語では個性、特徴?)がないところ。
古都出身で古い街並みをこよなく愛する人間にとっては、薄っぺらく見えてしまいます。
shophouses.jpgそこで私たちはシンガポールの歴史的建造物であるショップハウス(1階が店舗、2階が住居)を改装したアパートに住んでいます(私たちのではありませんが、こんな特徴的な窓を持つ)。 対して、シンガポール人が好むのは(ほとんどのシンガポール人は公団に住んでいるので「憧れる」が正しいか)、プール・ジム付きの施設が整ったコンドミニアム。
「ショップハウスに住んでいる」と言うと相手がシンガポール人か外国人かによって反応は真っ二つに分かれます。 シンガポール人は無言、「(心の中で)へー、そんなとこ住めるんだー」という反応。 外国人は「うらやましい!!!」と羨望の眼差し。
シンガポール人には「町家を改装した住居に住んでいる物好きガイジン」くらいに見られています、たぶん。
歴史的建造物を破壊し経済開発をするのが十八番(オハコ)なのは中国ですが、去年の日経ビジネスオンライン(下記)にあった対談によると、「中国人は自然に価値を置かない」「超高層ビル群は中国人のメンタリティーにフィットする」んだそう。  へー、そうなんだ・・・
NBOnline : 都市の民、中国・畳の民、日本
中国人なせいかどうかは知らないけど、シンガポール政府は間違いなくそうですね〜

つい最近紹介した『スラムドッグ$ミリオネア』がアカデミー作品賞を取りました。 おめでとう〜!
子役のはしゃぎっぷりがたまらなくかわいいです。
BBC : Slumdog kids at the Oscars


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